第104回看護師国家試験 午後必修問題
平成27年2月22日(日)に実施された第104回看護師国家試験について、午後問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第104回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2024/2025
発売日:2024.8.27
定価:2,970円(税込)
412頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
午後 必修問題
▶午後1改題
日本の令和5年(2023年)における合計特殊出生率はどれか。
- 0.70
- 1.20
- 1.70
- 2.20
② 1.20
合計特殊出生率は、15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したものをいい、令和5年(2023年)は1.20となっている。
*第2編2章 2.出生 p51~55
▶午後2改題
警察庁の「令和5年(2023年)中における自殺の状況」の自殺者の原因・動機のうち最も多いのはどれか。
- 学校問題
- 家庭問題
- 勤務問題
- 健康問題
④ 健康問題
令和5年(2023年)の自殺者は2.2万人で、そのうち原因・動機特定者の原因・動機(複数回答)をみると、健康問題が63.8%と最も多く、次いで経済・生活問題が26.6%、家庭問題が24.2%となっている。
*第2編2章 3.7〕(2)自殺 p61~63
▶午後3
食中毒の原因となるのはどれか。
- セラチア
- カンジダ
- サルモネラ
- クラミジア
③ サルモネラ
サルモネラ属菌は、鶏や豚、牛などの動物の腸管や、河川、湖、下水道などに広く生息し、食品等を通してヒトに胃腸炎症状などの食中毒を引き起こす。食中毒予防の原則である加熱殺菌(中心部の温度が75℃で1分間以上加熱)が効果的である。
*第7編2章 10.食中毒対策 p285~288
▶午後4
要介護状態の区分の審査判定業務を行うのはどれか。
- 介護認定審査会
- 介護保険審査会
- 社会福祉協議会
- 社会保障審議会
① 介護認定審査会
市町村は介護保険被保険者からの申請を受けて調査を行い、市町村に設置された介護認定審査会が要介護状態の区分の審査・判定を行う。
*第5編1章 2.保険給付の手続き p221~222
▶午後5
社会的欲求はどれか。
- 安全の欲求
- 帰属の欲求
- 睡眠の欲求
- 排泄の欲求
② 帰属の欲求
マズローの欲求階層説では、低階層から、「生理的(食事、排泄、睡眠等)欲求」「安全(危険回避)の欲求」「社会的(所属・愛情)欲求」「自尊(承認)の欲求」「自己実現の欲求」の5段階となっており、人間は低階層の欲求が満たされると高階層の欲求に移っていくことをあらわす。
▶午後6
乳幼児で人見知りが始まる時期はどれか。
- 生後1〜2か月
- 生後6〜8か月
- 生後18〜24か月
- 生後36〜42か月
② 生後6〜8か月
生後6〜8か月ころの乳児期には身近な家族等の顔を見分け、応答的な愛着関係がみられるようになり、親から離されることへの分離不安や、知らない相手には人見知りがはじまる。
▶午後7
人口年齢区分における15歳から64歳までの年齢区分はどれか。
- 従属人口
- 年少人口
- 老年人口
- 生産年齢人口
④ 生産年齢人口
人口年齢3区分として、0~14歳の年少人口、15~64際の生産年齢人口 、65歳以上の老年人口がある。また、①従属人口は年少人口と老年人口を合わせたものをいう。
*第2編1章 1.2〕年齢別人口 p41~42
▶午後8改題
令和4年(2022年)の国民生活基礎調査で、世帯総数における核家族世帯の割合に最も近いのはどれか。
- 27%
- 42%
- 57%
- 72%
③ 57%
令和4年(2022年)の核家族世帯の割合は57.1%(夫婦と未婚の子のみ25.8%、夫婦のみ24.5%、ひとり親と未婚の子のみ6.8%)となっている。
*第2編1章 2.世帯の動向 p44~48
▶午後9
介護保険法に基づき訪問看護を行うことができる職種はどれか。
- 医師
- 薬剤師
- 理学療法士
- 介護福祉士
③ 理学療法士
訪問看護を行うことができる職種として、看護師、保健師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が認められている。
*第4編1章 3.2〕訪問看護 p170~172
▶午後10
嚥下困難のある患者への嚥下訓練において連携する職種で最も適切なのはどれか。
- 歯科技工士
- 言語聴覚士
- 義肢装具士
- 臨床工学技士
② 言語聴覚士
言語聴覚士は、音声機能、言語機能、聴覚に障害のある者に対して、言語訓練や摂食・嚥下訓練、これに必要な検査、助言、指導などの援助を行うことを業とする者である。
*第4編1章 4.5〕その他の医療関係職種 p197~199
▶午後11
体温を調節しているのはどれか。
- 橋
- 小脳
- 中脳
- 視床下部
④ 視床下部
視床下部は間脳に位置し、自律神経機能や内分泌機能の調節を行っている中枢で、体温調節や摂食・飲水行動の調節のはたらきなどを持つ。
▶午後12
意識障害がある患者への救命救急処置で最も優先されるのはどれか。
- 保温
- 輸液
- 酸素吸入
- 気道確保
④ 気道確保
意識障害のある患者の場合、嘔吐物や唾液等による窒息を防ぐ観点からも、呼吸の確認の上で気道の確保が優先される。
