第102回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
平成25年2月17日(日)に実施された第102回看護師国家試験について、「国民衛生の動向2022/2023」で内容を解説している問題、関連の強い問題をピックアップし、その正答と解説を示します。また、合格のために最重要となる必修問題(午前・午後冒頭25問と想定)については、本誌未対応の問題も最後にすべてまとめています。
問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。
|
|
厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2022/2023
発売日:2022.8.26
定価:2,695円(税込)
472頁・B5判
雑誌コード:03854-08
お求めは書店、または下記ネット書店、
電子書籍をご利用下さい。
|
【ネット書店】
【電子書籍・教科書】
▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
国民衛生の動向対応問題・掲載数
|
出題数 |
対応問題数 |
対応問題率 |
必修問題 |
50問 |
17問 |
34.0% |
一般問題 |
130問 |
35問 |
26.9% |
計 |
180問 |
52問 |
28.9% |
※必修問題は午前・午後の冒頭25問と想定。未対応の必修問題は末尾に掲載。状況設定問題は除く。
午前
1 日本の令和3年(2021年)における総人口に最も近いのはどれか。(改題)
- 1億人
- 1億3千万人
- 1億6千万人
- 1億9千万人
② 1億3千万人
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の総人口は1億2550万人で、平成22年(2010年)頃から減少傾向にある。将来推計人口(平成29年推計)によると、令和47年(2065年)には8808万人で1億人を切るとされる。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 1〕全国の総人口
2 飲酒に起因する健康障害はどれか。
- 肝硬変
- 膠原病
- Ménie`re〈メニエール〉病
- Parkinson〈パーキンソン〉病
① 肝硬変
【▼ポイント】
アルコールは様々な健康障害との関連が指摘されており、特に発症頻度の高い臓器障害としてアルコール性肝疾患があり、過剰飲酒の継続等によりアルコール性肝硬変や肝細胞がんへ進行する。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 5〕飲酒
3 日本において国民皆保険制度が適用されているのはどれか。
- 医療保険
- 介護保険
- 火災保険
- 生命保険
① 医療保険
【▼ポイント】
わが国はすべての国民が、①被用者保険、②国民健康保険、③後期高齢者医療のいずれかの医療保険制度に加入することとされており、この国民皆保険はわが国の医療保険制度の大きな特徴となっている。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 1.医療保険制度
4 ヘルシンキ宣言で提唱されたのはどれか。
- リビングウィル
- ヘルスプロモーション
- ノーマライゼーション
- インフォームド・コンセント
④ インフォームド・コンセント
【▼ポイント】
医療法に、医療提供の際に医療提供者が適切な説明を行い、医療の受け手の理解を得るように努める旨(インフォームド・コンセント)が規定されており、古くは1964年のヘルシンキ宣言においてインフォームド・コンセントが提唱されている。
【▼参照】
第6編3章 医薬品等の安全性と有効性の確保 5.医薬品等の研究開発 5〕臨床研究
5 新たに業務に従事する看護師に対する臨床研修実施の努力義務が規定されているのはどれか。
- 医療法
- 学校教育法
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律
- 保健師助産師看護師学校養成所指定規則
③ 看護師等の人材確保の促進に関する法律
【▼ポイント】
看護師等の人材確保の促進に関する法律により、国・地方公共団体には財政・金融上の措置、病院等の開設者等には処遇改善・臨床研修等の実施、看護師等には能力の開発・向上、国民には関心・理解などの責務を定めている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
8 日本における令和3年(2021年)の5~9歳の子どもの死因で最も多いのはどれか。(改題)
- 肺炎
- 心疾患
- 不慮の事故
- 悪性新生物〈腫瘍〉
④ 悪性新生物〈腫瘍〉
【▼ポイント】
令和3年(2021年)では、0歳と1~4歳では「先天奇形、変形及び染色体異常」、5~9歳では「悪性新生物〈腫瘍〉」、10~14歳では「自殺」が最も多い。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 3.死亡 2〕死因の概要
9 成人期において基礎代謝量が最も多い時期はどれか。
- 青年期
- 壮年前期
- 壮年後期
- 向老期
① 青年期
【▼ポイント】
日本人の食事摂取基準(2020年版)で推定された基礎代謝量は、男性は15~17歳(1,610kcal/日)、女性は12~14歳(1,410 kcal/日)で最も高く、青年期以降は加齢に伴って低下していく。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2〕栄養・食生活
10 医療法において、病院とは[ ]人以上の患者を入院させるための施設を有するものと規定されている。
[ ]に入るのはどれか。
- 10
- 20
- 50
- 100
② 20
【▼ポイント】
なお、患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものは診療所とされる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設
18 空気感染を防止するための防護用具はどれか。
- ガウン
- ゴーグル
- N95マスク
- 外科用マスク
③ N95マスク
【▼ポイント】
手洗い等の標準予防策(スタンダードプリコーション)に加え、感染経路別予防策として、結核や麻しんなど空気感染のおそれのある患者については病室を陰圧室とし、入室するときはN95マスクを装着する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
21 日本の令和3年(2021年)における母の年齢階級別出生率が最も高いのはどれか。(改題)
