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論文記事:高齢者の就労状況とQOLの関連性 202202-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第2号 2022年2月

高齢者の就労状況とQOLの関連性

-QALY試算による経済学的評価も含めて-
小牧 靖典(コマキ ヤスノリ) 平塚 義宗(ヒラツカ ヨシムネ) 池田 登顕(イケダ タカアキ)
柳 奈津代(ヤナギ ナツヨ) 近藤 克則(コンドウ カツノリ) 

目的 本研究の目的は二つである。第一に,要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者を対象に,健康関連QOL尺度のひとつであるEQ-5D-5Lを用いて,現在の就労状況とQOL値の関連性を明らかにすることである。第二に,これまで最も長く勤めた職種(以下,最長職)別に,現在の就労状況とQOL値の関連性を明らかにすることである。

方法 本研究は日本老年学的評価研究(JAGES)が2016年に実施した「健康とくらしの調査」データを用いた。回答者のうちADLに支障がなく,かつ健康状態の調査項目(EQ-5D-5L)に回答のあった17,695人を対象に解析を行った。EQ-5D-5LのQOL値を算出するために,[歩行][着替え][ふだんの活動][痛み・不快感][不安・ふさぎこみ]の5つの項目を各5段階で評価した。得られた回答を日本語版EQ-5D-5Lの換算表(タリフ)を用いてQOL値に変換し,高齢者の就労状況とQOL値の関連性を解析した。さらに,最長職別に就労状況とQOL値との関連性を解析した。

結果 性別,年齢,教育歴,婚姻状態,世帯の資産,くらし向きを調整したうえでも,就労している群に比べて,退職した(就労していない)群のQOL値は有意に低かった(-0.010,p<0.01)。また,最長職別には,自営職(農林漁業以外)のみ就労している群に比べて,退職した(就労していない)群で有意に低かった(-0.067,p<0.01)。

結論 QOL値は就労している群に比べて,退職した(就労していない)群で有意に低かったことから,高齢者の就労継続は,高齢期のQOLの維持向上に寄与している可能性があることが示唆された。

キーワード 高齢者,就労,QOL,EQ-5D,QALY,職種

 

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