国民衛生の動向でみる看護師国家試験の感染症問題まとめ
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「国民衛生の動向」は、昭和24年の創刊以来、時代の変化に合わせて、わが国の衛生を取り巻く最新の状況を網羅する本として幅広く利用されています。
かつては、結核をはじめとした感染症対策がその記述の中心でしたが、近年では感染症を軸とした対策から、生活習慣の改善による発症予防(一次予防)を推進する生活習慣病対策に重点が置かれてきていました。
しかし、2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、医療機関や保健所だけでなく、介護施設や飲食店、学校、家庭などでも感染症対策の重要性が再認識されたところです。
こうした中で、看護師試験では、これまで同様、もしくはこれまで以上に感染症を問う問題が出題されると考えられます。当ページでは、過去10年ほどの問題の中から感染症に関わる問題をピックアップし、簡易的な説明とともに示します。
問題を解きながら、「国民衛生の動向」第3編3章の感染症対策の記述を参考に、感染症法の規定、各感染症の特徴、医療機関における予防策など、総合的に把握することが大切です。
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厚生の指標増刊
発売日:2022.8.26 定価:2,695円(税込) 472頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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目次
〈67問分掲載(+類問5問)〉
感染症法
感染症法による分類
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉では、対象とする感染症の感染力や罹患した場合の症状の重篤性などに基づいて1~5類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症に分類している。
【対象感染症の一例】
●1類感染症:エボラ出血熱、ペスト
●2類感染症:結核、重症急性呼吸器症候群〈SARS〉
●3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症
●4類感染症:A型肝炎、E型肝炎、マラリア
●5類感染症:後天性免疫不全症候群〈AIDS〉、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、麻疹、風疹、細菌性髄膜炎、水痘
- 一類
- 二類
- 三類
- 四類
- 五類
- 一類感染症
- 二類感染症
- 三類感染症
- 四類感染症
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
- 腸管出血性大腸菌感染症
- つつが虫病
- 日本脳炎
- 梅毒
感染症法に基づく届出基準
●1~4類感染症と、5類感染症の一部(侵襲性髄膜炎菌感染症、風疹および麻疹)、新型インフルエンザ等感染症を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
●5類感染症のうち麻疹等を除く全数把握対象疾患については7日以内に届け出なければならない。
- 結核――診断後7日以内
- 梅毒――診断後直ちに
- E型肝炎――診断後直ちに
- 腸管出血性大腸菌感染症――診断後7日以内
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉――診断後直ちに
主な感染症等の動向と対策
結核(2類感染症)
●結核は感染症法上の二類感染症に分類され、空気感染を起こす。結核菌に感染した場合、必ずしもすぐに発症するわけではなく、長期にわたり体内に潜伏したのち再び活動を開始し、発症することがある。
●結核菌の消毒にはエタノールが有効である。
- インフルエンザ
- 結核
- ノロウイルス性胃腸炎
- 流行性耳下腺炎
- エタノール
- アクリノール
- ベンザルコニウム
- クロルヘキシジン
結核患者・死亡数の推移
新登録結核患者数(菌喀痰塗抹陽性肺結核含む)、結核による死亡数ともに減少傾向にある。
- 新登録結核患者数
- 菌喀痰塗抹陽性の肺結核患者数
- 外国生まれの新登録結核患者の割合
- 結核による死亡数
BCGワクチン
BCGは結核を予防するワクチンで、予防接種法に基づき生後1歳に至るまで(標準的な接種は生後5~8か月)の間に定期接種を行う。接種後5~6週間頃に針の痕に一致して発赤や膿がみられることがあるが、正常な反応とされる。ただし、接種から約10日以内にこうした反応が生じた場合は、すでに結核菌に感染しているおそれもあり、速やかに医療機関に相談・受診する必要がある。
このときの看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「通常の反応です」
- 「速やかに来院してください」
