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第108回保健師国家試験問題・正答-国民衛生の動向対応 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第108回保健師国家試験問題・正答-国民衛生の動向対応

令和4年2月11日実施の第108回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2023/2024」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

Eisei22 23 hyo    厚生の指標増刊

国民衛生の動向 2023/2024

 

発売日:2023.8.29

定価:2,970円(税込)

432頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

ご注文は書店、または下記ネット書店、電子書籍をご利用下さい。

 

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第108回保健師国家試験目次

 

 

第108回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

平成25年(2013年)に改正された「地域における保健師の保健活動に関する指針」に示された市町村に所属する保健師の活動はどれか。

 

  1. 医療施設等に対する指導
  2. 防災計画の策定への参画
  3. 健康危機管理の体制づくり
  4. 広域的、専門的な保健サービスの提供

 

 


 

▶午前2改題

令和4年度(2022年度)の保健師活動領域調査で正しいのはどれか。

 

  1. 保健師の就業場所で最も多いのは市町村である。
  2. 保健所設置市で働く常勤保健師は地方自治体における保健師全体の3割を超えている。
  3. 都道府県保健所に所属する保健師の活動項目別の活動時間割合は「直接対人支援」が最も多い。
  4. 市町村保健師の活動項目別の保健師1人当たりの平均時間数は「施策管理・業務及び組織マネジメント」が最も長い。

 

 


 

▶午前3

Aさん(33歳)は第1子を県外の実家で里帰り出産した。Aさんは、産後30日で自宅に戻り、翌週、地区担当保健師の家庭訪問を受けた。訪問時に児の発育発達に問題はなかったが、その後、時々Aさんは地区担当保健師に電話をかけ、日々の育児で生じた悩みを保健師に話した。Aさんは「身近に育児について話し合える人がいればいいのに」と話した。
Aさんに対する保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 週末を利用して実家に帰ることを勧める。
  2. 地区で行われている子育て教室への参加を促す。
  3. 出産した産婦人科医院で相談することを勧める。
  4. 母子保健推進員の訪問を依頼することを勧める。

 

 


 

▶午前4

A地区では市主催の両親学級に参加した父親が有志でグループを結成し、「パパの会」として自主的な活動を行っている。地区担当保健師は、会のリーダーから「会の活動を市の広報紙に掲載して参加者を増やしたいという意見と、今のメンバーで活動していきたいという意見に分かれている。どうしたらよいか」と相談を受けた。
地区担当保健師が優先して行う対応として適切なのはどれか。

 

  1. 「保健師が運営を担当します」
  2. 「パパの会に一度参加させてください」
  3. 「リーダーの考えで活動を進めていいですよ」
  4. 「意見が分かれているのでメンバーを分けて活動しましょう」

 

 


 

▶午前5

Aさん(43歳、女性)は定期健康診断を毎年受けている。今年は血液検査で中性脂肪が基準値を超えており、医師から運動を勧められた。1か月後の受診日に、2週前から1日15分のジョギングを始めたことを医師に話したところ、医師は「2週間続けられたのだから、あなたならこれからもできると思います」と話した。Aさんは「はい。頑張って続けてみようと思います」と話した。
Aさんの自己効力感を高めたのはどれか。

 

  1. 代理体験
  2. 意識の高揚
  3. 言語的説得
  4. 自己の再評価

 

 


 

▶午前6

Aさん(50歳、男性)は市の集団健康診査で空腹時血糖が140mg/dL、ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉が6.8%であったことから、健康診査の結果相談会に来所した。保健師が話を聞くと、健康診査のときに医師から受診を勧められたものの、Aさんは「自覚症状がないから大丈夫」といい、まだ受診していなかった。保健師はAさんに、このまま放置した場合の身体への影響を科学的な根拠に基づいて説明した。
保健師の働きかけは、ヘルスビリーフモデルの主要な概念のどれか。

 

  1. 予防的行動に対する障害の認識
  2. 予防的行動の有益性の認識
  3. 疾病の重大性の認識
  4. 疾病の罹患性の認識

 

 


 

▶午前7

プリシード・プロシードモデルの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 地区活動の評価に活用できる。
  2. 最終目標は「健康の向上」である。
  3. 第1〜4段階が評価を行う段階である。
  4. 行動変容の段階に応じた働きかけを示したモデルである。

 

 


 

▶午前8

地域包括ケアシステム構築のために行われる活動について正しいのはどれか。

 

  1. 地域の特性に応じて国が作り上げる。
  2. 既存のケアシステムの実態把握を行う。
  3. 入院を主体とするサービス体制を中心に整備する。
  4. 保健医療福祉部門ごとの体制に合わせて構築する。

 

 


 

▶午前9

地域にある組織とその特性の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 地縁組織――社会的使命の実現を目的として活動する。
  2. 特定非営利活動法人――収益を分配することを目的としない活動を行う。
  3. セルフヘルプグループ――市町村から委嘱を受けて活動する。
  4. 健康課題別健康教室の修了者の会――地域の課題解決に向けた取り組みを行う。

 

 


 

▶午前10

A市の保健医療福祉関係者で構成される会議において、医療機関と介護サービス事業者との連携ができていないという課題が出された。
課題への対応において優先度が高いのはどれか。

 

  1. 医療従事者を対象に在宅ケアの勉強会を企画する。
  2. 地域ケア会議で互いの意見が共有できるようにする。
  3. 介護サービス事業者を対象に医療の知識に関する研修会を開催する。
  4. A市の医療機関に新しい医療連携のネットワークシステムを導入する。

 

 


 

▶午前11

Aさん(35歳、男性、会社員)は身長170cm、体重60kgである。事業所の保健師は、Aさんから「先日、潰瘍性大腸炎と診断され、外来通院で治療することになりました。会社の食堂で食事をすることが多いため、気を付けることはありますか」と相談を受けた。
Aさんに対する保健指導で適切なのはどれか。

 

  1. 「脂肪の制限はありません」
  2. 「低蛋白質の食事を選んでください」
  3. 「食物繊維が少ない食事を選んでください」
  4. 「カロリーが高くならないようにしてください」

 

 


 

▶午前12改題

令和3年(2021年)の日本におけるHIV感染者の患者動向で正しいのはどれか。

 

  1. 新規感染の約60%は性的接触である。
  2. 発生の総数は2008年から増加している。
  3. 男性では外国籍の者が半数以上を占めている。
  4. 日本国籍女性の感染経路は異性間の性的接触が最も多い。

