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論文記事:新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下における国民の生活習慣の変化 202301-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第70巻第1号 2023年1月

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下における国民の生活習慣の変化

-NIPPON DATA2010追跡調査結果-
古澤 朗子(フルサワ アキコ) 門田 文(カドタ アヤ) 大久保 孝義(オオクボ タカヨシ)
岡村 智教(オカムラ トモノリ) 奥田 奈賀子(オクダ ナガコ) 西 信雄(ニシ ノブオ)
宮本 恵宏(ミヤモト ヨシヒロ) 由田 克士(ヨシタ カツシ) 尾島 俊之(オジマ トシユキ)
近藤 慶子(コンドウ ケイコ) 岡見 雪子(オカミ ユキコ) 北岡 かおり(キタオカ カオリ)
早川 岳人(ハヤカワ タケヒト) 喜多 義邦(キタ ヨシクニ) 上島 弘嗣(ウエシマ ヒロツグ)
岡山 明(オカヤマ アキラ) 三浦 克之(ミウラ カツユキ) NIPPON DATA2010研究グループ

目的 NIPPON DATA2010におけるわが国を代表する一般成人集団を対象に,2020年の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下における生活習慣の変化を調査し,性,年齢,地域別に分析した。

方法 研究対象者は,2010年国民健康・栄養調査に全国300地区から参加し,2020年時点でNI‑

PPON DATA2010追跡調査に参加している30歳から99歳の男女2,244人とした。2020年4~5月の新型コロナウイルス感染症第1波流行中における,それ以前との体重・食生活・身体活動量や受診行動の変化について問う自記式質問調査を2020年10月に実施した。完全な回答が得られた1,926人(男性788人,女性1,138人) について,性別,年齢階級別,居住地域ブロック別に回答を集計し比較した。割合の差の検定はχ2検定およびFisherの正確確率検定を用いた。

結果 1㎏以上の体重増加者は,男性(17.3%)より女性(27.1%)に多く(p<0.001),身体活動量が減少した者も,男性(23.2%)より女性(31.0%)の方が多かった(p=0.001)。飲酒の頻度や量の増加者,減少者ともに男性において女性より高い割合を示した(p<0.001)。一方,男女ともに,野菜を食べる頻度や量が増えた者は減った者の2倍以上多く,自宅で料理したものを食べる頻度が増えた者は減った者の約6倍であった。年齢階級別にみると,1㎏以上の体重増加者は65歳未満(30.8%)で特に多く(p<0.001),「自宅で調理したものを食べる頻度」「スーパーやコンビニの弁当や総菜,テイクアウト,デリバリーの利用頻度」「間食する頻度や量」が増加した者が65歳未満に多かった(いずれもp<0.001)。地域ブロック別では,1㎏以上の体重増加者,身体活動量が減った者が,都市部で高い傾向を示した(いずれもp<0.001)。

結論 2020年の新型コロナウイルス緊急事態宣言下において,生活習慣や体重は男性よりも女性,高齢者よりも若い世代で大きく変化し,居住地域別では,都市部での変化が大きかった。これらの特徴を踏まえ,自粛生活の長期化による健康影響に注意する必要がある。

キーワード 新型コロナウイルス感染症,体重,食習慣,身体活動量,飲酒,NIPPON DATA2010

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