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論文記事:医療機関における退院支援の取り組みと一般病床在院日数との関連に関する地域相関研究 202505-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第72巻第5号 2025年5月

医療機関における退院支援の取り組みと
一般病床在院日数との関連に関する地域相関研究

 

野崎 展史(ノザキ ヒロフミ) 山下 真司(ヤマシタ マサシ) 田城 孝雄(タシロ タカオ)

目的 入院医療機関における退院支援の取り組みは,入院患者の円滑な退院を目指す医療施策の1つであり,入退院支援加算や入院時支援加算等の診療報酬で評価されている。これらの退院支援に関する加算の算定数は近年増加傾向にあるが,在院日数との関係は十分に明らかになっていない。そこで本研究は,診療報酬で評価されている退院支援に関する加算の算定状況と在院日数の関連を検証し,在院日数の短縮と関連が高い退院支援の取り組みを明らかにすることを目的とした。

方法 二次医療圏を分析単位とした。分析方法は重回帰分析とし一般病院一般病床の平均在院日数を目的変数とした。説明変数は退院支援に関する取り組みとして診療報酬で評価されている入退院支援加算1,入院時支援加算1,介護支援等連携指導料,退院時リハビリテーション指導料,退院時共同指導料2の退院患者1,000人当たりの算定数とした。また65歳以上人口1,000人当たりの病床機能別の病床数と在宅医療・介護サービスの各事業所数,高齢単身世帯割合を調整変数とした。使用データは高齢単身世帯割合を令和2年度,そのほかを令和3年度データとし,「病院報告」「匿名医療保険等関連情報データベース」「病床機能報告」「住民基本台帳に基づく人口,人口動態及び世帯数調査」「統計でみる都道府県・市区町村のすがた」「在宅にかかる地域別データ集」のオープンデータから取得した。

結果 分析に必要なデータに欠損がなく解析対象となった142の二次医療圏の一般病院一般病床の平均在院日数±標準偏差は16.39±2.70日であった。重回帰分析の結果,退院支援に関する各加算間の交絡や在宅における医療介護提供体制の地域差,高齢単身世帯割合を調整しても,平均在院日数と入院時支援加算1の間に有意な負の関連がみられた。

結論 入院時支援加算1の算定条件である退院支援に関わる専門職の手厚い人員配置や入院前から実施する多職種が協働した退院支援の取り組み等が在院日数の減少に関連している可能性がある。

キーワード 在院日数,退院支援,地域相関研究

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