第105回助産師国家試験問題・正答-国民衛生の動向対応
令和4年2月10日実施の第105回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。
また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。
分野別解説付き問題まとめ
を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。
なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。
厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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第105回助産師国家試験目次
第105回助産師国家試験・午前(55問)
▶午前1
平成27年(2015年)9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目標3「健康と幸福度」における2030年までの達成基準で正しいのはどれか。
- 新生児および5歳未満児の予防可能な死を根絶する。
- 世界の乳児の死亡率を出生1,000人当たり50人未満に削減する。
- 世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり100人未満に削減する。
- 性と生殖に関する保健サービスを全対象者の7割が利用できるようにする。
▶午前2
放射線被ばくの時期と児への影響との組合せで正しいのはどれか。
- 妊娠3週――中枢神経障害
- 妊娠8週――胎児奇形
- 妊娠15週――流産
- 妊娠35週――精神発達遅滞
▶午前3
家族計画について正しいのはどれか。
- 子宮内避妊具は助産師が挿入できる。
- 受胎調節のひとつに人工妊娠中絶がある。
- 避妊薬の品質は母体保護法に規定されている。
- 受胎調節実地指導員は母体保護法に規定されている。
▶午前4
妊娠中の梅毒スクリーニング検査の説明で正しいのはどれか。
- 妊娠中期に行う。
- 子宮頸管から検体を採取する。
- 陽性判明後14日以内に保健センターに届け出る。
- 非特異的検査と抗原特異的検査を組み合わせて行う。
▶午前5
Aさん(28歳、1回経産婦)は現在、妊娠18週である。第1子は分娩後に先天性心疾患と診断され緊急手術を受けた。Aさんは「今回も上の子と同じ病気が起こるのでないか」と心配し、出生前診断を希望している。第1子は心臓以外に異常の指摘はない。
Aさんの心配の解消に最も寄与する出生前診断の方法はどれか。
- 絨毛検査
- 羊水検査
- 胎児超音波検査
- 母体血清マーカー検査
▶午前6
着床について正しいのはどれか。
- 受精後1週で完了する。
- 桑実胚の状態で着床する。
- 子宮内膜が着床に適しているのは分泌期である。
- 着床後は脱落膜からプロゲステロンが分泌される。
▶午前7
胎児の呼吸器系の発生で正しいのはどれか。
- 肺水の組成は羊水とは異なる。
- 肺胞は在胎30週ころに完成する。
- 在胎10週には呼吸細気管支の分枝が完成する。
- 肺サーファクタントの分泌は在胎30週ころがピークである。
▶午前8
卵膜の構造と機能について正しいのはどれか。
- 羊水の一部を産生・吸収する。
- 胎児側の表面はざらざらしている。
- 被包脱落膜と基底脱落膜は癒合して卵膜を形成する。
- 母体側から順に、絨毛膜、脱落膜、羊膜の3層からなる。
▶午前9
Aさん(32歳、初産婦)は既往歴・家族歴ともに特記すべきことはなく、妊娠経過に異常はない。妊娠37週に妊婦健康診査のため助産師外来を受診した。
Aさんの状態について現時点で医師への報告が必要な情報はどれか。
- 子宮底28cm
- 粘液性の血性分泌物を少量排出
- 断続的な10〜15分の弱い子宮収縮
- ノンストレステスト〈NST〉で胎児の一過性頻脈が20分間に2回
▶午前10
Aさん(16歳、初産婦)は妊娠16週である。近隣の診療所からの紹介で、妊婦健康診査と分娩の予約のため病院の産科外来を1人で受診した。
このときの情報収集で最も優先されるのはどれか。
- 就学の状況
- 家族との関係
- バースプラン
- 胎動自覚の有無
▶午前11
Aさん(30歳、1回経産婦)は28歳のときに子宮鏡下手術によって子宮粘膜下筋腫を切除した。妊娠39週6日で自然破水、破水後1日経過したが陣痛発来せず、子宮収縮薬の点滴静脈注射による分娩誘発を開始した。開始後6時間、Aさんは突然激しい腹痛を訴え、その後、陣痛が減弱した。顔面蒼白となり呼吸が速くなった。胎児心拍数陣痛図では変動一過性徐脈が出現した後、高度徐脈となった。内診所見は、子宮口全開大、Station+2で、異常な腟からの出血はみられなかった。
このときのAさんの状態で最も考えられるのはどれか。
- 子宮内反
- 子宮破裂
- 腟壁裂傷
- 常位胎盤早期剝離
▶午前12
Aさん(32歳、1回経産婦)は本日午前11時に3,100gの児を正常分娩した。分娩所要時間は7時間30分で出血量は150mL。分娩後時間経過した時点で「上の子のお産は丸1日かかりました。やはり2回目は早いですね」と話した。体温37.0℃、脈拍84/分、血圧122/66mmHg。出血量は25mL、子宮底は臍高で硬度は良好だった。尿意はまだない。
この時のAさんへの助産ケアで適切なのはどれか。
- 睡眠を促す。
- 導尿を行う。
- 腹帯を強く締める。
- 食事や水分摂取を促す。
▶午前13
産褥20日の褥婦。「子どもが右側の乳頭ばかりを吸うので、左側の乳汁分泌が悪くなった」と話す。
関係するメカニズムはどれか。
- エンドクリンコントロール
- オートクリンコントロール
- 腺房細胞の分泌細胞への分化
- エストロゲンによる乳管系の増殖
▶午前14
在胎38週3日、正常分娩で出生した女児。Apgar〈アプガー〉スコア9点、体重3,000g。出生後20時間、直腸温は36.8℃、呼吸数40/分、心拍数145/分。
このときの児の胎外生活への適応状態として異常所見はどれか。
- 胎便の排出がない。
- 体重が90g減少した。
- レンガ色の排尿があった。
- 体幹にチアノーゼが見られる。
▶午前15
