一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供 - 論文記事:成果連動型民間委託契約方式(Pay For Success:PFS)を用いた介護予防事業が要支援・要介護認定リスクおよび介護給付費に与える影響-自治体における事業評価研究- 20260905

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第73巻第11号 2026年9月

成果連動型民間委託契約方式(Pay For Success:PFS)
を用いた介護予防事業が要支援・要介護認定リスク
および介護給付費に与える影響

-自治体における事業評価研究-

細川 陸也(ホソカワ リクヤ) 友澤 里穂(トモザワ リホ) 方 恩知(バン ウンジ)
横山 芽衣子(ヨコヤマ メイコ) 朴 志娟(パク ジヨン) 藤並 祐馬(フジナミ ユウマ)
斉藤 雅茂(サイトウ マサシゲ) 高木 大資(タカギ ダイスケ)
辻 大士(ツジ タイシ) 近藤 克則(コンドウ カツノリ)

目的 成果連動型民間委託契約方式(Pay For Success:以下,PFS)は,事業成果に基づいて対価を支払う新しい官民連携手法であり,事業の効果・効率および説明責任の向上を目的として導入が始まっている。わが国では高齢化の進行に伴い介護給付費の増大が課題となる中,介護予防分野におけるPFSの活用が進められているが,日本における実証的評価の報告は限られている。特に,自治体の介護予防事業を対象に,PFSの効果を中長期的アウトカムの観点から検証した研究は十分とはいえない。本研究は,大阪府東大阪市において,PFS方式で実施された介護予防事業を対象に,参加の有無による1年後の要支援・要介護認定リスクの変化および6年間の介護給付費の推定値の差を明らかにすることを目的とした。

方法 都市的特性と住宅地域としての特性を併せ持つ中核市の東大阪市において実施されたPFSを用いた介護予防事業を対象とした評価研究を行った。参加群419人,非参加群1,252人を対象とし,性別,年齢,要支援・要介護リスク評価尺度のリスク点数,社会参加の有無を用いて,傾向スコアマッチングを行った。最終的に,参加群192人,非参加群192人を分析対象とした。介入は,身体活動の促進,社会参加の促進,認知機能の刺激を目的とした介護予防プログラムを6カ月間実施した。プログラムを6カ月間実施し,その後,ベースライン時から1年間追跡した。アウトカムは,要支援・要介護リスク評価尺度のリスク点数の変化および6年間の推定介護給付費とした。

結果 傾向スコアマッチング後,要支援・要介護リスク評価尺度のリスク点数は,参加群では,ベースライン時:11.9±7.6点,追跡期間終了時:11.5±7.6点,一方,非参加群では,ベースライン時:11.4±6.9点,追跡期間終了時:12.3±7.5点であり,参加群は非参加群と比較して,リスクスコアが有意に低下した。また,6年間の推定介護給付費は,参加群は非参加群と比較して,192人当たりでは,-2,047.2(95%信頼区間:-3,807.7~-286.6)万円であり,1人当たりでは,-10.7(95%信頼区間:-19.8~-1.5)万円の将来的な介護給付費の有意な抑制効果が示された。

結論 PFSを用いた介護予防事業は,要支援・要介護認定リスクの抑制に一定の効果を示すとともに,将来的な介護給付費抑制に寄与する可能性が示唆された。本研究は,東大阪市における介護予防事業を対象とした評価研究として,PFS導入による要支援・要介護認定リスクの抑制の効果の大きさと推定介護給付費抑制額に関する情報を提供し,今後の介護予防領域のPFSの普及促進に資するものと考えられる。

キーワード 成果連動型民間委託契約方式,介護予防,介護給付費,中核市,自治体事業評価,傾向スコアマッチング

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