- 20~24歳
- 25~29歳
- 30~34歳
- 35~39歳
- 40~44歳
③ 30~34歳
【▼ポイント】
令和3年の母の年齢階級別出生率をみると、30~34歳が0.4820と最も高く、次いで25~29歳(0.3615)となっている。かつては25~29歳の出生率が最も高かったが、平成17年頃から30~34歳の出生率が最も高い。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生 3〕出生順位と母親の年齢
30 母乳が主な感染経路となるのはどれか。
- 成人T細胞白血病〈ATL〉ウイルス
- 単純ヘルペスウイルス〈HSV〉
- サイトメガロウイルス
- 風疹ウイルス
① 成人T細胞白血病〈ATL〉ウイルス
【▼ポイント】
成人T細胞白血病〈ATL〉は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型〈HTLV-1〉の感染により発症する可能性があり、発症には主に母乳を介した母子感染が関与している。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向 11〕HTLV-1対策
31 日本の令和3年(2021年)における人口の動向について正しいのはどれか。(改題)
- 年少人口の構成割合は20%台である。
- 老年人口の構成割合は20%台である。
- 従属人口指数は90台である。
- 老年化指数は260台である。
② 老年人口の構成割合は20%台である。
【▼ポイント】
×① 年少人口の構成割合は20%台である。
○② 老年人口の構成割合は20%台である。
年齢3区分別の構成割合は、年少人口(0~14歳)が11.8%、生産年齢人口(15~64歳)が59.4%、老年人口(65歳以上)が28.9%となっている。
×③ 従属人口指数は90台である。
×④ 老年化指数は260台である。
従属人口(年少人口+老年人口)の生産年齢人口に対する比率である従属人口指数は68.5、老年人口の年少人口に対する比率は245.0となっている。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 2〕年齢別人口
32 同じ問題や悩みを抱えた人々が助け合う活動はどれか。
- ケースワーク
- ピアサポート
- コミュニティワーク
- コンサルテーション
② ピアサポート
【▼ポイント】
ピアサポートは当事者同士の支え合いをいい、同様の精神障害や疾病を抱えている者同士が自らの体験に基づいて支援し合い、問題解決や地域における交流・社会参加につなげていく。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 2.難病対策 5〕その他の難病対策
33 社会保険と根拠となる法律の組合せで正しいのはどれか。
- 医療保険――健康保険法
- 年金保険――老人福祉法
- 雇用保険――雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
- 労働者災害補償保険――労働基準法
① 医療保険――健康保険法
【▼ポイント】
医療保険に関わる法律として、主に被用者保険は健康保険法、国民健康保険は国民健康保険法、高齢者医療制度は高齢者の医療の確保に関する法律が対応している。②は国民年金法・厚生年金保険法、③は雇用保険法、④は労働者災害補償保険法である。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 2.医療保険制度のあゆみ 等
35 健康日本21(第二次)で喫煙対策として取り組んでいる目標はどれか。(改変)
- 禁煙支援プログラムの普及
- 公共の場での分煙の徹底
- 育児中の母親の喫煙の減少
- 未成年者の喫煙をなくす
④ 未成年者の喫煙をなくす
【▼ポイント】
健康日本21(第二次)における喫煙対策の目標は、①成人の喫煙率の減少(喫煙をやめたい者がやめる)、②未成年者の喫煙をなくす、③妊娠中の喫煙をなくす、④受動喫煙(家庭・職場・飲食店・行政機関・医療機関)の機会を有する者の割合の減少である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策
38 医療法施行規則で規定されているのはどれか。
- 病室の室温
- 病室の照度
- ベッドの高さ
- 1床あたりの床面積
④ 1床あたりの床面積
【▼ポイント】
医療法により病床種別ごとに人員配置基準(人員1人当たりの入院患者数)や構造設備基準(必置施設、患者1人につき病床面積、廊下幅)等が定められている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設 3〕病床の状況
47 緩和ケアについて正しいのはどれか。
- 患者の家族は対象に含まない。
- ケア計画は多職種が話し合って立案する。
- 疼痛コントロールの第一選択はモルヒネである。
- 根治的な治療法がないと医師が説明したときから始める。
② ケア計画は多職種が話し合って立案する。
【▼ポイント】
緩和ケアでは、患者とその家族に対して、終末期だけでなくがんと診断された時から、がん治療と同時に、多職種が連携して身体的症状の緩和や精神心理的な問題を含めた総合的なケアを行うものとされる。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 1.がん対策 3〕がん対策推進基本計画
57 訪問看護の利用者の特徴として正しいのはどれか。
- 年齢は65〜69歳が最も多い。
- 要介護度は要支援2が最も多い。
- 脳血管疾患を含む循環器系疾患が最も多い。
- 介護保険よりも医療保険によるサービス受給者が多い。
③ 脳血管疾患を含む循環器系疾患が最も多い。
【▼ポイント】
×① 年齢は65〜69歳が最も多い。
80~89歳が29.1万人と最も多く、70~79歳が19.0万人、90歳以上が14.7万人、65~69歳が5.2万人となっている。(令和元年)
×② 要介護度は要支援2が最も多い。
要介護2が14.1万人と最も多く、それを境に要介護(要支援)度が上がる・下がるにつれて減少する。(令和2年)
○③ 脳血管疾患を含む循環器系疾患が最も多い。
循環器系の疾患が21.0万人(うち、脳血管疾患10.9万人)と最も多く、精神及び行動の障害が13.6万人、神経系の疾患が13.4万人となっている。(令和元年)
×④ 介護保険よりも医療保険によるサービス受給者が多い。
介護保険法の利用者が53.7万人、健康保険法等の利用者が31.2万人となっている。(令和2年)
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
