論文
第72巻第7号 2025年7月 児童家庭支援センターにおける関係機関との連携状況-連携先・役割分担に着目して-堀口 康太(ホリグチ コウタ) |
目的 本研究の目的は,児童家庭支援センター(以下,センター)と関係機関との連携について連携先および役割分担に着目して,その実態を明らかにすることである。
方法 関東・信越・関西にある8つのセンターを対象として業務実態に関する調査を実施した。2023年9月から10月末までの間で,任意の2週間分の開所日(調査期間は開所日によって10日間から14日間)における業務実態について回答を求めた。本研究では,①関係機関との連携を伴う業務,②連携している関係機関との役割分担,③センターのタイプ別の連携先と役割分担の3つの観点から分析を行った。
結果 児童相談所,市町村の家庭児童相談の部署,学校等の教育機関との連携が全体の7割以上を占めていた。センターとこれらの関係機関の役割分担については,子どもや保護者と関係機関との関係性やそれぞれの関係機関の専門性に基づいた分担が多かった。センターのタイプ別に検討した際には,連携先としては養護相談を中心に対応している「市町村・児相連携-養護相談タイプ」は,児童相談所や市町村との連携が多く,育成相談を中心に対応している「教育連携-育成・性格行動相談タイプ」は学校等の教育機関との連携が多かった。
結論 センターは地域のニーズに応じて連携が必要な関係機関と柔軟に役割を分担しつつ連携し,地域の子どもや保護者のニーズを充足するための専門的な相談機関として支援を提供していることが示唆される。
キーワード 児童家庭支援センター,関係機関連携,役割分担