- 「1週間後にまた電話をください」
- 「患部をアルコール消毒してください」
結核児童の療養給付
児童福祉法により、18歳未満の結核児童に対して、公費医療として療養の給付を行っている。
- 未熟児の養育医療――医療法
- 結核児童の療養給付――児童福祉法
- 麻薬中毒者の措置入院――精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉
- 定期予防接種による健康被害の救済措置――感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉
A型肝炎(4類感染症)
A型肝炎の主な感染経路は、汚染された食品や水などを介した経口感染である。まれに劇症化することがあり、B型肝炎、C型肝炎とは異なり、慢性化することはない。
Aさんが罹患した肝炎について正しいのはどれか。
- 細菌感染である。
- 劇症化する危険性がある。
- 慢性肝炎に移行しやすい。
- インターフェロン療法を行う。
B型肝炎・C型肝炎(5類感染症)
B型肝炎 | C型肝炎 | |
原因ウイルス |
HBV(B型肝炎ウイルス) ……DNAウイルス |
HCV(C型肝炎ウイルス) ……RNAウイルス |
感染経路 | 血液感染、母子感染、性行為感染。医療現場での針刺し事故の可能性も残される。 | ほぼ血液感染 |
症状 | 急性肝炎として発症することもあるが、基本的には慢性化せずに完治する。 | 多くは自覚症状が現れず慢性化し、肝硬変や肝がんに進行する場合がある。 |
治療法 | インターフェロン製剤や核酸アナログ製剤などの使用 | 主にインターフェロン療法 |
定期予防接種 | あり | なし |
- A型肝炎ウイルス
- B型肝炎ウイルス
- C型肝炎ウイルス
- E型肝炎ウイルス
- ドパミン
- インスリン
- リドカイン
- インターフェロン
- RSウイルス
- B型肝炎ウイルス
- ヘルペスウイルス
- サイトメガロウイルス
- 劇症化しやすい。
- 性行為による感染が多い。
- 無症状のまま慢性化しやすい。
- ワクチン接種による感染予防対策がある。
マラリア(4類感染症)
マラリアは、熱帯・亜熱帯地域に広く分布する感染症でHIV/エイズ、結核と並び三大感染症ともいわれる。最も多い症状は発熱と悪寒で、熱発は間隔をあけて発熱期と無熱期を繰り返す。
- ポリオ〈急性灰白髄炎〉
- マラリア
- 天然痘
- 麻疹
予測される感染症はどれか。
- マラリア
- コレラ
- 赤痢
- 破傷風
エイズ(5類感染症)/HIVの症状・診断
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉は、免疫システムである白血球中のヘルパー〈CD4陽性〉Tリンパ球に感染し、増殖、破壊することで、免疫不全状態を引き起こす。感染後、多くはほとんど症状もなく経過し、無症候性キャリアの状態で平均10年程度経過した後に症状が現れ、ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)やカンジダ症、カポジ肉腫などの23の指標疾患の1つ以上を発症するとエイズと診断される。
- 好中球
- 形質細胞
- Bリンパ球
- ヘルパー〈CD4陽性〉Tリンパ球
- 細胞傷害性〈CD8陽性〉Tリンパ球
- 季節性インフルエンザ
- ニューモシスチス肺炎
- ノロウイルス性腸炎
- 単純性膀胱炎
HIVの感染経路・指導
●HIVの主な感染経路は、①HIV感染者との性行為、②血液または血液製剤の輸注、③母子感染(垂直感染)の3つである。性行為による感染にはコンドームの使用、母子感染には妊婦の感染の早期発見と抗HIV薬等による適切な対策が効果的である。
●HIV感染者への指導に当たっては、性行為感染が多数を占めることから、人権・プライバシーに配慮した個別指導が望ましい。
- 感染者の嘔吐物との接触
- 感染者の咳による曝露
- 感染者の糞便との接触
- 感染者からの輸血
- 感染者との性行為
- 水平感染
- 垂直感染
- 接触感染
- 飛沫感染
- 空気感染する。
- 無症候期がある。
- DNAウイルスによる。
- 血液中のBリンパ球に感染する。
- 小学生へのインフルエンザ予防の指導
- 塩分摂取量が多い地域住民への食事指導
- ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染者への生活指導
- 3〜4か月児健康診査に来た保護者への離乳食の指導
HIV感染者・エイズ患者の動向
令和2年12月31日現在のHIV感染者をみると、異性間の性的接触が5,505人、同性間の性的接触が13,687人で、とくに日本人男性の同性間の性的接触が12,687人と多数を占めている。
- 本人より先に家族に病名を告知する。
- 国内では異性間性的接触による感染が最も多い。
- 適切な対応によって母子感染率を下げることができる。
- 性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。
- HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群〈AIDS〉と診断できる。
世界の地域別HIV感染者数〈令和2年末〉
2020年末現在のHIV感染者は3760万人と推定されており、東部・南部アフリカが2060万人と半分以上を占めている。
- 東欧・中央アジア
- 西欧・中欧・北アメリカ
- アジア太平洋
- 東部・南部アフリカ
風疹(5類感染症)
●風疹は、発熱や発疹、リンパ節腫脹を特徴とする風疹ウイルスによる感染性疾患で、主に飛沫感染が感染経路である。妊婦が妊娠20週ごろまでに感染すると、白内障や先天性心疾患、難聴などを特徴とする先天性風疹症候群の児が生まれる可能性がある。
●定期予防接種として、生後12月から生後24月に至るまでの間にある者(一期)、小学校就学前の5歳以上7歳未満の者(二期)が対象である。
- 標準予防策
- 標準予防策と接触感染予防策
- 標準予防策と飛沫感染予防策
- 標準予防策と空気感染予防策
- 水痘
- 風疹
- 麻疹
- 流行性耳下腺炎
- 飲酒の習慣による巨大児
- 喫煙による神経管形成障害
- 妊娠初期の風疹の罹患による先天性心疾患
- ビタミンAの過剰摂取による低出生体重児
- 風疹――白内障
- 性器ヘルペス――聴力障害
- トキソプラズマ症――先天性心疾患
- 性器クラミジア感染症――小頭症
麻疹(5類感染症)
●麻疹は、高熱や、発症初期に頬粘膜に生じる白色の斑点(コプリック斑)、その後の耳後部から始まり体の下方へと広がる赤い発疹を特徴とする全身性ウイルス感染疾患で、主に空気感染が感染経路である。罹患するとまれに急性脳炎を発症し、精神発達遅滞などの重篤な後遺症が残る、または死亡することがある。
●定期予防接種として、生後12月から生後24月に至るまでの間にある者(一期)、小学校就学前の5歳以上7歳未満の者(二期)が対象である。
- 結核――接触感染
- 麻疹――空気感染
- マラリア――飛沫感染
- インフルエンザ――経口感染
- 麻疹
- 風疹
- 手足口病
- 流行性耳下腺炎
- 麻疹
- 手足口病
- 帯状疱疹
- ヘルパンギーナ
- 合併症として脳炎がある。
- 感染力は発疹期が最も強い。
- 効果的な抗ウイルス薬がある。
- 2回のワクチン定期接種が行われている。
- エンテロウイルスの感染によって発症する。
性感染症(5類感染症)
●性感染症とは、性行為によって伝播する5疾患(梅毒・性器クラミジア感染症・性器ヘルペスウイルス感染症・淋菌感染症・尖圭コンジローマ)で、令和2年(2020年)の報告数では、性器クラミジア感染症が28,381人と最も多い。
●性感染症の予防にはコンドームの使用が効果的で、感染、または感染疑いのある場合、本人だけでなくパートナー等も含めた検査・治療を行うことが重要である。
- 性器クラミジア感染症
- 尖圭コンジローマ
- 性器ヘルペス
- 淋菌感染症
- 経口避妊薬の内服が予防に有効である。
- 患者のパートナーは治療の対象ではない。
- 10代では性器ヘルペスの罹患が最も多い。
- 性器クラミジア感染症の罹患は不妊症の危険因子である。
梅毒
梅毒は性行為による接触で伝播する性感染症で、梅毒トレポネーマ(細菌)の感染によって生じる。早期の抗菌薬による薬物治療で完治が可能だが、検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがある。
- ウイルス感染症である。
- 感染経路は空気感染である。
- 治療の第一選択薬はステロイド外用薬である。
- 梅毒血清反応における生物学的偽陽性の要因に妊娠がある。
細菌性髄膜炎(5類感染症)
細菌性髄膜炎の主な症状は、項部硬直、高熱、羞明(光過敏)、錯乱、頭痛、嘔吐などがある。
- 羞明
- 羽ばたき振戦
- Raynaud(レイノー)現象
- Blumberg(ブルンベルグ)徴候
水痘(5類感染症)
●水痘は水痘帯状疱疹ウイルスにより引き起こされる感染症で、典型的な症例では、発疹は紅斑(皮膚の表面が赤くなること)から始まり、水疱、膿疱(粘度のある液体が含まれる水疱)を経て痂皮化(かさぶたになること)して治癒するとされている。
●定期予防接種として、生後12月から生後36月までの幼児(2回接種)を対象としている。
- 耳下腺の腫脹
- 両頰部のびまん性紅斑
- 水疱へと進行する紅斑
- 解熱前後の斑状丘疹性発疹

最も疑われるウイルス感染症はどれか。
- 伝染性軟属腫
- 伝染性紅斑
- 水痘
- 風疹
- DTワクチン(二種混合)
- ロタウイルスワクチン
- BCGワクチン
- 水痘ワクチン
流行性角結膜炎(5類感染症)
流行性角結膜炎は、アデノウイルスによる眼感染症であり、主に手を介した接触により感染する。
- 淋菌
- 緑膿菌
- クラミジア
- アデノウイルス
- ヘルペスウイルス
レジオネラ症(4類感染症)
レジオネラ症は自然界(河川、湖水、温泉や土壌など)に生息しているレジオネラ属菌の感染により発症し、主な病型として重症の肺炎を引き起こすレジオネラ肺炎がある。
- B型肝炎
- マラリア
- レジオネラ肺炎