 

 


 

▶午前13

乳幼児の予防接種が任意接種である疾病はどれか。

 

  1. B型肝炎
  2. 急性灰白髄炎
  3. 流行性耳下腺炎
  4. ロタウイルス感染症

 

 


 

▶午前14改題

令和3年(2021年)の特別支援教育の状況で正しいのはどれか。

 

  1. 訪問教育を受けている児童生徒は小学生が最も多い。
  2. 特別支援学級の児童生徒の障害は知的障害が最も多い。
  3. 義務教育段階の児童生徒のうち特別支援学校に在籍している割合は全児童生徒の3%である。
  4. 特別支援教育が開始された平成19年(2007年)に比べて対象となる児童生徒数は減少している。

 

 


 

▶午前15

学校給食に関する養護教諭の職務はどれか。

 

  1. 食中毒の予防
  2. 献立の栄養管理
  3. 調理場の衛生管理
  4. 食に関する指導に係る全体計画の作成

 

 


 

▶午前16改題

令和3年度(2021年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査で正しいのはどれか。

 

  1. 小学校における不登校児童数は約10万人である。
  2. いじめの発見のきっかけの第1位は「本人からの訴え」である。
  3. 中学校における不登校の主たる要因の第1位は「無気力・不安」である。
  4. 小学校におけるいじめの内容の第1位は「仲間はずれ、集団による無視をされる」である。

 

 


 

▶午前17

地域産業保健センターについて正しいのはどれか。

 

  1. 衛生管理者の育成を行う。
  2. 産業医の研修を実施する。
  3. 個別訪問による産業保健指導を行う。
  4. 労働者100人未満の事業場を対象とする。

 

 


 

▶午前18

A市は台風被害から2か月が経ち、仮設住宅と集会所が各地区に完成し、家屋に被害を受けた被災者の仮設住宅への入居が開始された。B地区の仮設住宅には元の居住地が異なる世帯が入居したため、新たなコミュニティ構築への支援が復興支援の課題となっている。
B地区の仮設住宅で新たなコミュニティづくりのために行う支援として、効果が期待できるのはどれか。

 

  1. 電話健康相談窓口を増設する。
  2. 家庭訪問による健康観察を実施する。
  3. ホームページで健康情報を発信する。
  4. 集会所で集団健康教育を定期開催する。

 

 


 

▶午前19

A小学校の2年生の児童80人と引率の教員が市内の公園に遠足に行き、昼食に学校から配布されたおにぎりを食べた。午後2時ころに帰校すると、2年生の児童と引率した教諭に嘔吐、下痢および腹痛の症状が現れ、半数以上の児童が医療機関を受診した。他学年の児童に症状がある者はなかった。保健所にA小学校から緊急連絡があり、疫学調査の結果、集団食中毒であることが判明した。
原因菌として最も疑われるのはどれか。

 

  1. ウェルシュ菌
  2. ボツリヌス菌
  3. 黄色ブドウ球菌
  4. カンピロバクター

 

 


 

▶午前20

保健師が行う看護管理機能の種別と実施内容の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 情報管理――地域診断
  2. 人事管理――個人情報の保護
  3. 予算管理――ジョブローテション
  4. 事例管理――サービスの質と量の評価

 

 


 

▶午前21

人口3万人の町の保健師は地区によって高脂血症の罹患率が大きく異なっていることに気付いた。
罹患率に関連する要因について仮説を立てて検証するために行う調査方法で適切なのはどれか。

 

  1. フォーカス・グループインタビュー
  2. 半構造化面接法
  3. 質問紙調査
  4. 事例分析

 

 


 

▶午前22

大きな集団から無作為に1,000人選び出したとき、その中の高血圧者数が従う分布はどれか。

 

  1. t分布
  2. 正規分布
  3. 二項分布
  4. χ2〈カイ2乗〉分布

 

 


 

▶午前23

保健機能食品制度の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 特定保健用食品の許可は厚生労働大臣が行う。
  2. 機能性表示食品は妊産婦に適する旨の表示ができる。
  3. 栄養機能食品は健康増進法に基づく一定の要件を満たしている。
  4. 保健機能食品は1日当たりの摂取目安を表示しなければならない。

 

 


 

▶午前24

医療計画において定めることとされている事項はどれか。

 

  1. 診療報酬の点数
  2. 市町村の介護医療院の設置数
  3. 居宅等における医療の確保に関する事項
  4. 市町村の地域支援事業利用者数の見込み

 

 


 

▶午前25

社会保障の枠組みで互助に当てはまるのはどれか。

 

  1. 医療保険を使って手術を受ける。
  2. 夫婦共働きで家族の生活費を得る。
  3. 健康維持のために健康診断を受ける。
  4. 自治会が健康に関する学習会を開催する。
  5. 病気によって働くことができないため生活保護を受給する。

 

 


 

▶午前26改題

令和3年(2021年)の労働安全衛生調査(実態調査)で、労働者の仕事や職業生活における強い不安、悩み、ストレスの内容に関して最も割合が高いのはどれか。

 

  1. 仕事の質
  2. 対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)
  3. 仕事の失敗、責任の発生等
  4. 会社の将来性
  5. 仕事の量

 

 


 

▶午前27

リスクコミュニケーションに当てはまる活動はどれか。

 

  1. 民生委員の会合でハザードマップを確認する。
  2. 災害派遣医療チーム〈DMAT〉を組織する。
  3. 災害が起こったときの被害を予測する。
  4. 食中毒の原因となる菌を調べる。
  5. 市の防災基本計画を策定する。

 

 


 

▶午前28

症例対照研究で計算が可能な指標はどれか。

 

  1. 受療率
  2. オッズ比
  3. 寄与危険
  4. 推計患者数
  5. 5年生存率

 

 


 

▶午前29改題

日本の主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移を図に示す。
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心疾患はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

 

 


 

▶午前30

レセプト情報・特定健診等情報データベース〈NDB〉に収載されているのはどれか。

 

  1. 世帯収入
  2. 食塩摂取量
  3. 同居家族人数
  4. 主要死因別死亡数
  5. 特定保健指導の実施状況

 

 


 

▶午前31

A市では8月に大規模災害が発生し災害復興が必要となった。健康増進課ではコミュニティの復興を考慮した事業について次年度に実施することを計画し、予算要求を行うことになった。
健康増進課の予算要求について正しいのはどれか。

