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第101回保健師国家試験問題・正答-国民衛生の動向対応 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第101回保健師国家試験問題・正答-国民衛生の動向対応

平成27年2月20日実施の第101回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2023/2024」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

Eisei22 23 hyo    厚生の指標増刊

国民衛生の動向 2023/2024

 

発売日:2023.8.29

定価:2,970円(税込)

432頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

ご注文は書店、または下記ネット書店、電子書籍をご利用下さい。

 

ネット書店

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電子書籍

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第101回保健師国家試験目次

 

 

第101回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

Aさんは、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅠで、要支援2である。Aさんは「来月から老人ホームに入ることが決まったと家族に言われた。私は自宅にいたい」と地域包括支援センターの保健師に相談した。
保健師の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 老人ホームの入所を勧める。
  2. 介護支援専門員に対応を依頼する。
  3. Aさんと家族が話し合う機会を設ける。
  4. 施設入所について地域包括支援センターの職員間で検討する。

 

 


 

▶午前2

A市では健康診査の結果、血圧が高い人が増加傾向にあることが分かった。保健師は分析した結果を踏まえて、地域での高血圧予防に取り組むことにした。
この取り組みにおいて最も効果的なのはどれか。

 

  1. 医療機関への情報提供
  2. 結果説明のための個別訪問
  3. 健康診査の検査項目の見直し
  4. 地域住民を対象とした学習会の開催

 

 


 

▶午前3改題

環境汚染物質とそれに起因する疾病の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 石綿――じん肺
  2. カドミウム――気管支喘息
  3. ダイオキシン――中皮腫
  4. 有機水銀――水俣病

 

 


 

▶午前4

Aさん(26歳、初産婦)。妊娠40週1日に3,100gの女児を出産した。出生通知票が届き、保健師がAさんへ電話連絡したところ、初めての育児に対する不安があるという。
このときのAさんへの対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 妊娠の経過を把握する。
  2. 医療機関への連絡を行う。
  3. 育児学級への参加を勧める。
  4. 育児で困っていることを具体的に聞く。

 

 


 

▶午前5

2歳男児の母親。1歳6か月児健康診査後から継続して、市町村保健センターの発達相談会に来ている。母親は、児とおもちゃの車で遊びながら「ブーブ速いね。かっこいいね」と言葉をかけている。児も楽しそうに「ブーブ、ブーブ、いいね」と言いながら遊んでいる。母親から「子どもの言葉が少ないのは私の対応が悪いのでしょうか」と相談があった。
母親への声かけで最も適切なのはどれか。

 

  1. 「上手に言葉かけができていますよ」
  2. 「毎日外でたくさん遊ばせましょう」
  3. 「毎日絵本を読んであげてくださいね」
  4. 「時間がたてば話せるようになりますよ」

 

 


 

▶午前6

健康診査と根拠となる法律の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 妊産婦健康診査――母体保護法
  2. 3歳児健康診査――母子保健法
  3. 就学時健康診断――児童福祉法
  4. 特定健康診査――健康増進法

 

 


 

▶午前7

特定健康診査後の結果説明会について適切なのはどれか。

 

  1. 医療機関に通院している者は対象としない。
  2. 参加者の個人の特定健康診査結果を公表する。
  3. 検査結果と身体の機能との関係について説明する。
  4. 異常値があっても自覚症状がなければ心配ないと説明する。

 

 


 

▶午前8

地域診断に用いる手法とその説明の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. エスノグラフィ――学習理論を基盤とする。
  2. プリシード・プロシードモデル――社会診断から開始する。
  3. プロジェクト・サイクルマネジメント――参与観察から開始する。
  4. コミュニティ・アズ・パートナーモデル―― 疫学診断から開始する。

 

 


 

▶午前9

地域ケアシステムの構築における最終目的で最も適切なのはどれか。

 

  1. 連携会議が活性化する。
  2. 行政サービスが効率化する。
  3. 地域の健康水準が向上する。
  4. 保健医療に従事する者の資質が向上する。

 

 


 

▶午前10

母子保健施策のうち最も新しいのはどれか。

 

  1. 母子健康手帳の交付
  2. マタニティマークの配布
  3. 妊婦健康診査の公費負担
  4. 新生児マススクリーニング検査におけるタンデムマス法の導入

 

 


 

▶午前11

精神保健対策の変遷で最も新しいのはどれか。

 

  1. 市町村の役割が明示された。
  2. 医療保護入院のための移送が規定された。
  3. 精神障害者保健福祉手帳制度が創設された。
  4. 保健所が精神保健行政を担うこととされた。

 

 


 

▶午前12

難病対策で正しいのはどれか。

 

  1. スモンの研究体制の整備から始まった。
  2. 難病対策要綱は昭和36年に定められた。
  3. 一律の自己負担限度額が設定されている。
  4. 各都道府県に難病情報センターが設置されている。

 

 


 

▶午前13

人口2万人の市。市では健康増進計画の評価のため、定期的に市民の生活実態調査を行っている。今年度の調査で、中学生では睡眠時間が5時間以下である層が最も多いことが明らかになった。また、市内の養護教諭との連絡会で授業中に居眠りをする生徒が増えたと報告を受けた。
睡眠不足を改善するために協力を得る対象で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 保健所
  2. 自治会
  3. 教育委員会
  4. 地区公民館の協議会

 

 


 

