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論文記事:社会関係資本が地域福祉における情報アクセスと満足度に与える影響 20260101 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第73巻第1号 2026年1月

社会関係資本が地域福祉における
情報アクセスと満足度に与える影響

-近隣ネットワークに着目した住民調査データによる実証分析-

小村 有紀(コムラ ユキ) 楠山 大暁(クスヤマ ヒロアキ)

目的 少子高齢化の進行や地域社会のつながりの希薄化が進む中で,福祉ニーズへの対応として包括的支援体制の構築が喫緊の課題となっている。本研究は,住民調査データを用いて,社会関係資本が地域福祉における情報アクセスと満足度に与える影響を実証的に明らかにすることを目的とした。

方法 下関市が2021年に実施した「地域の暮らしと福祉に関するアンケート調査」のデータを使用した。調査対象は下関市に居住する満18歳以上の市民から無作為抽出した3,000名で,有効回収数は1,327であった。分析にはパス解析を用い,「近所づきあい」「情報入手源の数」「知っている相談窓口の数」「満足度」の関係性を検証した。また,地域特性による差異を検証するため,多母集団分析を実施した。

結果 全体モデルでは,近所づきあいから情報入手源の数,情報入手源の数から知っている相談窓口の数が0.1%水準で,知っている相談窓口の数から満足度へのパスが1%水準で有意であることが確認された。近所づきあいには,性別,年齢,居住年数が0.1%水準で有意にプラスの影響を示した。地域別の分析では,東・中部・西部・北部では近所づきあいから情報入手源の数,知っている相談窓口の数から満足度(5%水準),情報入手源の数から知っている相談窓口の数(0.1%水準)のパスが有意であった。山陽では,近所づきあいから情報入手源の数(5%水準),情報入手源の数から知っている相談窓口の数(0.1%水準),知っている相談窓口の数から満足度(1%水準)で有意にプラスであった。山陰では近所づきあいから情報入手源の数(5%水準),情報入手源の数から知っている相談窓口の数(1%水準)のパスが有意であったが,知っている相談窓口の数から満足度へのパスは有意でなかった。合併4町では情報入手源の数から知っている相談窓口の数へのパス(0.1%水準)のみが有意であった。一方,彦島では有意なパスは確認されなかった。

結論 本研究の結果から,地域における相談体制の充実には,フォーマルな支援体制の整備と同時に,その基盤となる地域の人間関係や情報伝達の仕組みづくりが重要であると考えられる。また,性別などの属性による影響の違いや地域特性による差異が明らかになり,属性に配慮した情報提供や地域ごとの重点施策の設定など,地域特性に応じた支援体制の構築が必要であることが示唆された。

キーワード 地域福祉,社会関係資本,情報アクセス,満足度

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