第106回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
平成29年2月19日(日)に実施された第106回看護師国家試験について、「国民衛生の動向2022/2023」で内容を解説している問題、関連の強い問題をピックアップし、その正答と解説を示します。また、合格のために最重要となる必修問題(午前・午後冒頭25問と想定)については、本誌未対応の問題も最後にすべてまとめています。
問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2022/2023
発売日:2022.8.26
定価:2,695円(税込)
472頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
国民衛生の動向対応問題・掲載数
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出題数 |
対応問題数 |
対応問題率 |
必修問題 |
50問 |
25問 |
50.0% |
一般問題 |
130問 |
40問 |
30.8% |
計 |
180問 |
65問 |
36.1% |
※必修問題は午前・午後の冒頭25問と想定。未対応の必修問題は末尾に掲載。状況設定問題は除く。
午前
1 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査による有訴者率(人口千対)で正しいのはどれか。(改題)
- 2.5
- 102.5
- 302.5
- 502.5
③ 302.5
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の病気やけが等で自覚症状のある者(有訴者)は、人口千人当たり302.5(男270.8・女332.1)であり、症状別にみると男性は腰痛、女性は肩こりが最も高い。
【▼参照】
第2編4章 健康状態と受療状況 1.健康状態 1〕有訴者の状況
2 令和2年(2020年)の感染症発生動向調査による年間の性感染症〈STD〉報告数で最も多いのはどれか。(改題)
- 性器クラミジア感染症
- 尖圭コンジローマ
- 性器ヘルペス
- 淋菌感染症
① 性器クラミジア感染症
【▼ポイント】
令和2年(2020年)では、性器クラミジア感染症が28,381人と最も多く、次いで性器ヘルペスウイルス感染症9,000人、淋菌感染症8,474人、尖圭コンジローマ5,685人の順となっている。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 6〕性感染症(STD)
3 令和元年(2019年)の国民医療費はどれか。(改題)
- 約400億円
- 約4,000億円
- 約4兆円
- 約40兆円
④ 約40兆円
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の国民医療費は44兆3895億円で、人口1人当たり35.1万円である。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 6.国民医療費
4 介護保険法で第1号被保険者と規定されているのはどれか。
- 45歳以上
- 55歳以上
- 65歳以上
- 75歳以上
③ 65歳以上
【▼ポイント】
介護保険の第1号被保険者は65歳以上の者、第2号被保険者は40~64歳の者である。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 1〕保険給付の手続き
5 看護師の業務従事者届の届出の間隔として規定されているのはどれか。
- 1年
- 2年
- 5年
- 10年
② 2年
【▼ポイント】
業務に従事する看護師は、2年ごとに就業地の都道府県知事に氏名や住所などを届け出なければならない。(保健師助産師看護師法33条)
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
6 標準的な発育をしている乳児の体重が出生時の体重の約2倍になる時期はどれか。
- 生後3か月
- 生後6か月
- 生後9か月
- 生後12か月
① 生後3か月
【▼ポイント】
乳幼児身体発育調査(平成22年)をみると、出生時の平均体重は約3kgであるが、3か月ごろには約2倍、1年ごろには約3倍となる。なお、出生時の平均身長は約50cmであるが、1年ごろには約1.5倍、4年ごろには約2倍となる。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生
8 老年期の身体的な特徴で正しいのはどれか。
- 尿量の増加
- 味覚の感度の向上
- 体温調節能の低下
- 外来抗原に対する抗体産生の亢進
③ 体温調節能の低下
【▼ポイント】
老化により暑さを感じて皮膚血液量や発汗量を増やす自律性体温調節反応が低下するため、熱放散能力が低下し、熱中症を引き起こしやすくなる。
【▼参照】
第9編6章 環境要因による健康影響に関する取り組み 2.熱中症対策
9 医療法で「地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修を行わせる能力を有すること」と定められているのはどれか。
- 助産所
- 診療所
- 特定機能病院
- 地域医療支援病院
④ 地域医療支援病院
【▼ポイント】
×② 診療所
診療所は、医師・歯科医師が医業・歯科医業を行う場所で、患者を入院させるための施設を有しないもの(無床診療所)または19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの(有床診療所)をいう。
×③ 特定機能病院
特定機能病院は、高度の医療の提供や研修を実施する能力を有する病院として、厚生労働大臣が個別に承認する。
○④ 地域医療支援病院
問題文の通りであるが、特定機能病院とは異なり都道府県知事が個別に承認する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設
17 医薬品表示を別に示す。

劇薬の表示で正しいのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
④ ④
【▼ポイント】
医薬品医療機器等法(薬機法)では、医薬品のうち毒性・劇性が強いものを毒薬・劇薬として厚生労働大臣が指定し、取り扱いを定めている。劇薬はその直接の容器または直接の被包に、白地に赤枠、赤字で、その品名および「劇」の文字が記載されていなければならない。なお、毒薬は黒地に白枠、白字で、その品名および「毒」の文字を記載しなければならない。
【▼参照】
第6編2章 医薬品等の生産と輸出入 2.医薬品等の承認・許可制度
20 療養施設、社会福祉施設等が集合して設置されている地域の昼間の騒音について、環境基本法に基づく環境基準で定められているのはどれか。
- 20dB以下
- 50dB以下
- 80dB以下
- 110dB以下
② 50dB以下
【▼ポイント】
環境基本法に基づき、地域の類型、時間の区分ごとに騒音についての環境基準が定められており、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域では、昼間が50db以下、夜間が40db以下と設定されている。
【▼参照】
第9編4章 環境保全対策 3.騒音・振動・悪臭対策の動向 1〕騒音
21 オートクレーブによる滅菌法はどれか。
- 乾熱滅菌
- プラズマ滅菌
- 高圧蒸気滅菌
- 酸化エチレンガス滅菌
③ 高圧蒸気滅菌
【▼ポイント】
オートクレーブを用いた滅菌を高圧蒸気滅菌といい、乾熱滅菌等に比べて低温・短時間での滅菌ができる。ただし、高温・高圧に耐えない器具(軟性内視鏡等)には用いない。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
35 労働者災害補償保険法に規定されているのはどれか。