新生児における酸素消費量と環境温度の関係を図に示す。
中性温度環境はどれか。
- A
- B
- C
- D
▶午前16
新生児低血糖のため輸液療法中の児。
全身状態の観察をする際、低血糖症状の増悪を疑う所見はどれか。
- 振戦
- 発熱
- 発疹
- 筋緊張亢進
▶午前17改題
日本の令和4年(2022年)の早期新生児死亡で正しいのはどれか。
- 周産期死亡の8割を占める。
- 新生児死亡数の3割を占める。
- 死亡原因の第1位は敗血症である。
- 死亡率は出生1,000に対して0.6である。
▶午前18
児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉で規定されているのはどれか。
- 児童相談所への看護師の配置
- 特定妊婦に対する養育支援訪問
- 心身の危険がある児童の一時保護
- 保護者に対する施設入所等の措置となった児童との面会の制限
▶午前19
助産業務と規定する法律の組合せで正しいのはどれか。
- 臍帯切断――保健師助産師看護師法
- 臨時応急の手当――母子保健法
- 妊産婦の訪問指導――母体保護法
- 助産所に関する広告――地域保健法
▶午前20
出生届について正しいのはどれか。
- 母子保健法に規定されている。
- 出生の年月日時分及び場所を記入する欄がある。
- 子の両親以外の代理人が届け出ることはできない。
- 出生の日から7日以内に届け出るよう規定されている。
▶午前21
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉に規定されている制度で正しいのはどれか。
- 専業主婦の配偶者は育児休業を申請できない。
- 育児休業は出産日から起算して1年まで取得できる。
- 子の看護休暇は就学前の子を養育する労働者が取得できる。
- パパ・ママ育休プラスは夫婦がそれぞれ1年2か月育児休業を取得できる。
▶午前22
感染予防のための標準予防策〈スタンダードプリコーション〉として適切なのはどれか。
- 悪露交換時は手袋を着用する。
- 産褥期の乳房ケアは素手で実施する。
- 新生児のケアではN95マスクを装着する。
- 分娩介助時は使い捨てエプロンを着用する。
▶午前23
震度6強の大規模地震が発生し、被災地で多くの家屋が損壊した。公共交通機関の運行は停止し、主要道路の損傷によって複数地域で通行不能が生じている。一時避難所が開設されて家屋が損壊した住民の受け入れが行われた。避難者の中には妊婦が複数含まれていたが、身体的不調の訴えはない。
被災した妊婦のための初期対応で適切なのはどれか。
- 母体搬送が可能な周産期医療施設の情報を収集する。
- かかりつけの産婦人科に早急に受診するよう妊婦に勧める。
- 妊婦には避難所内でなるべく安静にするよう妊婦に伝える。
- 母子健康手帳を持参していない妊婦は特定妊婦として扱う。
▶午前24
妊娠による母体の泌尿器系の変化で正しいのはどれか。
- 妊娠後期の尿の流出障害が左側に起こりやすい。
- 尿素窒素の値が非妊時より高値を示す。
- 糸球体濾過率〈GFR〉が低下する。
- 尿細管での再吸収能が低下する。
- 尿管の緊張が増す。
▶午前25
日本人の正常新生児において、生理的黄疸が最も顕著になる時期として適切なのはどれか。
- 生後6時間
- 生後24時間
- 日齢4
- 日齢14
- 日齢28
▶午前26
更年期障害に対する治療としてホルモン補充療法が禁忌となるのはどれか。
- 深部静脈血栓症の既往
- 子宮頸部異形成
- 高脂血症
- 骨粗鬆症
- 喘息
▶午前27
妊娠中のヒトパルボウイルスB19感染による児への影響で正しいのはどれか。
- 貧血
- 結膜炎
- 心奇形
- 水頭症
- 内耳性難聴
▶午前28
37歳の初産婦。妊娠40週3日に陣痛発来で入院した。子宮口5cm開大ころから努責感が抑制できず、陣痛発作時にいきんでいたところ、子宮口8cm開大から急激に全開大となり分娩に至った。会陰右側切開術を施行。児の娩出直後から腟口から鮮紅色の出血が持続的にある。胎盤娩出後の子宮底は臍下3横指で硬く触れる。子宮底を圧迫して凝血塊の排出は認められない。
このときの助産師の対応で適切なのはどれか。
- 会陰切開部に裂傷がないか確認する。
- 子宮底輪状マッサージをする。
- 頸管把持鉗子を準備する。
- 子宮収縮薬を準備する。
- 導尿する。
▶午前29
Aさん(27歳、初産婦)は身長160cm、非妊時体重58kgである。妊娠39週5日で、3,560gの男児を正常分娩した。分娩時出血量は300mL、産後2日の採血でHb11.0g/dLであった。授乳は1日8〜10回行っている。
Aさんに推奨される1日の栄養付加量で正しいのはどれか。
- 葉酸10μg
- 鉄分10mg
- タンパク質5g
- カルシウム300mg
- エネルギー350kcal
▶午前30
Aさん(28歳、初産婦)はFallot〈ファロー〉四徴症があり、幼少時に心臓の修復手術を受けた既往がある。学生時代にはスポーツの部活動は避けていたが、軽い運動や日常生活において特に問題を生じることなく生活していた。正常血圧で服薬はしていない。自然妊娠して産婦人科医院を受診し、妊娠6週の診断となった。
助産師がAさんに話す内容で適切なのはどれか。
- 「妊娠中は積極的に運動しましょう」
- 「赤ちゃんに心臓の病気が生じる心配はありません」
- 「妊娠後半に心臓への負担が大きくなります」
- 「お産は帝王切開で行われます」
- 「母乳育児はできません」
▶午前31
在胎38週2日、2,640gで出生した男児。第5指中節骨異形成、房室中隔欠損、十二指腸閉鎖を認めた。
最も考えられるのはどれか。
- 13トリソミー
- 18トリソミー
- 21トリソミー
- Potter〈ポッター〉症候群
- Turner〈ターナー〉症候群
▶午前32
生後18時間の男児。在胎41週0日、出生体重4,250gで出生した。全身状態は良好で、哺乳を開始しており、哺乳力も問題ない。診察時、Moro〈モロー〉反射が左右非対称で左の反射が欠如していた。上肢の触診で特定の場所を痛がる様子はなく、局所性の発赤・腫脹も認めない。
次に確認する児の所見で最も重要なのはどれか。
- 手掌把握反射
- スカーフ徴候
- 引き起こし反射
- Landau〈ランドー〉反射
