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論文記事:知的障害児の増加と出生時体重ならびに母年齢との関連 201412-01 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第61巻第15号 2014年12月

知的障害児の増加と出生時体重ならびに母年齢との関連

岡本 悦司(オカモト エツジ)

目的 知的障害児の増加の原因として出生時体重と母年齢との関連を経年推移から明らかにするとともに知的障害児の増加を説明する数理モデルを構築する。

方法 福祉行政報告例(療育手帳の新規交付件数,特別児童扶養手当の新規認定数)ならびに学校統計(学校基本調査)を経年的に分析して知的障害児の増加状況を明らかにする。また出生時体重ならびに母の平均年齢との経年的な関連を明らかにする数理モデルを構築し,今後,高齢出産がさらに進んだ場合の知的障害児の発生率を予測する。

結果 1973~2012年度の40年間で,知的障害児の出生千当たり発生率は重度では増加していなかったが中軽度障害で増加がみられ,1993年頃を境に最近の20年間の増加が著しかった。40年間の出生時体重と母年齢との関連をみると,母年齢が29歳を越えると出生時体重が急減するという逆ロジスティックカーブが観察され,1993年を境に知的障害児の発生率が急増した原因として,母年齢の上昇と出生時体重の減少による相乗効果が示唆された。母年齢と出生時体重の2要因と特別児童扶養手当の中程度知識障害の新規認定率との関連を数理モデルで検討したところ,きわめて高い適合(R2:0.995)が得られた。

結論 1973~2012年度の40年間で,母の平均年齢は4.2歳上昇し,出生時体重は200g減少した。その間,知的障害児の発生率は,中軽度を中心に確実に増加した。各年の中程度知的障害の発生率は,数理モデルを適用することにより母の平均年齢と出生時体重の2要因だけで,ほぼ完全に説明される。近年では出生時体重の減少は止まっているが,母年齢の高齢化はなおも進行しており,知的障害児の割合は今後も増加すると予想される。

キーワード 知的障害,高齢出産,低体重児,特別支援教育,数理モデル,不妊治療

 

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