論文
第72巻第7号 2025年7月 介護福祉士実践能力尺度の開発-回復期リハビリテーション病棟版-サブレ森田 さゆり(サブレモリタ サユリ) 松浦 悠子(マツウラ ユウコ) 栗山 恵美(クリヤマ エミ) |
目的 本研究は,回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハビリ病棟)介護福祉士の介護実践能力の尺度開発の初期段階として,自己評価尺度の作成およびその信頼性と妥当性を検証することを目的とする。
方法 全国の回復期リハビリ病棟で働く介護福祉士602名を対象とした質問紙調査を実施した。質問紙の内容は,対象者特性に対する質問と介護福祉士実践能力尺度とした。介護福祉士実践能力尺度を作成するにあたり,あらかじめ介護実践能力の構成概念を探索するための文献レビューを行い,項目を分析・選定した。そして,38の質問項目を5件法により評価した。対象者背景は記述統計,探索的因子分析を行い信頼性と妥当性を検討した。
結果 介護福祉士実践能力尺度(以下,CW実践能力尺度)は4下位尺度19項目,短縮版は4下位尺度12項目から構成された。尺度の信頼性は,各カテゴリーのCronbachのα係数はCW実践能力尺度が0.761から0.898で,短縮版が0.694から0.859であった。再テスト法による級内相関係数は,0.525であった。併存的妥当性には病棟看護師退院支援実践自己評価尺度を用い,級内相関は,CW実践能力尺度0.525,短縮版0.268であった。内容の妥当性では,文献検討から抽出された概念が包含された。
結論 「介護過程実践能力」「専門性を開発する能力」「倫理的実践能力」「チームケア実践能力」の4因子から構成されたCW実践能力尺度は,一定の信頼性と妥当性が検証された。本研究は,CW実践能力尺度開発の初期段階であり,回復期リハビリ病棟で働く介護福祉士を対象としている。今後は尺度の内容の再検討とともに,全国の施設で働く介護福祉士を対象とした信頼性および妥当性の再検証が必要である。
キーワード 介護実践能力,介護福祉士,介護の質,介護の専門性,尺度開発,回復期リハビリテーション病棟