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論文記事:1996年から2016年の20年間における薬剤師の就業動向 202201-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第1号 2022年1月

1996年から2016年の20年間における薬剤師の就業動向

安藤 崇仁(アンドウ タカヒト) 井上 和男(イノウエ カズオ) 
木村 一紀(キムラ カズキ) 安原 眞人(ヤスハラ マサト)

目的 薬剤師は医療提供施設だけでなく医薬品開発や行政など様々な業種に従事しており,医師・歯科医師と比べて医療提供施設以外の業種に従事する割合が高い。そこで,業種別の薬剤師数を自治体規模別に20年間にわたり縦断的に分析し,わが国における薬剤師の就業動向を明らかにすることを目指した。

方法 1996年,2000年,2006年,2010年,2016年の5時点を対象として1996年から2016年の20年間の縦断分析を行った。調査時点の薬剤師数は,医師・歯科医師・薬剤師調査データを用い,各自治体の人口は国勢調査データを用いた。いずれものデータもe-Statから入手した。調査対象期間において多くの市町村合併が行われていることから,縦断分析における地理的条件を統一するため,各調査時点の自治体を2016年時点の自治体となるように処理した。医師・歯科医師・薬剤師調査で集計されている業種は調査時点ごとに違いがあるため,各調査時点で調査対象業種が共通となるように9種類(薬局薬剤師,病院薬剤師,大学勤務者,大学院生,製造業従事者,販売業従事者,行政従事者,その他,不詳)に分類した。また,薬局薬剤師および病院薬剤師を合わせて医療従事薬剤師とし,大学勤務者,大学院生,製造業従事者,販売業従事者,行政従事者を合わせて非医療従事薬剤師とした。各自治体を自治体規模で区分けし,各区分における人口10万人対薬剤師数を業種ごとに算出した。

結果 調査対象期間の20年間において,総薬剤師数は55.1%増加し,その増加分はほぼ薬局薬剤師数の増加(146.4%増)であった。大学院生(80.5%減)と販売業従事者(24.5%減)は減少していた。自治体規模別の人口10万人対薬剤師数は,薬剤師全体,医療従事薬剤師,非医療従事薬剤師のいずれも自治体規模が大きいほど多かった。前時点を対照とした人口10万人対薬剤師数の変化量は,医療従事薬剤師では自治体規模が大きいほど増加していたが,非医療従事薬剤師では一定の傾向はみられなかった。

結論 調査対象期間の20年間に薬剤師総数は増えており,各自治体規模の薬剤師の絶対数は増加していたが,人口10万人対薬剤師数は大規模自治体ほど多く,その格差は拡大する傾向にあった。

キーワード 薬剤師,医師・歯科医師・薬剤師調査,国勢調査,薬局,病院,市町村合併

 

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