59 要介護認定者が訪問看護を受ける際、医療保険から給付される疾病または状態はどれか。
- 関節リウマチ
- 在宅酸素療法を受けている状態
- 人工呼吸器を使用している状態
- 全身性エリテマトーデス〈SLE〉
③ 人工呼吸器を使用している状態
【▼ポイント】
要介護者等には介護保険による訪問看護の給付が行われるが、以下の厚生労働省が定める疾病等の利用者には医療保険の給付による訪問看護が行われる。①末期の悪性腫瘍、②多発性硬化症、③重症筋無力症、④スモン、⑤筋萎縮性側索硬化症、⑥脊髄小脳変性症、⑦ハンチントン病、⑧進行性筋ジストロフィー症、⑨パーキンソン病関連疾患、⑩多系統萎縮症、⑪プリオン病、⑫亜急性硬化性全脳炎、⑬ライソゾーム病、⑭副腎白質ジストロフィー、⑮脊髄性筋萎縮症、⑯球脊髄性筋萎縮症、⑰慢性炎症性脱髄性多発神経炎、⑱後天性免疫不全症候群、⑲頸髄損傷、⑳人工呼吸器を使用している状態。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
63 96歳の女性。要支援2の認定を受け、介護予防通所介護を利用している。
援助として適切なのはどれか。
- 入浴は特殊浴槽を使用する。
- 排泄時には援助者が下着を脱がせる。
- 椅子に座るときには安全ベルトを使用する。
- 運動を取り入れたレクリエーションへの参加を促す。
④ 運動を取り入れたレクリエーションへの参加を促す。
【▼ポイント】
要支援の者への予防給付である介護予防通所介護は、生活機能(運動・栄養・口腔機能・社会参加等)の向上を主に図るものである。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 3〕予防給付
65 介護保険施設においてノロウイルス感染症が発生した。
感染を拡大させないための対応として適切なのはどれか。
- 感染者の居室はアルコールで拭く。
- 感染者の吐物は乾燥してから処理する。
- 感染者が使用したリネンは60℃の加熱処理を行う。
- 感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
④ 感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
【▼ポイント】
×① 感染者の居室はアルコールで拭く。
○④ 感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
消毒には次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸水を用いる。
×② 感染者の吐物は乾燥してから処理する。
ノロウイルスは乾燥すると空中に漂いやすく、これが口に入って感染することがあるので、吐物やふん便は乾燥する前に速やかに処理する必要がある。
×③ 感染者が使用したリネンは60℃の加熱処理を行う。
食中毒予防の原則として、中心部の温度が75℃で1分間以上の加熱殺菌を行う(ただし、ノロウイルスの失活化を確実にするにはより厳しい加熱条件が必要とされる)。
【▼参照】
第7編2章 食品安全行政の動向 10.食中毒対策 2〕ノロウイルス食中毒
67 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)について正しいのはどれか。
- 20人の生活単位を基本とする。
- 看護職員の配置が義務づけられている。
- 介護保険制度における地域密着型サービスである。
- 連続して利用できる期間は原則3か月以内である。
③ 介護保険制度における地域密着型サービスである。
【▼ポイント】
認知症対応型共同生活介護(グループホーム〉は、介護保険制度の地域密着型サービスであり、比較的安定した状態にある認知症の要介護者(要支援者)が、共同生活(1ユニット5~9人)を営む住居で日常生活上の世話や機能訓練を受けるものである。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 5〕高齢者の住まい対策
69 性感染症〈STD〉について正しいのはどれか。
- 経口避妊薬の内服が予防に有効である。
- 患者のパートナーは治療の対象ではない。
- 10代では性器ヘルペスの罹患が最も多い。
- 性器クラミジア感染症の罹患は不妊症の危険因子である。
④ 性器クラミジア感染症の罹患は不妊症の危険因子である。
【▼ポイント】
×① 経口避妊薬の内服が予防に有効である。
経口避妊薬ではなくコンドームの使用が最も効果的である。
×② 患者のパートナーは治療の対象ではない。
感染の可能性があるパートナー等も検査・治療を行うことが重要である。
×③ 10代では性器ヘルペスの罹患が最も多い。
性感染症の年間報告数は性器クラミジア感染症が最も多く、10代に限っても同様である。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 6〕性感染症(STD)
70 正常新生児に対して出生後2時間以内に実施するのはどれか。
- 聴力検査
- 抗菌薬の点眼
- 心拍モニタリング
- 先天性代謝異常検査
② 抗菌薬の点眼
【▼ポイント】
×① 聴力検査
新生児聴覚スクリーニング検査は、おおむね生後3日以内に実施する「初回検査」と、初回検査においてリファー(要再検)であった児を対象として、おおむね生後1週間以内に実施する「確認検査」がある。
×④ 先天性代謝異常検査
新生児マススクリーニング(先天性代謝異常検査)は、生後5日頃の新生児に行う。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 4〕その他の母子保健医療施策
75 体幹部の写真を別に示す。

最も疑われるウイルス感染症はどれか。
- 伝染性軟属腫
- 伝染性紅斑
- 水痘
- 風疹
③ 水痘
【▼ポイント】
水痘は水痘帯状疱疹ウイルスにより引き起こされる感染症で、典型的な症例では、発疹は紅斑(皮膚の表面が赤くなること)から始まり、水疱、膿疱(粘度のある液体が含まれる水疱)を経て痂皮化(かさぶたになること)して治癒するとされている。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策
81 透析導入患者の原疾患として最も多いのはどれか。
- 慢性糸球体腎炎
- 多発性囊胞腎
- ループス腎炎
- 糖尿病腎症
- 腎硬化症
④ 糖尿病腎症
【▼ポイント】
糖尿病性腎症は、令和2年の新規透析導入原因の第1位(15,690人:40.7%)であり、健康日本21(第二次)では糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数の減少を目標に掲げて対策を推進している。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 3.腎疾患対策
