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論文記事:埼玉県における公立中学校2年生の自己肯定感に関連する要因の検討 202204-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第69巻第4号 2022年4月

埼玉県における公立中学校2年生の
自己肯定感に関連する要因の検討

-学校生活・経済状況・家族関係の視点から-
保科 寧子(ホシナ ヤスコ)

目的 本研究では,埼玉県において自治体内のすべての公立中学校に調査用紙を配布・回収することのできた2自治体のデータを用い,中学2年生の自己肯定感に影響を与えている要因の整理と一般化を試みた。

方法 2018年時点で埼玉県内の「埼玉県子どもの生活に関する調査」(総調査用紙配布数21,673世帯,有効回収率79.0%)の対象として選定された自治体のうち,自治体内のすべての公立中学校への調査用紙配布と回収が行われた2つの自治体のデータのみを抽出した1,533件を分析対象とした。調査用紙は,自記式無記名で生徒が日常生活について回答する部分と保護者が家庭の経済状況などを回答する項目がある。そのなかで自己肯定感に関する「自分には自信がある」「がんばれば良いことがあると思う」という設問への回答と家庭の経済状況,学校等の交友関係,家族との関係などの質問への回答との関連をχ2検定および連関係数を用いて分析した。

結果 自己肯定感の高さは,教員に良いところを認めてもらっている,学校に行くことが楽しみであるという設問に肯定的な回答と相関があった。また友人や家族に受け入れられていると感じている生徒も自己肯定感が高い傾向がある。一方で家庭の経済状況と自己肯定感には相関は見られなかった。学校へ行くことが楽しみかどうかや将来の夢があるかどうかも経済状況との関連は見られなかった。

結論 本研究の結果では,生徒自身の家庭の経済状況よりも学校生活での教員や友人との関係のほうが自己肯定感との関連が強かった。日本の公立中学校に通う生徒は,学校で過ごす時間が長く,かつ親しい友人も学校の友人であることが多く,中学校のコミュニティで受け入れられていると感じることが自分自身を認めることにつながっていると推測される。

キーワード 自己肯定感,公立中学校,教員,友人,承認

 

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