メニュー

論文記事:保育園児の足趾筋力と平衡機能に及ぼすラダートレーニングの影響 202204-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第69巻第4号 2022年4月

保育園児の足趾筋力と
平衡機能に及ぼすラダートレーニングの影響

杉浦 崇夫(スギウラ タカオ) 土肥 夏季(ドヒ ナツキ) 楠 美紗子(クス ミサコ)
川西 さおり(カワニシ サオリ) 溝部 京子(ミゾベ キョウコ) 山崎 美智子(ヤマサキ ミチコ)
舩場 大資(フナバ ダイシ) 曽根 涼子(ソネ リョウコ)

目的 最近,子どもの転倒による事故が増加し,中でも顔のけがが多発しているという。本研究は,4週間のラダートレーニングにより,幼児の足趾筋力ならびに平衡機能が改善されるか否かについて検討することを目的とした。

方法 トレーニングは,2020年11月に実施した。被験者は,O子ども園の年長児,男児6名,女児12名であった。トレーニング前後に被験者全員に開眼・閉眼片足立ちテスト,足趾筋力,開眼・閉眼での重心動揺を測定した。また,ビデオカメラを用いてトレーニングで行ったラダーステップ8種目のうち,4種目のラダー動作を撮影しステップの習熟度について検討した。トレーニングは基本的に1回あたり約45分間,週2回を4週(計7回)にわたって行った。

結果 ラダートレーニングの影響を検討した4種目のラダーステップの得点は,すべてにおいてトレーニング前よりも後に有意に高い値であった(p<0.05)。足趾筋力は,利き足ならびに非利き足ともにトレーニングにより有意に増加した(p<0.05)。また,重心動揺検査のパラメーターのうち,総軌跡長ならびに単位時間当たり総軌跡長はトレーニングにより有意に減少し(p<0.05),総軌跡長と単位時間軌跡長の視覚による姿勢の制御を評価するロンベルグ率(閉眼測定値/開眼測定値)はトレーニングにより有意に増加した(p<0.05)。さらに,足趾筋力に対する重心動揺の各パラメーターの関係では利き足と非利き足の足趾筋力と開眼総軌跡長,開眼単位時間軌跡長,閉眼外周面積,閉眼単位面積軌跡長との間に有意な相関関係が認められた(p<0.05)。

結論 これらの結果から,幼児期のラダートレーニングは足趾筋力と平衡機能を改善し,立位姿勢の安定化を促進し転倒予防として有効である可能性が示唆された。

キーワード 重心動揺,足趾筋力,ラダートレーニング,幼児,転倒予防,ロンベルグ率

 

ronbunnetshop