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第106回保健師国家試験問題・正答-国民衛生の動向対応 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第106回保健師国家試験問題・正答-国民衛生の動向対応

令和2年2月14日実施の第106回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

Eisei22 23 hyo    厚生の指標増刊

国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

ご注文は書店、または下記ネット書店、電子書籍をご利用下さい。

 

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第106回保健師国家試験目次

 

 

第106回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前2

親による子への虐待発生の可能性を高める要因はどれか。

 

  1. 高齢出産
  2. 経済的問題
  3. 共働き世帯
  4. 祖父母が同居する世帯

 

 


 

▶午前3

保健師は、住民が自分の生活を振り返り、必要な情報を集め、自己決定できることを目指した健康教育を実施した。
この健康教育の参加者の行動変容に関係するのはどれか。

 

  1. リスクコミュニケーション
  2. コンプライアンス
  3. ヘルスリテラシー
  4. リーダーシップ

 

 


 

▶午前4

Aさん(78歳、女性)。1人暮らし。別居する息子から「最近、母は買い物以外は外出せず、物忘れもひどくなっているようだ。どうしたらよいか」と、市の保健センター保健師に相談があった。保健師が状況把握を目的に息子と一緒に初回訪問をしたところ、Aさんに「私は何も困っていないし、家事も全部できている。来ないでほしい」と言われた。
息子への保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「Aさんとの同居を検討しましょう」
  2. 「近隣の住民に見守りを依頼しましょう」
  3. 「Aさんが医療機関を受診できるよう一緒に考えましょう」
  4. 「Aさんの意思を尊重して保健師の訪問は控えたいと思います」

 

 


 

▶午前5

市のがん検診の受診率が伸びないため、事業担当保健師は、受診率向上に向けた取り組みを検討している。
最も効果的な取り組みはどれか。

 

  1. 広報誌による受診勧奨
  2. 医療機関でのポスターの掲示
  3. がん予防に関する講演会の開催
  4. 未受診者への個別通知による受診の再勧奨

 

 


 

▶午前6改題

平成22年(2010年)と比較した令和3年(2021年)の日本の性感染症の状況はどれか。2つ選べ。

 

  1. 10代の梅毒患者数が増加している。
  2. HIV感染者の療養期間が短くなっている。
  3. 新規HIV感染は異性間性的接触が最も多い。
  4. 性器ヘルペスウイルス感染症の定点報告数が増加している。

 

 


 

▶午前7

コミュニティ・アズ・パートナーモデルによって地域アセスメントを行う際に、コミュニティコアに含まれるデータはどれか。

 

  1. 失業率
  2. 緑地面積
  3. 医療機関数
  4. 地域の人口

 

 


 

▶午前8

市の保健師は地域アセスメントを行うために量的データの分析を行った。
分析疫学を用いているのはどれか。

 

  1. 高齢者の世帯形態別人数表
  2. 高齢化率の地理的分布を色分けした地図
  3. 年間出生数の過去10年間の経時的変化の折れ線グラフ
  4. 出産時の母親の年齢区分別と訪問時のエジンバラ産後うつ病質問票〈EPDS〉の得点分布のクロス集計表

 

 


 

▶午前9

自治体の保健師が地域の健康課題を解決するために新たな事業を計画・実施していくプロセスで適切なのはどれか。

 

  1. 費用対効果を考慮する。
  2. 評価指標は事業の実施後に決める。
  3. 自治体の施策体系と独立して位置付ける。
  4. 住民のニーズは事業を実施しながら把握する。

 

 


 

▶午前10

市保健センターの健康相談に来所した女性(70歳)から「最近、おりものに血が混じっている。どこに行けばよいか」と相談があった。閉経は55歳だと言う。
市の保健師がこの女性に勧めるのはどれか。

 

  1. 婦人科の受診
  2. 泌尿器科の受診
  3. 市の子宮がん検診の受診
  4. 母子健康包括支援センターへの相談

 

 


 

▶午前11

Aさん(92歳、女性)。1人暮らし。近所と良好な関係を築いていた。1か月前から姿を見せなくなったため、近隣者がAさんの自宅を訪ねた。Aさんはどこも悪くないと言うが、近隣者は不安を感じて、地域包括支援センターに連絡した。
近隣者への保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「一緒にAさん宅へ行きましょう」
  2. 「民生委員に連絡を取ってみます」
  3. 「地域包括支援センターで対応します」
  4. 「Aさんの主治医に連絡を取ってみます」

 

 


 

▶午前12

難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に基づく指定難病で正しいのはどれか。

 

  1. 治療方法が確立している。
  2. 発病の機構が明らかである。
  3. 客観的な指標による一定の診断基準が定まっている。
  4. 患者数が日本の人口のおおむね百分の一程度に相当する。

 

 


 

▶午前13

感染症サーベイランスで、医療機関、保健所、都道府県を経て厚生労働省に報告されるのはどれか。

 

  1. 積極的疫学調査
  2. 感染症発生動向調査
  3. 感染症流行予測調査
  4. 院内感染サーベイランス事業

 

 


 

▶午前14

2か月前に発生した大規模災害後に設置された仮設住宅を巡回訪問中の保健師に、Aさん(16歳、高校生)の母親から、娘が登校中に被災し、被災後3週から不眠を訴え、泣いたり怒鳴ったり感情の起伏が激しく、ほとんど部屋から出ず、学校に行かないため心配だとの相談があった。訪問時は、Aさんには会えなかった。
保健師が行う母親への助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「このまま見守りましょう」
  2. 「精神科医に相談しましょう」
  3. 「学校のカウンセラーに相談しましょう」
  4. 「被災時にどのような体験をしたのか聞いてみましょう」

 

 


 

▶午前15

自治体で働く保健師が、新任期1年目から担う管理機能はどれか。

 

  1. 人材管理
  2. 人事管理
  3. 地区管理
  4. 組織運営管理

 

 


 

▶午前16

市町村保健師が家庭訪問時に知り得た個人情報の取り扱いで正しいのはどれか。

 

  1. 地域保健法に基づき個人情報を取り扱う。
  2. 記録の廃棄は担当保健師に一任されている。
  3. 記録は担当保健師の机の鍵付引き出しに保管する。
  4. 人の生命の保護のために必要であって、本人の同意を得ることが困難な場合は本人以外に提供できる。