- Babinski〈バビンスキー〉反射
▶午前33
百日咳で正しいのはどれか。
- 飛沫感染する。
- 抗菌薬投与は無効である。
- 特徴的な症状に犬吠様咳嗽がある。
- インフルエンザ菌b型の感染症である。
- 新生児期の感染例は重症化するリスクがない。
▶午前34
卵管性不妊の原因となるのはどれか。2つ選べ。
- 淋菌
- カンジダ菌
- トリコモナス原虫
- サイトメガロウィルス
- クラミジアトラコマティス
▶午前35
骨盤隔膜を形成している筋はどれか。2つ選べ。
- 大殿筋
- 尾骨筋
- 梨状筋
- 肛門挙筋
- 外肛門括約筋
▶午前36
妊娠前のBMIが18.5未満であった妊婦に出現しやすいのはどれか。2つ選べ。
- 貧血
- 切迫早産
- 妊娠糖尿病
- 羊水過多症
- 妊娠高血圧症候群
▶午前38
日本で行われている新生児の先天性代謝異常等マススクリーニング検査の対象はどれか。2つ選べ。
- ケトン性低血糖
- 先天性副腎過形成
- アセトン血性嘔吐症
- フェニルケトン尿症
- Wilson〈ウイルソン〉病
▶午前39
世界保健機関〈WHO〉と国際連合児童基金〈UNICEF〉によって、適切な人工乳が準備できる状況下では母乳を与えないことが推奨されているのはどれか。2つ選べ。
- 化学療法中の乳癌
- HIV感染
- B型肝炎
- C型肝炎
- 結核
▶午前40
Aさん(32歳、初産婦)は妊娠40週6日、自然陣痛発来後に入院した。分娩は順調に進行し児頭が娩出されたが、第4回旋の後に助産師が前在肩甲の娩出を試みたところ娩出が困難な状況となった。
このときの助産師の対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 児頭を腟内に押し戻す。
- 恥骨直上の腹壁を圧迫する。
- 児頭の下方への牽引を強める。
- 努責を強めるようAさんに言う。
- Aさんの両側股関節を強く屈曲する。
次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
A病院は、出産前準備教育の集団指導として「お産の教室」を対面で行っていたが、オンライン形式で実施して欲しいという要望が多くなり、今年から導入することにした。「お産の教室」の企画書を表に示す。
▶午前41
パートナーの準備性を把握するために最も優先される情報はどれか。
- 健康状態
- 就労状況
- 出産立ち会いの動機
- 育児休業の取得予定の有無
▶午前42
オンラインによる「お産の教室」は3名の助産師で運営し、パンフレットは参加者に事前に送付されている。教室には10組のカップルが自宅から参加し、助産師と参加者が顔をみながら双方向でコミュニケーションが取れている。助産師はプログラムに沿ってパンフレットを読みながら産痛緩和法について説明を行い、その後、圧迫法の演習を行うことにした。
演習を行うにあたり圧迫法をイメージしてもらうために最も有効なのはどれか。
- 助産師のデモンストレーションを見てもらう。
- パンフレットをカップルに再確認してもらう。
- 1組のカップルに実演してもらう。
- 圧迫法に関する質問を受ける。
▶午前43
「お産の教室」後、参加した妊婦から、「教室に参加してから、パートナーと出産や育児のことを話す機会が多くなりました」という感想が多く寄せられた。教室を運営した助産師は、オンラインで実施した産痛緩和法(圧迫法)の評価をするために、出産後に情報収集することにした。
産痛緩和法(圧迫法)の評価をするために情報収集する項目で適切なのはどれか。
- 分娩様式
- 分娩所要時間
- 出産立ち会いの有無
- パートナーによる産痛緩和の実施状況
次の文を読み44〜46の問いに答えよ。
Aさん(38歳、初産婦)は妊娠40週3日。胎児心拍数陣痛図で変動一過性徐脈を認め、吸引分娩で3,800gの男児を出生した。出生直後の児は、啼泣がなく、筋緊張は低下し、羊水混濁は認めなかった。直ちに蘇生を行った。バッグ・マスク換気による人工呼吸を継続していたところ、上腹部の腹部膨満を認めたため、胃管を挿入することとした。
▶午前44
胃管挿入の手技として正しいのはどれか。2つ選べ。
- 鼻から挿入する。
- 胃管を自然開放する。
- 4Frの胃管を選択する。
- 胃内容物の吸引を避ける。
- 鼻の付け根から外耳孔までの長さと外耳孔から剣状突起と臍の中間までの長さを足した長さを挿入する。
▶午前45
児は生後5分で自発呼吸が出現したが、呻吟、多呼吸、中心性チアノーゼを認めた。保育器内酸素30%を使用し、NICUに入院した。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後2点、5分後7点であった。生後1時間の児のバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数80/分、心拍数150/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。血液ガス分析(room air)は、pH7.30、PCO242.0mmHg、HCO3-20mEq/Lである。
児の胸部エックス線を別に示す。
考えられる病態はどれか。
- 気胸
- 呼吸窮迫症候群
- 新生児一過性多呼吸
- 新生児遷延性肺高血圧症
▶午前46
日齢2。血清ビリルビン値16.5mg/dLとなり光線療法が開始された。
Aさんへの児についての説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「沐浴を控えます」
- 「便の排泄を促します」
- 「水分摂取を制限します」
- 「母乳の摂取を制限します」
- 「オムツで性腺を保護します」
次の文を読み47〜49の問いに答えよ。
Aさん(40歳、初産婦)は産婦人科病院で妊婦健康診査を受けていた。妊娠32週までの妊娠経過に異常はなかった。妊娠36週以降に血圧の上昇傾向があり、妊娠37週から尿蛋白が確認されたため、妊娠38週2日に入院して分娩誘発の予定となった。
妊娠34週から妊娠38週の妊婦健康診査のデータを表に示す。
▶午前47
分娩誘発に関するAさんへの説明で正しいのはどれか。
- 「病棟内を歩いて陣痛を開始しやすくします」
- 「陣痛開始前に人工破膜を行います」
- 「子宮口を開くための処置を行います」