▶午前14

Aさん(58歳、男性)。56歳の妻と2人暮らし。脊髄小脳変性症の症状が進行し、2週前から地域の専門医療機関に入院しているが、Aさんは在宅療養を強く希望している。妻は難病の医療費助成の申請のために保健所に来所し「これから症状がさらに進行することを考えると、通院も難しくなると思います。自宅で面倒をみることができるか心配です」と在宅療養への不安を訴えた。
保健師の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 難病の医療費助成と介護保険とは併用できないと伝える。
  2. 通院ができない場合の在宅療養は困難であることを伝える。
  3. 在宅療養の決定の際は、Aさんの意思より家族の意思を尊重する。
  4. 病状の進行に合わせた保健医療福祉サービスが利用できることを説明する。

 

 


 

▶午前15

養護教諭が主体となって行う職務はどれか。

 

  1. 学校給食の衛生管理
  2. 学校生活管理指導表の記入
  3. 感染症に罹患した者の出席停止
  4. 健康上の問題がある児童の保護者への助言

 

 


 

▶午前16

衛生管理者について正しいのはどれか。

 

  1. 労働基準法に規定されている。
  2. 都道府県知事が認定する資格である。
  3. 総括安全衛生管理者は事業場の経営者が兼ねる。
  4. 常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任する。

 

 


 

▶午前17

地域における健康危機の事例で、厚生労働省による健康危機管理指針の策定のきっかけとなったのはどれか。

 

  1. 東海村臨界事故
  2. 阪神・淡路大震災
  3. 新潟県中越沖地震
  4. 新型インフルエンザ(A/H1N1)の発生

 

 


 

▶午前18

医療機関から男性(56歳)のレジオネラ症による肺炎が確認されたと保健所に連絡があった。男性は妻と息子の3人暮らしであり、自宅の風呂のほか、公衆浴場を週に1回利用している。
初動対応として最初に情報収集する者で正しいのはどれか。

 

  1. 近隣住民
  2. 環境衛生監視員
  3. 同居している家族
  4. 浴場組合の組合員

 

 


 

▶午前19

大規模な地震が発生した1週後。被害が大きかったA市の被災者は、一時避難先として被害が少なかった近隣のB市の市営住宅に入居した。
現時点のA市の被災者への支援で最も適切なのはどれか。

 

  1. 巡回訪問し健康相談を行う。
  2. 心のケアは高齢者を優先する。
  3. 被災地域の再建に向けた方針の検討を行う。
  4. 独居の高齢者にはB市の施設への入所を勧める。

 

 


 

▶午前20

人口4万人の市。市の保健センターでは、子育てに関する相談が5年間で10倍に増加した。子育て支援のニーズを把握するための調査として、乳幼児健康診査の受診者を対象に無記名式の調査を実施した。
この活動における公衆衛生看護管理で正しいのはどれか。

 

  1. 健康危機管理
  2. 情報管理
  3. 予算管理
  4. 人材管理

 

 


 

▶午前21

管理的立場にあるA保健師に、係内の中堅保健師から新人保健師の指導がうまくいかないと相談があった。
中堅保健師の育成も考慮した上で、A保健師が行う対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 新人保健師の指導は自分が直接行う。
  2. 新人保健師の指導者を別の保健師に代える。
  3. 新人保健師の指導を中堅保健師とともに行う。
  4. 新人保健師と中堅保健師を違う部署に配置する。

 

 


 

▶午前22

疾患と危険因子の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 喉頭癌――喫煙
  2. 甲状腺癌――紫外線
  3. 肝癌――A型肝炎
  4. 大腸癌――ピロリ菌

 

 


 

▶午前23

疫学研究を行う上で最も重要なのはどれか。

 

  1. 研究の科学的価値
  2. 参加者の人権の尊重
  3. 地域の生活水準の向上
  4. 参加者への利益の還元

 

 


 

▶午前24

統計分析について正しいのはどれか。

 

  1. 割合に関する検定にはt検定を用いる。
  2. 点推計値での偶然性の判定はできない。
  3. 多変量解析は情報バイアスを補正する。
  4. 帰無仮説を採択して統計学的有意性を確定する。

 

 


 

▶午前25

発達障害者支援法について正しいのはどれか。

 

  1. 学習障害は対象に含まれる。
  2. 発達障害者に療育手帳を交付する。
  3. 支援の対象は18歳未満の障害者と定めている。
  4. 市町村長は発達障害者支援センターを設置しなければならない。

 

 


 

▶午前26

市町村の介護保険事業計画について最も適切なのはどれか。

 

  1. 単年度の計画である。
  2. 計画案を公開し意見を募る。
  3. 計画策定を介護保険事業所に委託する。
  4. 学識経験者で構成される委員会で策定する。

 

 


 

▶午前27

ヘルスプロモーションの理念におけるエンパワメントに該当するのはどれか。

 

  1. 環境整備
  2. 住民の自主的な行動
  3. 多分野間の協調と統合
  4. 個人衛生に関する教育
  5. ヘルスサービスの方向転換

 

 


 

▶午前28

新興住宅地を担当している保健師は、地域の介護者が孤立して介護をしている状況を把握し、介護者の仲間づくりを目的として介護者の交流会を事業化した。
保健師が行った活動の中でPDCAサイクルの「C」に該当するのはどれか。

 

  1. 交流会の評価方法を決めた。
  2. 交流会で話し合いのファシリテーターを担当した。
  3. 地区での交流会の必要性を担当者間で話し合った。
  4. アンケートにより交流会の参加者の満足度を集計した。
  5. 参加者の要望をもとに介護者の健康管理についてのプログラムを導入した。

 

 


 

▶午前29

保健所にエイズに関する電話相談があった。
最初に確認することはどれか。

 

