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論文記事:職域男性の肥満・高血圧・脂質異常と食生活との関連 201602-04 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第2号 2016年2月

職域男性の肥満・高血圧・脂質異常と食生活との関連

-愛媛県愛南町地域診断モデル事業の取り組みから-

 

西岡 亜季(ニシオカ アキ)  植田 真知(ウエタ マチ) 松浦 仁美(マツウラ ヒトミ)

井上 和美(イノウエ カズミ) 加藤 泉(カトウ イズミ) 坂尾 良美(マツオ ヨシミ)

廣瀬 浩美(ヒロセ ヒロミ)上田 由喜子(ウエダ ユキコ)

目的 公衆衛生では,地域診断に基づいて保健事業を実施し,地域の環境を健康に向けて促進できるようアプローチすることが求められている。愛媛県宇和島圏域は,男女とも健康寿命が県平均より短く,かつ管轄の愛南町は65歳未満で死亡する割合が県下トップの状況にある。そこで,本研究では地域診断推進事業のモデル町である愛南町の20~40歳代の住民の食生活を調査し,40歳代男性が有所見となる要因について明らかにすることを目的とした。

方法 20~40歳代の職域男性231名を対象に,文書にて本研究への参加募集を行い,平成26年10~11月に食生活および食品摂取頻度に関する自記式質問紙調査,味覚感度調査を実施した。項目は,属性,過去1年間に行われた健康診断の結果,自記式質問紙は,田中らの先行研究を参考に普段(過去1カ月)の食生活に関する23項目と食品摂取頻度に関する23項目とした。味覚感度調査には,ソルセイブ(食塩味覚閾値判定ろ紙)を用い塩味を認識する閾値を調べた。食生活および食品摂取頻度については,2つのカテゴリーに再区分し,BMI,血圧,血中脂質との関連についてχ2検定およびロジスティック回帰分析を行い,食品摂取頻度については重回帰分析を行った。

結果 調査の回収率は94%であったが,記入漏れがあった者は除外したため有効回答数は117名(50.6%)となった。「食べるのが速い」男性は,「普通,遅い」男性よりも肥満/脂質異常になるオッズが約3.9倍/2.5倍,また「野菜たっぷりの料理はあまりない」男性は「1日1食以上」野菜を食べる男性よりも肥満/高血圧になるオッズが約3.0倍/3.5倍という結果が得られた。味覚感度と肥満・高血圧・脂質異常との間に関連は認められなかった。

結論 食生活の観点から有所見の要因を検討した結果,肥満が健康課題の1つの要因となっており,「食べるのが速い」「野菜の摂取量が少ない」「濃い味を好む」ことがわかり,「缶コーヒー」「乳酸菌飲料」「缶ジュース」の摂取頻度も影響していた。塩分や砂糖のとり過ぎを意識しない割合は,肥満者よりも肥満でない者の方が有意に高く,将来を見据えた生活習慣病予防の展開には,気づきや意識を高めるツールが必要であることが示唆された。

キーワード 職域男性,地域診断,生活習慣病,公衆衛生,協働,食生活

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