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論文記事:画像診断に関わる医療費の現状 20250902 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第72巻第11号 2025年9月

画像診断に関わる医療費の現状

 

岡野 員人(オカノ カズト) 杉山 正樹(スギヤマ マサキ)

目的 わが国における国民医療費は高齢化率の上昇や医療技術の進歩に伴い増加の一途をたどっており,持続可能な医療制度の構築が大きな課題である。本研究では画像診断に関わる医療費(画像診断費)の適正化に向けて,現在の状況と地域格差について調査することを目的とした。

方法 厚生労働省が公表している2017年度および2022年度の「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」から,医科診療行為の「画像診断」に関わる項目についての医療費を算出し,1人当たりの画像診断費や都道府県別の画像診断費について比較した。また,CT検査およびMRI検査の医療費と各装置数の関連について単回帰分析を行った。

結果 2022年度の画像診断費は1兆2192億円で,医療費全体の2.6%を占めていた。また,外来の画像診断費は9521億円で,2017年度に比べて増加した。一方で,入院の画像診断費は2671億円で2017年度に比べて減少した。1人当たりの画像診断費は9,682円で,都道府県別では北海道が最も高く11,958円,埼玉県が最も低く8,024円でその差が3,934円であった。2022年度の画像検査費の構成割合は,CT検査とMRI検査で全体の70%を占めていた。また,CT検査の医療費とCT装置数,MRI検査の医療費とMRI装置数の回帰式はそれぞれy=0.3151x-16.609(決定係数=0.937),y=0.3542x-10.232(決定係数=0.972)で,どちらも回帰式と回帰係数は統計的に有意(p<0.01)であった。

結論 画像診断に関わる医療費について現状を明らかにした。今後は人口減少とともに画像診断費が減少していく可能性が示唆されるが,画像診断費の適正化に向けて高額医療機器の共同利用や遠隔画像診断の導入など,地域にあった仕組みについて議論することが求められる。

キーワード 画像診断,医療費,レセプト情報・特定健診等情報データベース,地域差,画像検査

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