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論文記事:子どもを持たない夫婦に対する印象とイメージ 202504-05 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第72巻第4号 2025年4月

子どもを持たない夫婦に対する印象とイメージ

-子どもを持つ既婚者を調査対象として-

福島 朋子(フクシマ トモコ) 沼山 博(ヌマヤマ ヒロシ)

目的 子どもを持たない30~40代の夫婦への意識や印象について,子どもを持つ夫婦への意識や印象との比較を通して,その様相を明らかにすることを目的とした。調査対象は,子どもを持たない人の生きづらさは,特に職場や友人関係においてもたらされるとの報告があることから,35~45歳の子どもを持つ既婚成人を対象として調査を行った。

方法 2022年3月にWeb調査を行い,全国の子どもを持つ35~45歳の既婚男女414名(男性194名,女性220名)の協力を得た。調査は事例を提示して意識や印象を問うVignette法を用い,実子を持たない理由,また実子が2人いる事例・実子のいない事例についての,夫婦の関係性に対する認知と妻・夫それぞれへの印象について回答を求めた。分析は,回答者の男女別に,夫婦の関係性の認知項目および印象評定項目について,それぞれ因子分析を行い,得られた各因子の得点について,性別ごとに事例による平均値の差の検定を行った。

結果 実子を持たない理由については,男性回答者では「夫婦二人の生活を楽しみたいから」,女性回答者では「授からなかったから」が多くあげられた。夫婦の関係性の認知については,女性回答者では事例にかかわらず,夫婦関係は良好としているのに対し,男性回答者では,実子のいない夫婦事例は実子が2人いる夫婦事例よりも夫婦関係が悪く捉えられる傾向があった。事例の夫・妻への印象・イメージについては,回答者の性別にかかわらず,実子のいない夫婦事例より,実子が2人いる夫婦事例の夫・妻の方が,情緒的に安定し,人格的に成熟していると捉えられる傾向が認められた。また,実子のいない夫婦事例の夫は,回答者の性別にかかわらず,実子が2人いる夫婦事例よりも成功志向が強いと捉えられ,妻は男性回答者にのみ成功志向が強いと捉えられる傾向があった。

結論 実子の有無についての事例の違いと回答者の性別により,夫婦の関係性の認知や,夫婦それぞれに対する印象・イメージの傾向が異なっていたが,概して,欧米の研究と同様に,わが国においても,子どもを持たない既婚成人は,子どもを持つ既婚成人よりもネガティブに捉えられている傾向が示唆された。

キーワード 子どもを持たない夫婦,夫婦関係の認知,印象・イメージ

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