 

  1. 議会の承認を得る。
  2. 前年度の繰越金を組み込んで要求する。
  3. 長期的な復興を踏まえ複数年度の予算を要求する。
  4. 事業の具体的な実施方法は予算が成立してから考える。
  5. 事業実施の際に予算不足にならないように多めに計上する。

 

 


 

▶午前32

平常時に指定医療機関から患者発生数の報告を受けて流行状況を把握する定点把握対象疾患はどれか。2つ選べ。

 

  1. 結核
  2. コレラ
  3. 急性出血性結膜炎
  4. 鳥インフルエンザ
  5. 性器クラミジア感染症

 

 


 

▶午前33

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 療育手帳の根拠法令である。
  2. 障害支援区分に基づきサービスが利用できる。
  3. 自立支援医療の自己負担額は原則2割である。
  4. サービスを利用する場合は都道府県の窓口に申請する。
  5. 平成28年(2016年)の改正によって就労定着支援が新設された。

 

 


 

▶午前34

災害時健康危機管理支援チーム〈DHEAT〉の保健師が被災地で行う活動はどれか。2つ選べ。

 

  1. 被災した市町村の保健活動の評価
  2. 避難所での要配慮者の健康相談
  3. 避難所のトイレの衛生対策
  4. 自宅待機者への家庭訪問
  5. 派遣保健師の受入調整

 

 


 

▶午前35改題

令和2年(2020年)の日本の医療施設数または医療従事者数で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 病院数は約6千施設である。
  2. 一般診療所数は約5万施設である。
  3. 就業保健師数は約5万6千人である。
  4. 歯科診療所数は約6万8千施設である。
  5. 就業看護師数は約100万5千人である。

 

 


 

▶午前36

代表値はどれか。2つ選べ。

 

  1. 分散
  2. 平均
  3. 最頻値
  4. 標準誤差
  5. 標準偏差

 

 


 

▶午前37

割合の差の検定について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 回帰分析で用いる。
  2. 相関係数が計算できる。
  3. クロス集計表は有用である。
  4. 検定の際に散布図を用いる。
  5. χ2〈カイ2乗〉検定で有意差を検定する。

 

 


 

▶午前38

健康増進法に基づく市町村の役割はどれか。2つ選べ。

 

  1. 特定保健指導
  2. がん検診の実施
  3. 健康増進計画の策定
  4. 特定給食施設に対する指導
  5. 飲食店における受動喫煙の防止に関する指導

 

 


 

▶午前39

健康日本21(第二次)の具体的な目標はどれか。2つ選べ。

 

  1. 高血圧の改善
  2. 平均寿命の延伸
  3. 糖尿病合併症の減少
  4. 週労働時間80時間以上の雇用者の割合の減少
  5. 低栄養傾向(BMI20以下)の若者の割合の増加を抑制

 

 


 

▶午前40

A市におけるある年の肺炎の罹患患者数は1,000人であり、そのうち死亡数は50人であった。これらの肺炎患者のうち感染症Bによるものは100人であり、そのうち死亡数は15人であった。
感染症Bによる致命率〈致死率〉を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

 

解答:①②%

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

市の高齢福祉課で運営していた認知症サポーター養成講座の受講者が年々減っていた。講師を担当するキャラバン・メイトで家庭の事情等で活動できない人が増え、講座開催回数が減っていたことが原因として考えられた。そこで、各地域の実情に応じた認知症サポーター養成事業を展開するために、認知症サポーター養成講座を市内の各地域包括支援センターによる運営とし、保健師が担当することになった。

 

▶午前41

各地域包括支援センターでキャラバン・メイトとして活動できる人を確保するために、キャラバン・メイトになるための研修を受けるよう声をかけるのに最も適切なのはどれか。

 

  1. 一般市民
  2. 民生委員
  3. 健康推進委員
  4. 高齢福祉課の職員

 

 


 

▶午前42

認知症サポーター養成講座を受講した住民から、「何か自分達の学んだことを生かした活動ができないか」と地域包括支援センターの保健師は相談を受けた。
保健師からの最も適切な提案はどれか。

 

  1. 「地域を巡回しませんか」
  2. 「グループホームで働いてみませんか」
  3. 「認知症の理解を広める講座を開いてみませんか」
  4. 「ステップアップ講座を受けて地域課題を踏まえた活動をしてみませんか」

 

 


 

▶午前43

地域包括支援センターが運営する認知症サポーター養成講座を修了した人は徐々に増えていった。担当保健師は、地域における日常生活での見守りの体制をさらに構築するために、一層の普及啓発活動を推し進める必要があると考えた。
今後の活動として適切なのはどれか。

 

  1. 認知症対応型グループホームの誘致を高齢福祉課に打診する。
  2. ピア活動が行えるように認知症患者に養成講座の受講を呼びかける。
  3. 認知症の家族と暮らす人を対象とする活動を認知症サポーターに促す。
  4. 地域の交通機関の職員に認知症サポーター養成講座への受講を呼びかける。

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

Aさん(35歳、会社員、初産婦)は妊娠8週で母子健康手帳の交付を受けるために市役所を訪れた。地区担当保健師が面接したところ、Aさんは5年前にうつ病で通院していたが、その後症状が軽快し、現在は通院していないことがわかった。
Aさんは「実家から引っ越してきたばかりで近所に知り合いがいないため不安です。夫は仕事が忙しく、家事や育児への協力は期待できません」と話した。

 

▶午前44

現時点での保健師からAさんへの提案として、最も適切なのはどれか。

 

  1. 「市の母親学級に参加してみませんか」
  2. 「実家のご両親に相談されてはどうですか」
  3. 「家事援助サービスを使ってみてはどうですか」
  4. 「住み慣れると不安も軽くなりますので待ちましょう」

 

 


 

▶午前45

妊娠10週にAさんから地区担当保健師に電話があり、「産科の先生や助産師さんには次の健診で相談してみようと思いますが、残業があり、仕事中の休憩や休暇も取りにくく、つわりもあるので仕事が負担になってきました。何か使える制度はないでしょうか」と相談があった。
現時点でAさんが会社に制度の利用を請求した場合、法律に基づき会社が対応する必要があるのはどれか。

 