- 失業時の教育訓練給付金
- 災害発生時の超過勤務手当
- 有害業務従事者の健康診断
- 業務上の事故による介護補償給付
④ 業務上の事故による介護補償給付
【▼ポイント】
労働者災害補償保険法に基づき、業務上の事由や通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡などに対して必要な保険給付を行っている。①は雇用保険法、②は労働基準法、③は労働安全衛生法に規定されている。
【▼参照】
第8編 労働衛生 8.労働災害補償と業務上疾病 1〕労災保険制度
36 高齢者における肺炎の三次予防はどれか。
- 口腔内の衛生管理
- 肺炎球菌ワクチンの接種
- 呼吸リハビリテーション
- 健康診断での胸部エックス線撮影
③ 呼吸リハビリテーション
【▼ポイント】
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種により健康の増進を図って発病を予防する一次予防と、健診などで疾病を早期発見したり、治療により疾患の重症化を予防する二次予防、リハビリテーションなど疾病が進行した後の社会復帰などを図る三次予防がある。①と②は一次予防、④は二次予防である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 1〕生活習慣病の概念
45 看護師が医療事故を起こした場合の法的責任について正しいのはどれか。
- 罰金以上の刑に処せられた者は行政処分の対象となる。
- 事故の程度にかかわらず業務停止の処分を受ける。
- 民事責任として業務上過失致死傷罪に問われる。
- 刑法に基づき所属施設が使用者責任を問われる。
① 罰金以上の刑に処せられた者は行政処分の対象となる。
【▼ポイント】
保健師助産師看護師法に基づき、看護師免許付与における相対的欠格事由として、①罰金以上の刑に処せられた者、②医事に関し犯罪または不正の行為のあった者、③心身の障害により看護師の業務を適正に行うことができない者、④麻薬、大麻またはあへんの中毒者を規定し、いずれかに該当した場合は免許を与えないことがある。また、看護師がこれらに該当した場合、厚生労働大臣は、①戒告、②三年以内の医業の停止、③免許の取消しの処分をすることができる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員
46 疾患と原因となる生活習慣の組合せで適切なのはどれか。
- 低血圧症――飲酒
- 心筋梗塞――長時間労働
- 悪性中皮腫――喫煙
- 1型糖尿病――過食
② 心筋梗塞―長時間労働
【▼ポイント】
長時間にわたる過重な労働は、脳・心臓疾患との関連性が強いという医学的知見が得られている。①飲酒が原因となるものは高血圧症など、③喫煙が原因となるものはがんや脳卒中、心疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、④過食が原因となるものは2型糖尿病(1型糖尿病は生活習慣と無関係に発症する)などである。
【▼参照】
第8編 労働衛生 9.その他の労働衛生対策等 1〕過重労働による健康障害防止対策 等
47 自動体外式除細動器〈AED〉による電気的除細動の適応となるのはどれか。
- 心静止
- 心房細動
- 心室細動
- 房室ブロック
③ 心室細動
【▼ポイント】
自動体外式除細動器〈AED〉は、致死性不整脈である心室細動および無脈性心室頻拍を電気ショックによって取り除く(除細動)装置である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 3〕救急,休日夜間医療
51 Aさん(42歳、女性)は、3日前から微熱と強い全身倦怠感を自覚したため病院を受診したところ、肝機能障害が認められ、急性肝炎の診断で入院した。1か月前に生の牡蠣を摂取している。Aさんはこれまで肝臓に異常を指摘されたことはなく、家族で肝臓疾患を罹患した者はいない。
Aさんが罹患した肝炎について正しいのはどれか。
- 細菌感染である。
- 劇症化する危険性がある。
- 慢性肝炎に移行しやすい。
- インターフェロン療法を行う。
② 劇症化する危険性がある。
【▼ポイント】
×① 細菌感染である。
汚染された食品や水などを介した経口感染が主な感染経路であるA型肝炎と考えられる(ウイルス感染)。
○② 劇症化する危険性がある。
A型肝炎はまれに劇症化することがある。
×③ 慢性肝炎に移行しやすい。
B型肝炎、C型肝炎とは異なり、A型肝炎は慢性化することはない。
×④ インターフェロン療法を行う。
インターフェロン療法はB型肝炎、C型肝炎に用いる。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 3〕ウイルス性肝炎
58 Lewy〈レビー〉小体型認知症の初期にみられる症状はどれか。
- 幻視
- 失語
- 脱抑制
- 人格変化
① 幻視
【▼ポイント】
レビー小体型認知症は、脳神経が変性して脳の一部が萎縮する過程で起こる認知症としては、アルツハイマー型認知症に次いで多い。レビー小体型認知症の特徴的な症状としては、発症初期から幻視(実際に見えない人や物が見えるといった錯視)がしばしば現れることが挙げられる。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 2.老人保健 2〕認知症施策のあゆみ
59 介護保険法で「入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設」と規定されているのはどれか。
- 介護老人保健施設
- 介護老人福祉施設
- 介護療養型医療施設
- 介護療養型老人保健施設
② 介護老人福祉施設
【▼ポイント】
介護保険制度の施設サービスとして、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院が規定されている。②介護老人福祉施設の内容は設問のとおり。①介護老人保健施設では、症状が安定期にある要介護者に対し、居宅での生活が営めるよう支援するため、看護、医学的管理の下における必要な医療や日常生活上の世話を行う。介護医療院(③や④は介護医療院に転換が図られている)は、長期にわたり療養が必要である要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護、機能訓練、その他必要な医療や日常生活上の世話を行うことを目的とする。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 2〕介護給付
60 出産や育児に関する社会資源と法律の組合せで正しいのはどれか。
- 入院助産――児童福祉法
- 出産扶助――母体保護法
- 出産手当金――母子保健法
- 養育医療――児童手当法
① 入院助産――児童福祉法
【▼ポイント】
×② 出産扶助――母体保護法
出産扶助は生活保護法の8扶助(①生活、②教育、③住宅、④医療、⑤介護、⑥出産、⑦生業、⑧葬祭)の一つである。
×③ 出産手当金――母子保健法
出産手当金は健康保険法に基づく。
×④ 養育医療――児童手当法
未熟児に対する養育医療の給付は、母子保健法に規定している。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 2〕母子保健法に基づく施策 等
62 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉で正しいのはどれか。
- 婚姻の届出をしていない場合は保護の対象とはならない。
- 暴力を受けている者を発見した者は保健所へ通報する。
- 暴力には心身に有害な影響を及ぼす言葉が含まれる。
- 母子健康センターは被害者の保護をする。
③ 暴力には心身に有害な影響を及ぼす言葉が含まれる。
【▼ポイント】
×① 婚姻の届出をしていない場合は保護の対象とはならない。