89 入所者または居住者が公的保険による訪問看護サービスを受けることができるのはどれか。
2つ選べ。(改題)
- 乳児院
- 介護老人保健施設
- サービス付き高齢者向け住宅
- 介護医療院
- 認知症対応型共同生活介護〈グループホーム〉
③ サービス付き高齢者向け住宅
⑤ 認知症対応型共同生活介護〈グループホーム〉
【▼ポイント】
×① 乳児院
乳児院は、保護者の養育を受けられない乳幼児を養育する施設である。
×② 介護老人保健施設
介護老人保健施設は、介護保険の施設サービスであり、訪問看護は受けられない。
○③ サービス付き高齢者向け住宅
訪問看護等の居宅サービスが利用できる高齢者向けの住まいとして、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅がある。
×④ 介護医療院
介護医療院は、介護保険の施設サービスであり、訪問看護は受けられない。
○⑤ 認知症対応型共同生活介護〈グループホーム〉
認知症対応型共同生活介護〈グループホーム〉は、介護保険法上の地域密着型サービスで、認知症の高齢者に対する共同生活住居であり、訪問看護サービスを受けることができる。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 5〕高齢者の住まい対策
午後
1 日本の令和2年(2020年)における女性の平均寿命はどれか。(改題)
- 77.71年
- 81.56年
- 87.71年
- 91.56年
③ 87.71年
【▼ポイント】
平均寿命とは0歳の平均余命をいい、令和2年(2020年)の第23回生命表では、男性が81.56年、女性が87.71年となっている。
【▼参照】
第2編3章 生命表 2.平均余命
2 炭坑従事者に起こりやすい職業性疾患はどれか。
- 潜函病
- じん肺
- 中皮腫
- 白ろう病
② じん肺
【▼ポイント】
じん肺は、主に粉じん(石綿〈アスベスト〉含む)の発生する環境で仕事をしている労働者が、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。石炭の採掘、岩石坑道の掘進作業などにより、炭坑従事者はじん肺を発症しやすい。
【▼参照】
第8編 労働衛生 5.職業性疾病の予防対策 1〕粉じん障害防止対策
3 介護保険制度における施設サービス費の原則的な利用者負担の割合はどれか。
- 1割
- 2割
- 3割
- 5割
① 1割
【▼ポイント】
介護保険制度のサービスを利用する者は、原則費用の1割(所得により2割または3割)を負担して各種サービスを受ける。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 2〕介護給付
6 標準的な発育をしている児において体重が出生時の約2倍になる月齢はどれか。
- 1か月
- 3か月
- 6か月
- 9か月
② 3か月
【▼ポイント】
乳幼児身体発育調査(平成22年)をみると、出生時の平均体重は約3kgであるが、3か月ごろには約2倍、1年ごろには約3倍となる。なお、出生時の平均身長は約50cmであるが、1年ごろには約1.5倍、4年ごろには約2倍となる。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生
9 令和元年(2019年)国民生活基礎調査で、65歳以上の者のいる世帯の全世帯に占める割合はどれか。(改題)
- 29.4%
- 39.4%
- 49.4%
- 59.4%
③ 49.4%
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の65歳以上の者のいる世帯の割合は49.4%で、総世帯数の半数近くを占めている。なお、その世帯の内訳をみると、夫婦のみの世帯が32.3%、単独世帯が28.8%で、高齢者世帯の約6割が夫婦ふたりまたはひとり暮らしという状況である。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 6〕全国の世帯数
14 Koplik〈コプリック〉斑がみられる疾患はどれか。
- 麻疹
- 手足口病
- 帯状疱疹
- ヘルパンギーナ
① 麻疹
【▼ポイント】
麻疹は、高熱や、発症初期に頬粘膜に生じる白色の斑点(コプリック斑)、その後の耳後部から始まり体の下方へと広がる赤い発疹を特徴とする全身性ウイルス感染疾患である。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 5〕風しん・麻しん
20 AEDの使用方法で正しいのはどれか。
- 電極パッドは水で濡らしてから貼る。
- 電極パッドは心臓をはさむ位置に貼る。
- 通電時は四肢を押さえる。
- 通電直後は患者に触れない。
② 電極パッドは心臓をはさむ位置に貼る。
【▼ポイント】
自動体外式除細動器〈AED〉は、致死性不整脈である心室細動および無脈性心室頻拍を電気ショックによって取り除く(除細動)装置である。電極パッドは、心臓を挟むように右前胸部と左側胸部の位置に貼り付けて使用する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
21 災害時のトリアージで最優先治療群のトリアージタッグはどれか。
- 赤
- 黄
- 黒
- 緑
① 赤
【▼ポイント】
トリアージ(災害時等の治療優先度の決定)の際にはトリアージタグ(識別票)を利用し、傷病者の緊急度に応じて、優先順に赤(Ⅰ:最優先治療群・重症群)、黄(Ⅱ:非緊急治療群・中等症群)、緑(Ⅲ:軽処置群・軽症群)、黒(0:不処置群・死亡群)と分類する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
28 低値によって脂質異常症と診断される検査項目はどれか。
- トリグリセリド
- 総コレステロール
- 低比重リポ蛋白コレステロール〈LDL-C〉
- 高比重リポ蛋白コレステロール〈HDL-C〉
④ 高比重リポ蛋白コレステロール〈HDL-C〉
【▼ポイント】
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」2017年版では、脂質異常症の診断基準(空腹時採血)は、高LDLコレステロール血症はLDL-C140mg/dL以上、低HDLコレステロール血症はHDL-C40mg/dL未満、高トリグリセライド血症はトリグリセライド(中性脂肪)150mg/dL以上に加えて、non-HDL-C170mg/dL以上としている。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 2〕生活習慣病の現状