 

 


 

▶午前17

A市保健センターの新たな事業として、B地区で発達障害児の子育て教室を実施することになった。
教室を開始する際の組織の在り方で適切なのはどれか。

 

  1. 障害福祉部門の保健師の役割は障害福祉部門が決める。
  2. B地区担当以外の職員は事業開始後から携わる。
  3. A市保健センター長が活動目標を設定する。
  4. 地区担当保健師の地区活動と連動させる。

 

 


 

▶午前18

がんと危険因子の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 胃がん――高塩分食
  2. 肺がん――運動不足
  3. 乳がん――ヘリコバクター・ピロリ
  4. 肝臓がん――ヒトパピローマウイルス

 

 


 

▶午前19

健康寿命の都道府県格差を評価するための指標で適切なのはどれか。

 

  1. 範囲
  2. 最頻値
  3. 中央値
  4. 幾何平均

 

 


 

▶午前20

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく精神保健福祉センターで正しいのはどれか。

 

  1. 設置主体は市町村である。
  2. 地域生活支援事業を実施する。
  3. 社会復帰の促進のための啓発活動を行う。
  4. 自立支援医療(精神通院医療)の申請窓口である。

 

 


 

▶午前21

行政機関におけるアカウンタビリティで適切なのはどれか。

 

  1. 母子保健計画の中間評価を市のホームページで公開した。
  2. 新しい健康づくり計画の素案について市民から意見を求めた。
  3. 地域包括支援センターの運営業務を社会福祉法人へ委託した。
  4. 市のホームページをカラーユニバーサルデザインに基づく構成に変更した。

 

 


 

▶午前22

児童虐待を防止するため、平成28年(2016年)に改正された児童虐待防止対策の充実に向けた児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉及び児童福祉法の内容で正しいのはどれか。

 

  1. 児童の安全確認のための立ち入り調査の強化
  2. しつけに際して必要な範囲を超えた懲戒の禁止
  3. 地方公共団体の要保護児童対策地域協議会設置の努力義務化
  4. 市町村等における児童虐待を受けたと思われる児童の安全確認の義務化

 

 


 

▶午前23

介護保険法に基づく地域包括支援センターの基本機能で正しいのはどれか。

 

  1. 介護予防ケアマネジメント
  2. 高齢者の住まいの整備
  3. 要介護認定の実施
  4. 福祉用具の貸与

 

 


 

▶午前24

災害対策基本法施行令に規定される福祉避難所の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 都道府県知事が指定する。
  2. 所得に応じて利用費が発生する。
  3. 負傷者の救護活動が目的である。
  4. 特別な配慮を必要とする者が利用できる。

 

 


 

▶午前25

ソーシャルサポートにおける道具的(手段的)サポートはどれか。

 

  1. 称賛する。
  2. 愛情を伝える。
  3. 家事を手伝う。
  4. 情報提供する。
  5. アドバイスする。

 

 


 

▶午前26

健康増進法に基づきA市が策定した第2次健康増進計画の見直しを、住民と一緒に行うことにした。
計画の見直しを担当するA市の保健師が最初に行うのはどれか。

 

  1. 住民から要望を聞く。
  2. 長期的な目的と目標を考える。
  3. 他市の健康増進計画について情報収集する。
  4. 保健師や他の専門職を集めた会議を開催する。
  5. 現計画の実施で明らかになった健康課題をまとめる。

 

 


 

▶午前27

疾病のスクリーニングの要件で正しいのはどれか。

 

  1. 疾病の自然史が不明でも対象になる。
  2. 無症状の期間が無い疾病が対象となる。
  3. 治療方法が確立していなくても対象となる。
  4. 検査方法が、対象者より検者に受け入れやすい。
  5. スクリーニング陽性者の確定診断の手技が確立している。

 

 


 

▶午前28

A市の2地区間で、喫煙率が異なると予想して両地区で喫煙状況に関する標本調査を行った。統計学的検定を行い「仮説B:2地区の母喫煙率は等しい」が棄却されたので、2地区の喫煙率には有意差があると判断した。
仮説Bはどれか。

 

  1. 閾値仮説
  2. 帰無仮説
  3. 研究仮説
  4. 対立仮説
  5. 直線仮説

 

 


 

▶午前29

人口動態統計で、人口1,000対で表すのはどれか。

 

  1. 出生率
  2. 純再生産率
  3. 総再生産率
  4. 周産期死亡率
  5. 合計特殊出生率

 

 


 

▶午前30

全国から無作為抽出された世帯及び世帯員を対象として行われる調査はどれか。

 

  1. 患者調査
  2. 人口動態調査
  3. 食中毒統計調査
  4. 学校保健統計調査
  5. 国民生活基礎調査

 

 


 

▶午前31

平成25年(2013年)に改正された「地域における保健師の保健活動に関する指針」に示された都道府県保健所等に所属する保健師の活動はどれか。2つ選べ。

 

  1. 広域的・専門的な保健サービスの提供
  2. 住民の主体的な健康づくり支援
  3. ボランティア組織の育成支援
  4. 市町村保健師の業務の補助
  5. 健康危機への体制づくり

 

 


 

▶午前32

小児を対象にした麻しんと風しんの定期予防接種に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 1期と2期がある。
  2. 生ワクチンである。
  3. 1期には3回接種する。
  4. 1歳未満が対象である。
  5. 抗体価が低い場合に接種する。

 

 


 

▶午前33改題

児は、在胎31週1,700gで出生。NICU入室後、6週で退院した。1歳6か月児健康診査後に医療機関で軽度脳性麻痺と診断され、下肢の補装具を作成した。
出生以降に児が利用できる助成・制度を規定するのはどれか。3つ選べ。

 

  1. 児童福祉法
  2. 母子保健法
  3. 身体障害者福祉法
  4. 発達障害者支援法
  5. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉

 

 


 

▶午前34

学校保健活動で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 保健教育は学習指導要領を踏まえて行う。
  2. 定期の学校環境衛生検査は学校医が従事する。
  3. 就学時の健康診断は学校の設置者が実施する。
  4. 学校における救急処置は応急的なものである。
  5. 学校安全計画は学校保健計画に含めて策定する。

 

 