配偶者は、婚姻の届出をしていない事実婚、離婚後(事実上離婚したと同様の事情に入ることを含む)、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力も含む。
×② 暴力を受けている者を発見した者は保健所へ通報する。
×④ 母子健康センターは被害者の保護をする。
配偶者暴力相談支援センターは、通報などを受けて暴力被害者の相談や自立支援を行うほか、必要な場合には母子生活支援施設や民間シェルターへの一時保護を行っている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 5〕配偶者からの暴力の防止対策
63 妊婦の感染症と児への影響の組合せで正しいのはどれか。
- 風疹――白内障
- 性器ヘルペス――聴力障害
- トキソプラズマ症――先天性心疾患
- 性器クラミジア感染症――小頭症
① 風疹――白内障
【▼ポイント】
風疹は、発熱や発疹、リンパ節腫脹を特徴とする風疹ウイルスによる感染性疾患で、主に飛沫感染が感染経路である。妊婦が妊娠20週ごろまでに風疹に感染すると、白内障や先天性心疾患、難聴などを特徴とする先天性風疹症候群の児が生まれる可能性がある。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 5〕風しん・麻しん
70 特定行為に係る看護師の研修制度に関して正しいのはどれか。
- 特定行為は診療の補助行為である。
- 研修は都道府県知事が指定する研修機関で実施する。
- 研修を受けるには10年以上の実務経験が必要である。
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められている。
① 特定行為は診療の補助行為である。
【▼ポイント】
保健師助産師看護師法に定める特定行為は、看護師が医師または歯科医師の作成する手順書により行う診療の補助で、38行為が規定されている。平成27年から特定行為に係る看護師の研修制度が開始し、厚生労働大臣が特定行為研修を行う研修機関を指定している。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
75 令和3年(2021年)の人口動態統計における妻の平均初婚年齢はどれか。(改題)
- 23.5歳
- 25.5歳
- 27.5歳
- 29.5歳
- 31.5歳
④ 29.5歳
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の平均初婚年齢は、夫が31.0歳、妻が29.5歳である。なお、第一子出生時の母親の平均年齢は30.7歳となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 8.婚姻 2〕結婚生活に入ったときの夫妻の年齢
76 人獣共通感染症で蚊が媒介するのはどれか。
- Q熱
- 黄熱
- 狂犬病
- オウム病
- 重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉
② 黄熱
【▼ポイント】
人獣共通感染症は、動物由来感染症のうち、同一の病原体によりヒトとヒト以外の脊椎動物の双方が罹患する感染症である。黄熱はサル、ヒト、蚊を宿主とし、蚊によって媒介される。なお、重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉はマダニに咬まれることにより感染するダニ媒介感染症である。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 1.感染症対策
77 医療職や介護職の業務で法律に規定されているのはどれか。
- 介護福祉士は訪問看護ができる。
- 薬剤師は薬を処方することができる。
- 臨床検査技師は肘静脈から採血ができる。
- 看護師は病院の管理者となることができる。
- 診療放射線技師はエックス線写真に基づく診断ができる。
③ 臨床検査技師は肘静脈から採血ができる。
【▼ポイント】
×① 介護福祉士は訪問看護ができる。
訪問看護を行うことができる職種として、看護師、保健師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が認められている。
×② 薬剤師は薬を処方することができる。
薬剤師は、医師、歯科医師または獣医師が交付した処方箋によって調剤するもので、処方するものではない。
○③ 臨床検査技師は肘静脈から採血ができる。
臨床検査技師は、診療の補助として医師または歯科医師の指示の下に採血や検体採取、省令で定める生理学的検査を行う。
×④ 看護師は病院の管理者となることができる。
病院の管理者は、医業の場合は臨床研修等修了医師を、歯科医業の場合は臨床研修等修了歯科医師を当てなければならない。
×⑤ 診療放射線技師はエックス線写真に基づく診断ができる。
診療放射線技師は、放射線を人体に照射することを業とする者であり、診断を行うものではない。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者
81 精神科病院の閉鎖病棟に入院中の患者宛てに厚みのある封筒が届いた。差出人は記載されていなかった。
当日の看護師の対応で適切なのはどれか。
- 患者に渡さず破棄する。
- 患者による開封に立ち会う。
- 開封せず患者の家族に転送する。
- 看護師が開封して内容を確認してから患者に渡す。
- 退院まで開封せずにナースステーションで保管する。
② 患者による開封に立ち会う。
【▼ポイント】
精神保健指定医の判断による隔離や身体的拘束などの行動制限がある場合でも、信書の発受は決して制限できない。ただし、異物が入っていると疑われる場合(当問の場合は差出人が記載されていない厚みのある封筒のため)は、病院職員立ち会いの下、本人が開封し、異物を取り除くことがある。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者
83 児童相談所について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 国が設置する。
- 児童福祉司が配置されている。
- 母親を一時保護する機能を持つ。
- 知的障害に関する相談を受ける。
- 児童の保健について正しい衛生知識の普及を図る。
② 児童福祉司が配置されている。
④ 知的障害に関する相談を受ける。
【▼ポイント】
×① 国が設置する。
児童相談所は児童福祉の第一線機関として、都道府県・指定都市に設置が義務づけられている。
○② 児童福祉司が配置されている。
児童相談所には児童福祉司や児童心理司、小児科医など専門職員を配置する。
×③ 母親を一時保護する機能を持つ。
児童相談所では必要な場合、児童の一時保護や児童福祉施設への入所といった措置をとる。
○④ 知的障害に関する相談を受ける。
児童相談所では子どもに関する各種の相談に応じる。相談内容としては、養護相談、保健相談、障害相談、非行相談、育成相談などに分類されている。
×⑤ 児童の保健について正しい衛生知識の普及を図る。
保健所が、児童の保健について正しい衛生知識の普及を図る。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 3〕児童相談所
84 国際生活機能分類〈ICF〉の構成要素はどれか。2つ選べ。
- 参加
- 休息
- 社会的不利
- 生活関連動作
- 心身機能・構造
① 参加
⑤ 心身機能・構造
【▼ポイント】
国際生活機能分類〈ICF〉は、国際疾病分類〈ICD〉と並び、世界保健機関〈WHO〉が作成する中心分類である。ICDでは疾病ごとにコード化されているのに対し、ICFは「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」からなる生活機能と、それらに影響を及ぼす「環境因子」などの背景因子の項目で構成される。
【▼参照】
付録 疾病、障害及び死因の統計分類の解説
86 麻疹に関して正しいのはどれか。2つ選べ。
