第111回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
令和4年2月13日(日)に実施された第111回看護師国家試験について、「国民衛生の動向2022/2023」で内容を解説している問題、関連の強い問題をピックアップし、その正答と解説を示します。また、合格のために最重要となる必修問題(午前・午後冒頭25問と想定)については、本誌未対応の問題も最後にすべてまとめています。
問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2022/2023
発売日:2022.8.26
定価:2,695円(税込)
472頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
国民衛生の動向対応問題・掲載数
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出題数 |
対応問題数 |
対応問題率 |
必修問題 |
50問 |
19問 |
38.0% |
一般問題 |
130問 |
43問 |
33.1% |
計 |
180問 |
62問 |
34.4% |
※必修問題は午前・午後の冒頭25問と想定。未対応の必修問題は末尾に掲載。状況設定問題は除く。
午前
1 労働力調査による労働力人口の令和3年(2021年)平均に最も近いのはどれか。(改題)
- 4,900万人
- 5,900万人
- 6,900万人
- 7,900万人
③ 6,900万人
【▼ポイント】
労働力人口とは15歳以上人口のうち就業者と完全失業者の合計で、令和3年(2021年)平均で6,860万人(男3,803万人・女3,057万人)である。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 3〕労働力人口
【▼備考】
必修問題として妥当ではないため不正解者は採点除外。
2 日本の令和3年(2021年)の死亡数に近いのはどれか。(改題)
- 104万人
- 124万人
- 144万人
- 164万人
③ 144万人
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の死亡数は144.0万人である。なお、出生数は81.2万人(過去最低)であり、その差である自然増減数はマイナス62.8万人となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 3.死亡 1〕死亡の動向
3 シックハウス症候群に関係する物質はどれか。
- アスベスト
- ダイオキシン類
- 放射性セシウム
- ホルムアルデヒド
④ ホルムアルデヒド
【▼ポイント】
シックハウス(室内空気汚染)症候群とは、建材や調度品から発生する化学物質などによる室内空気汚染やその健康影響をいい、ホルムアルデヒドなど13物質について室内濃度指針値を設定している。
【▼参照】
第7編3章 化学物質の安全対策の動向 7.室内空気汚染対策
4 後期高齢者医療制度の被保険者は、区域内に住居を有する( )歳以上の者、および65歳以上( )歳未満であって、政令で定める程度の障害の状態にあるとして後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者である。
( )に入るのはどれか。
- 70
- 75
- 80
- 85
② 75
【▼ポイント】
後期高齢者医療制度は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき平成20年度に開始した。被保険者は設問のとおり原則75歳以上の後期高齢者で、医療給付の自己負担は原則1割(一定以上の所得者2割、現役並み所得者3割)である。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 3.医療保険各制度の概要と現状 3〕後期高齢者医療制度
5 患者の選択権の行使を最も促進するのはどれか。
- 父権主義
- 医師の裁量権
- コンプライアンス
- インフォームド・コンセント
④ インフォームド・コンセント
【▼ポイント】
医療法に、医療提供の際に医療提供者が適切な説明を行い、医療の受け手の理解を得るように努める旨(インフォームド・コンセント)が規定されている。なお、1964年のヘルシンキ宣言においてインフォームド・コンセントが提唱されている(102回午前4出題)。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 1.医療法
10 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査で次の世帯構造のうち最も少ないのはどれか。
- 単独世帯
- 三世代世帯
- 夫婦のみの世帯
- 夫婦と未婚の子のみの世帯
② 三世代世帯
【▼ポイント】
令和元年(2019年)では、単独世帯が28.8%、夫婦と未婚の子のみの世帯が28.4%、夫婦のみの世帯が24.4%、ひとり親と未婚の子のみの世帯が7.0%、三世代世帯が5.1%などとなっている。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 6〕全国の世帯数
20 使用後の注射針を廃棄する容器のバイオハザードマークの色はどれか。
- 赤
- 黄
- 黒
- 橙
② 黄
【▼ポイント】
感染性廃棄物を収納した容器にはバイオハザードマークを付けることが推奨され、性状に応じてマークの色を、①液状又は泥状のもの(血液等)は赤色、②固形状のもの(血液等が付着したガーゼ等)は橙色、③鋭利なもの(注射針等)は黄色と分けることが望ましい。
【▼参照】
第9編5章 廃棄物対策の動向 4.特別管理廃棄物
24 成人に対する一次救命処置(BLS)において、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は( ):2である。
( )に入るのはどれか。
- 5
- 10
- 30
- 50
③ 30
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)とは、心肺が停止した傷病者に対し、病院等の医療機関による高度な二次救命処置(ACLS)に至る前の迅速な救急処置を行うことで心肺蘇生を図る試みをいう。呼吸を観察し、呼吸がない場合または死戦期呼吸の場合、胸骨圧迫30回(約5cm沈み込む強さ、100~120回/分の速さ)と人工呼吸2回の組み合わせによる処置を行う。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
25 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉において、結核が分類されるのはどれか。
- 一類
- 二類
- 三類
- 四類
- 五類
② 二類
【▼ポイント】
結核は結核菌によって発生するわが国の主要な感染症の一つで、感染症法上の二類感染症に分類されている。空気感染を起こし、多くは咳、痰、呼吸困難などの症状を呈する。結核菌に感染した場合、必ずしもすぐに発症するわけではなく、長期にわたり体内に潜伏したのち再び活動を開始し、発症することがある。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 2〕結核
30 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉における介護休業の取得で正しいのはどれか。
- 介護休業は分割して取得することはできない。
- 介護の対象者1人につき半年を限度に取得できる。
