メニュー

論文記事:通所介護を利用する要介護者等の家族介護者における社会との関わり状況と介護負担感の実態 202204-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第69巻第4号 2022年4月

通所介護を利用する要介護者等の家族介護者における
社会との関わり状況と介護負担感の実態

-生活満足度との関連-
荒川 博美(アラカワ ヒロミ) 落合 佳子(オチアイ ヨシコ)
秋葉 喜美子(アキバ キミコ) 野呂 千鶴子(ノロ チズコ)

目的 通所介護を利用している要介護者等の家族介護者を対象に,社会との関わり状況と介護負担感の実態,生活満足度との関連を明らかにし,家族介護者の介護負担感の軽減,健康障害の予防を図り,要介護者本人の在宅生活継続に寄与する。

方法 2020年2月1日から7月30日までの間に,通所介護事業所を利用する要介護者等の家族介護者100人へ自記式質問紙を配布し,回収された65人(回収率65.0%)を分析対象とした。主要なアウトカムは,以下の①~③:①社会との関わり状況:社会関連性指標,②介護負担感:Zarit介護負担感尺度日本語版の短縮版(J-ZBI 8),③生活満足度,であった。分析方法は,すべての変数について記述統計量を算出し各変数の傾向を確認した。その後,生活満足度を生活満足度低群,生活満足度高群の2区分とし,すべての変数とのχ2検定,あるいはMann-WhitneyのU検定を行った。その後,関連がみられた項目について,多重ロジスティック回帰分析を行った。

結果 生活満足度と関連のみられた項目は「要介護者等との関係」「趣味を楽しむ」(p<0.05)であった。生活満足度と介護負担感の関連では,生活満足度高群で「要介護者等のそばにいると,気が休まらない」「介護により社会参加の機会が減った」と思わない人の割合が,生活満足度低群に比べて高かった(p<0.01)。また,生活満足度高群で「要介護者等の行動に困る」「要介護者等のそばにいると腹が立つ」「介護があるので,家族・友人と付き合いづらい」「介護を誰かに任せたい」と思わない人の割合が高かった(p<0.05)。多重ロジスティック回帰分析で,生活満足度に最も影響を及ぼしていたのは,介護負担感「要介護者のそばにいると,気が休まらない:思わない」(p<0.05,オッズ比2.15)であった。

結論 要介護者等と家族介護者との関係性を支援するためには,要介護者等と家族介護者双方への支援が望まれる。また,介護生活の中でも,家族介護者が趣味などを通じて「楽しい」と思えるような時間を作ること,家族介護者が社会参加や外出の機会を得て,他者と交流をすることが家族介護者の生活満足度を高めることが示唆された。

キーワード 生活満足度,家族介護者,通所介護,社会との関わり,介護負担感

 

ronbunnetshop