  1. 氏名
  2. 年齢
  3. 相談目的
  4. エイズに関する知識
  5. これまでに受けた検査

 

 


 

▶午前30

保健師が行う地区活動の考え方で最も適切なのはどれか。

 

  1. 評価項目の決定は行政主導で行う。
  2. 住民から相談があった順に取り組む。
  3. 地域に根差した活動の継続を目標とする。
  4. 住民の主観的評価の結果を主に用いて計画する。
  5. 地区活動の目標量は前年度の目標量と一致させる。

 

 


 

▶午前31

A市の健康増進計画を策定する際の住民意識調査で、喫煙者のうち、たばこをやめたい人は男女ともに6割以上いることが分かった。
この時点で当てはまるプリシード・プロシードモデルの要因はどれか。

 

  1. 環境要因
  2. 強化要因
  3. 行動要因
  4. 実現要因
  5. 準備要因

 

 


 

▶午前32

個人情報保護について正しいのはどれか。

 

  1. 疫学研究で遺伝子を扱うことは禁止されている。
  2. がん登録への情報提供には患者本人の同意は必要ない。
  3. 新規で保健事業を行う際は倫理審査を受ける必要がある。
  4. 無記名式のアンケート調査には文書による同意が必要である。
  5. 緊急時であっても個人情報を第三者に提供する際には本人の同意が必要である。

 

 


 

▶午前33

平成24年(2012年)の地域保健対策の推進に関する基本的な指針の改正で新たに加えられたのはどれか。

 

  1. 国民の健康づくりの推進
  2. ノーマライゼーションの推進
  3. 児童虐待防止対策に関する取組
  4. 次世代育成支援対策の総合的かつ計画的な推進
  5. ソーシャルキャピタルを活用した自助及び共助の支援の推進

 

 


 

▶午前34

医療保険でないのはどれか。

 

  1. 介護保険
  2. 国民健康保険
  3. 組合管掌健康保険
  4. 後期高齢者医療制度
  5. 全国健康保険協会管掌健康保険

 

 


 

▶午前35

平成23年(2011年)の介護保険法改正によって創設されたのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 予防給付
  2. 複合型サービス
  3. 居宅療養管理指導
  4. 地域包括支援センター
  5. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

 

 


 

▶午前36

町立小学校で身体的虐待が疑われる外傷のある児童を発見した。
児童虐待の防止等に関する法律に基づき通告する機関として正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 警察署
  2. 保健所
  3. 教育委員会
  4. 児童相談所
  5. 福祉事務所

 

 


 

▶午前37

保健所における健康危機管理に関する業務で法令に定められているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 食中毒発生時の調査
  2. 狂犬病発生緊急連絡網の整備
  3. 感染症発生における医師からの届出の受理
  4. 保育所で乳児が突然死した時の届出の受理
  5. 虐待による介護老人福祉施設の指定の取消し

 

 


 

▶午前38

介入研究で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 仮説設定のために用いられる。
  2. 無作為化(割付)を前提としている。
  3. 介入と結果との時間的関係が明確である。
  4. 複数の曝露要因の影響を検討することはできない。
  5. 観察研究より高いレベルのエビデンスを提供する。

 

 


 

▶午前39改題

令和4年(2022年)の厚生労働省による食中毒統計調査について正しいのはどれか。

 

  1. 患者数は年間100万人以上である。
  2. 死亡者数は年間1,000人以上である。
  3. ノロウイルスによる患者が最も多い。
  4. 原因食品で最も多いのは肉類およびその加工品である。

 

 


 

▶午前40

世界保健機関〈WHO〉の活動内容で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. リプロダクティブ・ヘルスの推進
  2. 飢餓地域への食糧の配布
  3. 疾病の国際分類の設定
  4. 児童の就学支援
  5. 雇用対策

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

Aさん(46歳、女性)。48歳の会社員の夫、高校生の長男および中学生の次男との4人暮らし。筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉と診断され、難病の医療費助成の申請のため夫が夜勤の前に保健所に来所した。夫によると、Aさんは包丁を使うことが難しくなり、子どもたちの弁当を作るのに時間がかかるようになったことを気にしているという。1週後、保健師がAさん宅を訪問し状況を確認したところ、Aさんは「主婦としての役割が果たせなくなることがつらい」と話した。

 

▶午前41

訪問時に保健師が提案することで最も適切なのはどれか。

 

  1. 夫に家事を任せる。
  2. 料理することをあきらめる。
  3. 訪問介護員が家事を担当する。
  4. 家族で家事の役割分担をする。

 

 


 

▶午前42

Aさんは病状が進行し、1人で身の回りのことを行うことが難しくなり、家族が不在である平日の日中に訪問介護を利用することになった。担当する訪問介護員から「最近、Aさんはつまずいたり転んだりすることが多くなりました。この病気の患者さんを担当するのは初めてなので関わり方が分かりません」と相談を受けた。
保健師の対応で優先されるのはどれか。

 

  1. 訪問介護員の訪問に同行する。
  2. 経験の豊富な訪問介護員と交代するよう調整する。
  3. Aさんとの対応で注意することを主治医に確認するよう助言する。
  4. 訪問介護員に難病患者の支援に関する研修を受講するよう勧める。

 

 


 

▶午前43

3年後。Aさんは呼吸が困難になり、本人の希望による人工呼吸器装着のため1か月入院した。退院後は発語による意志疎通ができない状態になった。退院後3日に訪問すると、Aさんは保健師を見て涙を流した。子どもたちはAさんとの接触を避けている様子がみられた。
このときの家族への対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 子どもたちから母親に対する思いを聴く。
  2. 家族でカウンセリングを受けるよう勧める。
  3. 子どもたちに1日1回Aさんに話しかけるよう指導する。
  4. 子どもたちがAさんを避けないよう話すことを夫に提案する。