30 労働基準法において、就業中の妊産婦から請求がなくても使用者が処遇すべきなのはどれか。
- 産前6週間の就業禁止
- 産後6週間の就業禁止
- 深夜業の就業禁止
- 育児時間の確保
② 産後6週間の就業禁止
【▼ポイント】
労働基準法では産前産後休業を規定しているが、産前6週間は休業を請求した女性を就業させてはならず、産後6週間を経過しない女性は就業を禁止している(産後6週経過後、8週間までは女性が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就かせることは差し支えない)。③や④も女性の請求による使用者の処置である。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 6〕妊産婦等の就業
31 ノーマライゼーションに基づくのはどれか。
- 救急搬送体制を整備すること
- 医療機関にいつでも受診ができること
- 公共交通機関をバリアフリー化すること
- 障害者に介護施設への入所を勧めること
③ 公共交通機関をバリアフリー化すること
【▼ポイント】
ノーマライゼーションは、障害者等が障害を持たない者と同等に生活・活動する社会を目指す理念で、障害者基本法ではこの理念の下に公共的施設のバリアフリー化などを幅広く規定している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等
32 日本の令和3年(2021年)の人口動態統計における悪性新生物〈腫瘍〉に関する記述で正しいのはどれか。(改題)
- 死因別順位は第2位である。
- 年間死亡者数は約80万人である。
- 部位別にみた年齢調整死亡率は、男性では胃が最も高い。
- 部位別にみた死亡者数は、気管、気管支及び肺が最も多い。
④ 部位別にみた死亡者数は、気管、気管支及び肺が最も多い。
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の悪性新生物〈腫瘍〉の死亡数は38.1万人で死因別順位は昭和56年以降第1位となっている。部位別では「気管、気管支及び肺」が最も多く、男女別にみると、男は「気管、気管支及び肺」、女は「大腸」(結腸+直腸S状結腸移行部及び直腸)が最も多い。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 3.死亡 3〕死因―悪性新生物〈腫瘍〉
34 結核菌の消毒に効果があるのはどれか。
- エタノール
- アクリノール
- ベンザルコニウム
- クロルヘキシジン
① エタノール
【▼ポイント】
結核は、結核菌によって発生するわが国の主要な感染症の一つで、空気感染を起こし、多くは咳、痰、呼吸困難などの症状を呈する。結核菌の消毒にはエタノールが有効である。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 2〕結核
36 インシデントレポートについて正しいのはどれか。
- 警察への届出義務がある。
- 法令で書式が統一されている
- 事故が発生するまで報告しない。
- 異なる職種間で内容を共有する。
④ 異なる職種間で内容を共有する。
【▼ポイント】
インシデントレポートは、医療事故につながりかねないインシデント(ヒヤリ・ハット)が発生した場合、再発防止のために状況把握、要因分析、対策、情報共有を行うものである。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 9〕医療安全に係る取り組み
40 食の支援に関わる職種とその役割の組合せで適切なのはどれか。
- 歯科衛生士――義歯の作成
- 管理栄養士――経腸栄養の処方
- 言語聴覚士――嚥下機能の評価
- 薬剤師――摂食行動の評価
③ 言語聴覚士――嚥下機能の評価
【▼ポイント】
言語聴覚士は、音声機能、言語機能、聴覚に障害のある者に対して、言語訓練や摂食・嚥下訓練、これに必要な検査、助言、指導などの援助を行うことを業とする者である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 等
52 精神科病院に入院中の患者の法的処遇について正しいのはどれか。(改題)
- 患者は退院を請求できる。
- 看護師は面会を制限できる。
- 家族等は外出の可否を判断できる。
- 精神保健指定医は手紙の発信を制限できる。
① 患者は退院を請求できる。
【▼ポイント】
精神保健指定医の判断による隔離や身体的拘束などの行動制限がある場合でも、信書の発受や、行政機関の職員、代理人である弁護士との電話・面会については制限できない。また、入院中の者やその家族等は退院請求と処遇改善請求を行うことができ、精神医療審査会で審査が行われる。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
55 介護保険法施行令において特定疾病に指定されているのはどれか。
- 脊髄損傷
- Crohn〈クローン〉病
- 脳血管疾患
- 大腿骨頸部骨折
③ 脳血管疾患
【▼ポイント】
65歳以上の第1号被保険者で要介護等認定された者、40歳~64歳の第2号被保険者で以下の老化に起因する疾病(特定疾病)に罹患し、要介護等の認定をされた者には、介護保険からの給付が行われる。①がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)、②関節リウマチ、③筋萎縮性側索硬化症、④後縦靭帯骨化症、⑤骨折を伴う骨粗鬆症、⑥初老期における認知症、⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病、⑧脊髄小脳変性症、⑨脊柱管狭窄症、⑩早老症、⑪多系統萎縮症、⑫糖尿病性神経障害,糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症、⑬脳血管疾患、⑭閉塞性動脈硬化症、⑮慢性閉塞性肺疾患、⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 1〕保険給付の手続き
59 平成3年(1991年)に国際連合総会〈国連総会〉で決議された「高齢者のための国連原則」でないのはどれか。
- 公平の原則
- 参加の原則
- 尊厳の原則
- 自己実現の原則
① 公平の原則
【▼ポイント】
同原則では、①自立、②参加、③ケア、④自己実現、⑤尊厳の5つの領域を設定している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6〕高齢者福祉等
63 介護保険サービスについて正しいのはどれか。
- 福祉用具の貸与は無償で受けられる。
- 要支援の高齢者は介護老人保健施設に入所できる。
