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論文記事:女子看護学生の子宮頸がん予防に関する意識調査 201501-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第62巻第1号 2015年1月

女子看護学生の子宮頸がん予防に関する意識調査

-ワクチンの副反応報告を受けて-
村澤 秀樹(ムラサワ ヒデキ) 大久保 一郎(オオクボ イチロウ)
今野 良(コンノ リョウ) 荒川 一郎(アラカワ イチロウ)

目的 2013年の改正予防接種法において,子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)が新たに定期の予防接種の対象とされたが,同年6月,厚生労働省による積極的な接種勧奨を行わない旨の通知がなされた。本研究では,この積極的接種勧奨中止後の,女子看護学生の子宮頸がん予防に関する意識を調査することにより,今後の効果的な子宮頸がん予防対策の探索への活用を目的とした。

方法 子宮頸がん予防に関する意識を把握するため,がんの予防や治療に関する医学的知識の習得状況を踏まえ,女子看護学生に対する無記名自記式質問紙によるアンケート調査を行った。内容はヒトパピローマウイルス(HPV)の知識,予防可能性,検診受診,HPVワクチン接種に対する意識について,自由記述を含む計5問の調査を2013年10月に行った。

結果 対象女子看護学生174名中,回答者136名(回答率78.2%)。このうち,有効回答130名(有効回答率95.6%,3年生62名,4年生68名)を得た。χ2検定で各問の回答の学年間比較を行ったところ,HPVの知識に関する質問を除き,学年間の回答の有意差(p<0.05)は認められなかった。「子宮頸がんの発生にはHPVが関わっている」ことを「良く知っている」「聞いたことはある」と回答した者は97%を占め,子宮頸がんの原因としてのHPVの高い認知が認められた。「子宮頸がんが予防可能である」との回答は70%,子宮頸がん検診について「受診したことがある」または「受診したい」との回答は92%であり,検診の受診意思が高い傾向が認められた。一方で,HPVワクチンを接種したいと思うかの設問に対し,「接種したことがある」「接種したい」が68%,「接種したくない」「わからない」が32%であり,先行研究に比べて低率であった。HPVワクチンを「接種したくない」「わからない」理由として,「メディアで副作用の問題を知って」など,副反応に対する懸念の記述が7割を占めた。

結論 子宮頸がん検診については,引き続き,普及啓発,費用助成および受診しやすい機会を設けることが求められる。一方,HPVワクチンによる予防については副反応への懸念が示された。今後,副反応への検証結果に対応した説明を行うことが求められる。

キーワード 子宮頸がん,ワクチン,検診,女子看護学生,HPV

 

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