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

A君(2歳)の母親。「初めての子どもで、対応が分かりません。食事が終わるまでに1時間もかかったりしてイライラします。他の子どもより落ち着きがないような気がします。この前の健康診査では問題ないと言われましたが不安です」と電話相談があった。保健師は話を聞いた上で、保健センターの育児相談に来るよう促した。

 

▶午前44

電話相談の翌日、母親はA君とともに育児相談に来所した。A君はすぐに育児相談室の本棚に行き、絵本を開いたり閉じたりしている。
最初の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 発達相談を勧める。
  2. 子どもの発達を評価する。
  3. しつけに関する親子教室を紹介する。
  4. 母親の話から不安の内容を確認する。

 

 


 

▶午前45

保健師は母親に食事のときの様子を質問した。「息子は食卓について自分で食べます。おやつは好んで食べますが、食事は遊びながら食べて時間がかかることがあり困っています」と母親は話した。
このときの母親への助言で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「食事の量を少なくしましょう」
  2. 「おやつをあげるのはやめましょう」
  3. 「時間を決めて食事を終えましょう」
  4. 「お母さんが食べさせてあげましょう」

 

 


 

▶午前46

最近、A君と同じ年代の児の食事に関する相談が増えている。保健師は幼児期における食育について講習会を企画することにした。
講習会の指導内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 嫌いなものは与えないようにする。
  2. 楽しい雰囲気で食べることができるよう工夫する。
  3. 昼寝が食事時間にかかるときは起こして食事させる。
  4. 栄養のバランスよりも必要エネルギー量を重視する。

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

Aさん(36歳、男性)。1人暮らし。従業員数300人のIT関連会社に勤務している。残業時間は月平均60時間で、3年前から15本/日の喫煙をしている。運動習慣はなく、昼と夜は外食が多い。会社の定期健康診断で中性脂肪が150mg/dLであった。既往歴に特記すべきことはない。

 

▶午前47

Aさんが勤める会社の保健師が行う指導で適切なのはどれか。

 

  1. 休暇の取得
  2. 医療機関の受診
  3. 生活習慣の見直し
  4. リラクセーションの実施

 

 


 

▶午前48

保健師がこの職場の喫煙状況について調査をしたところ、喫煙者は48%で、喫煙者のうち30%が禁煙を希望している。禁煙を希望する者のうち、保健師との面接において禁煙する気持ちはあるがうまくいかないと訴える者が多かった。
禁煙を希望する者に対する支援として最も適切なのはどれか。

 

  1. 喀痰検査を実施する。
  2. 肺がん検診の受診を勧める。
  3. たばこの代わりにお菓子を勧める。
  4. 禁煙のためのグループワークを実施する。
  5. 喫煙の健康被害についてのパンフレットを配布する。

 

 


 

▶午前49

衛生委員会に「喫煙室からたばこの煙が流れてくる」、「敷地内で歩きたばこをする人がいる」という投書があり、衛生委員会で職場全体の喫煙対策を検討することになった。
最初に行うことで最も適切なのはどれか。

 

  1. 喫煙室が設置されている環境について確認する。
  2. 敷地内に監視カメラを設置する。
  3. 喫煙者に携帯灰皿を配布する。
  4. 喫煙室を廃止する。

 

 


 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。

人口約35万人の中核市。午前10時、震度6強の地震が発生し、市は避難所の設置を決めた。家屋の損壊が確認され、多数の死傷者がいると予測された。県と市には災害対策本部が設置された。

 

▶午前50

健康の危機管理体制の中心となる管理責任者として最も適しているのはどれか。

 

  1. 市長
  2. 県知事
  3. 市の医師会長
  4. 市の保健所長

 

 


 

▶午前51

発災当日の市の保健師の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 健康調査票の作成
  2. 要援護者の安否の確認
  3. 家庭訪問による個別健康相談
  4. 住民一人一人の不安の受け止め

 

 


 

▶午前52

発災後2週。保健師は、避難所への巡回訪問中に5歳児の母親から「子どもが自分から全く離れようとしない。寝ている間に急に大声をあげて泣き出すようになり心配だ」と相談を受けた。
保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 子どもの心のケアに関する相談窓口を紹介する。
  2. 避難所の他の子どもと接触しないように伝える。
  3. 別の避難所に移動するように勧める。
  4. 様子をみるように伝える。

 

 


 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。

人口8万人、高齢化率30%のA市。最近、徘徊している高齢者を保護した事例が数件あったと警察から地域包括支援センターに情報提供があった。地域包括支援センターの保健師は、徘徊している高齢者について情報収集する必要があると考えた。

 

▶午前53

情報収集先として最も適切なのはどれか。

 

  1. 消防署
  2. 民生委員
  3. 保健センター
  4. 介護支援専門員

 

 


 

▶午前54

情報収集の結果、認知症高齢者の地域での見守りネットワークを構築することにした。自治会長に協力を求めたところ、自治会主催の自治会員向け行事として取り組むことになった。
取り組みの内容として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 認知症高齢者と交流する。
  2. 認知症に関する専門医療機関を見学する。
  3. 高齢者の徘徊に関する新聞報道を分析する。
  4. 認知症高齢者への対応のロールプレイを行う。

 

 


 

