論文
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第72巻第12号 2025年10月 日本における英国滞在歴がある者からの献血血液を介した
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目的 輸血を介した変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(以下,vCJD)感染予防のため,現在わが国では1980~1996年の17年間に英国滞在歴が1カ月以上の者の献血を制限している。安全性の観点から,この制限を撤廃した際のリスク評価を行う。
方法 わが国でこれまで実施されてきたプリオン病の全国調査やサーベイランスより,現在に至るまでわが国でのvCJD発生は1例のみである。サーベイランス委員会ではこの症例は英国滞在中の食事を介して感染した可能性が最も高いと結論づけている。この症例に輸血の既往はない。従って,わが国では今日に至るまで血液を介したvCJD患者発生は確認されていない。本研究では最もリスクが高いシナリオの元で,vCJD患者が0人,1人,2人以上の確率を計算し,英国滞在歴を持つ者からの血液を介したvCJD感染のリスクを評価した。
結果 一部のほとんど考えられないような極端なシナリオでは確率が0.05以下であったが,多くのシナリオでは英国滞在歴保有者の献血制限がなくても,vCJD患者数の増加はみられなかったはずであったことが明らかになった。
結論 1980~1996年に英国滞在歴1カ月以上の者の献血制限を解除しても,輸血を介したvCJD患者の増加はないと推察された。
キーワード 輸血,献血,リスク評価,ウシ海綿状脳症,変異型クロイツフェルト・ヤコブ病,日本