- 小規模多機能型居宅介護では泊まり(ショートステイ)は提供しない。
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)ではユニットケアを実施している。
④ 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)ではユニットケアを実施している。
【▼ポイント】
×① 福祉用具の貸与は無償で受けられる。
福祉用具貸与は居宅サービスであり、原則1割(所得により2割または3割)の利用者負担がある。
×② 要支援の高齢者は介護老人保健施設に入所できる。
介護老人保健施設は施設サービスであり、要介護者(原則要介護3以上)が入所できる。
×③ 小規模多機能型居宅介護では泊まり(ショートステイ)は提供しない。
小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであり、居宅または通所、短期間宿泊(ショートステイ)することができる。
○④ 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)ではユニットケアを実施している。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム〉は、介護保険制度の地域密着型サービスであり、比較的安定した状態にある認知症の要介護者(要支援者)が、共同生活(1ユニット5~9人)を営む住居で日常生活上の世話や機能訓練を受けるものである。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 2〕介護給付
64 乳児健康診査を規定している法律はどれか。
- 母体保護法
- 母子保健法
- 児童福祉法
- 児童虐待の防止等に関する法律
② 母子保健法
【▼ポイント】
母子保健法では、妊産婦と乳幼児に対する健康診査が規定されている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 2〕母子保健法に基づく施策
72 水溶性ビタミンはどれか。
- ビタミンA
- ビタミンC
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
② ビタミンC
【▼ポイント】
ビタミンには脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがあり、脂溶性ビタミンにはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが、水溶性ビタミンにはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCが該当する。なお、このうち耐容上限量が設定されているのは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2〕栄養・食生活
77 ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉が感染する細胞はどれか。
- 好中球
- 形質細胞
- Bリンパ球
- ヘルパー〈CD4陽性〉Tリンパ球
- 細胞傷害性〈CD8陽性〉Tリンパ球
④ ヘルパー〈CD4陽性〉Tリンパ球
【▼ポイント】
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉は、免疫システムである白血球中のヘルパーT細胞に感染し、増殖、破壊することで、免疫不全状態を引き起こす。多くはほとんど症状もなく経過し、無症候性キャリアの状態で平均10年程度経過した後に症状が現れ、ニューモシスティス肺炎(カリニ肺炎)やカンジダ症、カポジ肉腫などの23の指標疾患の1つ以上を発症すると後天性免疫不全症候群〈AIDS〉と診断される。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向 4〕HIV・エイズ(AIDS)
78 生活保護法で扶助として定められていないのはどれか。
- 教育
- 医療
- 授産
- 住宅
- 葬祭
③ 授産
【▼ポイント】
生活保護制度では、要保護者の生活需要の性質等に応じて、①生活、②教育、③住宅、④医療、⑤介護、⑥出産、⑦生業、⑧葬祭の8種類の扶助が設けられている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 2.生活保護等
80 放射線被ばく後、新たな発症について長期の観察が必要な障害はどれか。
- 胃炎
- 食道炎
- 甲状腺癌
- 高尿酸血症
- 皮膚のびらん
③ 甲状腺癌
【▼ポイント】
長時間にわたり連続的・断続的に放射線に被ばくした場合、慢性放射線皮膚障害や放射性造血器障害を引き起こすほか、被ばく後に比較的長い潜伏期間を経て白血病や皮膚がん、甲状腺癌などの悪性新生物を発症する場合もあるため、長期的な観察が必要となる。
【▼参照】
第8編 労働衛生 5.職業性疾病の予防対策 2〕電離放射線障害防止対策
89 身長160cm、体重64kgである成人のBMIを求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答:① ②
①2 ②5
【▼ポイント】
成人の肥満・やせを判定できる指標として体格指数(BMI)が用いられ、BMIが25以上で肥満、BMI17.5未満でやせとされる。BMIは、体重(kg)÷(身長(m))2で求められる。本問では、64÷(1.6×1.6)=25となり、肥満判定となる。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 2〕生活習慣病の現状
対応外必修問題
午前6 Down〈ダウン〉症候群を生じるのはどれか。
- 13トリソミー
- 18トリソミー
- 21トリソミー
- 性染色体異常
③ 21トリソミー
【▼ポイント】
Down〈ダウン〉症候群は、21番染色体の先天性異常(21トリソミー)により生じ、知的障害、先天性白内障、特徴的顔貌、低身長、筋緊張低下などがみられる。
午前7 乳歯がすべて生えそろったときの本数はどれか。
- 16本
- 20本
- 24本
- 28本
② 20本
【▼ポイント】
乳歯は、生後6~8か月ころから生え始め、2~3歳ころには上下各10本、計20本生えそろう。なお、乳歯の特性上むし歯(う歯)が発生しやすいため、乳幼児に対する1歳6か月児と3歳児を対象にした歯科健康診査が実施されている。
午前11 分娩第2期はどれか。
- 陣痛開始から子宮口全開大まで
- 排臨から発露まで
- 子宮口全開大から胎児娩出まで
- 胎児娩出から胎盤娩出まで
③ 子宮口全開大から胎児娩出まで
【▼ポイント】