- 要介護状態にある配偶者を介護するために取得できる。
- 介護老人福祉施設に入所している家族の面会のために取得できる。
③ 要介護状態にある配偶者を介護するために取得できる。
【▼ポイント】
育児・介護休業法における介護休業では、要介護状態にある対象家族1人につき3回まで、連続したひとまとまりの期間の休業(合計93日まで)を取得できる。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 6〕妊産婦等の就業
31 社会福祉法に基づき社会福祉協議会が推進するのはどれか。
- がん対策
- 男女共同参画
- 就労の支援活動
- ボランティア活動
④ ボランティア活動
【▼ポイント】
社会福祉協議会は、社会福祉法に基づく地域福祉の推進を図ることを目的とする民間組織で、地域の実情に応じボランティア活動支援、見守りネットワークづくり、生活福祉資金の貸し付け、日常生活自立支援事業などを実施している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 3.地域福祉
32 日本の令和3年(2021年)の健康に関する指標の記述で正しいのはどれか。(改題)
- 女性の死因の第3位は老衰である。
- 男性の死因の第3位は肺炎である。
- 女性の平均寿命は89年を超えている。
- 男性の平均寿命は83年を超えている。
① 女性の死因の第3位は老衰である。
【▼ポイント】
○① 女性の死因の第3位は老衰である。
×② 男性の死因の第3位は肺炎である。
女性の死因順位は男女合わせた総数と同様に、①悪性新生物〈腫瘍〉、②心疾患、③老衰、④脳血管疾患、⑤肺炎となっている。また、男性の死因順位は、①悪性新生物〈腫瘍〉、②心疾患、③脳血管疾患、④肺炎、⑤老衰となっている。
×③ 女性の平均寿命は89年を超えている。
×④ 男性の平均寿命は83年を超えている。
平均寿命(0歳の平均余命)は男性が81.47年、女性が87.57年となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 3.死亡 2〕死因の概要、第2編3章 生命表 2.平均余命
33 労働衛生の「3管理」とは、作業環境管理と作業管理と( )である。
( )に入るのはどれか。
- 健康管理
- 総括管理
- 労務管理
- 出退勤管理
① 健康管理
【▼ポイント】
労働安全衛生法の下に、労働衛生の3管理(①作業環境管理・②作業管理・③健康管理)が整備されている。健康管理については、健康診断とその結果に基づく事後措置、健康指導を規定している(108回午後3出題)。
【▼参照】
第8編 労働衛生 3.労働衛生管理の基本 1〕労働衛生の3管理
34 健康を人々の権利として明記したのはどれか。(改題)
- 世界保健機関〈WHO〉の健康に関する定義
- ジュネーブ宣言
- ヘルシンキ宣言
- リスボン宣言
① 世界保健機関〈WHO〉の健康に関する定義
【▼ポイント】
世界保健機関〈WHO〉憲章では、健康を単に疾病等がないことではなく、完全な肉体的、精神的、社会的福祉の状態と定義し、様々な差別なく、すべての人が有する権利として、個人と国家の協力の下に達成するために、WHOの目的としてすべての人が最高の健康水準に到達することをうたっている。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 12.世界保健機関(WHO) 2〕WHOの活動
35 地域連携クリニカルパスの目的はどれか。
- 医療機関から在宅までの医療の継続的な提供
- 地域包括支援センターと地域住民との連携
- 地域医療を担う医療専門職の資質向上
- 患者が活用できる社会資源の紹介
① 医療機関から在宅までの医療の継続的な提供
【▼ポイント】
地域連携クリニカルパスは、急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような全体的な診療計画をいい、治療を受ける地域内の医療機関で共有して用いる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.医療計画
36 集団指導が望ましいのはどれか。
- 胃全摘出術後の患者への退院指導
- Ⅰ型糖尿病の学童を対象とした療養指導
- 子宮頸癌の術後の神経因性膀胱の患者への間欠的自己導尿の指導
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者への生活指導
② Ⅰ型糖尿病の学童を対象とした療養指導
【▼ポイント】
指導内容の特性から人権・プライバシーに配慮するもの(③・④)、生活環境や年齢など個々人の特性に応じて指導内容が変わるもの(①)については、個別指導が望ましい。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向 4〕HIV・エイズ(AIDS)
37 医療器材と消毒・滅菌の組合せで正しいのはどれか。
- 手術用持針器――第4級アンモニウム塩
- ステンレス製便器――熱水消毒
- 軟性内視鏡――高圧蒸気滅菌
- ベッド柵――グルタラール
② ステンレス製便器――熱水消毒
【▼ポイント】
×③ 軟性内視鏡――高圧蒸気滅菌
オートクレーブを用いた滅菌を高圧蒸気滅菌といい、乾熱滅菌等に比べて低温・短時間での滅菌ができる。ただし、高温・高圧に耐えない器具(軟性内視鏡等)には用いない。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
42 令和2年(2020年)の患者調査において医療機関を受診している総患者数が最も多いのはどれか。(改題)
- 喘息
- 糖尿病
- 脳血管疾患
- 高血圧性疾患
④ 高血圧性疾患
【▼ポイント】
令和2年(2020年)の総患者数は高血圧性疾患が1511.1万人で最も多く、次いで糖尿病が579.1万人となっている。
【▼参照】
第2編4章 健康状態と受療状況 2.受療状況 5〕主な傷病の総患者数
53 介護保険制度における施設サービスはどれか。
- 介護医療院サービス
- 小規模多機能型居宅介護
- サービス付き高齢者向け住宅
- 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉
① 介護医療院サービス
【▼ポイント】
介護医療院は介護保険制度における施設サービスで、長期にわたり療養が必要である要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護、機能訓練、その他必要な医療や日常生活上の世話を行うことを目的とする。②、④は地域密着型サービス、③は高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定されるサービスである。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 2〕介護給付
57 発育と発達に遅れのない生後6か月の男児。BCG接種の翌日に接種部位が赤く腫れ次第に増悪して膿がみられたため、母親は接種後4日目に医療機関に電話で相談し、看護師が対応した。児に発熱はなく、哺乳や機嫌は良好である。
このときの看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「通常の反応です」
- 「速やかに来院してください」
- 「1週間後にまた電話をください」
- 「患部をアルコール消毒してください」
② 「速やかに来院してください」
【▼ポイント】
