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論文記事:感染症流行下における乳幼児健康診査の実施状況等に関する調査 202206-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第69巻第6号 2022年6月

感染症流行下における
乳幼児健康診査の実施状況等に関する調査

杉浦 至郎(スギウラ シロウ) 佐々木 渓円(ササキ ケマル) 山崎 嘉久(ヤマザキ ヨシヒサ)

目的 感染症流行下における乳幼児健康診査(以下,乳幼児健診)事業の実施状況や課題を把握し,望ましい乳幼児健診に関して考察することとした。

方法 全国1,741自治体の乳幼児健診事業担当者に調査依頼票を郵送し,オンラインもしくは郵送により調査票を回収した。調査回答期間は2020年9月28日~10月26日とし,10月9日までに回答が得られなかった自治体には再依頼を行った。自治体の対応パタンをAからDの4つに大別し,それぞれに現状や課題に関する質問を行った。A:緊急事態宣言による通知を受けて,集団健診を延期し,かつ個別健診とせずに,解除後の通知を受けて集団健診を再開,B:緊急事態宣言による通知を受けて,集団健診から個別健診に変更した健診を実施,C:緊急事態宣言による通知以前および通知後も個別健診を継続して実施,D:緊急事態宣言による通知以前および通知後も集団健診を継続して実施。

結果 1,182自治体から回答が得られた(回答率67.9%)。3~4か月児等健診では,対応Aが43.3%,対応B,C,Dがそれぞれ12.4%,17.4%,13.7%であった。1歳6か月児健診と3歳児健診は,対応Aがそれぞれ72.8%,75.0%であった。また対応は自治体の規模によっても異なっており,対応Aは,3歳児健診年間対象者が50人未満の小規模自治体で少なく,中規模自治体で多く選択されていた。対応Bは,自治体規模が大きいほど該当頻度が多かった。対応パタンCは,1,000人以上の自治体の約70%と250人未満の自治体の20%前後であった。対応Dは,自治体の規模が小さいほど該当頻度が多く認められた。対応Aには受診遅延に伴う疾病スクリーニングの遅れ,対応Bには支援対象者の把握/フォローなどを含めた標準的保健指導が困難になる等,健診方法を延期・変更した自治体にはそれぞれ課題が存在した。感染症流行下における望ましい乳幼児健診のあり方としては「感染予防に配慮した集団健診」と回答した自治体が9割以上であった。

結論 感染症流行に対応して乳幼児健診で行われた対応は,乳幼児健診の対象月齢や,自治体の規模などにより異なる傾向が認められた。それぞれの対応方法にそれぞれの課題があることが明らかとなり,感染症に配慮した集団健診が望まれている現状が明らかとなった。

キーワード 乳幼児健康審査,COVID-19,緊急事態宣言,集団健診,個別健診,オンライン健診

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