▶午前55

保健師は地域に認知症高齢者の居場所を作りたいと考え、公民館を会場にした事業に取り組むことにした。
事業を実施する上で最も適切なのはどれか。

 

  1. 認知症高齢者と地域の住民が参加できるプログラムを設定する。
  2. 認知症高齢者と同居している家族の休息を促す。
  3. 活動内容は認知症の専門医が決める。
  4. 開催頻度は年4回とする。

 

 

 

第101回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1改題

令和2年(2020年)の衛生行政報告例における保健師の就業場所の構成割合で、市町村、保健所の次に多いのはどれか。

 

  1. 病院
  2. 事業所
  3. 社会福祉施設
  4. 訪問看護ステーション

 

 


 

▶午後2改題

日本の令和4年(2022年)の人口について正しいのはどれか。

 

  1. 総人口は前年より増加している。
  2. 出生数は70万人を超えている。
  3. 年少人口の割合は10%以下である。
  4. 世界で人口の多い国上位5位以内である。

 

 


 

▶午後3

Aさん(40歳、男性、会社員)。Aさんは特定健康診査で、腹囲84cm、BMI26、血圧140/85mmHgであり、動機付け支援の対象となった。「仕事でストレスが溜まり、夜食を食べずにはいられない。夜食がお腹に残り朝食は食べられない。残業が多く、今の生活は変えられない」と言う。
Aさんへの保健指導で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「夜食はやめましょう」
  2. 「残業はやめましょう」
  3. 「医療機関を受診しましょう」
  4. 「食習慣は健康に影響します」

 

 


 

▶午後4

家庭訪問の対象で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 3歳児健康診査でオムツを使用している児
  2. 妊婦教室で育児の不安を訴えた妊婦
  3. 育児相談に来ない10か月児の母親
  4. 3か月児健康診査未受診の母児

 

 


 

▶午後5

ケアマネジメントにおける権利擁護〈アドボカシー〉について正しいのはどれか。

 

  1. 利用者を支えるネットワークを発展させる。
  2. 利用者の満足度と変化を継続的に評価する。
  3. 利用者が公正にサービスを利用できるようにする。
  4. 利用者のニーズに即した社会資源を開発して組織化する。

 

 


 

▶午後6

障害者の社会参加や貢献が可能な共生社会の実現を目指すことを目的に、地域の住民を含めた懇談会を継続的に行うことにした。
懇談会の運営について最も適切なのはどれか。

 

  1. 障害者に関する講義を中心にする。
  2. 参加者の自己紹介は最小限にする。
  3. 障害の種類と程度に分けて参加者を募る。
  4. 障害者を受け入れている企業の見学を計画する。

 

 


 

▶午後7

児童虐待発生予防のためのハイリスクアプローチはどれか。

 

  1. 母子健康手帳の交付
  2. 乳児家庭全戸訪問事業
  3. 10歳代の妊婦への訪問
  4. 乳幼児健康診査時の健康教育

 

 


 

▶午後8

人口15万人、高齢化率25%の市。独居高齢者に関する相談が増加している。保健師は、市の独居高齢者の生活状況および健康状態を把握するための実態調査を企画した。
調査の手法で最も適切なのはどれか。

 

  1. 要介護認定結果を用いた後向き調査
  2. 特定健康診査受診者の標本調査
  3. 地区住民への電話調査
  4. 個別の訪問調査

 

 


 

▶午後9

人口3万人の市。近年、糖尿病腎症による透析導入患者数が増加している。市は国民健康保険被保険者の糖尿病の重症化を予防することについて、関係団体と連携し5年間の健康づくり計画を策定することにした。
この計画におけるアウトカム指標で適切なのはどれか。

 

  1. 計画を普及するための保健師の出張回数
  2. 糖尿病の治療継続者の割合
  3. 糖尿病予防教室の参加者数
  4. 特定健康診査の予算額

 

 


 

▶午後10

保健師は新興住宅地を担当している。この地区では近隣に友人がなく、育児の不安を抱えている母親が多くいることがわかった。
この地区における子育て支援としての保健師の活動で最も適切なのはどれか。

 

  1. 育児の広報誌を作成して配布する。
  2. 要保護児童対策地域協議会を開催する。
  3. 子育て中の母親のための交流会を開催する。
  4. 乳幼児健康診査の結果を母子保健推進員に提供する仕組みを構築する。

 

 


 

▶午後11

成人を対象とした歯科保健活動において最も優先されるのはどれか。

 

  1. フッ化物塗布の推奨
  2. 口腔機能の訓練の指導
  3. 栄養状態の改善のための指導
  4. 歯間部清掃用器具の使用の推奨

 

 


 

▶午後12

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、診断した医師が直ちに届け出なければならないのはどれか。

 

  1. 結核
  2. 梅毒
  3. アメーバ赤痢
  4. 流行性角結膜炎

 

 


 

▶午後13改題

日本の令和4年(2022年)の労働災害について正しいのはどれか。

 

  1. 労災補償状況の請求件数は精神障害に比べ、脳・心臓疾患が多い。
  2. 災害性腰痛が業務上疾病発生状況の半数以上を占める。
  3. 新型コロナウイルス感染症り患による労働災害を除き休業4日以上の死傷者数は約13万人である。
  4. 死傷者数は昭和36年から増加傾向である。

 

 


 

▶午後14

産業保健における作業管理に該当するのはどれか。

 

  1. 定期的に健康診断を行う。
  2. 労働時間内に休憩時間をとる。
  3. 作業環境の有害要因を除去する。
  4. 労働衛生に関する体制を構築する。

 

 


 