BCGは結核を予防するワクチンで、予防接種法に基づき生後1歳に至るまで(標準的な接種は生後5~8か月)の間に定期接種を行う。接種後5~6週間頃に針の痕に一致して発赤や膿がみられることがあるが、正常な反応とされる。ただし、接種から約10日以内にこうした反応が生じた場合は、すでに結核菌に感染しているおそれもあり、速やかに医療機関に相談・受診する必要がある。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 2〕結核
62 日本の周産期の死亡に関する記述で正しいのはどれか。(改題)
- 新生児死亡は生後1週未満の死亡をいう。
- 死産は妊娠満12週以後の死児の出産をいう。
- 妊産婦死亡は妊娠中又は妊娠終了後満28日未満の女性の死亡をいう。
- 令和3年(2021年)の人口動態統計では自然死産数が人工死産数よりも多い。
② 死産は妊娠満12週以後の死児の出産をいう。
【▼ポイント】
×① 新生児死亡は生後1週未満の死亡をいう。
新生児死亡は生後4週未満の死亡をいい、生後1週未満の死亡は早期新生児死亡である。
×③ 妊産婦死亡は妊娠中又は妊娠終了後満28日未満の女性の死亡をいう。
妊産婦死亡は妊娠中又は妊娠終了後満42日未満の女性の死亡をいう。
×④ 令和3年(2021年)の人口動態統計では自然死産数が人工死産数よりも多い。
令和3年(2021年)は、自然死産数が8,086胎、人工死産数が8,191胎となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 6.周産期死亡
64 マタニティブルーズについて正しいのはどれか。
- 意欲低下が主症状である。
- 症状は2週間以上持続する。
- 好発時期は産後1か月ころである。
- 産後のホルモンの変動が要因となる。
④ 産後のホルモンの変動が要因となる。
【▼ポイント】
マタニティブルーズは、胎盤からの女性ホルモン(エストロゲン等)の急減を要因の一つとして、情緒不安定(涙もろさ等)、抑うつなどの精神症状を呈するもので、出産後3日~1週間前後に発症しやすく、10日目ほどで軽快する。なお、意欲低下等を主症状とする産後うつは、産後1か月内で発症し、症状がおよそ2週間以上続くもので、母子保健法に基づく産婦健康診査の重要性が指摘されている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 2〕母子保健法に基づく施策
65 精神保健における一次予防はどれか。
- 職場でうつ病患者を早期発見する。
- 自殺企図者に精神科医療機関への受療を促す。
- 統合失調症患者の社会参加のための支援を行う。
- ストレスとその対処法に関する知識の啓発活動を行う。
④ ストレスとその対処法に関する知識の啓発活動を行う。
【▼ポイント】
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種により健康の増進を図って発病を予防する一次予防と、健診などで疾病を早期発見したり、治療により疾患の重症化を予防する二次予防、リハビリテーションなど疾病が進行した後の社会復帰などを図る三次予防がある。①と②は二次予防、③は三次予防である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 1〕生活習慣病の概念
67 Aさん(22歳、統合失調症)は父親、母親、妹との4人暮らし。高校卒業後、アルバイトをしていたが、症状の悪化によって初めて精神科病院に入院した。退院後に一般企業で働きたいと希望している。
看護師がAさんに提案するサービスで適切なのはどれか。
- 行動援護
- 就労移行支援
- 自立生活援助
- 地域定着支援
② 就労移行支援
【▼ポイント】
障害者総合支援法では就労移行支援事業が設けられ、就労を希望し、一般雇用が可能な障害者に対して、一定期間就労に必要な知識・能力の向上のために必要な訓練を行っている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 5.障害者福祉等
68 Aさん(80歳、女性)は1人暮らし。要介護2の認定を受け、長男(50歳、会社員)、長男妻(45歳、会社員)、孫(大学生、男性)と同居することになった。長男の家の間取りは、洋室5部屋、リビング、台所である。Aさんは同居後に訪問看護を利用する予定である。訪問看護を利用するにあたりAさんの家族から「在宅介護は初めての経験なのでどうすればよいですか」と訪問看護師に相談があった。
訪問看護師の説明で最も適切なのはどれか。
- 「Aさんの介護用ベッドはリビングに置きましょう」
- 「Aさんの介護に家族の生活リズムを合わせましょう」
- 「活用できる在宅サービスをできる限り多く利用しましょう」
- 「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」
④ 「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」
【▼ポイント】
同居の主な介護者の悩みやストレスの原因をみると「家族の病気や介護」が最も多く、こうした介護者の負担軽減のため、訪問介護などを利用したレスパイトケア(介護者の一時的な休息支援)の拡充が図られている。①や②は介護者の負担の増加につながりかねない。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 10〕介護者・要介護者等の状況
73 多発性骨転移がある終末期の大腸癌患者(53歳、女性)が、外科病棟から緩和ケア病棟に夫に付き添われ転棟してきた。
転棟時の申し送りについて、緩和ケア病棟の看護師が外科病棟の看護師から収集する情報で最も優先すべきなのはどれか。
- 疼痛コントロールの状況
- 自宅の居住環境
- 大腸癌の術式
- 夫の面会頻度
① 疼痛コントロールの状況
【▼ポイント】
緩和ケア病棟は、緩和ケアに特化した病棟で、がんに伴う心身の苦痛を和らげることで、QOL(生活の質)を改善することを主な目的とする。そのため、外科病棟からの申し送り時には、特に薬物などによるそれまでの疼痛コントロールの状況は最優先の情報である。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 1.がん対策 3〕がん対策推進基本計画
74 看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されている、離職した看護師の復職の支援に関連する制度はどれか。
- 看護師等免許保持者の届出
- 特定行為に係る研修
- 教育訓練給付金
- 業務従事者届
① 看護師等免許保持者の届出
【▼ポイント】
看護師等の人材確保の促進に関する法律において、看護師等は、①病院等を離職した場合、②該当の業に従事しなくなった場合、③免許を受けた後すぐに従事する見込みがない場合、都道府県ナースセンターに届け出るよう努めなければならないとし、この届出制度を活用し、無料職業紹介等により潜在看護師等の復職支援の強化を図っている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
75 災害発生時に行うSTART法によるトリアージで最初に判定を行う項目はどれか。
- 意識
- 呼吸
- 循環
- 歩行
④ 歩行
【▼ポイント】
トリアージとは、大地震や大規模事故などにより大勢の傷病者が発生した際、限られた人的・物的医療資源の中で最大多数の傷病者に最善の医療を実施するため、傷病の緊急度と重症度により治療優先度を決めるものである。トリアージの際にはトリアージタグ(識別票)を利用し、傷病者の緊急度に応じて、優先順に赤(Ⅰ:最優先治療群・重症群)、黄(Ⅱ:非緊急治療群・中等症群)、緑(Ⅲ:軽処置群・軽症群)、黒(0:不処置群・死亡群)と分類している。その判定にはSTART法が用いられ、歩行、呼吸、循環、意識の順番に確認を行う。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
