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論文記事:フレイルティモデルを用いたわが国男性の悪性新生物コーホート死亡率の動向の検討 202209-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第69巻第11号 2022年9月

フレイルティモデルを用いた
わが国男性の悪性新生物コーホート死亡率の動向の検討

都築 英莉(ツヅキ エリ) 石井 太(イシイ フトシ)

目的 本研究は,わが国男性の悪性新生物コーホート死亡率に,フレイルティモデルを当てはめ,その動向を定量的に分析することを目的とした。

方法 1900〜1940年に生まれた41コーホートの男性を対象とし,日本版死亡データベースと人口動態統計を用いて,45〜89歳の年齢別悪性新生物死亡率を推計した。さらに,フレイルティの分布を表す関数としてガンマ分布を用い,標準的な死力にゴンパーツモデル,ワイブルモデルを用いてモデリングを行った。

結果 推計結果から,悪性新生物死亡率は中年から老年にかけて上昇スピードが減速する中年上昇型であることが明らかとなったが,1910〜1920年生まれコーホートではその減速は緩やかになっていた。フレイルティモデルへの当てはめからは,すべてのコーホートにおいて,ガンマワイブルモデルの方が当てはまりがよいことが確認された。モデルのパラメータを観察すると,1900~1910年半ば生まれコーホートまではフレイルティのばらつきが小さくなったが,それ以降のコーホートでは再び上昇する傾向が観察された。さらに,標準的な死力であるワイブルモデルの切片の観察からは,1930年生まれコーホートから急速に悪性新生物死亡率が改善していることが明らかとなった。

結論 わが国男性の悪性新生物死亡率は,脳血管疾患死亡率の低下などの他の死因の影響から,一時的に中年で死亡率が急上昇する年齢パターンから離れたものの,その後,他の死因の影響が小さくなるとともに悪性新生物死亡率自体も改善し,本来の年齢パターンに戻るという変遷を遂げてきたものと理解できる。

キーワード 悪性新生物,コーホート死亡率,ガンマモデル,ワイブルモデル,ゴンパーツモデル

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