 

▶午前35

労働安全衛生マネジメントシステムで正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 産業医が安全衛生計画を策定する。
  2. 定期的なシステム監査を実施する。
  3. 総括安全衛生管理者が事業場の安全衛生方針を表明する。
  4. 従業員数50人以上の事業場での実施が義務付けられている。
  5. 事業場における安全衛生水準の向上を図ることを目的とする。

 

 


 

▶午前36

業務上取り扱う物質で、労働安全衛生法に基づき健康管理手帳の交付対象となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 石綿
  2. ベンゼン
  3. カドミウム
  4. トリクロロエチレン
  5. 1,2-ジクロロプロパン

 

 


 

▶午前37

労働者におけるハラスメントの防止措置を規定しているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 介護保険法
  2. 健康増進法
  3. 労働基準法
  4. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉
  5. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉

 

 


 

▶午前38

高齢者が入所している施設で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎症状が複数の入所者と職員に発生している。
施設が行うべき感染拡大防止のための対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 発症者と未発症者で居室を分ける。
  2. 入所者に提供する食事は十分に加熱する。
  3. 発症者の嘔吐物は十分に乾燥させてから清掃する。
  4. 手指の消毒に次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する。
  5. 発症した食品調理従事者の業務への復帰は胃腸炎症状が消失した日からとする。

 

 


 

▶午前39改題

生活保護制度で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 生活扶助は現金給付である。
  2. 分娩費用は医療扶助である。
  3. 被保護人員は増加傾向である。
  4. 被保護世帯には障害者世帯が最も多い。
  5. 最低限度の生活を保障することが目的に含まれている。

 

 


 

▶午前40

がん登録等の推進に関する法律〈がん登録推進法〉で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. がん診療連携拠点病院を2次医療圏に整備する。
  2. がん登録届出の際は患者の同意が必要である。
  3. がんの罹患に関する情報のデータベース化は国が行う。
  4. 全国がん登録データベースは一般に公開されている。
  5. 病院には罹患情報の届出義務がある。

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

Aさん(44歳、女性)。特定健康診査の結果は、身長156cm、体重72kg。BMI29.6。腹囲93cm。血圧135/85mmHg。空腹時血糖95mg/dL、HDLコレステロール38mg/dL、中性脂肪160mg/dL。喫煙歴はない。特定健康診査の結果、特定保健指導の対象であると説明したところ「運動は嫌いだし、保健指導は必要ない」と言っていたが、保健師の働きかけで初回面接を行うことができた。初回面接では、保健師はAさんの行動変容ステージを無関心期であると判断し、Aさんの思いを受け止めながら、検査結果の示す意味を説明した。

 

▶午前41

Aさんから得る情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 食事の好み
  2. 1日の運動量
  3. 過去10年間の体重
  4. 将来の自分の健康についての考え

 

 


 

▶午前42

初回面接で、Aさんから「1か月に1kgの体重減少を目標に、食事と運動の改善に取り組んでみたい」という発言が聞かれ、間食を減らして毎日8,000歩を目標に歩くこととした。初回面接から2週後に電話連絡したところ、Aさんは「間食はしていないし、ご飯は小さなお茶碗に変えて1杯だけに減らしている。なかなか毎日8,000歩は歩けない。体重はあまり変わらない。こんな自分はだめだ」と話した。
この時の保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 急に体重は減らないと話す。
  2. スポーツジムに通うことを提案する。
  3. 食事と運動を併せて取り組む必要性を話す。
  4. 自主的にご飯の量を減らしている努力を認める。

 

 


 

▶午前43

6か月後の最終評価面接では、体重66kg、腹囲85cmであり、Aさんは「何度もやめたくなったが、なんとか続けられた」と話した。
Aさんは、翌年の特定健康診査を受診し、身長156cm、体重67kg。BMI27.9。腹囲86cm。血圧130/80mmHg。空腹時血糖90mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL、中性脂肪142mg/dLという結果であった。
この時のAさんの状態はどれか。

 

  1. 情報提供レベル
  2. 動機づけ支援レベル
  3. 積極的支援レベル
  4. 医療機関への受診勧奨レベル

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

人口12万人のA市のB地区。1980年代に開発された新興住宅地で、市全体の出生は緩やかに減少し、高齢化が進行している。
B地区では月2回、民生委員3名と地区内のボランティア7名をスタッフとして、地区の乳幼児とその保護者を対象とした育児サロンが10年ほど前から開催されている。地区担当保健師は2〜3か月ごとにサロンに参加し、参加者やスタッフの相談に応じている。

 

▶午前44

ある日、民生委員のCさんから「最近加わったスタッフから、『保護者にどう声かけして良いか自信がなくて不安だ』という声を聞いた。民生委員としてどうしたら良いだろうか」と保健師に相談があった。
保健師がCさんに提案する内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「慣れるまで見守りましょう」
  2. 「個別にCさんの経験を伝えてください」
  3. 「スタッフ間で保護者への関わり方を振り返る機会を設けましょう」
  4. 「自信のないスタッフは無理に出席しなくて良いことを伝えてください」

 

 


 

▶午前45

地区担当保健師が参加した日のサロンで、参加していた保護者から災害時の不安に関する訴えが聞かれたことが発端で、B地区でも防災に向けた対策をみんなで考えていくことが必要ではないかという声が多く聞かれた。保健師は、この機会をB地区の防災対策の促進につなげようと考えた。
地区担当保健師がB地区に対して行う支援で適切なのはどれか。

 

  1. B地区の要配慮者の確認を提案する。
  2. B地区の防災リーダーを担う。
  3. 消防団への加入を勧める。
  4. 地区防災計画を作成する。

 

 


 

▶午前46

1年後、それまでA市役所の職員健康管理を担当していた3年目の保健師のDさんがこの保健センターに異動となり、初めて地区担当保健師としてB地区を担当することになった。Dさんの上司である保健師は、Dさんの地区活動に関する職場内研修〈OJT〉を計画した。
職場内研修〈OJT〉に活用する業務で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 育児サロンの事業評価
  2. 地区担当保健師の自主勉強会の企画
  3. B地区に関する人口統計指標の分析
  4. 地区の困難事例検討会に助言者として出席
  5. 県内の新任期の保健師を対象とした研修会の参加