76 日本の政府開発援助〈ODA〉の実施機関はどれか。
- 世界保健機関〈WHO〉
- 国際協力機構〈JICA〉
- 国連開発計画〈UNDP〉
- 赤十字国際委員会〈ICRC〉
② 国際協力機構〈JICA〉
【▼ポイント】
開発途上国等への2国間協力として、わが国は国際協力機構〈JICA〉を通じた政府開発援助〈ODA〉を実施している。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 11.国際協力 1〕2国間協力
83 タイムアウトによって予防できるのはどれか。
- 患者の誤認
- 抗癌薬の曝露
- 個人情報の漏洩
- ベッドからの転落
- 血液を媒介とする感染
① 患者の誤認
【▼ポイント】
タイムアウトは手術前の休止をいい、手術に関わる全メンバーが患者の確認、手術部位、手術内容等を口頭で確認し、患者の誤認や手術部位の誤りを防止する医療安全管理対策の一つである。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 8〕医療安全管理体制
89 自閉症スペクトラム障害にみられるのはどれか。2つ選べ。
- 運動性チックが出現する。
- 計算の習得が困難である。
- 不注意による間違いが多い。
- 習慣へのかたくななこだわりがある。
- 非言語的コミュニケーションの障害がある。
④ 習慣へのかたくななこだわりがある。
⑤ 非言語的コミュニケーションの障害がある。
【▼ポイント】
発達障害者支援法では、発達障害を広汎性発達障害〈自閉スペクトラム症(ASD)〉、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など、通常低年齢で発症する脳機能の障害と定義している。ASDはコミュニケーションの障害や特定の物事への強いこだわり、感覚の過敏などを特徴とする。②はLD、③はADHDの特徴である。また、①チック症は単独またはASDやADHDと併存し発症するものである。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 6〕精神障害者福祉
午後
1 平成29年(2017年)推計による日本の将来推計人口で令和47年(2065年)の将来推計人口に最も近いのはどれか。
- 6,800万人
- 8,800万人
- 1億800万人
- 1億2,800万人
② 8,800万人
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の総人口は1億2,550万人で、平成22年(2010年)頃から減少傾向にある。将来推計人口(平成29年推計)によると、令和47年(2065年)には8,808万人で1億人を切るとされる。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 5〕将来推計人口
2 生活習慣病の三次予防はどれか。
- 健康診断
- 早期治療
- 体力づくり
- 社会復帰のためのリハビリテーション
④ 社会復帰のためのリハビリテーション
【▼ポイント】
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種により健康の増進を図って発病を予防する一次予防と、健診などで疾病を早期発見したり、治療により疾患の重症化を予防する二次予防、リハビリテーションなど疾病が進行した後の社会復帰などを図る三次予防がある。③は一次予防、①と②は二次予防である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 1〕生活習慣病の概念
3 職業性疾病のうち情報機器〈VDT〉作業による健康障害はどれか。
- じん肺
- 視力障害
- 振動障害
- 皮膚障害
② 視力障害
【▼ポイント】
情報機器〈VDT〉作業を行う労働者の職業性疾病として、視力障害、筋骨格系の症状、ストレス等による症状が挙げられる。
【▼参照】
第8編 労働衛生 5.職業性疾病の予防対策 3〕その他の職業性疾病
4 介護保険における被保険者の要支援状態に関する保険給付はどれか。
- 医療給付
- 介護給付
- 年金給付
- 予防給付
④ 予防給付
【▼ポイント】
介護保険制度において、要介護状態の者には介護給付が、要支援状態の者には予防給付が支給される。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 3〕予防給付
5 看護師免許を付与するのはどれか。
- 保健所長
- 厚生労働大臣
- 都道府県知事
- 文部科学大臣
② 厚生労働大臣
【▼ポイント】
看護師になろうとする者は、看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。(保健師助産師看護師法7条3)
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
8 次の時期のうち基礎代謝量が最も多いのはどれか。
- 青年期
- 壮年期
- 向老期
- 老年期
① 青年期
【▼ポイント】
日本人の食事摂取基準(2020年版)で推定された基礎代謝量は、男性は15~17歳(1,610kcal/日)、女性は12~14歳(1,410kcal/日)で最も高く、青年期以降は加齢に伴って低下していく。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2〕栄養・食生活
9 世界保健機関〈WHO〉が平成12年(2000年)に提唱した「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」はどれか。
- 健康寿命
- 健康余命
- 平均寿命
- 平均余命
① 健康寿命
【▼ポイント】
健康寿命とは日常生活に制限のない期間であり、令和元年は男72.68年・女75.38年と男女ともに延伸している。なお、健康寿命と平均寿命との差は日常生活に制限のある期間ということになり、個人の生活の質の向上、社会保障負担の軽減のため、この差を短縮することも重要となる。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 1〕対策のあゆみと国民健康づくり
10 指定訪問看護ステーションには常勤換算で( )人以上の看護職員を配置することが定められている。
( )に入るのはどれか。
- 1.0
- 1.5
- 2.0
- 2.5
④ 2.5
【▼ポイント】
指定訪問看護ステーションには、保健師、看護師または准看護師(看護職員)を常勤換算で2.5人以上となる員数(うち1名は常勤)と、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士を実情に応じた適当数置き、その管理者は専従かつ常勤の保健師または看護師とされる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
12 内分泌器官はどれか。
- 乳腺
- 涙腺
- 甲状腺
- 唾液腺
③ 甲状腺
【▼ポイント】
内分泌器官には、視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓の膵島、精巣、卵巣があり、それぞれで作られたホルモンが標的器官の受容体と結合すると、標的器官が特定の作用を起こすように情報が伝達される。その他は外分泌器官に当たる。
【▼参照】
第7編3章 生活環境 6.内分泌かく乱化学物質対策
25 最も高い照度を必要とするのはどれか。
- 病室
- 手術野
- トイレ
- 病棟の廊下
② 手術野
【▼ポイント】