  1. 時間外勤務をなくす。
  2. 休憩時間の回数を増やす。
  3. 妊産婦健康診査の費用を助成する。
  4. 勤務時間中に2週間に1回の妊婦健康診査の時間を確保する。

 

 


 

▶午前46

AさんはBちゃんを36週に2,400gで出産した。Aさんは産後5日で退院し、Bちゃんは黄疸が強かったため光線療法が行われ、生後10日で退院した。産後25日に地区担当保健師が家庭訪問した。Bちゃんは身長47.0cm、体重2,600gであった。Aさんのエジンバラ産後うつ病質問紙票〈EPDS〉の得点は3点であった。Aさんは「母乳が出ているか心配です」と話した。キッチンに洗っていない食器が置かれたままだった。
保健師の対応の優先度を判断する上で最も必要な情報はどれか。

 

  1. 家族の支援体制
  2. Aさんの抑うつの程度
  3. Bちゃんの体重増加量
  4. Aさんの家事の遂行状況

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

Aさん(45歳、男性)は社員数80名の会社で経理事務に従事している。発熱と咳が続いたため病院を受診したところ、画像診断で空洞を伴う肺病変があり、喀痰塗沫検査陽性、喀痰PCR検査陽性となったことから肺結核と診断され、結核病床のある病院に入院した。
抗結核薬による治療開始後6週で喀痰中の結核菌は陰性化したため、Aさんは退院し、外来で治療を継続することとなった。薬剤感受性検査では1剤に耐性がみられたが、この薬剤はAさんの治療には使用されていない。

 

▶午前47

Aさんが肺結核と診断された時点での感染性の強さを示唆するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 発熱
  2. 喀痰塗沫検査陽性
  3. 喀痰PCR検査陽性
  4. 画像診断の空洞病変
  5. 薬剤感受性検査で耐性あり

 

 


 

▶午前48

Aさんの入院中に保健所が実施した調査の結果、Aさんの勤務先の濃厚接触者を対象に接触者健康診断を実施することになった。現時点で呼吸器症状がある者はいない。
勤務先での接触者健康診断で使用される検査方法はどれか。2つ選べ。

 

  1. 胃液塗沫検査
  2. 喀痰培養検査
  3. 胸部エックス線検査
  4. ツベルクリン反応検査
  5. インターフェロンγ遊離試験〈IGRA〉

 

 


 

▶午前49

接触者健康診断の結果、肺結核の発病者は発見されなかったが、15名の対象者中3名が潜在性結核感染症と診断され、治療を開始することになった。
潜在性結核感染症の治療に関して正しいのはどれか。

 

  1. 抗結核薬を12か月間内服する。
  2. 抗結核薬内服中は地域DOTSの対象となる。
  3. 抗結核薬の継続内服が困難な場合にはBCG接種を勧める。
  4. 治療開始にあたり感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく発生届の提出は要しない。

 

 


 

次の文を読み50、52の問いに答えよ。

人口2万人のA市において運動習慣の有無と総死亡数との関連に注目し、施策に反映させるために疫学調査を行うこととした。特定健康診査の際に運動習慣に関する聞き取り調査を行った。運動習慣ありを「週2回以上、1回30分以上、1年以上、運動をしている者」と定義し、その後5年間の死亡の有無を確認した。

 

▶午前50

この研究デザインはどれか。

 

  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. コホート研究
  4. 症例対照研究
  5. 生態学的研究

 

 


 

▶午前52

A市は全国と比較して、住民の平均年齢が高いと推測した。得られた死亡率を解釈する際に、年齢構成を考慮するために間接法による年齢調整を行うこととし、標準化死亡比〈SMR〉を求めることとした。
その際に必要な情報はどれか。

 

  1. 基準集団の総人口
  2. 観察集団の総死亡数
  3. 基準集団の総死亡数
  4. 基準集団の年齢別人口
  5. 観察集団の年齢別死亡数

 

 


 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。

A君(中学3年生)は中学1年生のときに筋委縮性側索硬化症〈ALS〉を発症した。病状の進行によって、自力での呼吸が難しくなったため入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。退院後に復学する予定である。

 

▶午前53

学校における医療的ケアに係る関係者とその役割分担の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 学校長――A君の医療的ケアを担当する看護師の配置の決定
  2. 介護職員――痰の吸引の研修の開催
  3. 教育委員会――医療的ケアの指導医の委嘱
  4. A君の保護者――個別の教育支援計画の立案

 

 


 

▶午前54

A君の退院が決まった。
A君の学校生活のために養護教諭が行うことで最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. A君に参加したい学校行事を聞く。
  2. A君のクラスの避難訓練を計画する。
  3. 教職員に対してA君の状態を説明する。
  4. A君の医療的ケアを担当する看護師と役割分担を相談する。

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

A市在住のBさん(45歳、女性)は夫と長男(14歳)、長女(9歳)との4人暮らし。週に4日間のパート勤務をしている。これまで職場で健康診査を受けたことはなかった。A市から届いた受診案内をみて、初めて市の特定健康診査を受診した。結果は、身長160cm、体重70kg、腹囲90cm、血圧140/90mmHg、HbA1c5.0%、中性脂肪300mg/dL、LDLコレステロール120mg/dL、HDLコレステロール73mg/dL、血清尿酸値5.5mg/dL、血清クレアチニン1.0mg/dL、推定糸球体濾過量〈eGFR〉48.1mL/分/1.73m2、尿蛋白(+)であった。
A市の保健センターの結果説明会に参加したBさんは「検査結果がこんなに悪いとは思っていなかった。食べ盛りの子どもたちに合わせた食生活が悪かったのだと思う。これからどのような食事をすればよいのか知りたい」と話した。

 

▶午前55

摂取量についてBさんに指導する必要があるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 塩分
  2. 水分
  3. 蛋白質
  4. カリウム
  5. プリン体

 

 

 

第108回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1

保健師が行うアウトリーチはどれか。

 

  1. 吃音がある幼児の言葉の相談
  2. ダウン症児の家族会の設立支援
  3. 前期高齢者への認知症予防教室の開催
  4. 4か月児健康診査未受診者の家庭訪問

 

 


 

▶午後2

A市の地区担当保健師は、最近、家にひきこもっている40〜50代の子をもつ高齢者からの相談が増えていると感じている。
この現状を地域の課題として明らかにするために優先して収集する情報はどれか。

 

  1. A市の人口の推移
  2. 相談記録からの情報
  3. 地区視診からの情報
  4. 市民へのアンケートからの情報

 