▶午後15

幼稚園の園長から感染性胃腸炎が疑われる園児15人が欠席したと保健所に連絡があった。
この時点で最初に行う保健師の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 保護者向けの説明会を実施する。
  2. 感染予防のリーフレットを配布する。
  3. 園児の健康状態を保護者から聴取する。
  4. 幼稚園の床を次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。

 

 


 

▶午後16

都道府県の保健所の地域ケアの質を保証するのはどれか。

 

  1. 医療計画の策定
  2. 広域災害への対応
  3. 健康情報の収集分析
  4. 介護保険施設の指導監督

 

 


 

▶午後17

過去5年間にA工場(従業員数1,000人)で15人、B工場(従業員数850人)で9人の肝癌患者が発生していたことがわかった。両工場では機械の洗浄に薬品Cを使用している。
薬品Cと肝癌の疫学的関係で最も適切なのはどれか。

 

  1. 薬品Cは肝癌の原因である。
  2. 薬品Cと肝癌には関連がある。
  3. 薬品Cと肝癌には因果関係はない。
  4. 薬品Cと肝癌との関係は不明である。

 

 


 

▶午後18

ウイルス性肝炎対策で正しいのはどれか。

 

  1. A型肝炎ワクチンは定期予防接種である。
  2. B型肝炎の感染予防にはN95マスクを使用する。
  3. インターフェロン療法に対する医療費助成がある。
  4. 医療機関は特定感染症予防指針を策定しなければならない。

 

 


 

▶午後19

差をとって寄与危険を計算できる指標はどれか。

 

  1. 罹患率
  2. 有病率
  3. オッズ比
  4. 致命率〈致死率〉

 

 


 

▶午後20

スクリーニングについて正しいのはどれか。

 

  1. 確定診断を目的とする検査である。
  2. 敏感度100%の検査で陽性結果であれば疾患がある。
  3. 陽性反応的中度は有病率の影響を受けにくい指標である。
  4. 同一検査で敏感度と特異度の両方を改善することはできない。

 

 


 

▶午後21

分布の指標について正しいのはどれか。

 

  1. ヒストグラムで最も頻度が高い値は中央値である。
  2. 広く散らばった分布は標準偏差が小さい。
  3. 対象数が増えると標準偏差は大きくなる。
  4. 平均値は外れ値の影響を受けやすい。

 

 


 

▶午後22

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律における障害福祉サービスについて正しいのはどれか。

 

  1. 申請窓口は都道府県である。
  2. 発達障害者は対象である。
  3. 利用者負担は定額である。
  4. 措置制度である。

 

 


 

▶午後23

30歳の女性。全身性エリテマトーデス〈SLE〉と診断され難病の医療費助成の申請のため保健所に来所し「日常生活で特に気を付けることはありますか」と相談した。
保健指導で適切なのはどれか。

 

  1. 「直射日光を避けてください」
  2. 「転倒に気を付けてください」
  3. 「痰を出す練習をしてください」
  4. 「筋力強化の運動をしてください」
  5. 「食物繊維の多い食事を避けてください」

 

 


 

▶午後24

介護予防事業における二次予防対象者を抽出するための基本チェックリストの中で、うつ予防と支援のスクリーニングの項目として正しいのはどれか。

 

  1. 友人の家を訪ねている。
  2. 転倒に対する不安が大きい。
  3. 週に1回以上は外出している。
  4. 家族や友人の相談にのっている。
  5. ここ2週間わけもなく疲れたような感じがする。

 

 


 

▶午後25

食に関する実践的な指導を行う者として学校給食法に規定されているのはどれか。

 

  1. 栄養教諭
  2. 養護教諭
  3. 保健主事
  4. 学校歯科医
  5. 食生活改善推進員

 

 


 

▶午後26改題

日本の主要死因別にみた粗死亡率(人口10万対)の年次推移を図に示す。
101pm26h
CとDの組合せで正しいのはどれか。

 

   C――D

  1. 自殺――心疾患
  2. 肺炎――不慮の事故
  3. 心疾患――脳血管疾患
  4. 不慮の事故――自殺
  5. 脳血管疾患――肺炎

 

 


 

▶午後27

地域保健法で規定されている市町村保健センターの役割で正しいのはどれか。

 

  1. 健康診査
  2. 結核の予防
  3. 衛生上の検査
  4. 人口動態統計調査
  5. 医療従事者届の受付

 

 


 

▶午後28

医療安全対策で最も重要なのはどれか。

 

  1. 患者による監視
  2. 医療者による相互監視
  3. 医療者個人への意識付け
  4. 組織として取り組む体制
  5. 医療機器の機械的な故障の防止

 

 


 

▶午後29

保健所に勤務する保健師に対して守秘義務を規定している法律はどれか。2つ選べ。

 

  1. 刑法
  2. 医療法
  3. 地域保健法
  4. 地方公務員法
  5. 保健師助産師看護師法

 

 


 

▶午後30

市では3、4か月児を対象とした健康診査を毎月1回行っている。
継続的な対応が必要な児の状況はどれか。2つ選べ。

 

  1. 抱くと体をそらす。
  2. うつぶせで頭を上げる。
  3. 名前を呼ぶと声のする方向を向く。
  4. 「アーアー」、「ウーウー」と声を出す。
  5. 出生時からの1日当たりの体重増加量が12gである。

 

 


 

▶午後31

障害者自立支援法から障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律への改正時に、変更された内容はどれか。2つ選べ。

 

