第104回看護師国家試験 午前必修問題
平成27年2月22日(日)に実施された第104回看護師国家試験について、午前問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第104回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2024/2025
発売日:2024.8.27
定価:2,970円(税込)
412頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
午前 必修問題
▶午前1改題
日本の将来推計人口で令和52年(2070年)の65歳以上人口が総人口に占める割合に最も近いのはどれか。
- 24%
- 39%
- 54%
- 69%
② 39%
令和5年(2023年)の老年人口(65歳以上人口)割合は29.1%で、日本の将来推計人口(令和5年推計)によると令和52年(2070年)には38.7%に増えると見込まれている。
*第2編1章 1.4〕将来推計人口 p42~43
▶午前2改題
日本の令和4年(2022年)における傷病別にみた通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。
- 腰痛症
- 高血圧症
- 歯の病気
- 眼の病気
② 高血圧症
令和4年(2022年)の傷病で通院している者(通院者)は、人口千人当たり417.3(男性401.9・女性431.6)であり、傷病別にみると、男女ともに高血圧症が最も高い(男性146.7・女性135.7)。
*第2編4章 1.2〕通院者の状況 p74~75
▶午前3改題
国民健康保険の保険者はどれか。2つ選べ。
- 国
- 都道府県
- 市町村
- 健康保険組合
② 都道府県
③ 市町村
国民健康保険の保険者は、都道府県・市町村・国民健康保険組合である。
*第4編2章 1.医療保険制度 p208~209
▶午前4
医療従事者による十分な説明に基づく患者の同意を示すのはどれか。
- エンパワメント
- コンプライアンス
- リスクマネジメント
- インフォームド・コンセント
④ インフォームド・コンセント
医療法に、医療提供の際に医療提供者が適切な説明を行い、医療の受け手の理解を得るように努める旨(インフォームド・コンセント)が規定されている。
*第4編1章 1.医療法 p166
▶午前5
受精から着床開始までの期間はどれか。
- 1〜2日
- 6〜7日
- 13〜14日
- 20〜21日
② 6〜7日
射精された精子と排卵された卵子は、卵管膨大部で融合して受精卵となる(受精)。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管から子宮に移動(受精後4~5日)した後、子宮内膜に着床を開始(受精後6〜7日)する。
▶午前6
思春期の子どもの親に対する行動の特徴で適切なのはどれか。
- 親からの干渉を嫌うようになる。
- 親と離れると不安な様子になる。
- 親に秘密を打ち明けるようになる。
- 親からの助言を素直に聞けるようになる。
① 親からの干渉を嫌うようになる。
思春期には、依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情を持ちながらも、自我同一性(アイデンティティ)の確立の過程で、親からの心理的離乳、年長者の価値観への拒絶、同世代の仲間との価値観の共有がみられる(第2反抗期)。
▶午前7
加齢によって衰えやすい機能はどれか。
- 記銘力
- 洞察力
- 判断力
- 統合力
① 記銘力
記銘力は、新しい情報や体験を覚えて保持する能力である。流動性知能であり、10歳代後半から20歳代前半にピークを迎えた後は加齢とともに低下を続ける。一方、結晶性知能(②・③・④)は長年の経験や教育、学習から獲得する知能で、20歳以降も上昇し、高齢になっても維持・安定している。
▶午前8
要介護者に対し看護、医学的管理の下において必要な医療や日常生活上の世話を行う施設はどれか。
- 授産施設
- 保健センター
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
③ 介護老人保健施設
介護保険制度の施設サービスとして、「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護医療院」が規定されている。介護老人保健施設では、症状が安定期にある要介護者に対し、居宅での生活が営めるよう支援するため、看護、医学的管理の下における必要な医療や日常生活上の世話を行う。
*第5編1章 3.3〕施設サービス p224~225
▶午前9
機能別看護方式の説明で正しいのはどれか。
- 1人の看護師が毎日異なる患者を受け持つ。
- 内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
- 1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで継続して受け持つ。
- 患者をいくつかのグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ。
② 内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
③はプライマリナーシング、④は(固定)チームナーシングの説明である。
▶午前10
免疫機能に関与する細胞はどれか。
- 血小板
- 白血球
- 網赤血球
- 成熟赤血球
② 白血球
白血球は体内に侵入した細菌、ウイルスなどを排除する免疫機能を持つ。白血球の多くを占める好中球は、細菌感染や真菌感染から体を守る主要な生体防御機構である。
▶午前11
月経周期が順調な場合、最終月経の初日を0日とすると分娩予定日はどれか。
- 240日目
- 280日目
- 320日目
- 360日目
② 280日目