 


 

▶午後3

アルコール依存症について正しいのはどれか。

 

  1. 肝障害になることはない。
  2. 離脱症状は飲酒を止めて1週後に現れる。
  3. 一度断酒が成功すれば繰り返すことはない。
  4. イネイブラーの存在によって本人の飲酒の状況が維持される。

 

 


 

▶午後4

保健所に民生委員から電話があり、「近所のアパートで1人暮らしをしているAさんが、大声で独り言を言って歩いているのを見かけます。心配なので保健所で対応してほしい」と相談があった。Aさん(男性、32歳)は5年前に保健所のデイケアを一時的に利用し、現在は利用を中断している記録があった。保健師はAさん宅を訪問し、精神科に定期受診し内服していること、母親が食事を届けていることを確認した。
保健師が民生委員に、Aさん宅に訪問したことを伝えた上で行う説明として適切なのはどれか。

 

  1. 「Aさんはお母さんの支援があるので心配ありません」
  2. 「Aさんは病院から薬をもらって飲んでいるようです」
  3. 「これからもAさんを訪問して様子を見ます」
  4. 「Aさんにデイケアに通うよう伝えました」

 

 


 

▶午後5

保健師は担当地区の実態把握のため、地区視診を実施することにした。
地区視診の説明として正しいのはどれか。

 

  1. 二次資料を用いて行う。
  2. 地区の量的データを集計する。
  3. 地区に出向いて自分で観察する。
  4. 計画的なインタビュー調査を行う。

 

 


 

▶午後6

A市では高齢者を対象とした実態調査をもとに、「要介護状態となっても住み慣れたところで安心して暮らせるまち」を柱とした老人福祉計画を作成することとなった。
計画の策定に向けてまず保健師が行う取り組みで最も適切なのはどれか。

 

  1. 評価指標に健康寿命を組み入れる。
  2. インフォーマルサービスの情報を集める。
  3. 学識経験者で構成する委員会で施策の内容を決定する。
  4. 人口規模が同程度の市町村の事業をもとに優先度を決定する。

 

 


 

▶午後7

平成29年(2017年)の患者調査に基づく全国の傷病小分類別の年齢階級別外来受療率のグラフで2型糖尿病を示すのはどれか。

 

108pm7 1h

108pm7 2h

 

 


 

▶午後8

難病対策で正しいのはどれか。

 

  1. 市町村は難病対策地域協議会の設置に努める。
  2. 診断基準が未確立である疾病が医療費助成の対象となる。
  3. 日常生活用具の給付には身体障害者手帳の取得が必要である。
  4. 指定医療機関による訪問看護の費用は医療費助成の対象となる。

 

 


 

▶午後9

Aさん(83歳、女性)は1人暮らし。要介護1の認定を受け、訪問介護を利用している。Aさんは2か月前から持続する咳に加えて、怠感が出現したため内科を受診し肺結核と診断され入院した。2か月後、外来治療が可能となり自宅に戻ることになった。
退院に向けて服薬支援を検討するための会議の参加を依頼する者として最も適切なのはどれか。

 

  1. 自治会長
  2. 民生委員
  3. 老人クラブの会長
  4. 訪問介護事業所の訪問介護員

 

 


 

▶午後10

各発達段階と歯科口腔保健の特徴との組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 乳児期――歯の形成
  2. 幼児期――乳歯から永久歯への生え代わり
  3. 学童期――不正咬合の発生
  4. 成人期――第3大臼歯萌出

 

 


 

▶午後11

労働安全衛生規則において、週1回以上の職場巡視を行うことが規定されているのはどれか。

 

  1. 産業医
  2. 衛生管理者
  3. 安全衛生推進者
  4. 総括安全衛生管理者

 

 


 

▶午後12

労働安全衛生法に実施が規定されているのはどれか。

 

  1. 特定健康診査
  2. じん肺健康診断
  3. 情報機器作業配置前健康診断
  4. 心理的な負担の程度を把握するための検査

 

 


 

▶午後13

自治体で働く保健師の活動に関して守秘義務規定がある法律はどれか。

 

  1. 刑法
  2. 医療法
  3. 難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉
  4. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉

 

 


 

▶午後14

A市(人口15万人)の新任期の保健師を対象とした現任教育で適切なのはどれか。

 

  1. 職場外研修(OFF-JT)を中心に行う。
  2. 基礎的な知識を獲得することに重点を置く。
  3. 職場の実地指導者が人材育成計画を立てる。
  4. A市を管轄する保健所と連携して研修を実施する。

 

 


 

▶午後15

平成24年(2012年)施行の新型インフルエンザ等対策特別措置法で規定されたのはどれか。

 

  1. 緊急事態宣言の発令
  2. 感染症発生動向調査の実施
  3. 特定感染症指定医療機関の指定
  4. 都道府県による予防計画の策定

 

 


 

▶午後16

中核市であるA市内で発生した大規模水害から48時間が経過した。
A市の本庁の統括的な役割を担う保健師が、その役割として実施するのはどれか。

 

  1. 被災住民の健康管理
  2. 避難所での感染症予防啓発
  3. 健康相談に使用する血圧計の点検
  4. 従事可能な保健師の人員配置の調整

 

 


 

▶午後17

医療安全支援センターの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 医療に関する苦情に対応する。
  2. 地域の中核病院内に設置されている。
  3. 医療に起因する予期しない死亡事例の報告を受ける。
  4. 厚生労働省から医療事故情報収集等事業を委託されている。

 

 


 

▶午後18改題

生活困窮者自立支援制度で正しいのはどれか。

 

  1. 生活保護世帯が対象となる。
  2. 雇用保険法に規定されている。
  3. 住居確保給付金の支給がある。
  4. 進学準備給付金の支給がある。

 

 


 

▶午後19

市町村に策定が義務付けられている計画はどれか。

 

  1. 障害者計画
  2. 医療費適正化計画
  3. 予防接種基本計画
  4. がん対策推進基本計画

 

 


 

▶午後20

食事バランスガイドの図を示す。
108pm20h
主菜にあたるのは①〜④のどれか。

 

 

 


 

▶午後21改題

令和2年度(2020年度)の傷病分類別医科診療医療費で、医療費が最も多いのはどれか。

 

  1. 精神および行動の障害
  2. 呼吸器系の疾患
  3. 循環器系の疾患
  4. 消化器系の疾患
  5. 新生物〈腫瘍〉

 