  1. 難病は支援の対象から除外された。
  2. 障害程度区分を障害支援区分とした。
  3. 支援の対象者に精神障害者を追加した。
  4. 利用者の負担額は利用した障害福祉サービスの額の3割とした。
  5. 地域生活支援事業として障害者に対する理解を深めるための研修や啓発を行う事業を追加した。

 

 


 

▶午後32

エボラ出血熱について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 空気感染する。
  2. 一類感染症である。
  3. 定点把握対象疾患である。
  4. 致命率〈致死率〉は10%である。
  5. 患者は感染症指定医療機関に移送される。

 

 


 

▶午後33

国際生活機能分類〈ICF〉で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 健康と障害を生活機能の枠組みの中で捉えたものである。
  2. 世界保健機関〈WHO〉の国際統計分類の1つである。
  3. 国際疾病分類〈ICD〉を含む上位概念である。
  4. 分類が目的であり評価は行わない。
  5. 子どもの障害は対象としない。

 

 


 

▶午後34

市町村が策定しなければならない計画はどれか。2つ選べ。

 

  1. 障害者計画
  2. 医療費適正化計画
  3. 予防接種基本計画
  4. 特定健康診査等実施計画
  5. 感染症の予防のための施策の実施に関する計画

 

 


 

▶午後35

自殺対策基本法について適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 事業主に長時間労働の禁止を規定している。
  2. 自殺総合対策大綱で自殺対策の指針が策定された。
  3. 自殺者の親族に対する適切な支援が目的に含まれる。
  4. 保健所を自殺予防総合対策センターに位置付けている。
  5. 自殺予防総合相談窓口の設置を市町村に義務付けている。

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

市内の幼稚園に通う5歳の男児の母親から「幼稚園で子どもがたびたびかんしゃくを起こし、集団生活になじめていないようです。幼稚園の先生から保健師に相談してみてはどうかといわれました」と保健センターに電話相談があった。

 

▶午後36

このときの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 男児の家庭での様子を聞く。
  2. 幼稚園を休ませるよう勧める。
  3. 男児に障害がある可能性を伝える。
  4. 発達障害者支援センターを紹介する。

 

 


 

▶午後37

男児は、近所の小児科を受診した際に広汎性発達障害の可能性があるといわれた。小児科医は、母親が育児に関する不安を訴えたため、身近な相談先として保健センターの発達相談を勧めた。その後、母親は発達相談のため来所し「最近、息子が言うことを聞かず、よくパニックを起こして手がつけられません。どうしたらよいでしょうか」と訴えた。
このときの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 幼児が使う言葉で話すように伝える。
  2. 男児が嫌がることは避けるよう提案する。
  3. どのようなきっかけでパニックを起こすのか確認する。
  4. パニックを起こしたときは大きな声で話すように伝える。

 

 


 

▶午後38

保健師は母親の了解を得て、幼稚園と定期的に情報交換を行うことにした。1か月後、園長から「最近、男児の元気がない。母親も育児に疲れているようで表情が乏しい」と保健センターに電話相談があった。
このときの園長への対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. もう少し様子をみるよう伝える。
  2. 小児科を受診させるよう依頼する。
  3. 母親と一緒に保健センターへ来所するよう勧める。
  4. 男児の対応について保護者会で話し合うよう勧める。

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

Aさん(52歳、女性)。夫と市内の大学に通う息子(19歳)との3人暮らし。「息子の大学のサークルでは飲み会が頻繁にあるようで、先日は息子の友人が集団で酔いつぶれたようです。うちの息子も先輩からお酒を勧められているようで、断るのが大変だと言っています。先日も他の大学で急性アルコール中毒で救急搬送されたと報道もあって心配です。どうしたらよいでしょうか」と市の保健師に電話相談があった。

 

▶午後39

最初の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 警察に通報するよう勧める。
  2. 大学に相談するよう伝える。
  3. アルコール依存症専門の病院を紹介する。
  4. 息子にサークルを辞めさせるよう勧める。

 

 


 

▶午後40

保健師は管轄地域での未成年の飲酒が問題化しているのではないかと考えた。保健師は地域の状況を把握するため、関係者を集めて会議を開催することにした。
会議のメンバーで適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 警察官
  2. 保護司
  3. 大学関係者
  4. 訪問看護師
  5. 食品衛生協会の会員

 

 


 

▶午後41

保健師は管轄地域で未成年の飲酒防止の啓発活動を行うことにした。
啓発活動として最も効果的なのはどれか。

 

  1. 大学祭でイベントを企画する。
  2. 市役所にポスターを掲示する。
  3. 保健センターで相談会を開催する。
  4. 警備員に大学内の巡回を依頼する。

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

Aさん(85歳、女性)。1人暮らし。要介護1の認定を受け、通所介護を利用している。Aさんは2か月前から持続する咳に加え、倦怠感が出現したため内科を受診し結核と診断され入院した。その5日後、同じ通所介護事業所の利用者で、Aさんと仲良しでよくおしゃべりをしていたBさん(79歳)も結核と診断され入院した。

 

▶午後42

接触者健康診断を実施する機関で適切なのはどれか。

 

  1. Aさんの居住地域にある検疫所
  2. Aさんの住所地を管轄する保健所
  3. Aさんを担当する地域包括支援センター
  4. AさんとBさんとが利用している通所介護事業所

 

 


 

▶午後43

数日後、AさんとBさんが通う通所介護事業所の利用者の家族から「うちのおばあちゃんも感染していないでしょうか。今後も事業所に通い続けていいのか心配です」と保健所に電話相談があった。
このときの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 結核の予防接種を受けるよう勧める。
  2. 通所介護事業所の利用をやめるよう伝える。
  3. 今回の感染源がAさんであることを説明する。
  4. 通所介護事業所で行う説明会に出席するよう勧める。

