論文
第72巻第6号 2025年6月 養介護施設従事者等における
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目的 本研究は,養介護施設従事者等の基本属性と職業倫理行動の関係を明らかにすることを目的とした。
方法 著者らは,2022年5月を起点に3年計画で開始した養介護施設に所属する養介護施設従事者等を対象とするパネル調査(「介護職員の職業能力に関連する要因の見える化に関する研究」)における年間4期に分割された調査のうちの3期目の調査として(2022年11月~2023年1月),養介護施設従事者等493名を対象に,基本属性(性別,年齢,教育歴,介護福祉士資格の有無,現在の職場での在籍期間)ならびに職業倫理行動15項目(5因子:利用者本位,守秘義務,安全確保,専門知識・技術の習得,協力体制の形成)について自記式調査票調査を行った。統計解析では,基本属性と職業倫理行動の関係性をMIMICモデルでテストした。その解析に先立ち,養介護施設従事者等における職業倫理行動に関する5因子二次因子モデルのデータへの適合性のテストに使用する項目を相関分析と項目反応理論(段階反応モデル)の解析結果を基礎に確定した。
結果 養介護施設従事者等の職業倫理行動を構成していた15項目において,ポリコリック相関係数と段階反応モデルによる解析結果から判断するなら,特段に削除すべき項目は見いだせなかった。養介護施設従事者等の職業倫理行動15項目の一次元性を,確認的因子分析による5因子二次因子モデルのデータに対する適合性という側面でテストしたところ,因子モデルがデータに適合することを確認した(CFI=0.979,RMSEA=0.065,SRMR=0.038)。次いで,本研究では,基本属性(独立変数)と養介護施設従事者等の職業倫理行動(従属変数)で構築したMIMICモデルがデータに適合することを明らかにした(CFI=0.977,RMSEA=0.056,SRMR=0.053)。このとき職業倫理行動との関連性を示した基本属性は「現在の職場での在籍期間」のみであった。
結論 著者らは,養介護施設従事者等の職業倫理行動の構造と数量化に関する可能性を明らかにし,また基本属性と職業倫理行動の関連性は否定できないことを明らかにした。
キーワード 養介護施設従事者等,職業倫理行動,MIMICモデル