 


 

▶午後22

Aさん(32歳、男性)は20歳からたばこを吸い続けていたが、妻の妊娠で両親学級に参加し、たばこによる胎児への影響が深刻であることを知り、これを機に禁煙しようと思った。Aさんは両親学級が終わった後、会場にいた保健師に「禁煙しようと思うのですが、良い方法はありますか」と尋ねた。
Aさんの現在の行動変容ステージに最も適した保健師の提案はどれか。

 

  1. 「禁煙のための知識を学びませんか」
  2. 「喫煙所の近くに行かないようにしましょう」
  3. 「禁煙に成功した人の経験を聞いてみませんか」
  4. 「まず今日一日たばこを吸わずに過ごしてみましょう」
  5. 「禁煙できた時の自分へのご褒美を考えてはどうでしょう」

 

 


 

▶午後23

要因A「あり」の要因A「なし」に対する疾病B「あり」のオッズ比と95%信頼区間を求めた。
疾病Bの危険因子として統計学的に有意なのはどれか。なお、有意水準は5%と設定する。

 

  1. オッズ比2.0 95%信頼区間(1.5〜2.7)
  2. オッズ比2.0 95%信頼区間(0.5〜8.0)
  3. オッズ比1.0 95%信頼区間(0.5〜2.0)
  4. オッズ比0.5 95%信頼区間(0.1〜2.5)
  5. オッズ比0.5 95%信頼区間(0.4〜0.6)

 

 


 

▶午後24

検査で陽性と判定された人のうち実際に疾病を有している人の割合を示す指標はどれか。

 

  1. 特異度
  2. 敏感度
  3. 有効度
  4. 偽陽性率
  5. 陽性反応的中度

 

 


 

▶午後25改題

令和元年(2019年)国民健康・栄養調査における20歳以上の男女別の「現在習慣的に喫煙している者の割合」で正しいのはどれか。

 

  1. 男性37.1% 女性27.6%
  2. 男性37.1% 女性17.6%
  3. 男性27.1% 女性17.6%
  4. 男性27.1% 女性7.6%
  5. 男性17.1% 女性7.6%

 

 


 

▶午後26

2つの連続変数間の直線的な関係の強さを示すのはどれか。

 

  1. 分散
  2. 正規分布
  3. 相関係数
  4. 標準偏差
  5. クロス集計

 

 


 

▶午後27改題

令和2年度(2020年度)の国民医療費について正しいのはどれか。

 

  1. 介護保険給付費を含む。
  2. 総額は40兆円を超える。
  3. 正常な妊娠・分娩の費用を含む。
  4. 国民総生産に対する比率は20%を超える。
  5. 健康の維持・増進を目的とした健康診断の費用を含む。

 

 


 

▶午後28改題

令和2年(2020年)患者調査の疾病分類別の結果を表に示す。
108pm28h
Cに当てはまる疾患はどれか。

 

  1. 結核
  2. 消化器系の疾患
  3. 循環器系の疾患
  4. 悪性新生物〈腫瘍〉
  5. 精神および行動の障害

 

 


 

▶午後29改題

令和3年度(2021年度)の学校保健統計調査について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 幼稚園児のむし歯(う歯)の保有率は15%程度である。
  2. 裸眼視力1.0未満の小学生は37%程度である。
  3. むし歯(う歯)を保有する小学生は前年度に比べて減少している。
  4. 中学生のむし歯(う歯)の保有率は45%程度である。
  5. 裸眼視力1.0未満の高校生は50%程度である。

 

 


 

▶午後30

民生委員について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 任期は5年である。
  2. 厚生労働大臣が委嘱する。
  3. 保健所の管轄区域に配置される。
  4. 民生委員には給与が支給されない。
  5. 配置の根拠法令は地方自治法である。

 

 


 

▶午後31

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に規定されている内容で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 市町村の役割に普及啓発がある。
  2. 精神通院医療費は公費で負担される。
  3. 医療保護入院は患者本人の同意が必要である。
  4. 緊急措置入院は精神保健指定医1人の診察が必要である。
  5. 発達障害者支援センターの設置について規定されている。

 

 


 

▶午後32

学校教育法で定められているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 食育の推進
  2. 学校保健の定義
  3. 健康診断の実施
  4. 学級閉鎖の実施基準
  5. 養護教諭の配置義務

 

 


 

▶午後33改題

令和3年(2021年)の労働災害と業務上疾病の発生状況について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 労働災害による死亡者数は2,000人以上である。
  2. 労働災害による死亡者数は平成27年(2015年)に比べ減少している。
  3. 労働災害の認定数は脳・心臓疾患よりも精神障害によるものが多い。
  4. 業務上疾病(休業4日以上)発生数は平成27年(2015年)に比べ減少している。
  5. 業務上疾病(休業4日以上)発生数の内訳では「作業様態に起因する疾病」が最も多い。

 

 


 

▶午後34

地域健康危機管理ガイドラインにおける保健所の健康危機管理業務の4つの側面のうち、「健康危機による被害の回復」で行われる活動はどれか。2つ選べ。

 

  1. 防疫活動
  2. 手引書の作成
  3. 監視体制の改善
  4. 飲料水の安全確認
  5. 人材の資質の向上

 

 


 

▶午後35

社員500名のA社の保健師による従業員への働きかけで、ヘルスプロモーションにおける「健康を支援する環境づくり」に該当するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 事業所の敷地内を禁煙にする。
  2. 社員食堂で減塩メニューを提供する。
  3. 歯科衛生士によるブラッシング指導を行う。
  4. 禁煙を促すリーフレットを喫煙者に配布する。
  5. 定期健康診査の有所見者に面接指導を実施する。

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

人口5万人のA市のB地区では3年前から丘陵地を切り開いた宅地開発が行われており、ここ数年で人口が急増している。宅地開発は2年後に完成する予定であり、戸建て住宅や集合住宅が今後も増えていく見込みである。B地区の中心部には地区公民館があり、高齢者の集いや自治会の会合などが開かれている。
令和3年度(2021年度)からB地区を担当する保健師は、地区活動計画の立案のためにB地区の地域診断を行うことにした。令和元年(2019年)の人口構成について調べた結果を表に示す。
108pm35h

 

▶午後36

B地区の出生率を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

 

解答:①②

 

 


 