▶午後13
低体温が起こるのはどれか。
- 尿崩症
- 褐色細胞腫
- 甲状腺機能低下症
- Cushing〈クッシング〉症候群
③ 甲状腺機能低下症
甲状腺は代謝を促進する甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官であるが、甲状腺機能低下症によりその分泌が低下することで代謝が低下し、低体温症状を引き起こす。
▶午後14
チアノーゼが出現するのはどれか。
- 血清鉄の増加
- 血中酸素分圧の上昇
- 血中二酸化炭素分圧の上昇
- 血中還元ヘモグロビン量の増加
④ 血中還元ヘモグロビン量の増加
チアノーゼは、血中の酸素不足により皮膚や粘膜が青紫色に変色することをいい、毛細血管中の還元ヘモグロビンが5g/dL以上に増加した際に出現する。
▶午後15
貧血の定義で正しいのはどれか。
- 血圧が下がること
- 脈拍を自覚すること
- 立ち上がると失神すること
- 血色素量が減っていること
④ 血色素量が減っていること
貧血は、血液中のヘモグロビン濃度(血色素量)が減少している状態と定義される。
▶午後16
抗癌薬の副作用(有害事象)である骨髄抑制を示しているのはどれか。
- 嘔吐
- 下痢
- 神経障害
- 白血球減少
④ 白血球減少
骨髄抑制は、がん治療において抗癌薬などの薬物療法や放射線治療により、骨髄の造血機能が低下した状態をいい、白血球の減少では感染症、赤血球の減少では貧血、血小板の減少では出血などのリスクが高まる。
▶午後17
貼付剤として用いられる薬剤はどれか。
- フェンタニル
- リン酸コデイン
- モルヒネ塩酸塩
- オキシコドン塩酸塩
① フェンタニル
フェンタニルはがん患者等の疼痛緩和などに用いられる医療用麻薬で、経皮吸収型の貼付剤がある。
*第6編3章 2.2〕医療用麻薬 p270~271
▶午後18
患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
- 専門用語を用いて説明する。
- 視線を合わせずに会話をする。
- 沈黙が生じたら会話を終える。
- 患者の非言語的な表現を活用する。
④ 患者の非言語的な表現を活用する。
患者とのコミュニケーションにおいては、患者からの言語的・非言語的な情報を、否定的感情を含めて積極的に受け取ること(傾聴・観察)が重要である。
▶午後19
成人の安静時における所見で異常なのはどれか。
- 体温36.2℃
- 呼吸数12/分
- 脈拍116/分
- 血圧128/84mmHg
③ 脈拍116/分
成人期の脈拍数の基準値(目安)は60~100/分とされ、116/分は異常脈拍(頻脈)である。
×① 体温36.2℃
体温は正常範囲(36.0~37.0℃)である。
×② 呼吸数12/分
呼吸数は正常範囲(12~20回/分)である。
×④ 血圧128/84mmHg
血圧は正常(収縮期血圧140mmHg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上で高血圧症)である。
▶午後20
成人男性の間欠的導尿においてカテーテルを挿入する長さで適切なのはどれか。
- 6〜8cm
- 12〜14cm
- 18〜20cm
- 24〜26cm
③ 18〜20cm
導尿カテーテルは尿道に挿入し、膀胱内の尿を排出させるチューブである。男性の導尿では、尿道が屈曲しているため、陰茎を腹膜に対し約90度引き上げて開始し、尿道の長さより少し長い約18~20cmを挿入する(女性は約4~7cm)。
▶午後21
最も高い照度を必要とするのはどれか。
- 病室
- 手術野
- 外来の廊下
- ナースステーション
② 手術野
保健医療施設の照度は日本産業標準調査会のJIS規格により定められており、中でも手術室は全般1,000ルクス、手術野10,000~100,000ルクスと高く設定されている。
▶午後22
成人の鼻孔から噴門までの長さで適切なのはどれか。
- 5〜15cm
- 25〜35cm
- 45〜55cm
- 65〜75cm
③ 45〜55cm
鼻孔から噴門(胃の入り口)は、個人差もあるが45〜55cmとされる。鼻からチューブを挿入し、栄養剤を胃に送る経鼻経管栄養法では、チューブの先端を留置する長さを決める際に目安となる。
▶午後23
輸液ポンプに設定する項目はどれか。
- 流量
- 開始時刻
- 薬剤の濃度
- 薬剤の処方内容
① 流量
輸液ポンプは、輸液や薬剤を一定の速度・正確な量で投与するための医療機器で、輸液ポンプに設定する項目は輸液の流量と予定量である。
▶午後24
医療用酸素ボンベと酸素流量計とを図に示す。

酸素の流量を調節するのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
③ ③
酸素の流量は、②の流量計をみながら、③の流量設定ダイヤルで調節する。
▶午後25
直流除細動器の使用目的はどれか。
- 呼吸の促進
- 血圧の降下
- 不整脈の治療
- 意識レベルの評価
③ 不整脈の治療
直流除細動器(DC)は、電気ショックにより不整脈を治療する装置で、医療機関内で用いられる。
資料 厚生労働省「第101回保健師国家試験、第98回助産師国家試験、第104回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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