- 「子宮収縮薬の点滴は最大量で投与を開始します」
- 「陣痛が強くなってから分娩監視装置を装着します」
▶午前48
Aさんは予定通り入院した。入院翌日の妊娠38週3日の朝からオキシトシンの点滴静脈内注射が開始され、午前10時に陣痛が発来した。Aさんはやや苦しそうな表情で陣痛に耐えており、助産師は呼吸法の指導を行っていた。午後2時30分、体温37.2℃、脈拍85/分、血圧165/95mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)である。突然胎児心拍数の低下が確認された。内診を行ったところ、子宮口5cm、展退度70%、Station±0、既に破水しており、臍帯脱出はない。このときの胎児心拍数陣痛図を別に示す。
胎児心拍数低下の発生後直ちに実施することで正しいのはどれか。2つ選べ。
- Aさんに努責を促す。
- Aさんに酸素投与を行う。
- 内診で児頭を押し上げる。
- Aさんの両下肢を挙上する。
- オキシトシンの点滴静脈内注射を中止する。
▶午前49
胎児心拍数の低下への対応を行ったが改善することはなく、助産師はAさんの状態を確認するために声をかけた。そのとき、Aさんは突然両手を小刻みに震わせており意識レベルが低下していることに助産師は気が付いた。助産師の連絡で産婦人科医が駆け付けた。
このときに行われることで適切なのはどれか。2つ選べ。
- 吸引分娩の実施
- 抗痙攣薬の投与
- 硬膜外麻酔の準備
- 硫酸マグネシウムの投与
- プロスタグランジンF2αの点滴
次の文を読み50〜52の問いに答えよ。
Aちゃん(生後4か月0日、女児)は、4か月児健康診査の受診のために母、兄(3歳)とともに来院した。問診では、Aちゃんの出生時に異常の指摘はなく、これまで完全母乳栄養で、ワクチン接種や健康診査以外で医療機関を受診したことはないことがわかった。また母親はAちゃんが嫌がるので、オムツ替えが難しいと話した。来院時の身体計測値は身長63cm、体重7,000g、頭囲47cmであった。
▶午前50
Aちゃんの診察時に確認すべきなのはどれか。
- お座りの可否
- 乳歯萌出の有無
- ハンカチテスト
- 股関節開排制限の有無
▶午前51
Aちゃんの診察では特に異常所見は認められなかった。その後、母親から助産師へ「上の子が一緒の生活で、Aの生活リズムをどのように整えていけばいいか分からない」という相談があった。
助産師の母親への助言として適切なのはどれか。
- 夜間に人工乳を併用する。
- 夜間は3時間おきに授乳する。
- 夜間は寝室内を明るくしておく。
- 兄の就寝時に一緒に就寝させる。
- 決まった時間に離乳食を食べさせる。
▶午前52
健康診査の最後に事故予防の指導をしようとしたところ、母親から「上の子の時にも聞いたので大丈夫です」という発言があり、急いで帰宅したい様子が見られた。
限られた指導時間で、兄との関連から最も注意を促すべき事故はどれか。
- 火傷
- 窒息
- 溺水
- 転倒
次の文を読み53〜55の問いに答えよ。
Aさん(39歳、アルバイト)は、3年前からパートナーと同居しはじめたが入籍はしていない。2年半前に流産し、その後、避妊をせずに性交を行っているが、妊娠しない状況が続いている。Aさんは、そのうち子どもができるだろうと考えていたが、40歳の誕生日が近づき年齢を意識するようになってから、焦りのような不安な気持ちになった。Aさんは、市の不妊専門相談センターを訪問し、助産師に「流産した後、妊娠しません。子どもが欲しいと思っているのですが、私の年齢で自然な妊娠は無理なのかと心配です」と話した。
▶午前53
このときの助産師の対応で最も適切なのはどれか。
- 不妊治療の費用について説明する。
- 妊娠の年齢と流産率の関係について説明する。
- 不妊症には様々な原因があることを説明する。
- 高年齢なので不妊治療が必要であると説明する。
▶午前54
Aさんは、40歳の誕生日に不妊治療の開始を決断した。2人で生殖補助医療の指定医療機関のクリニックを受診したところ、パートナーが乏精子症と診断された。パートナーは気持ちが落ち込み、すぐに治療を開始することができなかった。半年後、精子を精巣から採取する治療を経て、顕微授精で妊娠が成立した。Aさんは、「特定不妊治療費助成を利用したいのですが、私は申請できるのでしょうか」と助産師に話した。Aさんの住む居住地の特定不妊治療費助成制度は、国の要件に準拠して実施されている。
特定不妊治療費助成制度の説明で正しいのはどれか。
- 「顕微授精と男性不妊治療のいずれも助成対象なので申請できます」
- 「申請前にカウンセリングを受けることが必要です」
- 「40歳未満でないと申請することができません」
- 「出産後に申請しなければなりません」
▶午前55
Aさんは妊娠中期に妊娠糖尿病と診断されたが、食事療法で血糖コントロールはできている。妊娠36週の妊婦健康診査時、Aさんが「実は、妊娠が分かったころに、彼(パートナー)は仕事を解雇されてしまい、ふさぎ込んで実家に帰ってしまいました。今、私は1人で生活しています。これから生活していけるのか心配です。妊娠しなければよかった」と話す。担当した助産師は、保健センターと連携した方が良いと判断し、Aさんに保健センターに情報提供することについて同意を求めたが拒否された。
このときの助産師の対応で適切なのはどれか。
- パートナーと児の養育について話し合うよう勧める。
- 次回の妊婦健康診査まで経過をみる。
- 出産扶助が利用できることを伝える。
- 地区担当保健師に情報提供する。
第105回助産師国家試験・午後(55問)
▶午後1
保健師助産師看護師法の平成14年(2002年)の改正内容はどれか。
- 助産師に名称変更された。
- 助産師の名称独占が明確化された。
- 行政処分に免許の取り消しが追加された。
- 看護師国家試験合格が助産師免許取得の要件となった。
▶午後2
日常的な喫煙がリスク因子となるのはどれか。
- 子癇
- 早産
- 妊娠貧血
- 子宮復古不全
▶午後3
性器ヘルペスを合併した妊婦で初感染の場合、正しいのはどれか。
- 出生した新生児は結膜炎を発症する。
- 単純ヘルペスウィルスⅡ型(HSV-2)が多い。
- 発症後1か月以内の分娩では帝王切開術を選択する。
- 母子感染の感染経路は産道感染よりも経胎盤感染が多い。
▶午後4
