論文
第70巻第8号 2023年8月 令和2年都道府県別生命表における平均寿命の地域差分析首藤 陽平(シュトウ ヨウヘイ) 飯田 悠斗(イイダ ユウト) 上平 駿(カミヒラ ハヤオ) 安川 学(ヤスカワ マナブ)
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目的 令和2年都道府県生命表において,各都道府県の平均寿命の全国の平均寿命に対する差(地域差)を,年齢階級別・死因別の寄与へと分解することによって,地域差の要因を明らかにする。また,平成27年と令和2年の年齢階級別・死因別の寄与を比較することによって,その経年変化を明らかにする。
方法 各都道府県の平均寿命と全国の平均寿命の差(地域差)に対する年齢階級別の寄与は,全国の死亡率を低い年齢から順次,各都道府県の死亡率に置き換えたときの平均寿命の変化量として算出した。また,死因別の寄与は各年齢に対し,死亡率を死因別に分解することで同様に死因別寄与を求め,全年齢の総和として算出した。
結果 男で平均寿命が最も長い滋賀県は,年齢階級別では主に50~84歳がプラスに寄与している。また,死因別では不慮の事故と自殺を除く死因がプラスに寄与している。女で平均寿命が最も長い岡山県は,年齢階級別では主に55~89歳がプラスに寄与している。また,死因別では悪性新生物<腫瘍>の寄与が最も大きい。さらに,平成27年と令和2年で地域差を比較すると,地域差は拡大している。
結論 各都道府県の平均寿命と全国の平均寿命の差(地域差)を年齢階級別,死因別に分析するとそれぞれの特徴は都道府県により異なる。また,地域差の年齢階級別・死因別寄与の経年変化を観察することで,地域差の変化や平均寿命の都道府県別順位の変化の要因を詳細に分析できる。
キーワード 都道府県別生命表,平均寿命,地域差,年齢階級,死因,寄与