分娩は第1期から第4期の経過に分かれ、第1期は陣痛開始から子宮口全開大まで、第2期は子宮口全開大から胎児娩出まで(排臨、発露含む)、第3期は胎児の娩出から胎盤の娩出まで、第4期は分娩後2時間をいう。
午前12 チアノーゼの際の皮膚の色に最も近いのはどれか。
- 青
- 赤
- 黄
- 白
① 青
【▼ポイント】
チアノーゼは、血中の酸素不足により皮膚や粘膜が青紫色に変色することをいい、毛細血管中の血中還元ヘモグロビンが5g/dL以上に増加した際に出現する。
午前13 サーカディアンリズムの周期はどれか。
- 約8時間
- 約12時間
- 約24時間
- 約48時間
③ 約24時間
【▼ポイント】
生物は地球の自転による昼夜変化に同調して、約24時間周期のサーカディアンリズム(概日リズム)に則り、体内環境を変化させる。サーカディアンリズムは光の明暗による刺激により調整され、特に朝の決まった時間に太陽の刺激を浴びることなどにより整えることができる。
午前14 前立腺癌に特徴的な腫瘍マーカーはどれか。
- AFP
- CA19-9
- CEA
- PSA
④ PSA
【▼ポイント】
腫瘍マーカーは癌の種類により特徴的に作られる物質で、血液や尿の成分を測定する腫瘍マーカー検査により、診断の補助や経過観察に用いられる。PSA(Prostate Specific Antigen=前立腺特異抗原)検査では、血液検査により前立腺癌に特異的な血清PSA値の上昇を調べることで、前立腺癌を早期に発見することができる。
午前15 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉に有効な薬はどれか。
- バンコマイシン塩酸塩
- セファゾリンナトリウム
- ストレプトマイシン硫酸塩
- ベンジルペニシリンカリウム
① バンコマイシン塩酸塩
【▼ポイント】
薬剤耐性菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉は、多剤耐性緑膿菌〈MDRP〉などとともに、抵抗力の弱まった宿主(易感染者)に対して病原性を発揮する日和見感染症を起こす(院内感染等)。MRSAの治療に当たり、抗菌薬としてバンコマイシンが用いられる。
午前16 成人女性に一時的な導尿を行う際に、カテーテルを挿入する長さはどれか。
- 1〜3cm
- 5〜7cm
- 9〜11cm
- 18〜20cm
② 5〜7cm
【▼ポイント】
導尿カテーテルは尿道に挿入し、膀胱内の尿を排出させるチューブである。女性の導尿では尿道の長さよりも少し長い約4~7cmを挿入する(男性は約18~20cm)。
午前17 爪の切り方の模式図を示す。

爪のケアとして適切な切り方はどれか。
②
【▼ポイント】
爪の割れや剥がれを防止し、接触する人や物を傷つけることのないように、爪の長さは指の先端と同じにし、角に丸みを出す。深爪(④)は爪の内側の皮膚等に感染や炎症を引き起こすおそれがあるため避ける。
午前19 無菌操作を必要とするのはどれか。
- 鼻腔吸引
- 気管内吸引
- 口腔内吸引
- 胃内容物の吸引
② 気管内吸引
【▼ポイント】
無菌操作は、外科処置による感染リスクを抑えるため、滅菌された防護具、滅菌器具を用いて、無菌状態を保持しながら取り扱うことをいう。原則無菌状態である下気道に挿管する気管内吸引では、細菌感染による肺炎等の予防のため無菌操作を行う。①鼻腔や③口腔の上気道は常在菌や弱毒菌が存在するため、無菌操作までは必要としない。
午前20 仰臥位での褥瘡好発部位はどれか。
- 仙骨部
- 内顆部
- 腸骨稜部
- 大転子部
① 仙骨部
【▼ポイント】
仰臥位は仰向けに横たわる体位をいい、仰臥位で圧力が集中する後頭部、肩甲骨部、肘部、仙骨部、踵骨部は褥瘡の好発部位である。
午前22 低血糖の症状または所見はどれか。
- 口渇
- 徐脈
- 多尿
- 発汗
- 発熱
④ 発汗
【▼ポイント】
低血糖は血糖値が正常範囲よりも低下した状態で、冷や汗(発汗)や動悸、けいれんなどの症状がみられる。糖尿病患者等が血糖コントロールとしてインスリンを用いる際に、食事の量や時間、運動量などにより過剰に血糖値が低下することで生じる。
午前23 ワルファリンと拮抗作用があるのはどれか。
- ビタミンA
- ビタミンC
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
⑤ ビタミンK
【▼ポイント】
ワルファリンは血液を固まりにくくし、血栓や塞栓を防ぐ抗凝固剤である。ビタミンKはワルファリンの働きを阻害する拮抗作用があり、ワルファリン使用時にはビタミンKを多く含む納豆などの食品の摂取は控える。なお、ワルファリンの作用により出血を起こす、止まらなくなることがあり、手術前には投与の中止を含めて検討する必要がある。
午前24 体位の写真を別に示す。

Fowler〈ファウラー〉位はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
④ ④
【▼ポイント】
ファウラー位(半坐位)は上半身を45度程度上げる体位で、肺の圧迫を軽減するため呼吸が楽になるほか、経鼻経管栄養法による栄養剤の逆流や、食事中・食後の胃食道逆流を防ぐ際にも適している。①は左側臥位、②下肢を上げた仰臥位(ショック体位)、③は仰臥位、⑤は腹臥位である。
午前25 肘正中皮静脈からの採血における駆血部位の写真を別に示す。

正しいのはどれか。
ただし、×は刺入部である。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
② ②
【▼ポイント】
成人の採血においては前腕の静脈が多く用いられ、肘正中皮静脈、橈側皮静脈、尺側皮静脈などが選択される。駆血帯は採血部位の5~10cm上部(中枢側)に巻き、21~23Gの太さの注射針を用いて、血管の走行に合わせて10~30度の角度で刺入する。
午後4 倫理原則の「善行」はどれか。
- 患者に身体的損傷を与えない。
- 患者に利益をもたらす医療を提供する。
- すべての人々に平等に医療を提供する。
- 患者が自己決定し選択した内容を尊重する。
② 患者に利益をもたらす医療を提供する。
【▼ポイント】
看護実践における倫理原則として、自律尊重、無危害、善行、公正と正義、誠実と忠誠の5原則がある。善行の原則は、患者のために最善を尽くすことをいう(患者の症状、感情に合わせた最良の医療・看護提供など)。①は無危害の原則、③は公正と正義の原則、④は自律尊重の原則である。
午後5 マズロー, A. H.の基本的欲求階層論で最も低次の欲求はどれか。
- 自己実現の欲求
- 所属と愛の欲求
- 生理的欲求
- 安全の欲求
③ 生理的欲求
【▼ポイント】
