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論文記事:市町村国保の保健指導における1年後の効果の検証 202205-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第69巻第5号 2022年5月

市町村国保の保健指導における1年後の効果の検証

-保健指導の有無による変化量の比較-
徳留 明美(トクトメ アケミ) 荒井 今日子(アライ キョウコ) 山田 文也(ヤマダ フミヤ)
藤井 仁(フジイ ヒトシ) 横山 徹爾(ヨコヤマ テツジ) 

目的 特定健康診査・特定保健指導は,生活習慣病のリスク要因の数に応じて,保健指導対象者を選定し,生活習慣の改善支援を行うものである。本研究は,特定保健指導結果を用い,保健指導の翌年度の健診結果を観察し,保健指導効果を検証したものである。

方法 平成22年度から28年度に埼玉県の市町村国民健康保険の特定健診を受診した者のうち,翌年度の特定健診を受診した者を対象とした。「保健指導を完了した群」の1年後の健診結果の変化量と,「保健指導を全く受けていない群」の1年後の健診結果の変化量を項目別,支援レベル別,性別に比較した。また,複数年度の観察期間により効果の経年的な傾向を検証した。

結果 解析対象者は積極的支援の男性6,864-7,501人,女性1,846-2,159人,動機づけ支援の男性17,473-20,068人,女性11,164-11,646人であった。体重,BMI,腹囲は,支援レベルや性別に関わりなく,保健指導あり群は保健指導なし群より有意に低下しており,保健指導の効果によると推察された。血糖に関する項目では積極的支援より動機づけ支援に保健指導の効果がよりみられた。中性脂肪,HDLコレステロールでは積極的支援の男性,動機づけ支援の男女で,保健指導の効果が推察されたが,LDLコレステロールでは効果はみられなかった。喫煙では動機づけ支援の女性で保健指導の効果が推察されたが,全健診年度を通した保健指導の効果の有意性は認められなかった(本研究の体重等の1年後の平均変化量は厚生労働統計協会ホームページを参照)。

結論 保健指導を受けた者の変化量から保健指導を受けていない者の変化量の差を保健指導による変化量と考え,保健指導の効果として検証した。体重,BMI,腹囲,中性脂肪,HDLコレステロールでは,保健指導の効果が推察できたが,LDLコレステロールは全く保健指導の効果がみられなかった。保険者として自治体が実施する保健指導の効果はみえにくいが,保健指導の効果の一端が示せた。特定保健指導は受診率の低さが課題ではあるが,被保険者が後期高齢医療制度の被保険者に移行する前にリスクを減らす保健活動に期待したい。

キーワード 特定健康診査,特定保健指導,市町村国保,効果の検証,経年的傾向

※本論文の結果の記述で、協会ホ-ムペ-ジを参照することとされている本研究の体重等の 1 年後の平均変化量の図表についてはこちらをご覧下さい。

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