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論文記事:活動量計を用いた日常歩行速度とADL低下に関する研究 201404-03 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第61巻第4号 2014年4月

活動量計を用いた日常歩行速度とADL低下に関する研究

高柳 直人(タカヤナギ ナオト) 山城 由華吏(ヤマシロ ユカリ) 須藤 元喜(スドウ モトキ)
仁木 佳文(ニキ ヨシフミ) 時光 一郎(トキミツ イチロウ)
金 美芝(キム ミジ) 金 憲経(キム ホンギョン)

目的 老年症候群とは高齢者に特有な身体的,あるいは精神的症状の総称である。老年症候群は日常生活に影響を与える症状であることが多く,発症により日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を低下させることが知られている。この老年症候群を早期に発見し,対応することが高齢者の健康寿命の延伸を図る上で非常に重要である。先行研究からADLの低下は歩行速度の低下と密接に関与していることが明らかとなっており,日常生活における歩行速度を測定することで,より簡便なADL低下リスクのモニタリングが可能であると考えられる。本研究では虚弱後期高齢者における6カ月後の日常歩行速度変化とADL変化との関連性を調査することで,日常生活をもとにした将来のADL低下リスクの推定について検討することを目的とした。

方法 21歳から51歳の健常者50名に関して活動量計を用いることで,ケーデンス(歩行ピッチ)と加速度変化をもとにした指標である運動強度を測定し,歩行速度との関連性を調べた。また,虚弱後期高齢者87名に関して日常生活における歩行速度を測定し,6カ月後に歩行速度が低下した群と上昇した群の2群に分類することで各群における6カ月後のADL変化を測定した。

結果 運動強度と歩行速度との相関係数を算出したところ非常に高い相関が認められたため,重回帰分析を行うことで日常生活における歩行速度の推定式を確立した。この推定式を用いて虚弱後期高齢者における6カ月間の日常歩行速度とADLの変化を調べたところ,歩行速度低下群は上昇群と比較して「知的能動性」が有意に低下し,「老研式活動能力総得点」は低下傾向を示した。

結論 日常生活における歩行速度は老研式活動能力指標により測定したADLの低下と関与していることが明らかとなった。今回の結果から,日常生活の中で歩行速度の低下をモニタリングすることで,ADL低下の恐れがある対象者に関して老年症候群への予防対策の可能性が示唆された。

キーワード 歩行速度,運動強度,ADL(Activities of Daily Living),虚弱

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