メニュー

論文記事:勤労者におけるインターネット依存の関連要因およびインターネット利用とプレゼンティーズムとの関連 202206-06 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第69巻第6号 2022年6月

勤労者におけるインターネット依存の関連要因および
インターネット利用とプレゼンティーズムとの関連

大島 優海(オオシマ ユミ) 大宮 朋子(オオミヤ トモコ) 出口 奈緒子(デグチ ナオコ)
辻 志保里(ツジ シホリ) 山海 知子(サンカイ トモコ)

目的 インターネットの急激な普及に伴い,インターネット依存による健康被害が注目され,インターネット依存による抑うつ傾向の増大や睡眠時間の減少などの身体不調は,勤労者の労働遂行能力に悪影響を及ぼすことが懸念される。しかし,中高生に対するインターネット依存の研究は蓄積されてきたが,勤労者を対象とした調査はほとんどみられない。本研究では,勤労者におけるインターネット依存の関連要因を明らかにすること,インターネット依存が健康状態の悪化による労働遂行能力の低下(プレゼンティーズム)に与える影響を明らかにすることを目的とした。

方法 首都圏の勤労者20~59歳の男女を対象とした無記名のインターネット調査を実施した。調査項目は基本属性,職業性ストレス要因,インターネット依存(Internet Addiction Test;IAT),インターネット利用目的と目的別利用頻度,インターネット利用による周囲の人々との関わり(コミュニケーション)の変化,睡眠の質・量,心身症状,抑うつ,労働遂行能力の低下(プレゼンティーズム)とした。プレゼンティーズムの測定にはWork Functioning Impairment Scale;WFun)を用いた。インターネット依存の関連要因について検討するため,IATスコアを従属変数,基本属性,職業性ストレス要因,インターネット利用目的と目的別利用頻度,インターネット利用による周囲の人々との関わり(コミュニケーション)の変化を独立変数とした重回帰分析を行った。また,WFunスコアを従属変数とし,基本属性,職業性ストレス要因,インターネット依存,インターネット利用による周囲の人々との関わり(コミュニケーション)の変化を独立変数とした重回帰分析を行った。

結果 分析対象者393名のうち,男性52.2%,女性47.8%であり,対象の平均年齢(標準偏差)は44.0(9.3)歳であった。IATスコアを従属変数とした重回帰分析の結果,年齢(β=-0.143,p=0.002),孤独感を和らげる(β=0.147,p=0.003),家族や友人,知人との交流が増えておっくうだ(β=0.125,p=0.030)とインターネット依存に有意な関連があった。また,WFunスコアを従属変数とした重回帰分析の結果,インターネット依存(β=0.111,p=0.008)および抑うつ(β=0.489,p<0.001)と有意な関連があった。

結論 若年層の勤労者および孤独感を和らげる目的でのインターネット使用とインターネット依存との関連が明らかとなった。インターネット依存と労働遂行能力の低下に関連があったことからも,勤労者に対しインターネット依存の予防に早期に取り組む必要性が示唆された。

キーワード 勤労者,インターネット依存,プレゼンティーズム,抑うつ,心身症状,職業性ストレス要因

 

論文