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論文記事:ケア従事者のウェルビーイングを構築する組織および個人要因-混合研究法による分析- 20260405 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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論文

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第73巻第4号 2026年4月

ケア従事者のウェルビーイングを
構築する組織および個人要因

-混合研究法による分析-

森山 葉子(モリヤマ ヨウコ) 松繁 卓哉(マツシゲ タクヤ) 高橋 秀人(タカハシ ヒデト)
大夛賀 政昭(オオタガ マサアキ) 田宮 菜奈子(タミヤ ナナコ)

目的 介護の現場で働く職員(以下,ケア従事者)の人材不足が懸念されている現在,介護現場のより生き生きと幸せに働ける環境を明らかにし,実践していくことが求められている。本研究は,混合研究法を用いて,ケア従事者のウェルビーイングを構築する要因を検討することを目的とした。

方法 定量的研究の対象者は,介護事業者3カ所の職員のうち調査に回答した59名であり,重回帰モデルを用いて,ウェルビーイング(幸福感(人生満足度尺度により測定)およびワーク・エンゲイジメント)を従属変数とし,個人の精神的特性としてレジリエンス(モデル1・2共通),職場のチームの在り方に関する指標としてリーダーシップ(モデル1),心理的安全性(モデル2)との関連を検討した。また,定性的研究として,ケア従事者19名を対象に半構造化インタビューを実施し,職員各自の幸福感の感じ方・構成要素等についてたずね,分析を行った。分析ではGTA(Grounded Theory Approach)によって逐語録の解釈によるオープンコーディング,カテゴリーの生成を行った。

結果 重回帰分析(モデル1)において,幸福感とレジリエンスは有意に正の関連を,リーダーシップ(対人関係上の配慮)は正の関連の傾向を示し,モデル2では,幸福感と,レジリエンスおよび心理的安全性が正の関連の傾向を示した。ワーク・エンゲイジメントは,両モデルにおいてレジリエンスと有意に正の関連を示し,モデル2では心理的安全性と正の関連の傾向がみられた。また,インタビュー調査の逐語録の分析の結果,2つのカテゴリー【得られる喜び】【マイナス要素】と,29の概念が生成された。概念と概念の結びつき,カテゴリーの構成要素としての概念など,生成物の関係性を分析した結果,2つのコアカテゴリー<ケア提供の充足感><内面化された規範への接近>がケア従事者のウェルビーイングを形成するものとして導き出された。

結論 混合研究法による検討から,職員個人の事柄(経験・考えなど)と,組織内の事柄(認識の共有,リーダーシップ,理念など)とが相互に影響した結果として,ウェルビーイングが形成されていることが示唆された。介護現場において,ケア従事者が生き生きと幸せに働くためには,組織内で継続的に職員個々の認識や状況を把握するとともに,個別性の尊重と,組織的な認識の共有という両側面で,改善がはかられることが必要である可能性が示唆された。

キーワード ウェルビーイング,幸福感,ワーク・エンゲイジメント,ケア従事者,混合研究法

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