保健医療施設の照度は日本産業標準調査会のJIS規格により定められており、①病室は全般100ルクス、②手術室は全般1,000ルクスで手術野は10,000~100,000ルクス、③トイレは200ルクス、④病棟の廊下は200ルクスなどとなっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5〕医療施設
27 若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい理由はどれか。
- 熱産生量の増加
- 熱放散量の増加
- 自律性体温調節反応の低下
- 視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下
③ 自律性体温調節反応の低下
【▼ポイント】
高齢者が熱中症を引き起こしやすい要因(熱中症患者の約半数が高齢者)の一つとして、老化により暑さを感じて皮膚血液量や発汗量を増やす自律性体温調節反応が低下するため、熱放散能力が低下し、体に熱がたまりやすいことが挙げられる。
【▼参照】
第9編6章 環境要因による健康影響に関する取り組み 2.熱中症対策
30 診療報酬制度について正しいのはどれか。
- 診療報酬の点数は3年に1回改定される。
- 診療報酬は都道府県が医療機関に支払う。
- 医療機関への支払いは出来高払いのみである。
- 厚生労働大臣の指定を受けた医療機関で利用できる。
④ 厚生労働大臣の指定を受けた医療機関で利用できる。
【▼ポイント】
×① 診療報酬の点数は3年に1回改定される。
診療報酬の点数は2年に1回改定される。
×② 診療報酬は都道府県が医療機関に支払う。
診療報酬は審査支払機関が医療機関に支払う。
×③ 医療機関への支払いは出来高払いのみである。
実施した診療行為ごとの点数を加算し、1点の単価を10円として計算される出来高払い方式のほか、診断群分類(DPC)に基づく1日当たりの包括評価を原則とした支払い方式(PDPS)がある。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 4.診療報酬
31 次の法律のうち最も新しく制定されたのはどれか。
- 未成年者喫煙禁止法
- 麻薬及び向精神薬取締法
- アルコール健康障害対策基本法
- ギャンブル等依存症対策基本法
④ ギャンブル等依存症対策基本法
【▼ポイント】
- 1900年:未成年者喫煙禁止法
- 1953年:麻薬及び向精神薬取締法
- 2013年:アルコール健康障害対策基本法
- 2018年:ギャンブル等依存症対策基本法
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 6〕精神障害者福祉 等
32 21世紀における第二次国民健康づくり運動〈健康日本21(第二次)〉では、( )分野53項目の目標が設定された。
( )に入る数値はどれか。
- 4
- 5
- 6
- 7
② 5
【▼ポイント】
平成25年度から21世紀における第2次国民健康づくり運動〈健康日本21(第二次)〉が実施され、国民の健康増進の推進に関する以下の5つの基本的な方向を定めている。①健康寿命の延伸と健康格差の縮小、②生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底、③社会生活を営むために必要な機能の維持および向上、④健康を支え、守るための社会環境の整備、⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 1〕対策のあゆみと国民健康づくり
33 医療法に基づく記述で正しいのはどれか。
- 病床の区分は療養病床と一般病床の2種類である。
- 地域医療支援病院は厚生労働大臣の承認が必要である。
- 無床診療所の開設には厚生労働大臣への届出が必要である。
- 有床診療所は19人以下の患者を入院させる施設を有するものである。
④ 有床診療所は19人以下の患者を入院させる施設を有するものである。
【▼ポイント】
×① 病床の区分は療養病床と一般病床の2種類である。
病床の区分は、一般病床、療養病床、精神病床、感染症病床、結核病床の5種類である。
×② 地域医療支援病院は厚生労働大臣の承認が必要である。
地域医療支援病院は、地域医療の確保を図る病院としての構造設備を有する病院として都道府県知事が個別に承認する。なお、高度医療等を提供する特定機能病院、質の高い臨床研究や治験を推進する臨床研究中核病院については厚生労働大臣が承認する。
○④ 有床診療所は19人以下の患者を入院させる施設を有するものである。
診療所は、患者を入院させるための施設を有しないもの(無床診療所)、または19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの(有床診療所)である。なお、20人以上の患者を入院させるための施設を有するものは病院である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設
42 Aさん(55歳、男性、会社員)は胃癌の終末期である。
Aさんの訴えのうちスピリチュアルペインの表出はどれか。
- 「腹痛がずっと続いています」
- 「吐き気が続くと思うと不安です」
- 「今後の生活にかかるお金が心配です」
- 「これまでの自分の人生が意味のないものに思えます」
④ 「これまでの自分の人生が意味のないものに思えます」
【▼ポイント】
緩和ケアでは、患者とその家族に対して、終末期だけでなくがんと診断された時から、がん治療と同時に、多職種が連携して身体的症状の緩和をはじめ、心理的・スピリチュアル的な問題を含めた総合的なケアを行うものとされる。スピリチュアルペインは、人生の意味や、死生観、宗教観などの観念的な問題を指す。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 1.がん対策 3〕がん対策推進基本計画
46 ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症で正しいのはどれか。
- 空気感染する。
- 無症候期がある。
- DNAウイルスによる。
- 血液中のBリンパ球に感染する。
② 無症候期がある。
【▼ポイント】
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の主な感染経路は、HIV感染者との性行為、血液または血液製剤の輸注、母子感染(垂直感染)の3つである。HIVは、免疫システムである白血球中のヘルパー〈CD4陽性〉Tリンパ球に感染し、増殖、破壊することで、免疫不全状態を引き起こす。多くはほとんど症状もなく経過し、無症候性キャリアの状態で平均10年程度経過した後に症状が現れ、ニューモシスティス肺炎(カリニ肺炎)やカンジダ症、カポジ肉腫などの23の指標疾患の1つ以上を発症するとエイズと診断される。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 4〕HIV・エイズ(AIDS)
54 令和2年度(2020年度)「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」の結果において、養護者による高齢者虐待に関する説明で正しいのはどれか。(改題)
- 夫による虐待が最も多い。
- 被虐待者の9割が女性である。
- 心理的虐待が全体の6割を占めている。
- 被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡが最も多い。
④ 被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡが最も多い。