- 合併症として脳炎がある。
- 感染力は発疹期が最も強い。
- 効果的な抗ウイルス薬がある。
- 2回のワクチン定期接種が行われている。
- エンテロウイルスの感染によって発症する。
① 合併症として脳炎がある。
④ 2回のワクチン定期接種が行われている。
【▼ポイント】
麻疹は、高熱や、発症初期に頬粘膜に生じる白色の斑点(コプリック斑)、その後の耳後部から始まり体の下方へと広がる赤い発しんを特徴とする全身性ウイルス感染疾患で、主に空気感染が感染経路である。罹患するとまれに急性脳炎を発症し、精神発達遅滞などの重篤な後遺症が残る、または死亡することがある。生後12月から生後24月に至るまでの間にある者(一期)、小学校就学前の5歳以上7歳未満の者(二期)に定期予防接種が行われている。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 5〕風しん・麻しん
89 精神保健医療福祉に関する法律について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 自殺対策基本法に基づき自殺総合対策大綱が策定されている。
- 障害者基本法の対象は身体障害と精神障害の2障害と規定されている。
- 発達障害者支援法における発達障害の定義には統合失調症が含まれる。
- 精神通院医療の公費負担は精神保健福祉法による自立支援医療で規定されている。
- 犯罪被害者等基本法は犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目標としている。
① 自殺対策基本法に基づき自殺総合対策大綱が策定されている。
⑤ 犯罪被害者等基本法は犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目標としている。
【▼ポイント】
○① 自殺対策基本法に基づき自殺総合対策大綱が策定されている。
自殺対策基本法に基づき、政府には自殺総合対策大綱の策定を、都道府県や市町村には自殺対策計画の策定を義務づけている。
×② 障害者基本法の対象は身体障害と精神障害の2障害と規定されている。
障害者基本法の対象は身体障害、知的障害、精神障害(発達障害含む)その他の心身の機能の障害がある者で、障害・社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある者とされている。
×③ 発達障害者支援法における発達障害の定義には統合失調症が含まれる。
発達障害者支援法では、発達障害を広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)、学習障害、注意欠陥多動性障害など、通常低年齢で発症する脳機能の障害と定義している。
×④ 精神通院医療の公費負担は精神保健福祉法による自立支援医療で規定されている。
精神通院医療などの自立支援医療に係る公費負担は現在障害者総合支援法に規定されている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 6.自殺対策
90 災害拠点病院について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 広域災害医療に対応する。
- 災害発生時に指定される。
- 医療救護班の派遣機能を持つ。
- 免震構造であることが指定要件である。
- 救急救命士の配置が義務付けられている。
① 広域災害医療に対応する。
③ 医療救護班の派遣機能を持つ。
【▼ポイント】
災害拠点病院は都道府県が平時において指定し、災害時に重症患者などの受け入れや治療を行い、被災地へ医療チーム〈DMAT〉を派遣する。災害拠点病院の指定要件としては、DMATの保有・派遣体制を有すること、救命救急センターまたは二次救急医療機関であること、耐震構造を持つ施設であることなど多岐にわたり定められている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
午後
1 日本の令和3年(2021年)の死亡数はどれか。(改題)
- 約44万人
- 約84万人
- 約144万人
- 約184万人
③ 約144万人
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の死亡数は144.0万人である。なお、出生数は81.2万人(過去最低)であり、その差である自然増減数はマイナス62.8万人となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 3.死亡 1〕死亡の動向
2 令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査による40歳代男性の肥満者の割合に最も近いのはどれか。(改題)
- 20%
- 40%
- 60%
- 80%
② 40%
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の男性の肥満者(BMI≧25.0)の割合は、40歳代(39.7%)が最も多く、次いで50歳代(39.2%)となっている。こうした40歳代以降の内臓脂肪型肥満などメタボリックシンドロームに着目して、40~74歳の被保険者・被扶養者に特定健診・特定保健指導が実施されている。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 2〕生活習慣病の現状
3 光化学オキシダントの原因物質はどれか。
- ヒ素
- フロン
- 窒素酸化物
- ホルムアルデヒド
③ 窒素酸化物
【▼ポイント】
光化学オキシダントは、窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化合物(VOC)とが太陽光の作用により反応(光化学反応)して二次的に生成されるオゾンなどの強い酸化力を持った物質で、光化学スモッグの原因となり、粘膜への刺激や呼吸器への悪影響など人間の健康に悪影響を及ぼす。
【▼参照】
第9編4章 環境保全対策 1.大気汚染対策の動向 1〕大気汚染に係る環境基準
4 後期高齢者医療制度が定められているのはどれか。
- 医療法
- 健康保険法
- 高齢社会対策基本法
- 高齢者の医療の確保に関する法律
④ 高齢者の医療の確保に関する法律
【▼ポイント】
後期高齢者医療制度は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき平成20年度に開始した。被保険者は原則75歳以上の後期高齢者で、医療給付の自己負担は原則1割(一定以上の所得者2割、現役並み所得者3割)である。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 3.医療保険各制度の概要と現状 3〕後期高齢者医療制度
5 国際看護師協会〈ICN〉による看護師の倫理綱領における看護師の基本的責任はどれか。
- 疾病の回復
- 医師の補助
- 苦痛の緩和
- 薬剤の投与
③ 苦痛の緩和
【▼ポイント】
同綱領では、看護師の基本的な看護の責任として、①健康の増進、②疾病の予防、③健康の回復、④苦痛の緩和と尊厳ある死の推奨を挙げている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4〕医療関係者 4〕看護職員等
8 基礎代謝量が最も多い時期はどれか。
- 青年期
- 壮年期
- 向老期
- 老年期
① 青年期
【▼ポイント】
日本人の食事摂取基準(2020年版)で推定された基礎代謝量は、男性は15~17歳(1,610kcal/日)、女性は12~14歳(1,410 kcal/日)で最も高く、青年期以降は加齢に伴って低下していく。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2〕栄養・食生活
9 介護老人保健施設の設置目的が定められているのはどれか。
- 介護保険法
- 健康保険法
