メニュー

論文記事:都市部における互助機能評価尺度の開発 202504-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

m header btn

一般財団法人 厚生労働統計協会

サイトポリシープライバシーポリシー

pmark     お問い合わせ

論文

論文

第72巻第4号 2025年4月

都市部における互助機能評価尺度の開発

-互助を促す支援者が評価する互助機能-

井口 理(イグチ アヤ) 佐藤 太地(サトウ タイチ) 池田 晋平(イケダ シンペイ)
山岸 貴子(ヤマギシ タカコ) 石田 千絵(イシダ チエ)

目的 全国の政令指定都市と東京23区において互助の促進を試みる支援者が町会・自治会単位の互助機能を測定する「都市部における互助機能評価尺度」を開発する。

方法 全国20の政令指定都市と東京23区にある1,195カ所の地域包括支援センターの施設長あるいは地域づくり担当者を対象に,2022年6~7月に自記式質問紙調査を実施した。

結果 回収数は190件(回収率15.9%),有効回答数178件(有効回答率14.9%)であった。340町会・自治会に関する回答について,最尤法,プロマックス回転で因子分析を行った結果,有意確率0.608で3因子7項目の尺度項目を得た。第1因子「住民は,隣近所の買い物を代行する」「住民は,隣近所の日常的な外出(買い物・受診・銭湯等)に付き添う」の2項目からなる“くらしの補完”,第2因子は「関係機関が,地域の課題について話し合える場がある」「住民と関係機関が,地域の活動について話し合える場がある」の2項目からなる“話し合える場”,第3因子は「地域活動の場(介護予防教室等)に,住民同士が誘い合って参加する」「住民は,隣近所から困り事を相談されたことがある」「住民は,防災訓練等に主体的に参加する」の3項目からなる“普段からの付き合い”と命名した。Cronbachのα係数はいずれも0.8以上,3つの因子間相関は,相関係数0.36~0.71で正の相関を示した。共分散構造分析で確認的因子分析を行った結果,モデルの適合度指標は,GFI=0.987,RMSEA=0.036であった。

結論 「都市部における互助機能」を支援者が評価する尺度として,内的整合性が確保され,かつ妥当であると判断できる信頼性係数と適合度指標を得た。本調査は政令指定都市と東京23区の地域包括支援センターを対象に実施しているが,回収率が高いとはいえないことから,この評価尺度と定義を活用するためには,さらなる調査が必要である。今後は,支援者の互助機能評価が,住民が認識する互助の現状と乖離していないか,確認する必要があると考える。

キーワード 互助機能,都市部,評価尺度,地域包括支援センター

ronbunnetshop