マズローの欲求階層説では、低階層から、①生理的(食事、排泄、睡眠等)欲求、②安全(危険回避)の欲求、③社会的(所属・愛情)欲求、④自尊(承認)の欲求、⑤自己実現の欲求の5段階となっており、人間は低階層の欲求が満たされると高階層の欲求に移っていくことをあらわす。
午後7 標準的な発育をしている児において脳重量が成人の約90%に達する年齢はどれか。
- 5〜6歳
- 8〜9歳
- 11〜12歳
- 15〜16歳
① 5〜6歳
【▼ポイント】
脳重量は出生時には成人の4分の1程度であるが、乳幼児期に急速に発達し、乳児期には50%、幼児後期の5〜6歳ころには成人の90%に達する。
午後8 乳児期の特徴はどれか。
- 分離不安
- 第一次反抗期
- ギャングエイジ
- 自我同一性の確立
① 分離不安
【▼ポイント】
生後6〜8か月ころの乳児期には、身近な家族等の顔を見分け、応答的な愛着関係がみられるようになり、親から離されることへの分離不安や、知らない相手への人見知りがはじまる。②第一次反抗期は幼児期、③ギャングエイジは学童期、④自我同一性の確立は思春期(青年期)の特徴である。
午後10 健常な成人の体重における水分の割合に最も近いのはどれか。
- 20%
- 40%
- 60%
- 80%
③ 60%
【▼ポイント】
成人の体重に占める水分量は約60%(高齢者は50~55%)である。なお、そのうち細胞内液は約40%、細胞外液(間質液・血漿)は約20%とされる。
午後11 血中濃度が上昇すると黄疸となるのはどれか。
- グルコース
- ビリルビン
- クレアチニン
- 総コレステロール
② ビリルビン
【▼ポイント】
黄疸は、赤血球が壊れる際にヘモグロビンが分解され、生成されたビリルビンにより皮膚や白眼が黄色くなる状態をいい、成人では全身のかゆみ(搔痒感)が生じることがある。
午後12 末梢血液中の( )が低下した状態を貧血という。
( )に入るのはどれか。
- 血漿量
- 血小板数
- アルブミン濃度
- ヘモグロビン濃度
④ ヘモグロビン濃度
【▼ポイント】
貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が減少している状態と定義される。
午後13 表在感覚の受容器が存在する部位はどれか。
- 筋肉
- 皮膚
- 関節
- 骨
② 皮膚
【▼ポイント】
体性感覚は、触覚・温度感覚・痛覚の表在感覚(皮膚感覚)と、体の内部の筋や腱、関節などに起こる深部感覚をさす。
午後15 嚥下障害のある患者の食事介助で適切なのはどれか。
- 水分はとろみをつける。
- 頸部を伸展する。
- 一口量を多くする。
- むせたときには水を飲ませる。
① 水分はとろみをつける。
【▼ポイント】
嚥下障害のある患者の食事介助時にはとくに誤嚥に細心の注意を払う必要があり、①水分にとろみをつける、②咽頭と気管が直線的にならないよう頸部前屈(顎を引く)する、③一口量を少なくする、④むせたときは口内のものを吐き出させて背中をさするなどする。
午後16 グリセリン浣腸を実施する際、腸管孔の危険性が最も高い体位はどれか。
- 立位
- 側臥位
- 仰臥位
- シムス位
① 立位
【▼ポイント】
グリセリン浣腸は腸管の蠕動を促進し、排泄を促進させる。直腸穿孔の危険性があるため、立位による浣腸は危険であり、左側臥位による5~6cm程度のチューブ挿入を実施する。
午後17 長期臥床によって生じるのはどれか。
- 高血糖
- 筋萎縮
- 食欲増進
- 心拍出量の増加
② 筋萎縮
【▼ポイント】
長期臥床などの活動性の低下により、筋力の低下や筋萎縮、起立性低血圧、食欲低下など、二次的に身体機能が低下する廃用症候群が生じやすくなる。
午後18 点滴静脈内注射1,800ml/日を行う。
一般用輸液セット(20滴≒1ml)を使用した場合、1分間の滴下数はどれか。
- 19滴
- 25滴
- 50滴
- 75滴
② 25滴
【▼ポイント】
1分あたりの滴下数は、(総輸液量×1mLあたりの滴下数)÷時間(分)で計算する。時間は1日=24時間=1,440分。(1,800×20)÷1,440=25となる。
午後19 温罨法の作用で正しいのはどれか。
- 平滑筋が緊張する。
- 局所の血管が収縮する。
- 知覚神経の興奮を鎮静する。
- 細胞の新陳代謝を抑制する。
③ 知覚神経の興奮を鎮静する。
【▼ポイント】
温罨法(おんあんぽう)は、湯たんぽなどにより身体の一部に温熱刺激を与える方法である。効果としては、血管の拡張、血流の増加、新陳代謝の促進、平滑筋の弛緩、感覚・痛覚神経の興奮の鎮静(疼痛緩和)などが認められる。
午後22 McBurney〈マックバーネー〉点の圧痛を特徴とする疾患はどれか。
- 胃潰瘍
- 急性膵炎
- 尿管結石症
- 急性虫垂炎
- 子宮内膜症
④ 急性虫垂炎
【▼ポイント】
圧痛点は、指などで圧迫した際に強い痛みを感じる部分をいい、疾患によって特定の圧痛点があり、診断に用いられる。右下腹部にあるマックバーネー点は急性虫垂炎の圧痛点である。
午後23 神経性食欲不振症の症状または所見はどれか。
- 発熱
- 咳嗽
- 徐脈
- 高血圧
- 過多月経
③ 徐脈
【▼ポイント】
神経性食欲不振症(神経性無食欲症)は摂食障害の一つで、青年期の女性におおくみられ、極端な食事制限と過度なやせを示す。栄養不足に起因する症状として、無月経や低血圧、徐脈、低体温、浮腫などがみられる。
午後24 長期間の使用によって満月様顔貌〈ムーンフェイス〉になるのはどれか。
- ヘパリン
- インスリン
- テオフィリン
- プレドニゾロン
- インドメタシン
④ プレドニゾロン
【▼ポイント】
副腎皮質ステロイドであるプレドニゾロンは、炎症の抑制や免疫力の抑制など幅広い疾患で用いられているが、満月様顔貌〈ムーンフェイス〉や高血糖、高血圧、易感染性、骨粗鬆症、食欲増進による体重増加など副作用が多く、注意を要する。
午後25 努責やくしゃみをしたときに生じる尿失禁はどれか。
- 溢流性尿失禁
- 機能性尿失禁
- 切迫性尿失禁
- 反射性尿失禁
- 腹圧性尿失禁
⑤ 腹圧性尿失禁
【▼ポイント】
腹圧性尿失禁は、重い物を持ち上げたときや運動時、せき・くしゃみをしたときなど、腹部に力を加えたときに起こる不随意の尿漏れである。骨盤底筋の衰えにより尿道がコントロールできないことが原因であるため、行動療法として骨盤底筋訓練が効果的である。なお、④反射性尿失禁は脊椎損傷などにより尿意を感じず不随意に起こる失禁で、尿道カテーテルを用いた間欠的自己導尿の適応となる。
資料 厚生労働省「第99回保健師国家試験、第96回助産師国家試験及び第102回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
テーマ別過去問題まとめ
年次別過去問題まとめ
▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向