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

Aさん(25歳、初妊婦)。夫(25歳、会社員)と暮らしている。妊娠中に胎児の異常を認め、Fallot〈ファロー〉四徴症と診断された。Aさんは、総合周産期母子医療センターで帝王切開術にて2,500gのBちゃんを出産した。Aさんは産後1週で退院した。

 

▶午前47

産後2週、Aさんは保健所を訪れ「病院から言われて、Bの医療費が助成される制度の手続きに来ました」と話した。
Bちゃんに適用されるのはどれか。

 

  1. 自立支援医療(更生医療)
  2. 小児慢性特定疾病医療費
  3. 未熟児養育医療
  4. 療育医療

 

 


 

▶午前48

Aさんから保健所に「Bは2か月間の入院の後、先週退院した」と連絡があり、翌日保健師が家庭訪問した。主治医から、月に1回外来を受診するよう指導を受けている。Aさんは「体重が6kg以上に増えるのを目途に手術をするといわれていますが、まだ3kgを超えたところです。家に帰ってきてからあまりミルクを飲んでくれず、泣いてばかりいるので困っています」と話した。
保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「ミルクを濃くして飲ませましょう」
  2. 「1回の哺乳時間を長くとりましょう」
  3. 「授乳毎に体重を測って確認しましょう」
  4. 「泣いた時は早めに抱きかかえてあやしましょう」

 

 


 

▶午前49

Bちゃんは2歳までに3回の心臓手術を受け、それ以降は合併症もなく過ごしている。Bちゃんは4歳になり、年1回の経過観察となっている。半年後、Aさんは保健所に来所し「Bを来年から幼稚園に入れようと思い、主治医にも問題ないと言われたので近くの幼稚園に見学に行った。でも、みんな元気いっぱいで、Bが入園してやっていけるのか不安になった」と話した。
この時のAさんへの保健師の助言で適切なのはどれか。

 

  1. 心疾患の児を持つ親の会に参加することを勧める。
  2. 病児・病後児保育事業ができる保育所を紹介する。
  3. セカンドオピニオンを受けることを勧める。
  4. 入園時期を遅らせることを提案する。

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

大規模災害が発生し、市内に避難所が開設された。
被災後3日、A避難所には300人が避難しており、市保健師1人が配置されている。Bさん(85歳、男性)は、脳梗塞の既往があり、右片麻痺で杖歩行である。要介護1の認定を受けている。Bさんの妻が「夫はトイレが心配で、ほとんど眠れていないようです。そのせいか時々私のことが分からなくなります」と保健師に話した。

 

▶午前50

Bさん夫婦に保健師が勧める内容で適切なのはどれか。

 

  1. 福祉避難所への移動
  2. パンツ型おむつの利用
  3. 特別養護老人ホームへの入所
  4. A避難所内のトイレに近い場所への移動

 

 


 

▶午前51

被災後7日、A避難所の避難者は200人となった。日中は自宅の片付けに出かける者もいるが、身体活動が少なく横になっている高齢者も多い。A避難所担当の保健師は、避難者名簿、避難所生活のスケジュール表を作成し、健康支援を行うこととした。
この時の保健師の対応で優先されるのはどれか。

 

  1. 炊き出しメニューの工夫
  2. 避難者全員の睡眠状況の確認
  3. 整形外科医による健康教育の依頼
  4. 深部静脈血栓症〈DVT〉の予防体操の実施

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(79歳、女性)。夫(80歳)と2人暮らし。腰痛があり2年前から整形外科に通院している。Aさんは、市役所の高齢福祉課の窓口に朝から2時間以上座っていた。高齢福祉課のB保健師がAさんに声をかけたところ、Aさんは「何をしに来たか忘れた。どうしようかしら」と話した。B保健師はAさんに了解を得て夫に迎えに来てもらい、夫から話を聞いた。夫はAさんについて「普段と変わった様子はなく、日々の生活で困っていることもない」と困惑した表情で話す。

 

▶午前52

Aさんの夫に対するB保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. かかりつけ医に相談するように促す。
  2. 認知症外来のある医療機関一覧表を渡す。
  3. 担当地区の民生委員に相談することを勧める。
  4. 地域包括支援センターの保健師に連絡することの了承を得る。

 

 


 

▶午前53

2か月後、Aさんの夫が市役所に来所し「親戚の家に行くと言っていた妻が隣町の図書館で発見されたこともあり、受診をしたら認知症と診断された。これからが不安だ」とB保健師に話した。
後日、地域ケア会議に出席したB保健師は、Aさんのケースを報告した。会議では、市内の認知症高齢者が増加しており、今後さらに、市民の認知症についての正しい知識の啓発と理解を促進し、地域で認知症高齢者や家族を支える必要性が共有された。
市民の認知症への理解を深めるために保健師が実施することで適切なのはどれか。

 

  1. 認知症専門の医療機関の誘致
  2. 認知症対応型通所介護の拡充
  3. 認知症サポーター養成講座の講師養成
  4. 介護予防事業対象者の把握のための基本チェックリストの普及

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

人口約15万人のA市。大都市郊外のベッドタウンであり、人口は10年前をピークに微減している。現在の高齢化率は26%であり、独居高齢者の増加が課題である。市では「健康でイキイキとした暮らしを地域で支えるまち」を目指し、健康増進計画を策定した。

 

▶午前54

目標とする項目の一部に関して、A市に在住する男性のデータを表に示す。
106am54h
5年前と現在のデータを比較して評価した。
目標を達成した項目はどれか。

 

  1. 大腸がん検診受診率
  2. 収縮期血圧の平均値
  3. 足腰に痛みのある高齢者の割合
  4. 就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合

 

 


 

▶午前55

A市の健康増進計画の評価結果を受け、市の目標達成に向けたまちづくりを推進していくために、住民と協働した特別プロジェクトの立ち上げが決定した。
このプロジェクトの計画を立案するにあたり保健師が行うことで最も適切なのはどれか。

 

  1. A市の健康課題を住民と話し合う。
  2. 独居高齢者の全戸家庭訪問を行う。
  3. 認知症予防の健康教育を実施する。
  4. 介護予防に関する講演会を開催する。

 

 

 

第106回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1

住民が主体となって設立する組織はどれか。

 