【▼ポイント】
×① 夫による虐待が最も多い。
息子による虐待が39.9%で最も多くなっている。
×② 被虐待者の9割が女性である。
被虐待高齢者は女性が75.2%を占める。
×③ 心理的虐待が全体の6割を占めている。
虐待の種別では身体的虐待が半数以上を占めている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 2〕高齢者虐待防止
55 退職した高齢者に就労機会を提供するのはどれか。
- シルバー人材センター
- 老人福祉センター
- 老人クラブ
- 自治会
① シルバー人材センター
【▼ポイント】
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に定めるシルバー人材センター事業として、おおむね60歳以上の健康で就業意欲がある高年齢者を対象に、地域の日常生活に密着した仕事(清掃、除草、植栽のせん定など)を提供している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 4〕高齢者の就労支援
59 学童期の肥満で正しいのはどれか。
- Kaup〈カウプ〉指数で評価する。
- 症候性の肥満がほとんどを占める。
- 食事では蛋白質の摂取制限を行う。
- 成人期の生活習慣病のリスク因子である。
④ 成人期の生活習慣病のリスク因子である。
【▼ポイント】
×① Kaup〈カウプ〉指数で評価する。
肥満度を評価する指数として、主に乳幼児に用いるカウプ指数「体重(g)÷身長(cm)2×10」、学童期に用いるローレル指数「体重(g)÷身長(cm)3×104」、成人に用いるBMI「体重(kg)÷身長(m)2」がある。
×② 症候性の肥満がほとんどを占める。
症候性肥満は他の疾患の症状による肥満であるが、学童期の肥満は過食、運動不足等による無症候性肥満が大半を占める。
×③ 食事では蛋白質の摂取制限を行う。
肥満を防止するために脂質の過剰摂取を控える。
○④ 成人期の生活習慣病のリスク因子である。
学童期の肥満は成人期の肥満に移行しやすく、生活習慣病のリスク因子となる。
【▼参照】
第10編2章 学校保健の現状 1.学齢期の健康状況 3〕体格・体力
63 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉について正しいのはどれか。
- 配偶者暴力相談支援センターは被害者の保護命令を出すことができる。
- 配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にある者が含まれる。
- 配偶者からの暴力を発見したときは、保健所へ通報する。
- 加害者の矯正が法の目的に含まれる。
② 配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にある者が含まれる。
【▼ポイント】
配偶者暴力相談支援センターは通報を受けて相談や自立支援、一時保護などを行い(③)、加害者に対する被害者への接近禁止命令や退去命令などの保護命令は裁判所が行う(①)。DV防止法の「配偶者」には、男性・女性の別を問わず、婚姻の届出をしていない事実婚、離婚後(事実上離婚したと同様の事情に入ることを含む)、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力も含む(②)。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 5〕配偶者からの暴力の防止対策
66 長期に大量飲酒をした後で、急に断酒した際にみられるのはどれか。
- 病的酩酊
- 振戦せん妄
- アルコール性認知症
- Korsakoff〈コルサコフ〉症候群
② 振戦せん妄
【▼ポイント】
振戦せん妄は、長期間の飲酒歴のある重度のアルコール依存症者が飲酒を中断または減量した際に生じる離脱症状の一つで、著明な自律神経機能亢進や幻覚などの症状がみられる。
【▼参照】
第3編2章 精神保健 4.精神保健 6〕精神障害者福祉 (6)依存症対策
68 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉において、精神科病院で隔離中の患者に対し、治療上で必要な場合に制限できるのはどれか。
- 家族との面会
- 患者からの信書の発信
- 患者からの退院の請求
- 人権擁護に関する行政機関の職員との電話
① 家族との面会
【▼ポイント】
精神保健指定医の判断による隔離や身体的拘束などの行動制限がある場合でも、信書の発受や、行政機関の職員、代理人である弁護士との電話・面会については制限できない。また、入院中の者やその家族等は退院請求と処遇改善請求を行うことができ、精神医療審査会で審査が行われる。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
73 機能別看護方式の説明で正しいのはどれか。
- 勤務帯ごとに各看護師が担当する患者を決めて受け持つ。
- 内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
- 1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで継続して受け持つ。
- 患者を複数のグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ。
② 内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
【▼ポイント】
③はプライマリナーシング、④は(固定)チームナーシングの説明である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
74 看護におけるクリニカルラダーについて正しいのはどれか。
- 病院に導入が義務付けられている。
- ワーク・ライフ・バランスを目指すものである。
- 臨床実践に必要な能力が段階的に表現されている。
- 全国の病院で共通のクリニカルラダーが使用されている。
③ 臨床実践に必要な能力が段階的に表現されている。
【▼ポイント】
看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)は看護師の能力開発・評価のシステムで、「クリニカル」は看護実践を、「ラダー」ははしごを意味し、臨床レベルでの看護師の看護実践能力を段階的に表している。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
75 災害拠点病院の説明で正しいのはどれか。
- 国が指定する。
- 災害発生時に指定される。
- 広域搬送の体制を備えている。
- 地域災害拠点病院は各都道府県に1か所設置される。
③ 広域搬送の体制を備えている。
【▼ポイント】
災害拠点病院は都道府県が平時において指定し、災害時に重症患者などの受け入れや治療を行い、被災地へ医療チームを派遣する。原則として二次医療圏ごとに1か所地域災害拠点病院を整備し、都道府県で中心的な役割を果たす基幹災害拠点病院を都道府県ごとに1か所整備することとされる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
76 平成27年(2015年)時点での世界の三大感染症に入るのはどれか。
- ポリオ〈急性灰白髄炎〉
- マラリア
- 天然痘
- 麻疹
② マラリア
【▼ポイント】
三大感染症は、①HIV/エイズ、②結核、③マラリアとされ、その感染力や対策費用の負担の大きさから、世界各国が協力して対策を進めなければならない問題である。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 7〕マラリア