世界保健機関〈WHO〉の定める精子濃度の基準値は( )万/mL以上である。
( )に入るのはどれか。
- 1.5
- 15
- 150
- 1,500
▶午後6
妊娠中期以降における羊水の機能で正しいのはどれか。
- 臍帯下垂の予防
- プロラクチンの産生
- 胎児の運動空間の確保
- 胎盤でのガス交換の補助
▶午後7
乳汁分泌を抑制するための薬剤の使用が禁忌となるのはどれか。
- Basedow〈バセドウ〉病
- 妊娠高血圧症候群
- 産後うつ病
- 妊娠糖尿病
▶午後8
更年期女性の尿失禁で正しいのはどれか。
- 腹圧性尿失禁には膀胱訓練の指導を行う。
- 低用量の副腎皮質ステロイドが有効である。
- 腹圧性尿失禁には抗コリン薬が有効である。
- 切迫性尿失禁よりも腹圧性尿失禁の方が多い。
▶午後9
分娩期における子宮頸管の状態で正しいのはどれか。
- 軟産道を構成する組織の中で腟入口の次に抵抗が大きい。
- 分娩進行中に後唇側の開大は遅れることが多い。
- 初産婦は外子宮口が早く開大する。
- 内子宮口側が広がり展退が進む。
▶午後10
正常分娩において、胎盤が剝離していると判断できるのはどれか。
- 恥骨結合上の下腹部を圧迫して臍帯が腟内に引き込まれるのを確認した時点
- 腟口近くで臍帯を挟んだコッヘルが手前に大きく下がってきた時点
- 腟から暗赤色の血液の流出が確認されて5分が経過した時点
- 子宮底部が臍高で軟らかく触知できた時点
▶午後11
Aさん(22歳、初産婦)は妊娠41週2日で陣痛発来し、分娩所要時間18時間で体重3,950gの女児を出産した。会陰裂傷第2度、分娩時出血量は350mL。分娩後2時間で、子宮底の高さは臍下2横指で硬く触れた。Aさんが尿意を訴えたためトイレ歩行を試みると、恥骨部に強い痛みを訴えて歩行できず、車椅子で帰室した。
帰室後のAさんへの助産師の説明で正しいのはどれか。
- 「初めての歩行のときに生じる一時的な痛みです」
- 「骨盤ベルトの装着をしましょう」
- 「産後の子宮収縮に伴う痛みです」
- 「母乳栄養は中止しましょう」
▶午後12
Aさん(19歳、初産婦)は妊娠22週のときに初めて産婦人科病院を受診した。妊娠初期にパートナー(17歳、高校生)から支援できないと告げられ、その後連絡をとっていない。実父とは死別しており、実母とは良好な関係が築けず疎遠だという。Aさんは妊婦健康診査の予約日に来院しないこともあり、助産師は関係機関と連携し支援していた。妊娠38週に正常分娩し、母子ともに経過は良好で、産褥4日に助産師から退院指導を行うことになった。
このときの助産師の対応として適切なのはどれか。
- 実母に支援を依頼するようAさんに促す。
- 支援を依頼するためパートナーに連絡する。
- 市町村の保健師に退院指導への同席を依頼する。
- 育児サロンを主催している住民に退院時の迎えを依頼する。
▶午後13
在胎39週、出生体重3,100gの正常新生児へのビタミンK2シロップの用量で正しいのはどれか。
- 0.2mg
- 2mg
- 20mg
- 200mg
▶午後14
日齢1の新生児の清潔ケアで沐浴と比較したドライテクニック法の特徴で正しいのはどれか。
- 低体温になりやすい。
- 臍帯脱落の時期が遅れる。
- 胎脂を残すことができる。
- 更衣は2日に1回に減らせる。
▶午後15
生後24時間の新生児の嘔吐で生理的なのはどれか。
- 胆汁性嘔吐
- 噴水状嘔吐
- 泡沫状嘔吐
- 羊水様の嘔吐
▶午後16
在胎38週0日、2,860gで出生した男児。母乳栄養のみである。日齢3の体重は2,520gであった。
児の状態で介入が必要な所見はどれか。
- 哺乳間隔6時間
- 排尿回数8回/日
- 排便回数6回/日
- 総ビリルビン値10mg/dL
▶午後17
経過が良好である産褥早期の褥婦に対し、母子の愛着形成を促進するために助産師が行う支援として最も適切なのはどれか。
- 出産体験の振り返り
- うつ病スクリーニングの実施
- 祖父母との良好な関係構築の支援
- ファミリー・サポート・センター事業の紹介
▶午後18
日本の母子健康手帳の改正した年とその内容の組合せで正しいのはどれか。
- 昭和23年(1948年)――妊産婦手帳制度が始まった。
- 昭和33年(1958年)――母子健康手帳と改称された。
- 昭和40年(1965年)――妊婦1人につき1冊から子ども1人につき1冊に変更された。
- 平成24年(2012年)――便色カードが追加された。
▶午後19
高校1年生を対象に健康教育を行うこととした。
健やか親子21(第2次)の指標を踏まえた内容で優先度が高いのはどれか。
- 食育
- う歯の予防
- 肥満の予防
- 性感染症の防止
▶午後20
Aさん(28歳)は無月経を主訴に産婦人科医院を受診し、妊娠の診断を受けた。助産師が次回の妊婦健康診査までに母子健康手帳の交付を受けるよう説明したところ、Aさんから公費の助成が受けられる妊婦健康診査について質問があった。
助産師の説明で正しいのはどれか。
- 「血液検査を毎回行います」
- 「保健指導の費用は自己負担です」
- 「血液検査の項目にはHIV抗体検査が含まれています」
- 「妊娠初期は2週に1回の妊婦健康診査が助成の対象になります」
▶午後21
死産に関わる届出について正しいのはどれか。
- 死産届は24時間以内に提出しなければならない。
- 死産届は死産のあった場所の都道府県知事に提出する。
- 死産の分娩に立ち会った場合は死胎検案書を作成する。
- 死産児を検案して異常を認めた場合は、所轄警察署に届け出る。
▶午後22改題
令和3年度(2021年度)の雇用均等基本調査において、女性の育児休業取得率に最も近いのはどれか。
- 60%
- 70%
- 85%
- 95%
▶午後23
胎児期の性器形成で正しいのはどれか。
- 男女ともにSRY遺伝子を持つ。
- 尿生殖溝の癒合にはアンドロゲンが関わる。
- Müller〈ミュラー〉管が精巣上体に分化する。
- 卵管、子宮および腟は妊娠22週ころに形成される。
- Wolff〈ウォルフ〉管の癒合部分が子宮の一部になる。
▶午後24
新生児の皮膚の成熟度を評価するためにDubowiz法を用いた。
項目と所見の組合せでより成熟度が高いのはどれか。
- 色――暗赤色
- 構造――羊皮紙様
- 足底部――しわがない
- うぶ毛――背中全体に多数