▶午後37

B地区の人口構成に対する保健師のアセスメントとして正しいのはどれか。

 

  1. 死亡率はA市全体よりも高い。
  2. 単独世帯割合はA市全体よりも高い。
  3. 年少人口割合は全国よりも低い。
  4. 3世代世帯の割合はA市全体よりも高い。
  5. 65歳以上人口割合は全国よりも高い。

 

 


 

▶午後38

B地区の子育て世代の健康課題を特定するため、B地区の担当保健師は市内の機関を対象としたインタビューを計画した。
現時点でインタビューを依頼する機関として最も適切なのはどれか。

 

  1. 児童相談所
  2. 社会福祉協議会
  3. 母子生活支援施設
  4. 訪問看護ステーション
  5. 地域子育て支援拠点〈地域子育て支援センター〉

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

Aさん(高校2年生、女子)は両親と3人暮らし。母親が精神保健福祉相談のため保健所に来所した。「Aは太っているわけではないのに、半年程前から写真写りを気にして食事を減らし始めました。今は1日1食野菜スープしか食べません。食べたもののカロリーを気にして毎日運動しており、一見元気そうなのですが、随分痩せてきました。授業を受けても頭に入ってこないと言い、この頃は学校を休みがちです。このままで大丈夫でしょうか」と話した。

 

▶午後39

Aさんの状態をアセスメントするために必要な情報として最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. BMI
  2. 睡眠
  3. 運動量
  4. 友人関係
  5. 学校の欠席日数

 

 


 

▶午後40

Aさんの状況をアセスメントした結果、保健師は母親にAさんの精神科受診を勧めた。しかし、母親は「精神科の受診までは考えていませんでした。どうしたら食事を食べるようになって、元通りに学校に行ってくれるかを知りたいだけなんです」と精神科の受診には否定的な反応を示した。
このときの保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「元通りのAさんになるためには治療が必要です」
  2. 「Aさんが好きなメニューを一緒に考えましょう」
  3. 「身体的に問題がないか、近くの医師に診てもらいましょう」
  4. 「Aさんに学校のスクールカウンセラーへの相談を勧めましょう」

 

 


 

▶午後41

1か月後、再び母親は精神保健福祉相談のため保健所に来所した。「Aは、私が頼むと少し食べてくれますが、やはり太るのが怖くて食べられないと言います。先日、Aが食後に隠れて下剤を使っていたため、思わず叱責してしまいました。Aは太っていると恥ずかしくて学校に行けないと言って欠席が増え、ほとんど自分の部屋で過ごしています。また、カロリーを消費するためと言い、相変わらず動画を見ながら運動をしています。時々、趣味のイラストを私に見せに来るのですが、そんなことよりも学校に行って元の生活に戻ってほしい」と母親は辛そうに話した。
母親の気持ちを受け止めた上で、保健師が行う母親への助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「登校するよう説得を続けましょう」
  2. 「運動を続けていけるよう応援しましょう」
  3. 「見つけられないように下剤を隠しましょう」
  4. 「イラストを見せに来たら肯定的な対応をしましょう」
  5. 「食事がとれるようになれば回復すると伝え続けましょう」

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

A市は川沿いに位置する人口7万人の高齢化率24.6%の市である。A市には13人の保健師が勤務し地区担当制で業務を行っている。A市では5年前に大規模災害が発生し、多くの死傷者が出た。死傷者は高齢者の割合が高かった。

 

▶午後42

A市のB保健師が担当地区の自治会長から「5年前の大規模災害では多くの高齢者が逃げ遅れた。保健師から住民に必要な災害対策を自治会の会合で話してほしい」と依頼された。
B保健師が話す内容として最も適切なのはどれか。

 

  1. 家屋の安全点検の方法
  2. 飲料水、食料品の備蓄量
  3. 避難所までの移動手段の確認
  4. 医療機関の連絡先リストの作成

 

 


 

▶午後43

自治会の会合から2年後の午後4時、A市内を震源とする震度6の地震が発生した。市全域は断水、停電した。道路は一部泥状化によって隆起した箇所はあるが寸断はない。B保健師は災害時保健活動マニュアルに従い、発災30分後に保健センターに出勤し担当避難所に出向いた。
このときにB保健師が行う保健活動で正しいのはどれか。

 

  1. 健康相談の場所の設置
  2. 生活不活発病の予防
  3. 災害時要配慮者の安全確保
  4. 消毒薬などの衛生資材の調達
  5. 災害派遣精神医療チーム〈DPAT〉との連携

 

 


 

▶午後44

発災後2か月が経過し、被災者は避難所から市内の仮設住宅へ入居した。
A市の保健師が行う仮設住宅の住民への支援で適切なのはどれか。

 

  1. 心のケアは高齢者を優先させる。
  2. 独居の高齢者には施設入所を勧める。
  3. エコノミークラス症候群の予防を呼びかける。
  4. すべての仮設住宅を巡回訪問し健康相談を行う。

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

Aさん(58歳、男性、独居)は1年前に失業した。その後、就職先が決まらず、預貯金が底をついたが、身寄りがなく身近な相談者もいなかった。経済苦により3か月前に自殺を図って病院に搬送された。日常生活動作〈ADL〉は問題なく回復したが、頭を打ったことによる外傷性脳損傷によって軽度の記憶障害が残り、特に数の計算が難しくなった。また、入院中に生活保護を受給することになった。

 

▶午後45

病院から、退院に向けた検討を進めたいとAさんが居住するB市に連絡があり、B市の生活保護担当の保健師とケースワーカーが入院中のAさんを訪問した。
退院後にAさんに提案するサービスで適切なものはどれか。

 

  1. 就労移行支援
  2. 日常生活自立支援事業
  3. 療養生活環境整備事業
  4. 自立支援医療〈精神通院医療〉

 

 


 

▶午後46

生活保護担当の保健師は、その後もAさんのような失業やそれに伴う経済的困窮を契機とした自殺未遂事例と関わることがあり、B市の自殺対策計画の担当保健師と協働して市全体の自殺の現状を改めて調査・評価することにした。その結果、壮年期の男性が失業をきっかけとして自殺に至る事例や、自殺未遂後に後遺症や障害が残った事例が近年増加していることが明らかになり、新たな自殺予防対策の啓発活動を進めていくことにした。
この啓発活動への協力を依頼する関係機関として、最も適切なのはどれか。