85 放射性同位元素を用いるのはどれか。
- 脳血管造影
- 膀胱鏡検査
- 頭部CT検査
- 腹部超音波検査
- 骨シンチグラフィ
⑤ 骨シンチグラフィ
【▼ポイント】
放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)を用いた放射性医薬品を体内に投与し、特定の組織や臓器に集積したRIを撮影することで、良性・悪性の鑑別、病理の決定、治療効果の判定などを行うRI検査(シンチグラフィ)が普及している。骨シンチグラフィでは、骨折、骨腫瘍、骨転移の有無などを画像化することができる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 13〕放射線利用
86 地域包括支援センターの目的を定める法律はどれか。
- 介護保険法
- 健康増進法
- 社会福祉法
- 地域保健法
- 老人福祉法
① 介護保険法
【▼ポイント】
介護保険法に定められる地域包括支援センターは、住民の健康の保持と生活の安定のために必要な援助を行うもので、市町村に設置される。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 6〕地域包括ケアシステム
88 予防接種に生ワクチンが使用される疾患はどれか。2つ選べ。
- ジフテリア
- 日本脳炎
- 破傷風
- 結核
- 麻疹
④ 結核
⑤ 麻疹
【▼ポイント】
定期予防接種で生ワクチンが使用される疾患は、結核、麻疹、風疹、水痘、ロタウイルスとなっている。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 4.予防接種 2〕予防接種法などによる対策
90 出生体重3,100gの新生児。日齢3の体重は3,000gである。
このときの体重減少率を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。
解答 [①].[②]%
① 3
② 2
【▼ポイント】
減少率(%)は、減少量÷減少前の値×100で求められる。本問では(3,100-3,000)÷3,100×100となり、3.225…を四捨五入して3.2である。ちなみに増加率(%)を求める場合は、減少量を増加量に変え、増加量÷増加前の値×100で求められる。
対応外必修問題
午前6 マズロー, A. H.の基本的欲求の階層で社会的欲求はどれか。(改題)
- 安全の欲求
- 帰属の欲求
- 自己実現の欲求
- 睡眠の欲求
② 帰属の欲求
【▼ポイント】
マズローの欲求階層説では、低階層から、①生理的(食事、排泄、睡眠等)欲求、②安全(危険回避)の欲求、③社会的(所属・愛情)欲求、④自尊(承認)の欲求、⑤自己実現の欲求となっており、人間は低階層の欲求が満たされると高階層の欲求に移っていくことをあらわす。高齢者や生活困窮者等の支援においても重要な概念である。
午前7 胎児循環で胎児から胎盤に血液を送るのはどれか。
- 総頸動脈
- 肺動脈
- 臍動脈
- 臍静脈
③ 臍動脈
【▼ポイント】
胎児の血液は、臍帯内の2本の臍動脈により胎盤に入り、1本の臍静脈を通って胎児へと運ばれる。胎盤は肺の役割を果たし、胎盤から胎児へ運ばれる臍静脈内の血液には酸素が多く含まれている。
午前8 学童期の脈拍数の基準値はどれか。
- 50〜70/分
- 80〜100/分
- 110〜130/分
- 140〜160/分
② 80〜100/分
【▼ポイント】
脈拍数の基準値(目安)は、新生児期で120~140/分、乳児期で110~130/分、幼児期で90~110/分、学童期で80~100/分、成人期で60~100/分とされ、加齢とともに低くなる。
午前9 日本の女性における平均閉経年齢に最も近いのはどれか。
- 30歳
- 40歳
- 50歳
- 60歳
③ 50歳
【▼ポイント】
日本人女性の閉経は45~55歳、平均閉経年齢は約50歳とされる。閉経を挟んで前後10年間の更年期には女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減り、様々な症状が現れることがある。
午前11 右大腿骨前面を図に示す。

大腿骨頸部はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
③ ③
【▼ポイント】
大腿骨頸部は骨頭(②)を支える部分であり、骨盤と関節を作っている。骨密度の減少した高齢者の転倒により、骨折が多くみられる部位である(大腿骨頸部骨折)。
午前12 有害物質を無毒化し排泄する臓器はどれか。
- 胃
- 肝臓
- 膵臓
- 大腸
② 肝臓
【▼ポイント】
肝臓の主な機能として、蛋白質の合成、有害物質(アンモニア等)の分解・解毒、栄養の貯蔵、胆汁の合成・分泌などがある。
午前13 黄疸のある成人患者にみられる随伴症状はどれか。
- 動悸
- 難聴
- 関節痛
- 搔痒感
④ 搔痒感
【▼ポイント】
黄疸は、赤血球が壊れる際にヘモグロビンが分解され、生成されたビリルビンにより皮膚や白眼が黄色くなる状態をいい、成人では全身のかゆみ(搔痒感)が生じることがある。なお、新生児で多くみられ、ほとんどは生理的な黄疸であるが、生後24時間以内の早発性黄疸や、ビリルビン値が正常域を越える重症黄疸、黄疸が長引く遷延性黄疸は病的黄疸とされ、注意が必要である。
午前14 左前胸部から頸部や左上肢への放散痛が生じる疾患はどれか。
- 胃潰瘍
- 狭心症
- 胆石症
- 尿管結石症
② 狭心症
【▼ポイント】
虚血性心疾患の一つである狭心症は、生活習慣の悪化を一因として、動脈硬化等により心臓に血液を送る冠動脈が狭まり、血流が悪くなった状態をいう。歩行動作時などに胸が圧迫される痛み(労作性狭心症)が生じるほか、心臓から離れた上半身の左側に多く起きる放散痛の症状が現れることがある。
午前15 成人女性の赤血球数の基準値はどれか。
- 150〜250万/μL
- 350〜450万/μL
- 550〜650万/μL
- 750〜850万/μL
② 350〜450万/μL
【▼ポイント】
赤血球数の基準値は検査施設等により異なるが、男性450~550万/μL、女性350~500万/μL程度とされ、少ない場合は貧血、多い場合は赤血球増加症(多血症)が疑われる。
午前16 Open-ended question〈開かれた質問〉はどれか。
- 「頭は痛みませんか」
- 「昨夜は眠れましたか」
- 「気分は悪くありませんか」
- 「自宅ではどのように過ごしていましたか」
④ 「自宅ではどのように過ごしていましたか」
【▼ポイント】
Open-ended question〈開かれた質問〉は、質問者があらかじめ知っている情報を確認する質問や、暗に方向付けることを避け、相手自身の言葉で語ってもらう質問の進め方をいう。
午前17 深部体温に最も近いのはどれか。
- 腋窩温
- 口腔温
- 鼓膜温
- 直腸温
④ 直腸温
【▼ポイント】
深部体温は、体温調節機能をつかさどる視床下部によりコントロールされる脳や臓器などの内部温度であり、皮膚温よりも高く37℃前後を維持している。正確な深部体温を図る上で、身体の中心に近く、外部環境に影響されにくい直腸温の測定が推奨されている。
午前18 呼吸パターンを図に示す。

Cheyne-Stokes〈チェーン-ストークス〉呼吸はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
① ①
【▼ポイント】
チェーン-ストークス呼吸は、中枢性睡眠時無呼吸症候群でみられる特徴であり、小さな呼吸から大きな呼吸、小さな呼吸、呼吸の停止(10~20秒程度の無呼吸)の周期を繰り返す。
午前19 高齢者の義歯の取り扱い方法で正しいのはどれか。