- 透明度――腹壁に血管が見える
▶午後25改題
1か月児健康診査時の予防接種に関する保健指導で正しいのはどれか。
- 「四種混合ワクチンは生後1か月から接種が可能です」
- 「インフルエンザ菌b型〈Hib〉ワクチンは定期接種です」
- 「生ワクチンと不活化ワクチンの同時接種はできません」
- 「初回肺炎球菌ワクチン接種後の発熱は経過観察可能です」
- 「不活化ワクチン接種後27日間は他のワクチンは接種できません」
▶午後26
妊娠38週の初産婦の妊婦健康診査で、助産師外来の担当助産師が内診を行った。内診指を腟の後壁に沿って挿入したが子宮口になかなか届かず、奥まで入れてようやく子宮口に届いた。子宮口は鼻翼のように硬く1.5cm開大しており、展退度は40%であった。児頭の先進部は坐骨棘より1cm上方に触れた。羊水の流出は認めなかった。
このときのBishop〈ビショップ〉スコアはどれか。
- 0点
- 2点
- 4点
- 7点
- 9点
▶午後27
Aさん(35歳、1回経産婦)は陣痛発来後3時間の経過で4,200gの男児を経腟分娩した。会陰切開の必要はなく会陰裂傷もなかった。分娩後1時間のバイタルサインは脈拍70/分、整、血圧120/80mmHgであった。分娩後2時間の時点で脈拍100/分、整、血圧80/60mmHgで「少し前から肛門の奥あたりがとても痛くなってきた」と訴えた。子宮底部は臍下4横指、子宮収縮は良好であった。Aさんは苦悶様表情を浮かべ、額に冷汗が認められた。出血量は正常範囲内であった。
助産師の対応で正しいのはどれか。
- 子宮底の輪状マッサージを実施する。
- 子宮収縮薬投与の準備をする。
- 末梢静脈路確保の準備をする。
- トイレ歩行を促す。
- 左側臥位にする。
▶午後28
出生後に新生児への特異的ガンマグロブリン及びワクチンの投与による母子感染予防が実施される感染症の原因となる病原体はどれか。
- クラミジア
- B型肝炎ウイルス
- C型肝炎ウイルス
- サイトメガロウイルス
- ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉
▶午後29
排卵誘発薬の使用による卵巣過剰刺激症候群のリスク因子となるのはどれか。2つ選べ。
- 若年
- 肥満
- 流産の既往
- 薬剤アレルギーの既往
- 多囊胞性卵巣症候群の合併
▶午後30
妊娠に伴う変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 心拍出量が増加する。
- 機能的残気量が減少する。
- 血中中性脂肪濃度が減少する。
- 末梢血中白血球数が減少する。
- 血清アルブミン濃度が増加する。
▶午後31
新生児の体温調節で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 低出生体重児は褐色脂肪組織が多い。
- 発汗機能が未熟で低体温になりやすい。
- 熱産生は主に筋収縮による震えによって行う。
- 代謝性アシドーシスの原因として低体温がある。
- 体表面積が体積に比べて大きく熱喪失が大きい。
▶午後32
双胎妊娠について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 二卵性双胎の頻度は遺伝素因が関係する。
- 二卵性双胎の約75%が二絨毛膜性である。
- 双胎は単胎に比べて妊娠高血圧症候群になりやすい。
- 一絨毛膜双胎は二絨毛膜双胎に比べて周産期死亡率が低い。
- 二絨毛膜双胎は一絨毛膜双胎に比べて双胎間輸血症候群を生じやすい。
▶午後33
助産所において、分娩期に緊急に医療機関への母体搬送の適応となるのはどれか。2つ選べ。
- 前期破水後12時間経過しても陣痛が発来しない。
- 分娩第1期の母体の体温が38.5℃である。
- 分娩第2期において、2時間以上分娩が進行せず児の娩出が期待できない。
- 会陰裂傷第1度である。
- 分娩後2時間までの出血量が400mLである。
▶午後34
生後15分の新生児。在胎39週0日、Apgar〈アプガー〉スコア1分後8点、5分後8点であった。新生児蘇生法〈NCPR〉としてルーチンケアを行った後、インファントラジアントウォーマー下で観察を継続していたところ、生後12分ころから呻吟と陥没呼吸が出現したため、改めて気道開通の処置を行ったが呼吸状態は増悪傾向である。バイタルサインは体温(腋窩温)36.8℃、呼吸数50/分、心拍数170/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉87%であった。
初期対応の選択として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 気管挿管
- 胸骨圧迫
- 酸素投与
- バッグ・マスク換気
- 持続的気道陽圧〈CPAP〉
▶午後35
助産師が行えるのはどれか。2つ選べ。
- 助産師の介助なしに生まれた児の出生証明書の交付
- 電車内で出産を介助した児の出生証明書の交付
- 出生直後に死亡した児の死亡診断書の交付
- 母性健康管理指導事項連絡カードの記載
- 子宮収縮薬の処方箋の交付
次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
Aさん(45歳、女性)は1年ほど前から月経周期が不整となり、半年くらい前から不眠や頭痛があり婦人科を受診した。Aさんは「眠れないのは更年期のせいではないかと夫に言われ受診しました。もうそんな年齢だと思うと、一層心がふさぎ込んでしまいます」と話した。医師は更年期障害の可能性を話し、診断のための検査を行うとAさんに伝えた。
▶午後36
助産師はAさんの支援に向けて初回の面接を行うことにした。
このときに助産師が収集する情報で最も優先するのはどれか。
- 性生活の状況
- 治療に対する夫の考え
- Aさんが自覚している症状
- 加齢による容姿の変化への不安
▶午後37
Aさんは更年期障害と診断され、漢方薬による治療を開始することになった。また、診断の過程で行った検査で、骨量は正常であったが大腿骨頸部の骨密度の低下がみられたため、保健指導を行うことになった。Aさんは、「まだよく眠れないこともあります。最近は、運動らしい運動はしていないです」と話した。
