一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供 - 論文記事:製造業に勤務する男性労働者における睡眠時無呼吸症候群の実態と労働生産性および抑うつとの関連-睡眠評価装置を用いた横断研究- 20260703

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第73巻第7号 2026年7月

製造業に勤務する男性労働者における
睡眠時無呼吸症候群の実態と労働生産性および抑うつとの関連

-睡眠評価装置を用いた横断研究-

中田 ゆかり(ナカダ ユカリ)

目的 職域において睡眠の量および質の低下は労働生産性やメンタルヘルスに影響を及ぼす重要な課題である。睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:以下,SAS)は中高年男性に多い。本研究では,製造業に勤務する男性労働者を対象に,睡眠評価装置を用いて測定した睡眠関連指標と背景要因との関連を明らかにするとともに,SASの重症度指標であるApnea-Hypopnea Index(以下,AHI)がプレゼンティーイズムおよび抑うつに関連しているかを探索的に検討することを目的とした。

方法 研究対象者は,ねじ製品の製造を主とする企業に勤務する20~65歳の男性従業員605名のうち,研究参加に同意した58名であり,睡眠評価装置および無記名自記式質問紙の両方のデータが得られた55名を分析対象とした。睡眠評価装置(WatchPat300)を用いてAHI,Respiratory Disturbance Index(RDI),Oxygen Desaturation Index(ODI),睡眠時間,睡眠効率,睡眠潜時を測定した。無記名自記式質問紙ではアテネ不眠尺度,エプワース眠気尺度,Single-Item Presenteeism Question東大1項目版(SPQ),Patient Health Questionnaire-9日本語版(PHQ-9)を用いた。AHIと各変数との関連はPearsonの積率相関係数で検討し,AHIがプレゼンティーイズムおよび抑うつに及ぼす影響についてはロジスティック回帰分析を行った。

結果 分析対象者の平均年齢±標準偏差は47.7±11.1歳,BMIの平均値±標準偏差は24.7±3.7であった。AHIの平均値±標準偏差は12.9±11.5回/時であり,中等度以上のSAS(AHI≧15)は34.5%に認められた。相関分析の結果,AHIは年齢,BMI,RDI,ODIと正の相関を示し,睡眠効率とは負の相関を示した。一方,ロジスティック回帰分析では,AHIはプレゼンティーイズムおよび抑うつのいずれとも有意な関連を示さなかった。

結論 本研究では,AHIが年齢,BMI,睡眠効率と関連することが示され,SASの重症度を反映する客観的指標としての妥当性が支持された。一方でAHIとプレゼンティーイズムおよび抑うつとの関連は認められなかった。SASが労働生産性やメンタルヘルスに及ぼす影響を明らかにするためには,日中の眠気や不眠症状などの因子を含めた多面的な評価が必要であり,今後は対象者数を増やした縦断的研究が求められる。

キーワード 男性労働者,睡眠時無呼吸症候群,睡眠評価装置,プレゼンティーイズム,抑うつ

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