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論文記事:国際生活機能分類普及推進のための語句検索システムの作成およびそれに基づく生活機能調査の実施 202203-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第3号 2022年3月

国際生活機能分類普及推進のための語句検索システムの作成
およびそれに基づく生活機能調査の実施

向野 雅彦(ムカイノ マサヒコ)

目的 国際生活機能分類(以下,ICF)は心身機能から活動と参加までを包含する“生活機能”の包括的な分類として2001年に発表され,臨床への普及が進められている。これらの分類を臨床で使用するためには,多数の分類の中から患者の状態に対応する項目を選択する必要があるが,分類に慣れていないと適切な項目を選択するのに時間がかかることが問題となる。そのため,本研究では臨床で一般的に使われる言葉をICFに基づいて分類し,語句リストを作成することに取り組んだ。

方法 医師,療法士を中心に,186名の検討グループを形成し,語句の選定を実施した。語句の収集はICFの第2レベルの項目261項目を対象に,研究参加者それぞれに15項目ずつを割り当て,項目に関連して現場で使用している語句を記載させ,それをまとめて候補とした。さらにICF専門家からなる10名程度のレビューグループを形成し,語句の検証を実施した。さらに,当院回復期リハビリテーション病棟の入院患者20名を対象として,患者ごとに作成されたプロブレムリストを作成した語句リストに基づいてICFの項目に分類し,生活機能の問題の分布について調査を行った。

結果 ICFの第2レベルの項目の261項目に対し,それぞれ関連する語句のリストを作成した。専門家のレビューにおいては,リストに含む語句の種類,長さについて定義することの必要性が提起され,議論の上で定義が作成,それに基づいて語句リストのブラッシュアップがなされた。語句リストには計3,235の語句が登録された。また,この語句リストに基づき,20名の患者のプロブレムリストをICFに置き換えてその頻度を検討したところ,b730筋力の機能が100%,b510摂食機能,d450歩行,d530排泄,d540更衣の各項目がそれぞれ40%と高頻度であった。

結論 本研究によって,臨床で使用されている語句から,検索システムを用いて問題点を容易にICFに分類し,集計,分析を行うことが可能となった。このような仕組みはさらに,テキスト検索などの手法によって臨床の記録からの問題点の抽出に利用できる可能性がある。

キーワード 国際生活機能分類,ICF,語句リスト,リハビリテーション,生活機能,臨床応用

 

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