論文
第71巻第5号 2024年5月 COVID-19流行下における健診未受診女性の
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目的 COVID-19流行下における健診未受診女性の特徴と健診選好を把握するため,健康保険組合被扶養者女性にアンケート調査を行った。
方法 A企業の健康保険組合の被扶養者女性に対し,同健保組合が運用するスマートフォンアプリLINEを通じ,2022年12月8日~22日の期間に全登録者に調査を実施した。調査内容は,基本特性,健康意識,主観的健康観,治療状況,放置している病気の有無,放置の理由,健診受診状況,コロナ流行前の健診受診頻度,毎年1回健診を受診していなかった理由,健診選好である。未受診者の特徴を把握するために,健診受診者と未受診者の2群,未受診の理由を「コロナ不安で未受診」「理由があり未受診」「もともと未受診」の3群に分け,それぞれ調査内容の比較は,χ2検定と残差分析を行った。
結果 回答が得られた2,030名を解析した結果,健診未受診者は受診者と比べて,20~29歳の若い女性と専業主婦が多く,健康の維持・向上への心がけが少なく,健診を毎年1回受診せず,その理由として検査内容への不安があるとした者が多かった。また,未受診者の健診選好では,対面健診を希望せず,オンライン健診を希望する者が多く,対面とオンラインのハイブリッド健診を希望しない者は少なかった。次に,健診未受診の理由を3群に分けて比較を行ったところ,「コロナ不安で未受診」では,同居人数は1~2人が多く,2019年以前に毎年1回受診していなかった理由としては,面倒くささによるものが多かった。「理由があり未受診」では,時間が取れないという理由が多かった。「もともと未受診」では,自分の健康に関心がなく,自分の健康に自信があり,健診の必要性を感じないという理由が多かった。この3群において,健診選好に大きな差はみられなかった。
結論 未受診者に対し,オンライン健診を導入することの検討を行い,導入時には個人の健康観を尊重しつつ,健診内容については情報提供を行うと同時に受診勧奨を行うことで,受診率の向上,疾病の早期発見・早期治療に結び付く可能性が示唆された。
キーワード COVID-19,健診未受診,健康保険組合,被扶養者,オンライン健診,ハイブリッド健診