論文
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第72巻第14号 2025年12月 小・中学校教職員における食物アレルギー事故の
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目的 小・中学校教職員における食物アレルギー事故の予防体制と緊急時対応に関する主観的評価尺度を作成し,①予防体制・緊急時対応と属性や研修受講との関係,②予防体制と緊急時対応との関係,を明らかにする。
方法 食物アレルギー事故の予防体制および食物アレルギー事故の緊急時対応に関する調査項目を作成し,小・中学校教職員500名を対象に無記名自記式調査を行った。有効回答391名分について,探索的因子分析により各尺度の因子を抽出し,Cronbachのα係数,Item-Total相関係数,確認的因子分析により妥当性と信頼性を確認した。各尺度の得点と属性,研修受講との関係を平均値の差の検定およびPearsonの相関係数により分析した後,食物アレルギー事故の緊急時対応の各因子を目的変数とし,予防体制の各因子を説明変数として,属性と研修受講を調整した重回帰分析を行った。
結果 食物アレルギー事故の予防体制および緊急時対応に関する主観的評価尺度の妥当性と信頼性が確認された。①予防体制(「食物アレルギーとエピペン®についての理解」「食物アレルギー対応の校内体制の整備」)と緊急時対応(「エピペン®使用に関する不安」「緊急時の役割と連携に関する自己効力感」)のいずれも研修の非受講者で不良な傾向にあった。また,緊急時対応の「エピペン®使用に関する不安」は女性,若年齢者,勤続年数の短い者,非正規職員で強く,「緊急時の役割と連携に関する自己効力感」は一般教員と非正規職員で低かった。②予防体制の「食物アレルギーとエピペン®についての理解」は緊急時対応の「エピペン®使用に関する不安」「緊急時の役割と連携に関する自己効力感」と,また予防体制の「食物アレルギー対応の校内体制の整備」は「緊急時の役割と連携に関する自己効力感」とそれぞれ関係していた。
結論 小・中学校教職員における食物アレルギー事故の予防体制と緊急時対応のいずれにも研修の受講が重要であり,女性,若年齢者,勤続年数の短い者,一般教員,非正規職員における緊急時のエピペン®使用の不安や役割・連携に関する自己効力感の改善が必要と考えられた。食物アレルギーとエピペン®についての理解はエピペン®使用の不安を軽減して緊急時の役割・連携に関する自己効力感を高め,校内体制の整備は緊急時の役割・連携に関する自己効力感を高める可能性が示唆された。
キーワード 食物アレルギー,予防体制,緊急時対応,エピペン®使用の不安,研修受講







