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論文記事:高齢者の社会参加に関する研究その2 (地域包括ケアシステムの観点から) 202202-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第2号 2022年2月

高齢者の社会参加に関する研究 その2
(地域包括ケアシステムの観点から)

-地域の実情にあった仕組みづくりを目指して-
亀井 美登里(カメイ ミドリ) 本橋 千恵美(モトハシ チエミ) 太田 晶子(オオタ アキコ)
小泉 沙織(コイズミ サオリ) 仁科 基子(ニシナ モトコ) 井上 直子(イノウエ ナオコ)

目的 新型コロナウイルス感染症(以下,コロナ)の流行における高齢者を含む地域住民の生活状況,社会参加,支援活動への参加意向,支援活動への参加促進要因,防災意識等を明らかにし,支援活動の人的資源の確保・育成を含め,その推進に役立てることを目的とする。

方法 A市と埼玉医科大学との協働で,A市C地区に在住する30歳以上の全住民1,581人(施設入所者等を除く)を対象に,2020年9月に郵送による自記式質問票調査を実施した。質問票事項は,対象者の基本的属性,生活状況,支援活動の参加意向,防災意識,コロナ関連等である。

結果 調査票送付数1,581人,回収数785人(回収率49.7%),除外63人,有効回答数722人(45.7%)であった。高齢者の支援活動に参加意向のある者は335人(46.4%)であった。支援活動への参加のきっかけは,男女とも「知人・友人の誘い」76人(47.5%)が多く,男性では「自治会等を通じての参加募集」29人(37.2%)が多かった。支援活動に参加する場合の条件として,「参加の回数・時間・曜日の融通がきく」「自宅から近い」が重視されていた。防災意識については,ほぼすべての住民が何らかの方法で避難指示を入手しており,自治会や家族,知人から情報を入手している者も一定数認められた。コロナの流行においても,既存の支援活動が今までどおりであると回答した者が全体の2割弱あったことから,一定の割合で機能していることがわかった。

結論 本研究で,A市C地区における支援活動参加意向の実態や,参加を促進するための重要な要因をはじめ,台風等の自然災害や未知の感染症パンデミック等の有事に対する地域住民の状況が明らかになった。前回(2019年度)調査実施地区(B地区)で支援活動についてヒアリングを行ったところ,包括的なアウトリーチ支援が有効であることもわかった。その結果も踏まえれば,地域の実情にあった仕組みづくりこそが望まれる。「支え手」「受け手」という関係を超えて,コミュニティの機能を活用してそれぞれが連携しながら,バランスの取れた形で役割を果たし,個人の自律を支えるセーフティネットを充実させていくことが重要であると考える。

キーワード 超高齢社会,地域包括ケアシステム,地域支援活動,防災意識,新型コロナウイルス感染症,アウトリーチ支援

 

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