- 地域保健法
- 老人福祉法
① 介護保険法
【▼ポイント】
介護保険法に定める施設サービスとして、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院が規定されている。介護老人保健施設では、症状が安定期にある要介護者に対し、居宅での生活が営めるよう支援するため、看護、医学的管理の下における必要な医療や日常生活上の世話を行う。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 2〕介護給付
10 病床数300床以上の医療機関で活動する感染制御チームで適切なのはどれか。
- 医師で構成される。
- 各病棟に配置される。
- アウトブレイク時に結成される。
- 感染症に関するサーベイランスを行う。
④ 感染症に関するサーベイランスを行う。
【▼ポイント】
医療機関は平時から感染制御の組織化を行うこととされ、300床以上の病床を有する医療機関では医師、看護師、薬剤師、検査技師からなる感染制御チームを設置し、定期的な病棟ラウンドを行うことが望ましいとされる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
15 飛沫感染するのはどれか。
- 疥癬
- コレラ
- A型肝炎
- インフルエンザ
④ インフルエンザ
【▼ポイント】
×① 疥癬
疥癬はヒゼンダニを介したヒトとヒトとの接触感染が主である。
×② コレラ
コレラは汚染された飲食物の摂取による経口感染が主である。
×③ A型肝炎
A型肝炎は汚染された食品や水などを介した経口感染が主である。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策
16 水痘の症状はどれか。
- 耳下腺の腫脹
- 両頰部のびまん性紅斑
- 水疱へと進行する紅斑
- 解熱前後の斑状丘疹性発疹
③ 水疱へと進行する紅斑
【▼ポイント】
水痘は水痘帯状疱疹ウイルスにより引き起こされる感染症(感染症法上の5類感染症)で、典型的な症例では、発疹は紅斑(皮膚の表面が赤くなること)から始まり、水疱、膿疱(粘度のある液体が含まれる水疱)を経て痂皮化(かさぶたになること)して治癒するとされている。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策
21 Kaup〈カウプ〉指数の計算式はどれか。
- 体重(g)÷身長(cm)2×10
- 体重(g)÷身長(cm)3×104
- 体重(kg)÷身長(m)2
- (実測体重(kg)-標準体重(kg))÷標準体重(kg)×100
① 体重(g)÷身長(cm)2×10
【▼ポイント】
肥満度を評価する指数として、主に乳幼児に用いるカウプ指数(①)、学童期に用いるローレル指数(②)、成人に用いるBMI(③)がある。また、④は児童・生徒の肥満・痩身傾向児を判定する計算式である。
【▼参照】
第10編2章 学校保健の現状 1.学齢期の健康状況 3〕体格・体力
22 針刺し事故によって感染するのはどれか。
- RSウイルス
- B型肝炎ウイルス
- ヘルペスウイルス
- サイトメガロウイルス
② B型肝炎ウイルス
【▼ポイント】
B型肝炎ウイルスの感染経路としては血液感染、母子感染(垂直感染)、性行為感染があり、血液感染として医療現場での針刺し事故の可能性も残される。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 3〕ウイルス性肝炎
24 一次救命処置時の成人への胸骨圧迫の深さで適切なのはどれか。
- 2〜3cm
- 5〜6cm
- 8〜9cm
- 11〜12cm
② 5〜6cm
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)における心肺蘇生法では、呼吸を観察し、呼吸がない場合または死戦期呼吸の場合、胸骨圧迫30回(約5cm沈み込む強さ、100~120回/分の速さ)と人工呼吸2回の組み合わせによる処置を行う。なお、小児の場合は胸の厚さの3分の1が沈む強さとされる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
25 災害時に最も優先して治療を行うのはどれか。
- 脱臼
- 気道熱傷
- 足関節捻挫
- 過換気症候群
② 気道熱傷
【▼ポイント】
トリアージ(災害時等の治療優先度の決定)の際にはトリアージタグ(識別票)を利用し、傷病者の緊急度に応じて、優先順に赤(Ⅰ:重症群)、黄(Ⅱ:中等症群)、緑(Ⅲ:軽症群)、黒(0:死亡群)と分類する。気道熱傷は高温の煙や水蒸気、有毒ガスの吸入により生じる呼吸器系障害の総称で、選択肢のうち最も優先度が高く、赤に分類される。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 6〕災害時医療
30 配偶者暴力相談支援センターの機能はどれか。
- 一時保護
- 就労の仲介
- 外傷の治療
- 生活資金の給付
① 一時保護
【▼ポイント】
配偶者暴力相談支援センターは、通報などを受けて暴力被害者の相談や自立支援を行うほか、必要な場合には母子生活支援施設や民間シェルターへの一時保護を行っている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 5〕配偶者からの暴力の防止対策
31 施行日が最も新しい法律はどれか。(改題)
- 高齢社会対策基本法
- 高齢者の医療の確保に関する法律
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律
- 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律
④ 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律
【▼ポイント】
平成26年に成立・施行した、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」〈医療介護総合確保推進法〉は、団塊の世代が75歳以上になる令和7年(2025年)を目標に地域包括ケアシステムの構築、地域医療構想の策定などを定めている。①は平成7年、②は平成20年(後期高齢者医療制度の開始)、③は平成18年の施行である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 1.医療法 2.医療計画
【▼備考】
法律名の誤り、法律の順次施行日や改正施行日、名称が変わる以前の法律施行日などの捉え方の関係上、正解が得られないとして採点対象からは除外されている。
32 保健師助産師看護師法に定められているのはどれか。
- 免許取得後の臨床研修が義務付けられている。
- 心身の障害は免許付与の相対的欠格事由である。
- 看護師籍の登録事項に変更があった場合は2か月以内に申請する。
- 都道府県知事は都道府県ナースセンターを指定することができる。
② 心身の障害は免許付与の相対的欠格事由である。
【▼ポイント】
×① 免許取得後の臨床研修が義務付けられている。
免許取得後も、臨床研修等を受け、その資質の向上を図るように努めることとされる(義務ではない)。
○② 心身の障害は免許付与の相対的欠格事由である。
看護師免許付与における相対的欠格事由として、①罰金以上の刑に処せられた者、②医事に関し犯罪または不正の行為のあった者、③心身の障害により看護師の業務を適正に行うことができない者、④麻薬、大麻またはあへんの中毒者を規定している。
×③ 看護師籍の登録事項に変更があった場合は2か月以内に申請する。
登録事項に変更があった場合は、30日以内に厚生労働大臣に訂正を申請する。
×④ 都道府県知事は都道府県ナースセンターを指定することができる。
都道府県ナースセンターの指定等は、看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定される。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