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
インフルエンザ(季節性)(5類感染症)
インフルエンザの主な感染経路は、咳やくしゃみによる飛沫感染である。
- 疥癬
- コレラ
- A型肝炎
- インフルエンザ
成人T細胞白血病〈ATL〉
成人T細胞白血病〈ATL〉は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型〈HTLV-1〉の感染により発症する可能性があり、発症には主に母乳を介した母子感染が関与している。
- 血友病
- 鉄欠乏性貧血
- 再生不良性貧血
- 成人T細胞白血病〈ATL〉
- 成人T細胞白血病〈ATL〉ウイルス
- 単純ヘルペスウイルス〈HSV〉
- サイトメガロウイルス
- 風疹ウイルス
人類共通感染症
人獣共通感染症は、動物由来感染症のうち、同一の病原体によりヒトとヒト以外の脊椎動物の双方が罹患する感染症である。そのうち黄熱はサル、ヒト、蚊を宿主とし、蚊によって媒介される。
- Q熱
- 黄熱
- 狂犬病
- オウム病
- 重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉
予防接種
予防接種の役割
感染症に対する免疫力の低下した感受性宿主などが予防接種により免疫の効果を得ることで、これまで多くの疾病の流行防止に大きな成果をあげ、感染症による患者の発生や死亡者の大幅な減少をもたらすなど、感染症対策上、極めて重要な役割を果たしてきた。
- 病原体
- 感染源
- 感染経路
- 宿主の感受性
定期予防接種の対象(令和3年4月現在)
【生ワクチン】
BCG(結核ワクチン)、麻疹・風疹混合(MR)、麻疹、風疹、水痘、ロタウイルス(1価、5価)
【不活化ワクチン・トキソイド】
ポリオ(IPV)、ジフテリア・破傷風混合トキソイド(DT)、百日せき・ジフテリア・破傷風混合(DPT)、百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合(DPT‐IPV)、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌(13価結合型)、肺炎球菌(23価莢膜ポリサッカライド)、インフルエンザ菌b型(Hib)、ヒトパピローマウイルス(HPV)(2価、4価)
- 結核
- 水痘
- 風しん
- B型肝炎
- 流行性耳下腺炎
▶105回午後77
- 日本脳炎ワクチン
- ロタウイルスワクチン
- インフルエンザワクチン
- 麻しん風しん混合ワクチン
- Hibワクチン
- ジフテリア
- 日本脳炎
- 破傷風
- 結核
- 麻疹
院内感染対策
標準予防策(スタンダードプリコーション)
感染源の有無にかかわらず、血液・体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜(湿性生体物質)を介する微生物の伝播リスクを減らすために、すべての患者に対して標準的な感染予防策(スタンダードプリコーション)を行う。なお、汗は湿性生体物質であるが標準予防策からは除かれる。
- 汗
- 爪
- 唾液
- 頭髪
- 手浴
- 洗髪
- 口腔ケア
- 寝衣交換
手指衛生(手洗い)
手洗いは、普通石けん(非抗菌性)と流水による物理的な手洗いによる。
- 石けんは十分に泡立てる。
- 洗面器に溜めた水で洗う。
- 水分を拭きとるタオルを共用にする。
- 塗布したアルコール消毒液は紙で拭き取る。
感染経路別予防策(空気感染)
結核や麻疹など空気感染のおそれのある患者については病室を陰圧室とし、入室するときはN95マスクを装着する。
- 手袋
- N95マスク
- シューズカバー
- フェイスシールド
感染性廃棄物
感染性廃棄物とは、医療機関等から生じる、人が感染し、もしくは感染するおそれのある病原体が含まれ、もしくは付着している廃棄物またはこれらのおそれのある廃棄物であり、廃棄物処理法施行令に定める感染性一般廃棄物(紙くず、包帯、脱脂綿等)と感染性産業廃棄物(血液、注射針、メス、レントゲン定着液等)を指す。
- 滅菌パックの袋――産業廃棄物
- エックス線フィルム――一般廃棄物
- 血液の付着したメスの刃――感染性産業廃棄物
- H12.5以上のアルカリ性の廃液――感染性一般廃棄物
- 産業廃棄物
- 一般廃棄物
- 感染性産業廃棄物
- 感染性一般廃棄物
バイオハザードマーク
感染性廃棄物を収納した容器には、関係者が識別できるように下記のバイオハザードマークを付けることが推奨されている。
廃棄物の種類が識別できるように、性状に応じてマークの色を、①液状又は泥状のもの(血液等)は赤色、②固形状のもの(血液等が付着したガーゼ等)は橙色、③鋭利なもの(注射針等)は黄色と分けることが望ましい。
- 赤
- 黄
- 黒
- 橙
消毒・滅菌
オートクレーブを用いた滅菌を高圧蒸気滅菌といい、乾熱滅菌等に比べて低温・短時間での滅菌ができる。ただし、高温・高圧に耐えない器具(軟性内視鏡等)には用いない。
- 乾熱滅菌
- プラズマ滅菌
- 高圧蒸気滅菌