このときのAさんに対する指導内容で正しいのはどれか。
- 「蛋白質の摂取は制限しましょう」
- 「昼間でも眠れるときに眠るようにしましょう」
- 「運動は短期間に集中して行うようにしましょう」
- 「カルシウムを1日800mg摂るようにしましょう」
- 「リンを多く含む食品を積極的に摂るようにしましょう」
▶午後38
Aさんは、3か月の通院を経て症状の改善を自覚していた。ある日の婦人科外来受診日に、「月経は不規則ですが、少し元気もでてきた気がして、夫とは日常的に性生活を行うようになっています。以前はピルを使用したりもしていましたが、もう更年期だし、避妊はどうすればよいでしょうか」と話した。
このときのAさんに助産師が行う説明で適切なのはどれか。
- 「オギノ式避妊法を活用しましょう」
- 「性交渉は避けるのが望ましいです」
- 「ピル使用の可否について医師に相談してみましょう」
- 「射精の直前にコンドームを装着するようにしましょう」
次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
Aさん(30歳、初産婦)は無痛分娩を希望している。妊娠39週4日、陣痛発来にて入院した。分娩監視装置が装着され、陣痛間欠6~8分、陣痛発作30秒、児心音は正常であった。Aさんは「痛みが増してきたので麻酔をして欲しい」と話した。助産師がAさんに自動血圧計を装着し、医師が側臥位のAさんに硬膜外麻酔用カテーテル挿入後に麻酔薬を注入した。
▶午後39
麻酔開始30分後に、胎児の一過性徐脈が認められた。Aさんに痛みの訴えはなく、下肢の感覚鈍麻はあるが動きは良好である。
このときのAさんへの初期対応で適切なのはどれか。
- 内診をする。
- 仰臥位にする。
- 血圧を確認する。
- 上肢の動きを確認する。
▶午後40
その後、胎児の徐脈は消失して、硬膜外麻酔開始から4時間が経過した。硬膜外カテーテルから持続的に局所麻酔薬の投与が行われている。Aさんの陣痛が弱く、分娩進行が停滞していると判断され、子宮収縮薬の点滴が開始された。Aさんは「お腹の下のほうが少し痛くなってきた」と助産師に伝えた。Aさんのバイタルサインに異常はなく、胎児の心拍も正常である。
このときの助産師の対応で適切なのはどれか。
- Aさんの痛みの程度を痛みスケールで評価する。
- 子宮収縮薬の効果なので様子をみるよう伝える。
- 子宮収縮薬の中止を医師に相談する。
- Aさんの体位を四つん這いにする。
▶午後41
子宮口が全開大してから2時間30分が経過した。陣痛間欠2分、陣痛発作60秒。Aさんは、「お腹の張る感じはわかるが、いきみたい感じはわからない」と話す。児の心拍は正常であり、下降度はStation+3である。
このときの助産師の最初の対応で適切なのはどれか。
- 硬膜外麻酔の中止を医師に相談する。
- 吸引分娩の準備をする。
- 努責の方法を指導する。
- 飲水を促す。
次の文を読み42〜44の問いに答えよ。
Aさん(29歳、経産婦)は妊娠38週0日。不規則な子宮収縮を主訴に午後2時に来院した。妊娠経過は良好であった。児の推定体重は3,400g。胎児心拍数陣痛図では陣痛間欠8分、発作40秒。胎児心拍数基線140bpm、基線細変動は正常で、一過性頻脈があり、一過性徐脈は出現していない。血性分泌物はない。陣痛開始しており入院となった。胎児心音は、母体の右側、臍棘線上中央で聴取できた。内診所見は、子宮口5cm開大、展退度50%、Station-1。矢状縫合は横径に一致し、小泉門は9時方向、同じ高さで大泉門が3時方向に触知できた。
▶午後42
胎児の胎位胎向で正しいのはどれか。
- 第1後頭位
- 第1前頭位
- 第2後頭位
- 第2前頭位
▶午後43
陣痛開始から6時間が経過した。陣痛間欠7分、発作30秒。胎児心拍数基線140bpm、基線細変動20bpmである。陣痛発作時に苦悶様の表情がみられたため内診を実施したところ、子宮口6cm開大、展退度60%、Station-1。矢状縫合は右斜径に一致し、小泉門が先進し、11時方向に触れた。発作時に胎胞が触れるが緊満感は乏しい。腟から血性分泌物が少量確認できた。
この所見から考えられる状態はどれか。
- 回旋異常
- 早期破水
- 微弱陣痛
- 胎児機能不全
▶午後44
陣痛開始から10時間が経過した。陣痛間欠6分、発作40秒。内診所見は、子宮口8cm開大、展退度80%、Station+1。胎児心拍数陣痛図では胎児心拍数基線140bpm、基線細変動6〜25bpm。最下点100bpm、回復まで20秒の変動一過性徐脈が2回みられた。Aさんは「昨夜からあまり眠れていない」と話し、疲れた様子である。
助産師の対応で適切なのはどれか。
- 経過観察する。
- 院内の階段昇降を促す。
- 帝王切開術の準備をする。
- 子宮収縮薬の使用を医師に相談する。
次の文を読み45〜47の問いに答えよ。
Aさん(32歳、初産婦)は人工授精で妊娠した。妊娠初期に頭殿長により予定日が決定された。妊娠経過は良好。妊娠40週6日、妊婦健康診査のため産婦人科医院を定期受診した。身長160cm、体重65kg(非妊時体重55kg)、血圧120/75mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。腹囲90cm、子宮底長34cm。Hb11.0g/dL、ヘマトクリット35%、白血球10,000/μL。胎児推定体重2,800g、AFI15。胎児心拍数陣痛図で子宮収縮3回/40分、胎児心拍数基線130bpm、基線細変動正常、一過性頻脈4回/40分、モニタリング中に最下点120bpm、持続10秒の心拍変動が1回あった。胎児心拍モニタリング中に胎動を10回自覚するのに要した時間は15分であった。
▶午後45
現時点の妊娠経過のアセスメントで正しいのはどれか。
- 正常
- 胎動減少
- 羊水過多
- 胎児機能不全
- 白血球の異常増多
▶午後46
Aさんは助産師に「予定日を1週間過ぎましたが大丈夫でしょうか。心配になってきました」と相談してきた。
助産師の説明で正しいのはどれか。
- 「最終月経から算定した妊娠週数に変更します」
- 「さらに赤ちゃんが育つので安産になります」
- 「週2回妊婦健康診査に来てください」
- 「できるだけ安静にしてください」
▶午後47