- 就寝時に外す。
- 熱湯で洗浄する。
- 保管時は乾燥させる。
- 総義歯は奥歯を起点に外す。
① 就寝時に外す。
【▼ポイント】
義歯の下の歯茎や粘膜の衛生を保つため、就寝時や口腔ケア時には義歯を外すことが望ましい。
午前21 成人の静脈血採血で適切なのはどれか。
- 採血部位から2、3cm中枢側に駆血帯を巻く。
- 血管の走行に合わせ60度の角度で刺入する。
- 採血後は刺入部位を圧迫しながら抜針する。
- 刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。
④ 刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。
【▼ポイント】
静脈血採血では、駆血帯は採血部位の5~10cm上部(中枢側)に巻き(①)、血管の走行に合わせ10~30度の角度で刺入する(②)。採血後はアルコール消毒綿を軽く当ててまっすぐ抜針し(③)、刺入部位を5分程度圧迫止血する(④)。
午前22 1回の気管内吸引を30秒以上実施した場合に生じるのはどれか。
- 嘔吐
- 感染
- 低酸素血症
- 気道粘膜の損傷
③ 低酸素血症
【▼ポイント】
1回の気管内吸引では、挿入開始から終了までの時間は15秒以内にすることが推奨され、30秒以上実施した場合、動脈血酸素飽和度〈SaO2〉が低下し、低酸素血症をきたすことがある。なお、気管の粘膜を傷つけないために吸引圧は-100〜-150mmHgに調整する。
午前23 上腕出血時の間接圧迫止血の部位はどれか。
- 腋窩動脈
- 尺骨動脈
- 大腿動脈
- 橈骨動脈
① 腋窩動脈
【▼ポイント】
失血を防ぐための圧迫止血法には、ガーゼなどで出血部位を強く押さえる直接圧迫止血法と、出血部位に近い中枢側(心臓側)の動脈を手や指で圧迫する(用手)間接圧迫止血法がある。本問では、上腕部から近い中枢側の動脈として腋窩動脈が適切である。
午後6 フィンク, S. L.の危機モデルで第2段階はどれか。
- 衝撃
- 承認
- 適応
- 防御的退行
④ 防御的退行
【▼ポイント】
臨床場面等で、危機的状況に対する過程を模式的に表した危機モデルを用いた対応がなされる。そのうち、フィンクは、衝撃、防御的退行、承認、適応の4段階を示し、感情的・防御的な対応から問題解決型の対応になっていく過程を表している。
午後11 左心室から全身に血液を送り出す血管はどれか。
- 大静脈
- 大動脈
- 肺静脈
- 肺動脈
② 大動脈
【▼ポイント】
左心室は大動脈を通じて全身に血液を送り、大静脈を通じて右心房に至る(体循環)。右心房から右心室に送り出された血液は、肺動脈を通じて肺に送られ、肺静脈を通じて左心房に至る(肺循環)。
午後13 呼吸中枢があるのはどれか。
- 間脳
- 小脳
- 大脳
- 脳幹
④ 脳幹
【▼ポイント】
呼吸中枢は、脳幹の橋から延髄にかけての部分にあり、呼気と吸気を調整し、呼吸リズムを形成している。
午後14 細菌感染で起こるショックはどれか。
- 心原性ショック
- 敗血症性ショック
- アナフィラキシーショック
- 循環血液量減少性ショック
② 敗血症ショック
【▼ポイント】
敗血症は、感染症の原因となる細菌等に起因して重度の臓器障害等を起こしている病態をいう。蘇生処置にも関わらず低血圧が持続し、ショック状態に陥った状態を敗血症ショックといい、死亡リスクが非常に高い。
午後15 低体温から回復するための生体の反応はどれか。
- 発汗
- ふるえ
- 乳酸の蓄積
- 体表面への血流増加
② ふるえ
【▼ポイント】
低体温は、代謝の低下や外部環境の温度の低下、内分泌疾患(甲状腺機能低下症等)などにより深部体温に近い直腸温が35℃を下回った場合に診断される。ふるえは体温の低下に対し、熱産生を誘導するための生体反応である(恒常性:ホメオスタシス)。
午後16 貧血の定義で正しいのはどれか。
- 血圧が低下すること
- 脈拍が速くなること
- 立ち上がると失神を起こすこと
- ヘモグロビン濃度が減少していること
④ ヘモグロビン濃度が減少していること
【▼ポイント】
貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が減少している状態と定義される。なお、③は起立性低血圧の症状である。
午後17 全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先して行うのはどれか。
- 気道確保
- 周囲の環境整備
- 末梢静脈路の確保
- 心電図モニターの装着
① 気道確保
【▼ポイント】
全身性けいれん発作の多くは意識障害を伴い、強い筋収縮のため十分な呼吸ができない場合があり、嘔吐物や唾液等による窒息を防ぐ観点からも、回復体位にするなど気道の確保が優先される。
午後18 左心不全でみられる症状はどれか。
- 肝腫大
- 下腿浮腫
- 起坐呼吸
- 頸静脈怒張
③ 起坐呼吸
【▼ポイント】
左心室は大動脈を通じて全身に血液を送るが、左心不全によりポンプ機能が低下することで、肺静脈系のうっ血が生じ、呼吸困難や咳嗽(せき)などの症状が現れる。起坐呼吸は起坐位で呼吸困難が軽減されるため、左心不全患者に多くみられる。
午後19 大腸の狭窄による便秘はどれか。
- 器質性便秘
- 痙攣型便秘
- 弛緩型便秘
- 直腸性便秘
① 器質性便秘
【▼ポイント】
器質性便秘は、大腸癌や腸管の炎症、癒着などにより通過障害が起きる便秘である。②痙攣型便秘は自律神経の失調、③弛緩型便秘は筋力の低下、④直腸性便秘は直腸の排便機能の低下などにより生じる。
午後20 左片麻痺患者の上衣の交換で適切なのはどれか。
- 左腕から脱がせ、左腕から着せる。
- 左腕から脱がせ、右腕から着せる。
- 右腕から脱がせ、左腕から着せる。
- 右腕から脱がせ、右腕から着せる。
③ 右腕から脱がせ、左腕から着せる。
【▼ポイント】
片麻痺等のある者や片腕の持続点滴患者の衣類の着脱介助時には脱健着患が原則で、脱ぐときは健側から、着るときは患側から行う。本問の場合は、麻痺のない右腕(健側)から脱がせ、麻痺のある左腕(患側)から着せる。
午後21 転倒・転落を起こすリスクを高める薬はどれか。
- 降圧薬
- 抗凝固薬
- 気管支拡張薬
- 副腎皮質ステロイド薬
① 降圧薬
【▼ポイント】
降圧薬による血圧の低下により、起立性低血圧などめまいやふらつき、意識障害が起こり、転倒・転落を起こすリスクが高まる。
午後22 注射針の刺入角度が45〜90度の注射法はどれか。
- 皮下注射
- 皮内注射
- 筋肉内注射
- 静脈内注射
③ 筋肉内注射
【▼ポイント】
筋肉内注射は、皮下組織の奥にある筋肉内に直接注射するため、確実に届くように45~90度の角度で刺入する。
午後23 点滴静脈内注射で輸液ポンプを使用する際に設定する項目はどれか。
- 薬剤名
- 終了時間
- 投与月日
- 1時間あたりの流量
④ 1時間あたりの流量
【▼ポイント】
輸液ポンプは、輸液や薬剤を一定の速度・正確な量で投与するための医療機器で、輸液ポンプに設定する項目は輸液の流量と予定量である。
午後24 褥瘡の深達度分類で水疱形成のステージはどれか。
- Ⅰ
- Ⅱ
- Ⅲ
- Ⅳ
② Ⅱ
【▼ポイント】
褥瘡の重症度は深達度によって分類され、NPUAP(米国褥瘡諮問委員会)のステージ分類が代表的である。ステージⅠは消退しない発赤、ステージⅡは部分欠損、ステージⅢは全層皮膚欠損、ステージⅣは全層組織欠損とされ、水疱を呈することがある段階はステージⅡである。
資料 厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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