- 酸化エチレンガス滅菌
- ビニール袋に入った菓子――酸化エチレンガス滅菌
- ステンレス製のスプーン――高圧蒸気滅菌
- プラスチック製の箸――乾熱滅菌
- 紙製の絵本――低温プラズマ滅菌
- 手術用持針器――第4級アンモニウム塩
- ステンレス製便器――熱水消毒
- 軟性内視鏡――高圧蒸気滅菌
- ベッド柵――グルタラール
感染制御チーム
医療機関は平時から感染制御の組織化を行うこととされ、300床以上の病床を有する医療機関では医師、看護師、薬剤師、検査技師からなる感染制御チームを設置し、定期的な病棟ラウンドを行うことが望ましいとされる。
- 医師で構成される。
- 各病棟に配置される。
- アウトブレイク時に結成される。
- 感染症に関するサーベイランスを行う。
薬剤耐性菌対策
薬剤耐性を持つ多剤耐性緑膿菌〈MDRP〉やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉は、抵抗力の弱まった宿主(易感染者)に対して病原性を発揮する日和見感染症を起こすおそれがあり、医療施設内の拡散を防ぐため、院内感染対策サーベイランス事業などが実施されている。
- ジフテリア菌
- 破傷風菌
- 百日咳菌
- コレラ菌
- 緑膿菌
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉
- インフルエンザ菌
- A群溶連菌
- 髄膜炎菌
- 緑膿菌
身体の免疫機能
白血球(好中球)
白血球は体内に侵入した細菌、ウイルスなどを排除する免疫機能を持ち、白血球の多くを占める好中球は、細菌感染から体を守る主要な生体防御機構(免疫)である。好中球の減少は感染症のリスクを高め、好中球が500/μL未満で重度とされる。
- 血小板
- 白血球
- 網赤血球
- 成熟赤血球
- 単球
- 好酸球
- 好中球
- 好塩基球
- リンパ球
敗血症ショック
敗血症は、感染症の原因となる細菌等に起因して重度の臓器障害等を起こしている病態をいう。蘇生処置にも関わらず低血圧が持続し、ショック状態に陥った状態を敗血症ショックといい、死亡リスクが非常に高い。
- 心原性ショック
- 敗血症性ショック
- アナフィラキシーショック
- 循環血液量減少性ショック
世界保健機関(WHO)
WHOの役割
世界保健機関(WHO)は感染症対策や衛生統計の実施、国際疾病分類(ICD)等の基準づくり、保健分野における技術協力・研究開発など広範な活動を実施している。
- 国連難民高等弁務官事務所〈UNHCR〉――有償資金協力
- 国連教育科学文化機関〈UNESCO〉――児童の健康改善
- 世界保健機関〈WHO〉――感染症対策
- 国際労働機関〈ILO〉――平和維持活動
学校における感染症予防
学校保健安全法
校長は感染症にかかっている者、その疑いのある者およびかかるおそれのある者の出席を停止させることができる。
- 学校医は健康相談を実施する。
- 校長は学校医を置くことができる。
- 教育委員会は小学校入学1年前の児童に対して健康診断を実施する。
- 学校医は感染症に罹患した児童生徒の出席を停止させることができる。
テーマ別過去問題まとめ
- 国民衛生の動向でみる看護師国家試験の統計問題まとめ
- 国民衛生の動向でみる看護師国家試験の法律問題まとめ
- 国民衛生の動向でみる看護師国家試験の感染症問題まとめ
- 国民衛生の動向でみる看護師国家試験の介護保険制度問題まとめ
- 看護師国家試験必修問題まとめ(1)【国民衛生の動向対応】
- 看護師国家試験必修問題まとめ(2)【看護の倫理・対象】
- 看護師国家試験必修問題まとめ(3)【人体の構造と機能・健康障害・薬物】
- 看護師国家試験必修問題まとめ(4)【看護技術】
年次別過去問題まとめ
- 第111回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第110回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第109回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第108回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第107回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第106回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第105回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第104回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第103回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第102回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答