妊娠41週5日。妊婦健康診査で母児の状態に異常はない。医師に分娩誘発を勧められたAさんは助産師に「自然に陣痛がくるのを待つことはよくないのでしょうか」という。
助産師の説明で適切なのはどれか。
- 「妊娠42週以降になると赤ちゃんの状態が悪くなるリスクがあります」
- 「分娩誘発を待ってもらえないか医師に相談しましょう」
- 「今後、Aさんの血圧が上がってくる心配があります」
- 「早く産んでしまったほうが楽になりますよ」
次の文を読み48〜50の問いに答えよ。
Aさん(42歳、初産婦)は妊娠27週0日に自宅で突然、破水し、産婦人科病棟に入院した。入院の翌日、胎児心拍数陣痛図で高度遅発一過性徐脈を認め、緊急帝王切開術による出産となった。なお、経過中、羊水混濁は認められなかった。児の出生体重は1,051g。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後3点、5分後7点。手術室で気管挿管を伴う新生児蘇生術を受けて全身状態は落ち着き、NICUに収容されて人工呼吸器管理を開始した。生後1時間のバイタルサインは体温(直腸温)35.8℃、呼吸数50/分、心拍数140/分、血圧40/28mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%であった。また、出生後排尿排便は認められていない。
▶午後48
生後1時間での児の評価として当てはまるのはどれか。
- 頻脈
- 乏尿
- 多呼吸
- 低体温
- イレウス
▶午後49
生後12時間が経過した。保育器内で人工呼吸器管理を行っていたところ、突如、呼吸運動の停止に伴い経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉低下と徐脈を認める発作が出現した。皮膚刺激で速やかに改善するものの、同様の発作が1時間に5、6回の頻度で認められた。その際のバイタルサインは、体温(腋窩温)36.8℃、呼吸数70/分、心拍数160/分、血圧45/30mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%であった。
鑑別すべき疾患はどれか。
- 敗血症
- 壊死性腸炎
- 未熟児網膜症
- 胎便吸引症候群
▶午後50
日齢14。保育器内で経鼻ハイフローセラピー(吸入酸素濃度21%)を行い、輸液と経管栄養を併用されている。現在の児の姿勢を図に示す。児は少し落ち着かない様子で体動が見られる。
児のポジショニングを整える際に行うべき対応はどれか。
- 頭枕を取り除く。
- 顔面を中間位に向ける。
- 上肢を上方に伸展させる。
- 体幹を伸展させる。
- 股関節を屈曲させる。
次の文を読み51〜53の問いに答えよ。
Aさん(33歳、3回経産婦)はこれまで病院で出産しており、妊娠や分娩経過は順調であった。Aさんは、妊娠18週2日に自宅分娩を扱う開業助産師を初めて受診した。「今回は可能であれば自宅で出産し、家族みんなで経験を分かち合いたいと思います」と話し、自宅での出産を希望した。今回の妊娠経過も順調である。Aさんは夫(40歳、自営業)と子どもとの5人暮らしである。
▶午後51
Aさんと会った際の助産師の最初の対応として適切なのはどれか。
- 嘱託医療機関での妊婦健康診査の実施時期について説明する。
- 自宅分娩に対する家族の同意の有無を確認する。
- 自宅分娩の予約の手続きを行う。
- 自宅分娩の費用を説明する。
▶午後52
Aさんの自宅は都市郊外にあるアパートの2階で、間取りは居室3部屋と台所である。夫は自宅で仕事を行っており、育児には協力的である。
自宅分娩のために助産師が確認すべき内容で適切なのはどれか。
- 分娩時のAさんの子どもの預け先の確保
- Aさんの自宅で助産師が待機する部屋の確保
- 分娩時に支援を依頼する近隣の助産師の確保
- 分娩時にAさんの自宅に往診する産科医の確保
- 助産師のAさんの自宅までの移動時間が2時間以内であること
▶午後53
Aさんの妊娠経過は順調であった。妊娠39週6日、午前10時に陣痛が発来したと助産師に連絡があり、助産師はすぐに訪問した。到着時の内診所見は、子宮口6cm開大、展退度80%、Station±0。陣痛発作時に軽い努責感がある。胎児心拍数陣痛図で、陣痛間欠3分、陣痛発作45秒、胎児心拍数基線120bpm、基線細変動正常、直近の陣痛時に160bpmまでの一過性頻脈が1回みられた。
この時点での助産師の対応として適切なのはどれか。
- Aさんに努責を促す。
- 嘱託医師に報告する。
- そのまま経過観察する。
- 末梢静脈の血管確保を行う。
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
Aさん(29歳、初産婦)は妊娠28週1日に間欠的な下腹部の鈍痛と赤茶色の帯下の出現を自覚した。かかりつけの産婦人科病院を緊急受診したところ、頸管長の短縮が確認されて切迫早産の診断で入院となった。子宮収縮抑制薬の点滴静脈内注射が開始された。
▶午後54
妊娠28週3日、朝方からAさんは体温38.2℃の発熱を生じて、子宮収縮が次第に強まり子宮収縮抑制薬を増量しても収縮が治まらなかった。胎児の胎位は骨盤位で、胎児心拍数陣痛図では胎児心拍数基線は175bpmで基線細変動が減少していた。血液検査の結果は白血球数21,000/μL、CRP6mg/dLであった。
Aさんに対するアセスメントで正しいのはどれか。
- 白血球の増加は子宮収縮薬の副作用である。
- 子宮内に感染を生じている可能性が高い。
- 胎児のwell-beingに問題はない。
- 骨盤位が切迫早産の原因である。
▶午後55
その日の夜間に、Aさんは帝王切開術による分娩となった。術後3日、術後経過は順調で、Aさんは乳房の軽度緊満感を自覚している。Aさんの児の状態も安定している。助産師はAさんに母乳栄養に関する指導を行うことにした。
Aさんへの説明内容で適切なのはどれか。
- 搾乳した母乳は常温で保存する。
- 本日から直接授乳が可能である。
- 乳頭刺激は1日1回の頻度にする。
- 母乳は壊死性腸炎の予防に有効である。
資料 厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について」
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回