35 病室環境に適した照度はどれか。
- 100〜200ルクス
- 300〜400ルクス
- 500〜600ルクス
- 700〜800ルクス
① 100〜200ルクス
【▼ポイント】
保健医療施設の照度は日本産業標準調査会のJIS規格により定められており、病室は全般で100ルクス、手術室は全般1,000ルクスで手術野は10,000~100,000ルクスなどとなっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5〕医療施設
37 職業病や労働災害の防止、より健康的な労働環境の確保および労働者の健康の向上を目的としている法律はどれか。
- 労働組合法
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働関係調整法
③ 労働安全衛生法
【▼ポイント】
労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成促進のため、労働衛生の3管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)を整備している。
【▼参照】
第8編 労働衛生 1.労働衛生行政のあゆみ 2〕労働安全衛生法の制定とその後
45 Aさん(80歳、女性)は、要介護となったため長男家族(長男50歳、長男の妻45歳、18歳と16歳の孫)と同居することとなった。在宅介護はこの家族にとって初めての経験である。
Aさんの家族が新たな生活に適応していくための対処方法で最も適切なのはどれか。
- 活用できる在宅サービスをできる限り多く利用する。
- 家族が持つニーズよりもAさんのニーズを優先する。
- 介護の負担が特定の家族に集中しないように家族で話し合う。
- 10代の子どもを持つ家族の発達課題への取り組みを一時保留にする。
③ 介護の負担が特定の家族に集中しないように家族で話し合う。
【▼ポイント】
同居の主な介護者の悩みやストレスの原因をみると「家族の病気や介護」が最も多く、こうした介護者の負担軽減のため、レスパイトケア(介護者の一時的な休息支援)の視点が重要である。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 10〕介護者・要介護者等の状況
46 平成29年(2017年)の就業構造基本調査における65歳以上75歳未満の高齢者の就業について正しいのはどれか。(改題)
- 女性では就業している者の割合は40%以上である。
- 就業していない者よりも就業している者の割合が多い。
- 就業していない者のうち40%以上が就業を希望している。
- 就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は成人期より多い。
④ 就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は成人期より多い。
【▼ポイント】
×① 女性では就業している者の割合は40%以上である。
65歳以上75歳未満の女性高齢者の有業率をみると、65~69歳は35.4%、70~74歳は21.6%となっている。
×② 就業していない者よりも就業している者の割合が多い。
65~69歳で有業者452万人・無業者540万人、70~74歳で有業者225万人・無業者は550万人となっており、65歳以上75歳未満では無業者の方が多い。
×③ 就業していない者のうち40%以上が就業を希望している。
65~69歳の無業者540万人のうち就業希望者は91万人(17%)、70~74歳の無業者550万人のうち就業希望者は60万人(11%)と、就業を希望しない者が多くを占めている。
○④ 就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は成人期より多い。
60歳を境に役員を除く非正規の職員・従業員比率は上昇している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 4〕高齢者の就労支援
50 学童期の肥満について正しいのはどれか。
- 肥満傾向児は肥満度30%以上と定義される。
- 肥満傾向児は高学年より低学年が多い。
- 肥満傾向児は男子より女子が多い。
- 成人期の肥満に移行しやすい。
④ 成人期の肥満に移行しやすい。
【▼ポイント】
×① 肥満傾向児は肥満度30%以上と定義される。
児童・生徒の肥満度・痩身度を判定する計算式として、(実測体重(kg)-標準体重(kg))÷標準体重(kg)×100が用いられ、肥満傾向児は肥満度20%以上とされる。
×② 肥満傾向児は高学年より低学年が多い。
肥満傾向児は高学年になるほど多くなる。例えば、令和2年度の学校保健統計調査では、小学校6歳で男5.9%・女5.2%、11歳で男13.3%・女9.4%となっている。
×③ 肥満傾向児は男子より女子が多い。
令和2年度の学校保健統計調査でみると、5~17歳までいずれの児童・生徒でも肥満傾向児の割合は男子が高い。
【▼参照】
第10編2章 学校保健の現状 1.学齢期の健康状況 3〕体格・体力
56 2人以上の精神保健指定医による診察結果の一致が要件となる入院形態はどれか。
- 応急入院
- 措置入院
- 医療保護入院
- 緊急措置入院
② 措置入院
【▼ポイント】
2人以上の精神保健指定医の診察が措置入院の要件である。なお、④緊急措置入院は、措置入院の対象ではあるが急速な入院の必要性があることが条件で、指定医の診察は1名で足りるが、入院期間は72時間以内に制限される。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
58 地域包括ケアシステムについて正しいのはどれか。
- 都道府県を単位として構築することが想定されている。
- 75歳以上の人口が急増する地域に重点が置かれている。
- 本人・家族の在宅生活の選択と心構えが前提条件とされている。
- 地域特性にかかわらず同じサービスが受けられることを目指している。
③ 本人・家族の在宅生活の選択と心構えが前提条件とされている。
【▼ポイント】
地域包括ケアシステムは、医療・介護・予防・福祉などの様々な生活援助サービスを、日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域の体制で、市町村や都道府県が地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて構築することとされる。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 6〕地域包括ケアシステム
59 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に基づいて、障害者が利用できるサービスはどれか。
- 育成医療
- 居宅療養管理指導
- 共同生活援助〈グループホーム〉
- 介護予防通所リハビリテーション
③ 共同生活援助〈グループホーム〉
【▼ポイント】
共同生活援助〈グループホーム〉は障害者総合支援法に定める障害福祉サービスの一つで、障害者に対して主に夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行う。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 6〕精神障害者福祉
61 医療の標準化を目的に活用されているのはどれか。
- コーピング
- クリニカルパス
- エンパワメント
- コンサルテーション
② クリニカルパス
【▼ポイント】