  1. 児童委員の連絡会
  2. 母子保健推進員会
  3. 公募委員による健康増進計画協議会
  4. 障害者支援のための特定非営利活動法人

 

 


 

▶午後2

地域における関係機関の連携を促すために最も有効なアプローチはどれか。

 

  1. 患者会の設立支援
  2. 議会へのロビー活動
  3. 地域ケア会議の設定
  4. ボランティアの育成

 

 


 

▶午後3

地域住民のエンパワメントのために行う保健師の活動はどれか。

 

  1. 健康格差に関する調査の実施
  2. 地区踏査による地域情報の収集
  3. 重度の障害児を対象とした家庭訪問の実施
  4. 住民による子育てに関する社会資源マップ作成の支援

 

 


 

▶午後4

Aさん(42歳、初妊婦、会社員)。「最近、他市から引っ越してきた」と母子健康手帳を持って市保健センターに来所した。保健師が面接したところ、Aさんは妊娠8か月、夫と2人暮らし、出産する予定の病院の変更はなく、出産後は1年間児休業を取得し、復職を希望しているとわかった。
この時、保健師がAさんに確認する内容で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 両親学級の受講状況
  2. 希望する保育所の有無
  3. 出産後の支援者の有無
  4. 出産する予定の病院の情報

 

 


 

▶午後5

地域アセスメントを行う際、地域の健康に影響する背景や要因を把握するために、既存の統計資料よりも保健師の地域活動から得ることが適切な情報はどれか。

 

  1. 生活環境
  2. 主観的健康観
  3. 地域の主要疾病
  4. 年齢別人口構成

 

 


 

▶午後6

市の保健師は、10名参加の6か月コースの糖尿病予防事業を開始した。グループ面接で参加者から「みんなで参加したから継続できた。あと1か月で事業が終了するが、今後1人で生活改善が維持できるか不安だ」という声が聞かれた。
参加者が事業終了後も改善した生活習慣が維持できるようにするための保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 参加者の家庭訪問
  2. 次年度の健康診査の受診勧奨
  3. 糖尿病予防食のレシピ集の配布
  4. 参加者同士のセルフヘルプグループの立ち上げへの支援

 

 


 

▶午後7

在胎35週、体重2,000gで出生した児。生後4か月1日で4か月児健康診査を受診した。
この時の状況で経過観察が必要なのはどれか。

 

  1. 指しゃぶりをする。
  2. あやしても笑わない。
  3. 体重が5,300gである。
  4. おもちゃに手を伸ばさない。

 

 


 

▶午後8

Aさん(17歳、女子)。保健センターにAさんの母親が来所し「Aが『学校でみんなが私の噂をしている』と言い、3か月前から不登校になっている。最近は自室から独り言が聞こえ、昼夜逆転の生活で部屋から出てこない。このままでは引きこもりになってしまう」と保健師に話した。
母親への保健師の支援で適切なのはどれか。

 

  1. 精神障害者の家族会の参加を勧める。
  2. 保健所の精神保健福祉相談を勧める。
  3. Aさんと日中に少しずつ外出することを勧める。
  4. 不登校になる前の学校での様子を確認するよう勧める。

 

 


 

▶午後9

Aさん(19歳、女性)。発達障害と軽度知的障害があり、精神障害者保健福祉手帳を取得している。特別支援学校を卒業後、Aさんは「行くところがない」と言い、終日自宅で過ごしている。母親が「このままで良いのだろうか」と市の保健師に相談した。
Aさんに社会参加を促すため、保健師が勧める障害福祉サービスで適切なのはどれか。

 

  1. 自立訓練
  2. 就労移行支援
  3. 地域移行支援
  4. 地域活動支援センター

 

 


 

▶午後10

難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に定める難病対策地域協議会で正しいのはどれか。

 

  1. 構成員に患者の家族が含まれる。
  2. 医療費助成の支給認定を行っている。
  3. 患者や家族への医療情報の提供を目的とする。
  4. 都道府県、保健所を設置する市及び特別区に設置の義務がある。

 

 


 

▶午後11

歯科口腔保健の推進に関する法律に基づく基本的事項の目標とライフステージの組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 口腔状態の向上――乳幼児期
  2. 歯の喪失防止――学童期
  3. 健全な歯・口腔の育成――成人期
  4. 口腔機能の維持・向上――高齢期

 

 


 

▶午後12

大型の石材を建築材料に加工する工場で、設置されている石材加工用の機械に防振ゴムを取り付け、工場内の騒音の低減を図った。この対策に該当するのはどれか。

 

  1. 健康管理
  2. 作業環境管理
  3. 作業管理
  4. 総括管理

 

 


 

▶午後13改題

腸管出血性大腸菌による食中毒で正しいのはどれか。

 

  1. 潜伏期は6~24時間である。
  2. 加熱が不十分な牛肉が原因となることが多い。
  3. 合併症である溶血性尿毒症症候群〈HUS〉の発症は成人に多くみられる。
  4. 令和4年(2022年)の食中毒事件数はカンピロバクターが原因のものよりも多い。

 

 


 

▶午後14

レジオネラ症患者発生の届出を受けた保健所が感染の原因を調査する際に、最も重要な情報はどれか。

 

  1. 入浴施設の利用歴
  2. 発症前の食事内容
  3. 蚊による刺咬の有無
  4. レジオネラ症患者との接触歴の有無

 

 


 

▶午後15

厚生労働省が定める過重労働による健康障害防止のための総合対策はどれか。

 

  1. 毎月の健康診断
  2. 運動指導プログラムの作成
  3. 健康増進サービス機関の活用
  4. 時間外・休日労働時間の削減

 

 


 

▶午後16

陽性反応的中度が上昇する理由で適切なのはどれか。

 

  1. 疾患の治療法が進歩した。
  2. 疾患の有病率が上昇した。
  3. 検査を受けた人数が増加した。
  4. 検査の感度は変わらず特異度が低下した。

 

 


 

▶午後17改題

令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査の糖尿病に関する統計で正しいのはどれか。

 

  1. 平成28年(2016年)の糖尿病が強く疑われる者は約1,000万人である。
  2. 40歳以上で糖尿病が強く疑われる者の割合は、男性よりも女性が高い。
  3. 糖尿病が強く疑われる者のうち、糖尿病治療を受けている者の割合は40%以下である。
  4. 30歳以上で糖尿病が強く疑われる者の割合は、女性では年齢に関係なく一定である。

