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論文記事:企業に勤務するがん患者における職場の心理社会的環境 202408-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第71巻第8号 2024年8月

企業に勤務するがん患者における職場の心理社会的環境

-ストレスチェックデータを用いたがんのない者との比較分析-

安部 美恵子(アベ ミエコ) 朴峠 周子(ホウトウゲ シュウコ) 門間 貴史(モンマ タカフミ)
小澤 咲子(オザワ サキコ) 武田 文(タケダ フミ)

目的 企業に勤務するがん患者における職場の心理社会的環境の状況をがんのない者との比較によって明らかにする。

方法 日本の一企業従業員(21~69歳)の2016年のストレスチェックデータを分析に用いた。2016年と2015年のレセプトを突合し,両年ともがんにより医療機関で受療した者を「がん患者」と定義して抽出し(どちらか単年のみがんにより受療した者は分析から除外),性別とがん種別により層別化した「がん患者」219名(男性の消化器がん56名,女性の子宮頸がん96名,女性の乳がん67名)と,それ以外の「がんのない者」14,017名を分析対象とした。新職業性ストレス簡易調査票の職場の心理社会的環境に関する調査項目から,仕事の負担5項目と仕事の資源13項目(作業レベル6項目,部署レベル7項目)をとりあげ,男女別に,男性のがんのない者と消化器がん患者,女性のがんのない者と子宮頸がん患者・乳がん患者について,t検定,χ2検定,Mann-Whitney U検定および年齢,役職,部署,抑うつ感を調整した共分散分析によって比較検討した。

結果 男性ではがんのない者と比べて消化器がん患者の仕事の負担(仕事の量的負担,職場環境)が低く,女性ではがんのない者と比べて子宮頸がん患者の仕事の資源(役割明確さ)が高く,乳がん患者の仕事の負担(身体的負担)が低かった。

結論 男性従業員の消化器がん患者は仕事の量的負担が低く作業環境が良好で,女性従業員の子宮頸がん患者は役割の明確さが高く,乳がん患者は身体的負担が低いことが明らかとなり,企業に勤務するがん患者における職場の心理社会的環境は比較的良好であることが示唆された。

キーワード 企業従業員,がん,職場,心理社会的環境,ストレスチェック

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