クリニカルパスは入院から退院までの検査や治療の工程を示した診療計画表で、院内で共有することで診療の標準化が期待される。なお、治療を受ける地域内の医療機関で共有して用いる地域連携クリニカルパスは、急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような全体的な診療計画をいう。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.医療計画
63 災害医療におけるトリアージについて正しいのはどれか。
- 傷病者を病名によって分類する。
- 危険区域と安全区域を分けることである。
- 医療資源の効率的な配分のために行われる。
- 救命が困難な患者に対する治療を優先する。
③ 医療資源の効率的な配分のために行われる。
【▼ポイント】
トリアージとは、大地震や大規模事故などにより大勢の傷病者が発生した際、限られた人的・物的医療資源の中で最大多数の傷病者に最善の医療を実施するため、傷病の緊急度と重症度により治療優先度を決めるものである。トリアージの際にはトリアージタグ(識別票)を利用し、傷病者の緊急度に応じて、優先順に赤(Ⅰ:最優先治療群・重症群)、黄(Ⅱ:非緊急治療群・中等症群)、緑(Ⅲ:軽処置群・軽症群)、黒(0:不処置群・死亡群)と分類している。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
64 国際保健に関する機関について正しいのはどれか。
- 国際協力機構〈JICA〉は国境なき医師団の派遣を行う。
- 国連開発計画〈UNDP〉は労働者の健康保護の勧告を行う。
- 世界保健機関〈WHO〉は国際疾病分類〈ICD〉を定めている。
- 赤十字国際委員会〈ICRC〉は国際連合〈UN〉の機関の1つである。
③ 世界保健機関〈WHO〉は国際疾病分類〈ICD〉を定めている。
【▼ポイント】
世界保健機関〈WHO〉は感染症対策や衛生統計の実施、国際疾病分類(ICD)等の基準づくり、保健分野における技術協力・研究開発など広範な活動を実施している。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 11.国際協力 12.世界保健機関(WHO)
66 公的年金制度について正しいのはどれか。
- 学生は申請によって納付が免除される。
- 生活保護を受けると支給が停止される。
- 保険料が主要財源である。
- 任意加入である。
- 積立方式である。
③ 保険料が主要財源である。
【▼ポイント】
×① 学生は申請によって納付が免除される。
20歳以上の本人の所得が一定以下の学生については、申請により在学中の保険料の納付が「猶予」される学生納付特例制度が設けられている。
×② 生活保護を受けると支給が停止される。
生活保護は厚生労働大臣が定める保護基準で計算される最低生活費と収入(年金収入含む)を比較し、収入が最低生活費に満たない場合、その差額が保護費として支給される。
○③ 保険料が主要財源である。
公的年金の特徴の一つとして、加入者が保険料を拠出し、年金給付を受ける社会保険方式が挙げられる。
×④ 任意加入である。
公的年金の特徴の一つとして、国民すべてが国民年金に加入する国民皆年金が挙げられる。
×⑤ 積立方式である。
公的年金の特徴の一つとして、現役世代の保険料負担で高齢世代の年金給付を支える賦課方式が挙げられる。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 1.公的年金
67 健康に影響を及ぼす生活環境とそれを規定している法律の組合せで正しいのはどれか。
- 上水道水質――汚濁防止法
- 飲食店――食品衛生法
- 家庭ごみ――悪臭防止法
- 学校環境――教育基本法
- 住宅用の建築材料――環境基本法
② 飲食店――食品衛生法
【▼ポイント】
食品衛生法は、食品等の事業者や営業者の責務や規格・基準、監視指導などを規定している。①は水道法、③は廃棄物処理法、④は学校保健安全法、⑤は建築基準法に規定している。
【▼参照】
各編各章
68 チェーンソーの使用によって生じるのはどれか。
- じん肺
- 視力低下
- 心筋梗塞
- 肘関節の拘縮
- Raynaud〈レイノー〉現象
⑤ Raynaud〈レイノー〉現象
【▼ポイント】
チェーンソー等の振動工具の使用に伴う身体局所に振動を与える業務による職業性疾病として、振動障害、レイノー(蒼白発作)現象(白ろう病)など手指や前腕の末梢循環障害、末梢神経障害、運動器障害が挙げられる。
【▼参照】
第8編 労働衛生 5.職業性疾病の予防対策 3〕その他の職業性疾病
84 児童憲章について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 児童がよい環境の中で育てられることを定めている。
- 児童の権利に関する条約を受けて制定された。
- 児童が人として尊ばれることを定めている。
- 保護者の責務を定めている。
- 違反すると罰則規定がある。
① 児童がよい環境の中で育てられることを定めている。
③ 児童が人として尊ばれることを定めている。
【▼ポイント】
昭和26年(1951年)に制定された児童憲章では、①児童は人として尊ばれる、②児童は社会の一員として重んぜられる、③児童はよい環境の中で尊ばれることを理念として宣言している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 1〕子どもの権利等のあゆみ
88 精神医療におけるピアサポーターの活動について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 訪問活動は禁止されている。
- 活動には専門家の同行が条件となる。
- ピアサポーター自身の回復が促進される。
- 精神保健医療福祉サービスの利用を終了していることが条件となる。
- 自分の精神障害の経験を活かして同様の体験をしている人を支援する。
③ ピアサポーター自身の回復が促進される。
⑤ 自分の精神障害の経験を活かして同様の体験をしている人を支援する。
【▼ポイント】
ピアサポートは当事者同士の支え合いをいい、同様の精神障害や疾病を抱えている者同士が自らの体験に基づいて支援し合い、問題解決や地域における交流・社会参加につなげていく。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健
対応外必修問題
午前7 第二次性徴による身体の変化で正しいのはどれか。
- 精通
- 体重減少
- 内臓脂肪の増加
- 第1大臼歯の萌出
① 精通
【▼ポイント】
思春期に起こる第二次性徴では、男子で精通(初めての射精)がみられ、中学3年生ころには半数以上が経験するとされる。
午前11 大動脈に血液を送り出す部位はどれか。
- 左心室
- 右心室
- 左心房
- 右心房
① 左心室
【▼ポイント】
左心室は大動脈を通じて全身に血液を送り、大静脈を通じて右心房に至る(体循環)。右心房から右心室に送り出された血液は、肺動脈を通じて肺に送られ、肺静脈を通じて左心房に至る(肺循環)。
午前12 喀血が起こる出血部位で正しいのはどれか。
- 頭蓋内
- 気道
- 食道
- 胆道
② 気道
【▼ポイント】
喀血は咳とともに血液が吐き出されるもので、主に気道や肺胞などの呼吸器の出血による。泡沫状の喀痰や鮮紅色の血液は喀血の特徴であり、食道や胃、十二指腸等の出血による吐血とは区別される。
午前13 胸痛を訴えるのはどれか。
- 髄膜炎
- 腎結石
- 急性心筋梗塞
- Ménière〈メニエール〉病
③ 急性心筋梗塞
【▼ポイント】
急性心筋梗塞は虚血性心疾患の一つであり、急激に冠動脈が完全に詰まることで血流が阻害される。主な症状としては、突然胸が締め付けられる強い痛みが挙げられる。
午前14 小脳失調でみられるのはどれか。
- 下肢の麻痺が認められる。
- 姿勢保持が困難になる。
- 血圧が不安定になる。
- 体がこわばる。
② 姿勢保持が困難になる。
【▼ポイント】
小脳は姿勢や運動の制御など、運動調節機能をつかさどっている。そのため、小脳の機能障害である小脳失調では、姿勢保持の困難(体幹バランスの崩れ)や運動失調がみられる。