 

 


 

▶午後18

結核の有病者数の年次推移を表す図表で適切なのはどれか。

 

  1. 散布図
  2. 円グラフ
  3. 帯グラフ
  4. 折れ線グラフ

 

 


 

▶午後19

学校保健行政に関する内容と法律の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 学校医の配置――労働安全衛生法
  2. 特別支援教育――障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉
  3. 教職員の健康診断――学校保健安全法
  4. 不登校児童生徒の支援――教育基本法

 

 


 

▶午後20

平成24年(2012年)に制定された子ども・子育て支援新制度に含まれるのはどれか。

 

  1. 子どもの事故予防強化
  2. 認定こども園制度の改善
  3. マタニティマークの配布
  4. 妊娠期からの児童虐待防止
  5. 医療的ケアを必要とする子どもへの支援の向上

 

 


 

▶午後21

1歳6か月児健康診査で確認するのはどれか。

 

  1. 丸を描ける。
  2. 自分の名前が言える。
  3. 一人でパンツが脱げる。
  4. 自分でコップを持って水が飲める。
  5. ままごとなどのごっこ遊びができる。

 

 


 

▶午後22

乳児期の育児支援について検討するために、4か月児の保護者を対象にグループインタビューを実施した。
その結果から得られた事項で、プリシード・プロシードモデルの準備要因はどれか。

 

  1. 育児は楽しいと思う。
  2. 家事は夫婦で分担する。
  3. 子育てサークルに参加する。
  4. かかりつけの小児科医がいる。
  5. 父親を対象とした育児教室に参加する。

 

 


 

▶午後23

高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて市町村が行う事業はどれか。

 

  1. がん検診
  2. 歯周疾患検診
  3. 特定健康診査
  4. 就労者の定期健康診査
  5. 生活保護受給者の検診

 

 


 

▶午後24

市では、生活習慣病のハイリスク者である40歳から60歳でBMI25以上の者を対象に、行動変容を促し肥満を改善することを目的として、毎週1回、1クール6回の生活習慣病予防教室を開催した。
アウトカム評価のための指標はどれか。

 

  1. 各回の参加率
  2. 参加者の満足度
  3. 運営にかかった費用
  4. 教室を担当した職員数
  5. 参加者の6か月後のBMI

 

 


 

▶午後25

地域ケアシステムの発展過程で、第1段階に含まれる活動内容はどれか。

 

  1. ケアサービスの量的拡大
  2. 住民の健康課題とニーズの把握
  3. 地域課題に必要なケアシステムの予算確保
  4. ケアサービスの質向上のための定期的な会議の開催
  5. 地域ケアシステムの運営に必要なマンパワーの確保

 

 


 

▶午後26

症例対照研究で正しいのはどれか。

 

  1. 寄与危険の近似値を推定できる。
  2. 研究対象とする疾病が治癒した者を対照群とする。
  3. 症例群と対照群の過去の要因曝露状況を比較する。
  4. 症例群と対照群を追跡調査して死亡率を比較する。
  5. 症例群に試験薬、対照群に偽薬〈プラセボ〉を投与する。

 

 


 

▶午後27

割合の差の検定に用いるのはどれか。

 

  1. t検定
  2. 回帰分析
  3. 一元配置分散分析
  4. χ2〈カイ2乗〉検定
  5. Wilcoxon〈ウィルコクソン〉の順位和検定

 

 


 

▶午後28改題

標準化死亡比〈SMR〉で正しいのはどれか。

 

  1. 人口の大きな集団ほど高くなる。
  2. 高齢化率の高い集団ほど高くなる。
  3. 平成27年モデル人口を基準人口として用いる。
  4. 計算には観察集団の年齢階級別人口が必要である。
  5. 直接法による年齢調整死亡率の計算過程で得られる。

 

 


 

▶午後29改題

令和4年(2022年)の日本の人口動態統計における自殺死亡で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 男性の死亡率は女性よりも高い。
  2. 20~24歳の死因の第1位である。
  3. 死因順位別死亡数は第5位である。
  4. 自殺死亡率は10年前よりも増加している。
  5. 男性の死亡率が最も高い年齢階級は40~44歳である。

 

 


 

▶午後30

児童に感染症の疑いがある場合の養護教諭の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 学級閉鎖の期間を決定する。
  2. 全学級に保健だよりを配布する。
  3. 保健所に出席停止の措置を連絡する。
  4. 当該児童の保護者に出席停止を指示する。
  5. 当該児童の保護者に医療機関受診を勧奨する。

 

 


 

▶午後31

Aさん(43歳、女性、公務員)。乳癌で手術を受け、手術後1か月で職場復帰となった。復帰後も仕事を継続しながら化学療法、放射線療法、ホルモン療法を行う予定である。
Aさんが利用できるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療扶助
  2. 傷病手当金
  3. 介護保険制度
  4. 高額療養費制度
  5. 確定申告による医療費控除

 

 


 

▶午後32

介護老人福祉施設から保健所に、インフルエンザを発症する入所者が増加しており集団感染が懸念されるので、どのように対応したらよいかとの相談があった。
感染拡大防止のために保健所が施設に行う指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 未発症の入所者にN95マスクを着用させる。
  2. 発症した職員の復帰は解熱の翌日からとする。
  3. インフルエンザワクチン未接種の職員は自宅待機させる。
  4. 多数の入所者が集まって実施しているレクリエーション活動を休止する。
  5. 職員および面会者が入所者の部屋へ入退室する時にアルコールで手指消毒を行う。

 

 


 

▶午後33

自治体の保健師が行う業務管理はどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域活動計画と他部門の計画との整合性を判断する。
  2. 活動の評価結果を翌年度の計画に反映させる。
  3. 専門性を向上させるための研修を実施する。
  4. 地域のニーズを踏まえた地域診断を行う。
  5. 相談や訪問などの記録を管理する。

 

 


 

▶午後34改題

令和2年度(2020年度)の社会保障給付費で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療給付費が最も多くを占める。
  2. 雇用保険の失業給付が含まれる。
  3. 給付総額は年間300兆円を超える。
  4. 給付総額は前年度よりも減少している。
  5. 国民1人あたりの給付費は約100万円である。

