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論文記事:東京都世田谷区における新型コロナウイルス感染症の家庭内感染率と家庭内伝播に関わる要因 202401-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第1号 2024年1月

東京都世田谷区における新型コロナウイルス感染症の
家庭内感染率と家庭内伝播に関わる要因

-従来株およびB.1.1.7系統(アルファ株)流行期の積極的疫学調査より-

門脇 睦美(カドワキ ムツミ) 安岡 圭子(ヤスオカ ケイコ) 高橋 千香(タカハシ チカ)
向山 晴子(ムコウヤマ ハルコ) 城川 美佳(キガワ ミカ)
白山 芳久(シラヤマ ヨシヒサ) 湯浅 資之(ユアサ モトユキ)

目的 東京都世田谷区における新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査から明らかになった主な感染経路は家庭内感染であった。本研究では,これまで報告がない東京都内の家庭内感染率と家庭内感染の発生に関わる要因を明らかにすることを目的とした。

方法 感染症法に基づいて実施された新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査で収集されたデータを用いた。従来株流行期である2020年12月とB.1.1.7系統(アルファ株)の流行期である2021年5月の初発患者から同居家族への家庭内感染率を算出した。また,初発患者の属性別の感染率とリスク比を算出し,年代別感染率と発症から診断までの日数について多変量解析を行った。

結果 初発患者における家庭内への感染率は従来株流行期が31.1%,アルファ株流行期は36.6%であった。初発患者の属性と家庭内感染の発生状況では,初発患者の年代,発症から診断までの日数,診断時の症状の有無,世帯人数,療養場所,流行株が家庭内感染の発生の有無と関連していた。多変量解析による結果からは,初発患者の年代では0~19歳に対して65歳以上でリスク比が1.59(95%信頼区間:1.19-2.14),発症から診断まで2日以内に対して3日以降でリスク比が1.52(95%信頼区間:1.30-1.77)で,それぞれ独立して家庭内感染の発生と関連していた。

結論 世田谷区の積極的疫学調査より,家庭内の初発患者が同居者に感染させる割合は,従来株31.1%,アルファ株36.6%であった。家庭内感染を起こした感染源群から同居家族への感染率が高い関連要因としては,感染源が65歳以上の高齢者であること,患者の発症から診断までの遅れが関連していた。

キーワード 新型コロナウイルス感染症,SARS-CoV-2,家庭内感染,積極的疫学調査,B.1.1.7系統(アルファ株)

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