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論文記事:住民主体の通いの場における運営母体による課題認識の差異に応じた継続支援方法の検討:横断研究 202404-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第4号 2024年4月

住民主体の通いの場における運営母体による
課題認識の差異に応じた継続支援方法の検討:横断研究

 

江尻 愛美(エジリ マナミ) 河合 恒(カワイ ヒサシ) 安永 正史(ヤスナガ マサシ)
白部 麻樹(シロベ マキ) 伊藤 久美子(イトウ クミコ)
植田 拓也(ウエダ タクヤ) 大渕 修一(オオブチ シュウイチ)

目的 高齢者が通いの場での活動を継続するためには,行政や専門職が行う「継続支援」が不可欠である。厚生労働省は通いの場を,だれが(運営)×どこで(場所)×なにを(活動)という観点で類型化しているが,運営母体が異なれば活動で抱える課題や必要な支援も異なると考えられる。本研究の目的は,住民主体の通いの場における運営母体による課題認識の差異を明らかにして有効な継続支援方法を検討すること,また前記の検討を深めるため運営母体によるソーシャル・キャピタル(SC)認知の差異を明らかにすることとした。

方法 2018年に島しょ部を除く東京都内53区市町村の担当者を通じて通いの場活動を行う自主グループへ自記式質問紙調査への協力を依頼し,40区市町の155グループ2,367名より回答を得た。運営母体は,厚生労働省の類型をもとに,住民団体(地縁),住民団体(ボランティア),住民個人(行政養成),住民個人(有志),行政・医療介護専門職の5つに分類した。通いの場における課題は,参加者の不足など10種類からあてはまるものを選択させた。SCは,集合的効力感を構成する概念である,近隣に対する信頼を示す社会的凝集性と,共有された期待を示す私的社会統制を尋ねた。運営母体による課題認識の差異をχ2検定および残差分析で,SC認知の差異を性と年齢を調整した共分散分析で検討した。

結果 分析対象は運営母体に欠損のない153グループ2,342名(男性14.0%,平均年齢76.9歳)で,運営母体の内訳は,住民団体(地縁)27グループ,住民団体(ボランティア)22グループ,住民個人(行政養成)49グループ,住民個人(有志)33グループ,行政・医療介護専門職22グループだった。課題認識者の割合は,「参加者の不足」が住民団体(地縁)で多く(18.5%),住民個人(行政養成)で少なく(9.9%),「場所の確保」が住民団体(ボランティア)と行政・医療介護専門職で多く(それぞれ16.9%,15.3%),住民団体(地縁)で少なく(5.0%),「グループ内の人間関係」が住民団体(ボランティア)で多かった(9.5%)。社会的凝集性,私的社会統制ともに,住民団体(地縁)に所属する者はそれ以外に所属する者より有意に得点が高かった(すべてp<0.001)。

結論 運営母体により活動時の課題認識は異なり,必要とされている継続支援も異なることが明らかとなった。また,SCも考慮に入れながら支援を行うことで効果的な支援となる可能性が考えられた。

キーワード 地域づくりによる介護予防,住民主体の通いの場,運営母体,課題,ソーシャル・キャピタル

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