 

 


 

▶午後35

医療法に基づき都道府県が定める医療計画における5疾病に含まれるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. がん
  2. 結核
  3. 脳卒中
  4. 慢性肝炎
  5. 気管支喘息

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

11月4日、特別養護老人ホームの看護師から「施設の入所者Aさん(87歳、女性、要介護4)に2日前から微熱があり、食欲がないため受診したところ、医師から結核の疑いがあると言われた」と保健所に相談があった。保健師が状況を確認したところ、現在はAさんを個室に移動し、介護にあたる職員はマスクを着用している。Aさんに呼吸器症状はない。特別養護老人ホームでは毎年1回健康診断を実施しており、半年前に実施した健康診断の結果では、Aさんに特に異常はなかったという。

 

▶午後36

この時の保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. Aさんに結核専門病院の受診を促す。
  2. Aさんの居室を消毒するよう指導する。
  3. 特別養護老人ホームを11月4日に訪問する。
  4. 特別養護老人ホームの全入所者の面会を制限するよう伝える。

 

 


 

▶午後37

11月6日の夕方、Aさんを診察した結核専門病院の医師から保健所に、結核の発生届が提出された。診断名は肺結核で、喀痰塗抹検査陽性、喀痰培養検査中、核酸増幅法で結核菌が確認された。胸部エックス線撮影で空洞病変が認められた。感染症対策担当の保健師は主治医に連絡し、届出内容の確認を行った。Aさんには抗結核薬3剤による薬物治療が開始された。
この時の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく保健所の対応で、優先度が高いのはどれか。

 

  1. Aさんとの面接
  2. 入院勧告の手続き
  3. 医療費公費負担の手続き
  4. 特別養護老人ホームへの積極的疫学調査

 

 


 

▶午後38

感染症対策担当の保健師はAさんの接触者健康診断の対象者を選定するため、特別養護老人ホームの職員および入所者の接触状況を確認することとした。Aさんは1年前の11月1日から入所している。
他者への感染の可能性がある期間の始期の設定で正しいのはどれか。

 

  1. Aさんの特別養護老人ホーム入所日
  2. 半年前の健康診断実施日
  3. 結核専門病院初診日の3か月前
  4. 微熱の出現日
  5. 結核の診断日

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

Aさん(35歳、男性)は、従業員約500人の企業に勤務している。先日、Aさんの上司から社内の健康管理課の保健師に電話があり「Aさんは4月に他部署から異動してきましたが、最近休みがちで、月曜日は遅刻が多く表情も硬い。仕事中ウトウトすることもあるため声をかけたら『医療機関に通院しているから大丈夫です』としか言わない。どう対応すればよいか」との相談があった。

 

▶午後39

Aさんの上司への保健師の助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「医療機関を変えるように勧めてください」
  2. 「Aさんの仕事の量を減らすようにしてください」
  3. 「健康管理課に相談に来るように勧めてください」
  4. 「ご家族に電話をして、家庭での様子を確認してください」

 

 


 

▶午後40

Aさんはうつ病で、6か月の休職が必要と診断された。休職して4か月後、保健師が定期連絡をした際にAさんから「体調も良くなったので早く仕事に復帰したい。復職手続きとして何をしたらよいか教えてほしい」との発言があった。
Aさんへの保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「産業医に相談しましょう」
  2. 「上司に復職の意思を伝えてください」
  3. 「保健師が復職に向けた調整を行います」
  4. 「復職について主治医の診断書を提出してください」

 

 


 

▶午後41

この企業では、過去2年間で5名の職員がメンタルヘルスの不調で休職となっている。今回の経験を踏まえ、保健師は従業員のメンタルヘルスケアに取り組む必要があると考え、心の健康づくり計画を策定することとした。
計画の策定にあたり社内で話し合う場として適切なのはどれか。

 

  1. 安全衛生委員会
  2. 管理監督者会議
  3. 業務改善委員会
  4. 人事評価委員会

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

A市(人口5万人)では、大規模災害発生に備えた医療体制の確保等のため、地域の関係機関を集めた検討を行うことになった。A市内には地域医療の中核となるB病院を含め複数の病院があるが、大規模災害の発生を想定すると、軽症者から重症者までの傷病者全てをそれらの病院で受け入れることは困難と予想される。

 

▶午後42

この傷病者受け入れの課題への対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 発災前に応急手当用品を各家庭に配布する。
  2. 緊急度に応じた搬送ができる体制を整備する。
  3. 発災後にB病院の医師が市内全域を往診する。
  4. 傷病者が診察を待つ場所を病院の隣に設置する。

 

 


 

▶午後43

A市には、食品加工工場があり、従業員の多くがA市内に在住している。また、A市の上水道の普及率は約95%であり、未整備の家庭では、生活用水として井戸水を使用している。
大規模災害時の健康危機に備えA市の保健師が平常時に実施すべき事項として適切なのはどれか。

 

  1. 断水時に利用可能な井戸の水質検査をする。
  2. 食品関連事業者に衛生管理指導を実施する。
  3. 災害医療に必要な医薬品の供給体制を確保する。
  4. 定期的に医療福祉機関との連携会議を開催する。

 

 


 

▶午後44

A市では、大規模災害を想定した災害時保健活動のマニュアルを作成することになった。
発災から72時間経過した時期の保健師活動としてマニュアルに記載する内容で適切なのはどれか。

 

  1. 生活習慣病予防教室の開催
  2. 住民へのハザードマップの配布
  3. 災害対応にあたる職員の健康管理
  4. 災害時保健活動全体のまとめと評価

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

肥満者に対する新規の糖尿病発症予防プログラムを立案し、従来のプログラムと比較して新規のプログラムの効果を評価することとした。特定健康診査の受診者で糖尿病ではないことが確認できた肥満者200人を、従来のプログラム群と新規のプログラム群にそれぞれ100人ずつ登録してプログラムを実施し、その後3年間の新規の糖尿病発症の有無を確認することとした。

 

▶午後45

この研究デザインはどれか。

 

  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. コホート研究
  4. 症例対照研究
  5. 生態学的研究

 

 


 

