論文
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第72巻第14号 2025年12月 人口動態統計における職業および世帯の
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目的 人口動態統計における職業および世帯の主な仕事と他の社会経済指標との関連は必ずしも明確ではない。本研究では,公的統計データをもとに,人口動態統計における職業および世帯の主な仕事と学歴および世帯収入との関連を分析する。
方法 学歴および世帯収入を調べた21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)と職業および世帯の主な仕事を調べた平成22年度人口動態職業・産業別統計の出生データを結合させて用いた。父母の職業について,上層非肉体労働者,下層非肉体労働者,肉体労働者,その他に分類して分析を行い,世帯収入について四分位点に基づき群分けした。母の学歴および世帯収入を母の職業別に,父の学歴および世帯収入を父の職業別に,父母の学歴および世帯収入を世帯の主な仕事別に人数を集計した。また,修正ポアソン回帰モデルを用いて,父母の学歴および世帯収入と,父母の職業および世帯の主な仕事との関連を欠測値を補完した上で調べた。
結果 37,345人の出生データを分析に用いた。学歴については,父母の職業について,大学/大学院卒の割合は上層非肉体労働者,下層非肉体労働者,肉体労働者の順で高く,中学校卒の割合はその逆の結果となった。世帯収入については,最も収入が高い群および最も収入が低い群の割合について,学歴と同様の結果がみられた。世帯の主な仕事について,父母が大学/大学院卒である割合は常用勤労者(Ⅱ)で最も高く,中学校卒である割合は常用勤労者(Ⅱ)が最も低かった。世帯収入についても学歴と同様の結果がみられた。修正ポアソン回帰分析の結果,父母の職業について,学歴は上層非肉体労働者と比較して他の職業では統計学的に有意に低い傾向があり,世帯収入も同様の結果であった。世帯の主な仕事について,常用勤労者(Ⅱ)と比較して,学歴が他の仕事ではほとんどの場合において統計学的に有意に低い傾向があり,世帯収入も同様の結果であった。
結論 人口動態統計を用いた分析において,本研究で用いた職業分類や世帯の主な仕事は対象者の学歴や世帯収入を反映した社会経済状況の指標として今後解釈可能であると考えられた。
キーワード 人口動態統計,職業,世帯の主な仕事,収入,学歴







