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第73巻第5号 2026年5月 児童・生徒の運動動機志向性に
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目的 わが国は世界有数の超高齢社会を迎え,健康寿命の延伸に向けた日常的な運動の重要性が強調されている。しかし,運動習慣は短期間で身につくものではなく,学童期から中学生期の運動経験や目的意識が将来の継続的な習慣形成に大きく影響する可能性がある。本研究の目的は,小学4年生でも理解できる平易な表現を用い,児童・生徒が運動に取り組む際の多様な目的意識を把握するための新たな運動動機志向性の尺度を最小限の項目数で作成することである。そして,その信頼性と妥当性を検証することである。
方法 本研究は,新潟県南魚沼郡湯沢町の公立一貫校に在籍する小学4年生から中学3年生に相当する男女268名のうち,同意を得た202名を対象に実施した。質問紙は,学習の達成目標傾向尺度を基に運動場面用に改編し,既存項目に独自の運動関連3項目を追加して全15項目で構成した。児童・生徒には,クラブ活動,体育授業,学校外の運動で最も力を入れている運動についての目的意識を5件法で回答させ,得点が高いほど当該意識が強いことを示した。分析にはHADを用い,探索的因子分析には最尤法とプロマックス回転を用いた。因子数はスクリーテスト,固有値基準(ガットマン=カイザー基準),MAP法,共通性の合計,対角SMC法を総合的に参照し,因子構造の適合性はCFIおよびRMSEAを算出して検討した。
結果 因子分析の結果,「達成・競争志向」「承認欲求志向」「内発的動機・挑戦志向」の3因子が抽出され,累積寄与率は87.8%であった。モデル適合度(CFI=0.961,RMSEA=0.069)も良好で,因子間相関は中程度(0.4~0.6)でプロマックス回転の妥当性が確認された。各因子のα係数は0.825~0.852,ω係数は0.836~0.863と高く,内的一貫性も十分であった。これにより,小学4年生から中学生まで一貫して運動目的を測定できる尺度としての妥当性が示された。
結論 本研究で開発した運動動機志向性尺度は,児童・生徒の多様な運動動機を把握し,学年や発達段階に応じた指導や支援の計画に活用できる有効な評価ツールであることが示された。若年期に確立された主体的な運動習慣は,将来的な健康維持やQOL向上,健康寿命の延伸に寄与する可能性が高く,本尺度の普及と活用は,超高齢社会における健康長寿社会の実現に向けた科学的エビデンスとしての貢献が期待される。
キーワード 運動習慣,運動動機,心理評価尺度,児童,内発的動機,承認欲求