▶午後46

従来のプログラム群と新規のプログラム群の2群間において、対象者の背景を均一にする必要があると考えられた。
背景を均一にするための最も適切な方法はどれか。

 

  1. 制限
  2. 層化
  3. マッチング
  4. 無作為抽出
  5. 無作為割付

 

 


 

▶午後47

それぞれのプログラムを実施し、その後3年間の新規の糖尿病発症の有無を確認した。結果を以下に示す。
106pm47h
新規のプログラム群の既存のプログラム群に対する新規の糖尿病発症の相対危険を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:① . ②

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

人口40万人のA市。3年前から出生数が増加傾向にある。最近、乳幼児相談時に、保健師に対しておやつの時間や指しゃぶりなど育児に関する細かな相談をする母親や育児不安を訴える母親が増えている。

 

▶午後48

A市の育児に関する健康課題を明確にするため保健師が優先して行うのはどれか。

 

  1. 新生児家庭訪問結果の分析
  2. 両親学級の参加者情報の確認
  3. 乳幼児相談の内容のカテゴリー化
  4. 母子健康手帳交付時の面接内容の分析
  5. 4か月児健康診査に対する母親へのアンケートの実施

 

 


 

▶午後49

A市では1年前に新しく建設された大規模マンションがあり、出産を控えた妊婦や乳幼児のいる家族が多く居住していた。地区担当保健師はこの地区で安心して子育てができるよう、新たな事業を計画することとした。
地区担当保健師が最初に計画する内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 市内の産婦人科医療機関との連携を強化する。
  2. 乳幼児を持つ親と妊婦との交流会を開催する。
  3. 要保護児童対策地域協議会で事例検討を行う。
  4. 転入してきた妊婦の家庭訪問を行う。

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(32歳、男性)。父親は死去し、母親は隣の市で生活している。Aさんは26歳の頃に会社で「自分は何でもできる」と言い、話がすぐに飛躍し強引な契約やミスが続き、27歳で退職となった。翌年、無理な自動車運転による交通事故を起こし、入院先の病院で双極性障害と診断された。1か月の入院ののち退院したが、その後はアルバイトを転々としながら1人で暮らしていた。

 

▶午後50

ある日、母親が来所し「Aの自宅に行ったら、ずっと布団に入ったまま、食事もちゃんと摂っていないようだ。Aは眠れない、死にたいと言っている。どうしたら良いか」と相談があった。保健センターの地区担当保健師が母親と一緒にAさん宅を訪問した。Aさんは、痩身で顔は青白く、表情は乏しい。
保健師が確認するAさんの情報で優先されるのはどれか。

 

  1. 自殺企図
  2. 睡眠の状況
  3. 食事の摂取量
  4. 布団から出ない理由

 

 


 

▶午後51

Aさんは3か月間、精神科に医療保護入院した。退院後は地区担当保健師が、月1回程度訪問をしている。退院3か月が経過したある日、Aさん宅を訪問するとAさんは笑顔で覇気があり「薬に頼らなくても、よく眠れるようになりました。体調も良いし、先生も次回受診のことは言ってなかったので通院はもう終わりです。これからアルバイトを探す予定です」と話した。
Aさんへの地区担当保健師の支援で最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 患者会への参加を勧める。
  2. 就労移行支援の利用を勧める。
  3. 保健師同伴での受診を勧める。
  4. 民生委員に見守りを依頼することの了解を得る。

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(19歳、男性)。大学生。1人暮らし。発熱および全身に発疹が出現したため、5月20日に大学の近くの診療所を受診した。麻疹の疑いがあるため血液検査を実施し、血清IgM抗体陽性のため、5月22日に診療所の医師から保健所に届出があった。Aさんは5月上旬に海外旅行に出かけ、不特定多数の人と接触があった。

 

▶午後52

保健所の保健師が発生届を受理した際に診療所の医師へ確認することで優先度が高いのはどれか。

 

  1. 海外旅行先
  2. 現在の療養場所
  3. 診断結果の本人への説明
  4. PCR法による病原体遺伝子の検出
  5. 海外旅行以外での感染の機会の有無

 

 


 

▶午後53

Aさんへの行動調査の結果を表に示す。帰国後、大学以外の場で接触した者は(a)〜(d)であった。
106pm53h
(a)〜(d)のうち、麻疹発症のリスクがある接触者はどれか。

 

  1. (a)(b)(c)(d)
  2. (a)(b)(c)
  3. (b)(c)(d)
  4. (c)(d)

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

A君(8歳、男児)は、これまで学習面では支障をきたすことはなかったが、こだわりが強いところがあり、友達とのトラブルが起きることもあった。小学校3年生になってクラス替えがあり、図画工作の授業になると落ち着かない状態になり、教室を抜け出すことが多くなった。校舎内を歩き回ることも多く、養護教諭が落ち着くまで付き添い、どうしてもA君が教室に戻らないときには、母親に迎えに来てもらうようになった。A君は母親とともに医療機関を受診した結果、自閉症スペクトラム障害と診断された。

 

▶午後54

校内では学級担任と養護教諭、管理職で対応が話し合われた。その結果、学校と家庭が連携してA君に必要な支援を進めるために、母親が地域の関係機関にA君のことを相談するよう養護教諭から母親に話をすることになった。
A君の母親に提案する地域の関係機関で、最も適切なのはどれか。

 

  1. 子育て世代包括支援センター
  2. 発達障害者支援センター
  3. 社会福祉協議会
  4. 児童養護施設
  5. 児童館

 

 


 

▶午後55

A君と母親が地域の関係機関を訪れて相談し、A君の得意なことと苦手なことが明らかとなり、学校は必要な支援の方針を確認することができた。母親からも「Aの状況が分かって良かった。Aにあった支援をお願いしたい」という言葉が聞かれた。支援の結果、A君は、徐々に、授業を抜け出したくなると保健室に来るようになってきた。一方で、教室には落ち着いていられない状況は続いている。そこで特別支援コーディネーター、スクールカウンセラーも交えた校内委員会を開催して、A君への今後の対応について検討した。
A君への対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 保健室内での養護教諭による学習の支援
  2. スクールカウンセラーとの面談
  3. 特別支援学級への通級の検討
  4. 学校行事への参加の促進

 

 


 

資料 厚生労働省「第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向