 

  1. 民生委員・児童委員協議会
  2. 精神科医療機関
  3. ハローワーク
  4. 警察

 

 


 

▶午後47

その後、B市の自殺対策計画を担当している保健師は、関係機関との連携強化だけでなく、住民が自殺予防のゲートキーパーとなれるよう、ゲートキーパー養成事業を新たに計画した。予算案作成にあたりこの事業について住民から幅広く意見を得ることとした。
意見を得るのに適切な方法はどれか。

 

  1. フォーラムの開催
  2. 市議会における審議
  3. 自殺対策審議会の開催
  4. パブリックコメントの実施

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

Aさん(30歳、女性)はBちゃん(1歳7か月、男児)を連れ、市が実施する1歳6か月児健康診査に来所した。問診でAさんは、「1年前に隣の県から引っ越してきた。人づきあいが苦手で家でBちゃんと2人きりでいることが多い」と話した。
Bちゃんの1歳6か月児健康診査の記録から、一部抜粋したものを以下に示す。
108pm48h

 

▶午後48

Bちゃんの発達について、保健師のアセスメントで適切なのはどれか。

 

  1. 言語は年齢相応の発達である。
  2. 微細運動は年齢相応の発達である。
  3. 社会性の発達が遅れている可能性がある。
  4. 粗大運動の発達が遅れている可能性がある。

 

 


 

▶午後49

1歳6か月児健康診査の終了後、カンファレンスでBちゃんの状況を検討した。
今後、Aさんに提案するBちゃんの子育て支援の場として最も適切なのはどれか。

 

  1. 療育相談
  2. 子育ての自主グループ
  3. 発達のフォローアップ教室
  4. 子育て世代包括支援センター

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(85歳、女性)は息子のBさん(50歳、無職)と2人暮らし。Bさんは大学卒業後に就職したが、1年前に失職して以来、自宅で過ごしている。Aさんは2週前に自宅で転倒し腰椎圧迫骨折で入院した。入院を機に要介護認定申請を行ったところ、認定結果は要介護1であった。Aさんは自宅への退院を希望しており、Aさんが入院している病院のソーシャルワーカーから、退院に向けた話し合いをしたいと地域包括支援センターの保健師に連絡があった。Aさんの入院前は、家事はAさんが行っていた。

 

▶午後50

翌週、病院でソーシャルワーカー、保健師、AさんとBさんで退院に向けた話し合いが行われることになった。
自宅への退院を検討するにあたり最も優先度が高い情報はどれか。

 

  1. 自宅の間取り
  2. Aさんの家事能力
  3. Bさんの睡眠時間
  4. Bさんの介護に対する意向

 

 


 

▶午後51

Aさんは自宅へ退院し、Bさんとの生活が再開した。在宅サービスを利用しながら、地域包括支援センター保健師、民生委員の協力も得て、AさんとBさんの生活を見守ることができていた。退院から2か月後、民生委員より「Bさんがいらいらしている様子だ。AさんはBさんに叩かれたと話していた」と地域包括支援センターの保健師に連絡があった。翌日、地域包括支援センターの保健師と社会福祉士の2名がAさん宅へ家庭訪問を行った。
保健師と社会福祉士によるBさんへの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 民生委員から虐待の通報があったことを知らせる。
  2. 負担になっていることがないかを確認する。
  3. Aさんを叩くことは虐待であると伝える。
  4. Aさんの施設入所を勧める。

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(45歳、女性、正社員)は店舗で販売の仕事をしている。乳癌の手術後に転移がわかり、3週ごと6クールの予定で化学療法を受けることになった。会社には1年間の休職制度があるが、Aさんは化学療法中も休職せずに働くことを希望している。Aさんは主治医から悪心など体調不良になることはあるが、軽作業可能と説明されていた。上司の店長は、「Aさんの仕事はチームで分担するので、しばらく休職してもらったほうが良いのではないか」と人事部に伝えた。人事部からの連絡を受け、本社の保健師がAさんと店長とそれぞれ面談を行うこととなった。

 

▶午後52

Aさんの就業の可否および適正な配置の判断に必要な情報として、最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 術式
  2. 経済状況
  3. 仕事内容
  4. 職場の人間関係
  5. 予定している抗癌薬名

 

 


 

▶午後53

店長は、「生活もあるから働きたい気持ちはわかるし、きちんと仕事をしてもらえるなら働いてもらったほうが良いが、体調が悪くなった時が不安だ。管理者としての責任を問われても困る。主治医から軽作業可能と言われても安心して仕事を任せられない」と保健師に話した。
保健師の対応で正しいのはどれか。

 

  1. Aさんに休職することを提案する。
  2. 就業可能という主治医の意見に従うよう店長に伝える。
  3. 職場で必要な配慮を主治医に確認するようAさんに伝える。
  4. 体調の悪化に対して管理者の責任がないことを店長に伝える。

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

Aさん(55歳、男性)は、妻(48歳、パート勤務)と長女(16歳、高校生)の3人暮らしである。Aさんは会社員として勤務していたが、3年前に記憶力の低下を感じ医療機関を受診したところ若年性認知症と診断された。今は退職し、就労支援事業所に通っているが、最近になり外出して道に迷い近所の住民に保護されたり、周囲に暴言を吐いたりするようになっていた。妻は、Aさんの変化に不安を感じ地域包括支援センターへ相談に訪れた。

 

▶午後54

地域包括支援センターの保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. Aさんの要介護認定の申請を勧める。
  2. 若年性認知症の症状への理解を促す。
  3. 認知症初期集中支援チームへの支援依頼を提案する。
  4. 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉の入所を提案する。

 

 


 

▶午後55

2年後、Aさんの妻はAさんの症状に落ち着いて対応できるようになり、若年性認知症の家族会に定期的に参加するようになっていた。Aさんの妻は「家族会で体験を共有するだけでなく、地域の人々に若年性認知症とその家族について理解してもらえるような取り組みがしたい」と話した。地域包括支援センターの保健師と市の高齢福祉課の保健師は、若年性認知症の人とその家族への理解が広まるよう、Aさんの妻が体験を発信できる機会を検討することにした。
Aさんの妻が体験を発信する場として最も適切なのはどれか。

 

  1. 家族介護教室
  2. 認知症予防教室
  3. 高齢者の認知症の家族会
  4. 民生委員を対象とした研修会

 

 


 

資料 厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向