 

 


 

▶午後44

2か月後。Aさんは検査の結果、外来治療が可能となり自宅に戻ることになった。退院に向けてDOTSカンファレンスを行うことになった。
DOTSカンファレンスの参加者として最も適切なのはどれか。

 

  1. 自治会長
  2. 民生委員
  3. 介護支援専門員
  4. 老人クラブ会長

 

 


 

次の文を読み45、46の問いに答えよ。

人口8万人、高齢化率30%のA市。地域包括支援センターは市内に3か所ある。A市では65歳以上の高齢者を対象に生活機能評価について郵送による調査を毎年実施している。

 

▶午後45

A市の地域包括支援センターの保健師は、調査票の回収率を高めて介護予防が必要な高齢者の把握を確実に行いたいと考えている。
調査票の回収率が低いB地区で、回収率を高めるために協力を求める対象として適切なのはどれか。

 

  1. 自治会
  2. シルバー人材センター
  3. 指定居宅介護支援事業所
  4. 指定居宅サービス事業所

 

 


 

▶午後46

A市の介護予防における二次予防の対象者を早期に把握するために、市内で協力を依頼する対象として最も適切なのはどれか。

 

  1. 診療所
  2. 農業協同組合
  3. 通所介護事業所
  4. 訪問看護ステーション

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

職員数が500人である企業の保健師2人は本社に配置され、週に4日、1日4回のメンタルヘルス相談を本社の健康管理室で実施している。この企業には県内に20か所の営業所があり、どの営業所でも時間外業務が多い。A営業所の職員数は40人で、この6か月で2人が仕事によるストレスに起因するうつ病と診断され、1人が休職した。

 

▶午後47

保健師がA営業所で行う対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 休養室の整備
  2. 健康教室の開催
  3. メンタルヘルス相談の周知
  4. 職場でのストレスチェックの実施

 

 


 

▶午後48

昨年のメンタルヘルス相談は月平均20件であり、その9割が本社の職員であった。
メンタルヘルス相談の利用者を増やすための方法として最も効果的なのはどれか。

 

  1. 相談枠を増やす。
  2. 営業所でも実施する。
  3. 上司により対象者を選定する。
  4. 電子メールで定期的にメンタルヘルス情報を発信する。

 

 


 

▶午後49

保健師の活動によって1年間のメンタルヘルス相談の件数は延べ400件となった。相談内容は職場内の人間関係のトラブルによるものや時間外業務による疲労やストレスが過半数を占めた。保健師は、各営業所でのメンタルヘルスについて新たに取り組むことが必要と考えた。
最も効果的なのはどれか。

 

  1. 人間関係のトラブルを解消するため各営業所を訪問する。
  2. アサーショントレーニングに関する講演会を開催する。
  3. 営業所長に各相談者の悩みに関する情報提供を行う。
  4. 時間外業務の多い職員の転属を営業所長に提案する。

 

 


 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。

保健所で肥満防止を目的とした教室の参加者を対象に、運動と体重変化の関連を調べることにした。対象者は軽度肥満の40歳代の女性300人であり、本人の希望で軽い体操をする群100人(体操群)と中等度の運動をする群200人(運動群)とに分かれ、同じ保健師による集団指導を受けた。教室開始時に体重測定を行い半年後にどれだけ体重が変化したかを調べた。

 

▶午後50

この調査の研究デザインはどれか。2つ選べ。

 

  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. 前向き研究
  4. 症例対照研究
  5. 生態学的研究

 

 


 

▶午後51

半年間で体重が3.0kg以上減少した参加者を減量ありと判定した。体操群で減量ありは10人、なしは90人、運動群での減量ありは50人、なしは150人であった。脱落者はいなかった。
運動群の減量効果についてのオッズ比を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:① . ②

 

 


 

▶午後52

この調査は体操群と運動群とを本人の希望によって分けている。
くじで割付ける場合と比べて、仮説検証の妥当性からみたこの調査の問題点で最も大きいのはどれか。

 

  1. 二重盲検ができない。
  2. 相対危険が計算できない。
  3. 2群の人数を等しくできない。
  4. 2群の属性の分布が制御できない。

 

 


 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。

人口7万人、高齢化率20%の市。市が行った調査によると、40〜60歳のBMI25以上の者の割合が、男女ともに国民健康栄養調査の全国平均よりも高かった。また6割の者が運動不足を感じており、運動習慣のある者の割合は全国平均よりも低かった。
成人の肥満対策を検討するために、重点地区を定めることにした。

 

▶午後53

重点地区を選定するための情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. BMI25以上の成人の地区別割合
  2. 運動習慣のある者の地区別割合
  3. 特定健康診査の地区別受診率
  4. 地区別の高齢化率

 

 


 

▶午後54

現時点で、肥満対策と運動不足の改善のために重点地区で実施する企画で最も適切なのはどれか。

 

  1. 講演会の開催
  2. ポスターの掲示
  3. パンフレットの配布
  4. ウォーキング大会の開催

 

 


 

▶午後55

重点地区での事業に効果があることが分かり、全地区で実施したいと考えた。
次年度の予算要求で事業の必要性を説明するとき、関係する中長期計画で最も適切なのはどれか。

 

  1. 地域福祉計画
  2. 健康増進計画
  3. 人材確保支援計画
  4. 子ども・子育て支援事業計画

 

 


 

資料 厚生労働省「第101回保健師国家試験、第98回助産師国家試験、第104回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向