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論文記事:COVID-19まん延下における首尾一貫感覚(SOC)と責任感との関連 202206-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第6号 2022年6月

COVID-19まん延下における
首尾一貫感覚(SOC)と責任感との関連

-一般市民を対象としたインターネット調査結果から-
井上 信次(イノウエ シンジ) 北川 裕美子(キタガワ ユミコ) 吉田 浩子(ヨシダ ヒロコ)

目的 新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)まん延下における一般市民の「責任の所在」に関する「公」と「自己」の2つの方向性に着目し,これらの方向性の偏りとSOCの関連を,一般市民を対象としたインターネット調査結果の解析から検討,考察することを目的とした。

方法 日本国内に在住する20歳から69歳の成人男女2,100名を対象とし,2020年10月9日から12日に,(株)楽天インサイトのプラットフォームを利用したインターネット調査を実施した。調査内容は,属性(世帯形態,学歴,勤務形態,移動手段,情報入手の媒体,持病の有無,COVID-19に関するPCR検査経験の有無),COVID-19に関する知識,緊急事態宣言発令期間の行動,COVID-19がまん延する社会生活における価値観10項目,COVID-19への感染や感染対策の責任の所在に対する価値観,SOCを測定する3項目であった。

結果 回答は2,100人から得られた。無回答がなかったため,すべてを有効回答票とした。本調査対象者のSOC項目の平均得点±標準偏差は13.6±3.8であった。SOC得点が高くなると公的責任感得点と自己責任感得点が高くなることが示された。SOC得点が高い者は低い者に比べて公的責任感得点が高く,SOC得点が高い者の中では年齢の差は認められないが,SOC得点が低い者の中で,特に20歳代の公的責任感得点が低いことが認められた。SOC得点が高い者は低い者に比べて自己責任感得点が高く,SOC得点が高い者の中では年齢の差は認められないが,SOC得点が低い者の中では,特に20歳代,30~40歳代,50歳以上の順に自己責任感得点が低いことが認められた。

結論 SOC得点が低い者の中では,特に20歳代が他の年齢に比べ「公的責任感得点」や「自己責任感得点」が低いことが明らかとなった。20歳代の調査対象者においてはSOC確立途上であり,今後年齢が高まるにつれSOCが確立され,「責任」に対する意識も変化する可能性が推察された。

キーワード 新型コロナウイルス感染症(COVID-19),SOC(首尾一貫感覚),公的責任感,自己責任感

 

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