午前16 目的とする効果が安定して発現するまでに最も時間がかかる薬はどれか。
- 睡眠薬
- 鎮痛薬
- 抗うつ薬
- 抗血栓薬
③ 抗うつ薬
【▼ポイント】
うつ病に対する抗うつ薬は、効果が発現したと評価されるまでに、薬の種類、個人差はあるものの数週間の長期間を要する。また、うつ病の改善後も再発を防ぐために投薬を継続する必要がある。
午前18 自力での摂取が困難な臥床患者の食事介助で適切なのはどれか。
- 水分摂取の介助を控える。
- 仰臥位の姿勢を保持するよう介助する。
- 食事内容が見える位置に食器を配置する。
- 患者の下顎が上がるよう上方からスプーンで介助する。
③ 食事内容が見える位置に食器を配置する。
【▼ポイント】
臥床患者の食事介助時には、誤嚥や胃食道逆流を防止するために、半坐位(ファウラー位)など上半身を上げ(②)、頸部を前屈(顎を下げ)させて(④)、適度な水分摂取の介助(①)の上で行うことが望ましい。
午前19 足浴の効果で最も期待されるのはどれか。
- 食欲増進
- 睡眠の促進
- 筋緊張の亢進
- 皮膚温の低下
② 睡眠の促進
【▼ポイント】
足浴は全身浴と比べて心臓への負担が少なく、血行や睡眠の促進効果が認められる。湯の適温は体温より少し高い38〜40℃程度とされる。
午前22 点滴静脈内注射中の刺入部位の腫脹を確認したときに、最初に実施するのはどれか。
- 体位を変える。
- 注入を中止する。
- 刺入部位を挙上する。
- 周囲のマッサージを行う。
② 注入を中止する。
【▼ポイント】
点滴静脈内注射の際に、刺入部位の腫脹や疼痛、発赤などが生じた場合、血管外漏出の初期症状である。周辺組織の炎症や壊死につながり、重症化するおそれもあるため、直ちに注入を中止する必要がある。
午前23 成人患者の気管内の一時的吸引における吸引圧で正しいのはどれか。
- -100〜-150mmHg
- -200〜-250mmHg
- -300〜-350mmHg
- -400〜-450mmHg
① -100〜-150mmHg
【▼ポイント】
気管内吸引では、気管の粘膜を傷つけないために吸引圧は-100〜-150mmHgに調整し、挿入開始から終了までは、低酸素血症、動脈血酸素飽和度〈SaO2〉の低下をきたさないために15秒以内に行う。
午前24 包帯法の原則として適切なのはどれか。
- 患部を強く圧迫する。
- 屈伸可能な関節は固定する。
- 中枢から末梢に向けて巻く。
- 使用部位によって包帯を使い分ける。
④ 使用部位によって包帯を使い分ける。
【▼ポイント】
使用部位や創部の程度、用途に応じて、伸縮包帯や弾性包帯などを使い分ける。①血流を阻害しないため患部は強く圧迫せず、②屈伸可能な関節は固定せず、③静脈の環流を妨げないよう末梢から中枢に向かって巻く。
午前25 経腟分娩の正常な経過で最初に起こるのはどれか。
- 発露
- 排臨
- 胎盤の娩出
- 児頭の娩出
- 子宮口の全開大
⑤ 子宮口の全開大
【▼ポイント】
分娩は第1期から第4期の経過に分かれ、第1期は陣痛開始から子宮口全開大まで、第2期は子宮口全開大から胎児娩出まで(発露、排臨含む)、第3期は胎児の娩出から胎盤の娩出まで、第4期は分娩後2時間をいう。
午後6 肺サーファクタントの分泌によって胎児の肺機能が成熟する時期はどれか。
- 在胎10週ころ
- 在胎18週ころ
- 在胎26週ころ
- 在胎34週ころ
④ 在胎34 週ころ
【▼ポイント】
在胎26週ころに肺胞などの肺構造が完成し、在胎34週ころに肺表面活性物質(肺サーファクタント)が十分に分泌されることで、胎児の肺機能が成熟する。なお、妊娠34週未満の早産児は肺サーファクタントの生成不足により呼吸窮迫症候群〈RDS〉が起こりやすい。
午後7 入院患者の与薬時に誤認を防止するために確認するのは患者の名前とどれか。
- 診察券
- お薬手帳
- 健康保険証
- ネームバンド
④ ネームバンド
【▼ポイント】
患者の誤認を防止するため、名前(フルネーム)の聞き取りや、入院時から付ける患者識別バンド(ネームバンド)により、本人の確認・照合を行う。
午後11 神経伝達物質はどれか。
- アルブミン
- フィブリン
- アセチルコリン
- エリスロポエチン
③ アセチルコリン
【▼ポイント】
神経伝達物質は、シナプスを介在し、神経細胞間の情報伝達を行う化学物質で、アセチルコリンは副交感神経や運動神経に働く神経伝達物質である。
午後12 キューブラー・ロス, E.による死にゆく人の心理過程で第2段階はどれか。
- 死ぬことへの諦め
- 延命のための取り引き
- 死を認めようとしない否認
- 死ななければならないことへの怒り
④ 死ななければならないことへの怒り
【▼ポイント】
キューブラー・ロスは、死にゆく人の心理の変化を、①否認と孤立、②怒り、③取引、④抑うつ、⑤受容の5段階で捉え、自己防衛的態度から死の受容までのモデルを示した。
午後13 下血がみられる疾患はどれか。
- 肝囊胞
- 大腸癌
- 卵巣癌
- 腎盂腎炎
② 大腸癌
【▼ポイント】
下血は、出血した臓器の血液成分が肛門から排泄されることをいう。大腸癌では癌の進行に伴い、下血や血便などの症状がみられ、大腸癌検診(便潜血検査等)により早期発見が図られている。
午後14 無尿の定義となる1日の尿量はどれか。
- 0mL
- 100mL未満
- 400mL未満
- 700mL未満
② 100mL未満
【▼ポイント】
成人の1日平均尿量は1,000mL~1,500mLで、②100mL未満は無尿、③400mL未満は乏尿とされる。
午後17 血漿と等張のブドウ糖溶液の濃度はどれか。
- 5%
- 10%
- 20%
- 50%
① 5%
【▼ポイント】
5%ブドウ糖液や生理食塩液(0.9%塩化ナトリウム)は、血漿と浸透圧がほぼ等しい等張液である。
午後18 ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉で「刺激しても覚醒せず痛み刺激に対して払いのけるような動作をする」と定義されるのはどれか。
- Ⅰ-3
- Ⅱ-20
- Ⅲ-100
- Ⅲ-300
③ Ⅲ-100
【▼ポイント】
意識レベルを評価するジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉では、覚醒の程度に応じて、意識清明の0、刺激しなくても覚醒している状態であるⅠ桁(1・2・3)、刺激すると覚醒する状態であるⅡ桁(10・20・30)、刺激しても覚醒しない状態であるⅢ桁(100・200・300)に分類している。Ⅲ- 100は痛み刺激に対して払いのける動作をする、Ⅲ- 300は痛み刺激にも反応しない。
午後19 グリセリン浣腸を実施する際、腸管孔の危険性が最も高い体位はどれか。
- 立位
- 仰臥位
- 腹臥位
- 左側臥位
① 立位
【▼ポイント】
グリセリン浣腸は腸管の蠕動を促し、排泄を促進させる。直腸穿孔の危険性があるため、立位による浣腸は危険であり、左側臥位による5~6cm程度のチューブ挿入を実施する。
午後20 体位を図に示す。

Sims〈シムス〉位はどれか。
①
【▼ポイント】
Sims〈シムス〉位は、特に妊娠中の安楽体位として用いられる。②は左側臥位、③は半側臥位、④は腹臥位である。
午後23 氷枕の作り方で適切なのはどれか。
- 氷を隙間なく入れる。
- 濡れたタオルで覆う。
- 内部の空気は残しておく。
- 水漏れがないことを確認する。
④ 水漏れがないことを確認する。
【▼ポイント】
氷枕は冷罨法で用いられ、局所の炎症の抑制や解熱などの効果がある。作成にあたり、①氷は半分程度にする、②乾いたタオルで巻く、③内部の空気は抜く、④水漏れがないことを確認する。
資料 厚生労働省「第103回保健師国家試験、第100回助産師国家試験、第106回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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