正期産は妊娠満37週0日(259日)~41週6日(293日)とされ、最終月経の初日を0日とした順調な分娩予定日は40週0日(280日)である。
×① 240日目
妊娠満22週0日(154日)~36週6日(258日)は早期産に当たる。
×③ 320日目
×④ 360日目
妊娠満42週0日(294日)以上は過期産に当たる。
▶午前12
最も緊急性の高い不整脈はどれか。
- 心房細動
- 心室細動
- Ⅰ度房室ブロック
- 完全右脚ブロック
② 心室細動
致死性不整脈である心室細動は緊急性が高い。電気ショックによりこれを取り除く自動体外式除細動器(AED)が、一次救命処置において重要である。
▶午前13
急性の頭痛を起こす可能性が最も高いのはどれか。
- 複視
- 外斜視
- 緑内障
- 眼瞼下垂
③ 緑内障
緑内障は眼圧の上昇などを原因として、視神経が萎縮し、不可逆的に視野が狭まり失明に至る疾病である。一般的に自覚症状がなく徐々に進行するが、眼圧が急上昇し、急性の頭痛といった症状を引き起こす場合、急速に重度の視力障害が進行する急性緑内障発作の可能性がある。
▶午前14
呼吸困難とはどれか。
- 脈拍数の増加
- 息苦しさの自覚
- 動脈血酸素分圧〈PaO2〉の低下
- 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉の低下
② 息苦しさの自覚
呼吸困難は、息苦しさやなど患者が感じる主観的な自覚症状で評価される。①、③、④は客観的な症状・指標である。
▶午前15
生活習慣病の一次予防はどれか。
- 早期治療
- 検診の受診
- 適切な食生活
- 社会復帰を目指したリハビリテーション
③ 適切な食生活
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種等により発症そのものを予防する一次予防、検診等により発症の早期発見・早期治療により重症化を予防する二次予防、リハビリテーション等により疾病の進行後の社会復帰を図る三次予防がある。①と②は二次予防、④は三次予防である 。
*第3編1章 1.1〕生活習慣病の概念 p80
▶午前16
副作用(有害事象)として低血糖症状を起こす可能性があるのはどれか。
- ジゴキシン
- インスリン
- フェニトイン
- ワルファリン
② インスリン
インスリンは糖尿病患者等の血糖コントロールとして使用されるが、食事の量や時間、運動量などにより血糖値が正常範囲よりも低下し、冷や汗(発汗)や動悸、けいれんなどの低血糖症状を起こす可能性がある。
▶午前17
医薬品に関する禁忌を示すことが定められているのはどれか。
- 処方箋
- 診断書
- 看護記録
- 添付文書
④ 添付文書
医薬品医療機器確保法(薬機法)の規定に基づく医療用医薬品に添付する文書の作成に当たっては、厚生労働省通知「医療用医薬品の添付文書記載要領」の項目が参照され、禁忌や組成・形状、効能又は効果、用法及び用量などが含まれる。
▶午前18
関節可動域〈ROM〉の単位はどれか。
- 回
- 度
- kg
- Cm
② 度
関節可動域〈ROM〉は関節の生理的な運動範囲で、測定に当たっては可動域角度(単位:度)が用いられる。
▶午前19
女性患者の床上排泄で洋式便器をあてる位置を図に示す。
適切なのはどれか。

①
差し込み便器は、床上で行う排泄の援助時に用いるもので、女性では高まっている幅の広い側を殿部にし、肛門が中央に位置するように差し込む。
▶午前20
シーツ交換時にシーツを引っ張る動作でボディメカニクスを応用した姿勢はどれか。
- 両足を前後に開き、両膝を伸ばす。
- 両足を前後に開き、両膝を曲げる。
- 両足をそろえ、両膝を伸ばす。
- 両足をそろえ、両膝を曲げる。
② 両足を前後に開き、両膝を曲げる。
動作の安定には、両足を開くなどして体重を支える床面積(支持基底面)を広げること、腰を下げるなど支持基底面に重心を近づける(重心を低くする)ことで向上する。
▶午前21
生理食塩水の塩化ナトリウム濃度はどれか。
- 0.9%
- 5%
- 9%
- 15%
① 0.9%
生理食塩水は0.9%塩化ナトリウムで、5%ブドウ糖液などと同様に、血漿と浸透圧がほぼ等しい等張液である。
▶午前22
血中濃度を確認する必要性が最も高い医薬品はどれか。
- アスピリン
- フロセミド
- テオフィリン
- インドメタシン
③ テオフィリン
テオフィリンは気管支喘息の治療に用いられる治療薬で、気管支拡張作用や抗炎症作用を持つ。ただし、患者の年齢や併用薬物等により血中濃度が不安定となり、悪心や嘔吐などの副作用が生じることがあるため、テオフィリンの投与中は血中濃度の確認が必要である。
▶午前23
静脈血採血の穿刺時の皮膚に対する針の適切な刺入角度はどれか。
- 10〜30度
- 35〜40度
- 55〜60度
- 75〜80度
① 10〜30度
静脈血採血では、21~23Gの太さの注射針を用いて、静脈血管の走行に合わせて10~30度の角度で刺入する。
▶午前24
体位ドレナージの直接の目的はどれか。
- 痛みの軽減
- 睡眠の導入
- 排痰の促進
- 廃用症候群の予防
③ 排痰の促進
体位ドレナージは、痰が貯留した肺の部位を上にした体位をとり、重力により気道分泌物の排出(排痰)を促すことをいう。
▶午前25
振動が原因となる職業性疾病はどれか。
- 中皮腫
- 熱中症
- 高山病
- 白ろう病
④ 白ろう病
チェーンソーの使用など身体局所への振動に伴う職業性疾病として、レイノー(蒼白発作)現象(白ろう病)など手指や前腕の末梢循環障害、末梢神経障害、運動器障害が挙げられる。
*第8編 5.職業性疾病の予防対策 p302~303
資料 厚生労働省「第101回保健師国家試験、第98回助産師国家試験、第104回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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