第110回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
令和3年2月14日(日)に実施された第110回看護師国家試験について、「国民衛生の動向2022/2023」で内容を解説している問題、関連の強い問題をピックアップし、その正答と解説を示します。また、合格のために最重要となる必修問題(午前・午後冒頭25問と想定)については、本誌未対応の問題も最後にすべてまとめています。
問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2022/2023
発売日:2022.8.26
定価:2,695円(税込)
472頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
国民衛生の動向対応問題・掲載数
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出題数 |
対応問題数 |
対応問題率 |
必修問題 |
50問 |
21問 |
42.0% |
一般問題 |
130問 |
43問 |
33.1% |
計 |
180問 |
64問 |
35.6% |
※必修問題は午前・午後の冒頭25問と想定。未対応の必修問題は末尾に掲載。状況設定問題は除く。
午前
1 令和3年(2021年)の日本の総人口に最も近いのはどれか。(改題)
- 1億人
- 1億600万人
- 1億2,600万人
- 1億4,600万人
③ 1億2,600万人
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の総人口は1億2,550万人で、平成22年(2010年)頃から減少傾向にある。将来推計人口(平成29年推計)によると、令和47年(2065年)には8,808万人で1億人を切るとされる。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 1〕全国の総人口
2 令和2年(2020年)の患者調査における外来受療率(人口10万対)で最も多い傷病はどれか。(改題)
- 新生物〈腫瘍〉
- 呼吸器系の疾患
- 消化器系の疾患
- 内分泌、栄養及び代謝疾患
③ 消化器系の疾患
【▼ポイント】
受療率とは人口10万人に対する推計患者数をいい、令和2年の患者調査によると、入院では精神及び行動の障害(188)が、外来では消化器系の疾患(1007)が最も多い。
【▼参照】
第2編4章 健康状態と受療状況 1.健康状態 2〕受療率
3 大気汚染物質はどれか。
- フロン
- カドミウム
- メチル水銀
- 微小粒子状物質(PM2.5)
④ 微小粒子状物質(PM2.5)
【▼ポイント】
微小粒子状物質(PM2.5)は、浮遊粒子状物質(SPM)の中でも特に粒径が小さい有害大気汚染物質で、呼吸器や循環器への影響が懸念され、環境基本法に基づく大気汚染に係る環境基準が設定されている。
【▼参照】
第9編4章 環境保全対策 1.大気汚染対策の動向 1〕大気汚染に係る環境基準 2〕大気汚染の現状
4 要介護認定の申請先はどれか。
- 市町村
- 診療所
- 都道府県
- 介護保険審査会
① 市町村
【▼ポイント】
市町村は被保険者からの申請を受けて調査を行い、市町村に設置された介護認定審査会が要介護状態の区分の審査・判定を行う。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 1〕保険給付の手続き
5 看護師免許の付与における欠格事由として保健師助産師看護師法に規定されているのはどれか。
- 20歳未満の者
- 海外に居住している者
- 罰金以上の刑に処せられた者
- 伝染性の疾病にかかっている者
③ 罰金以上の刑に処せられた者
【▼ポイント】
保健師助産師看護師法に基づき、看護師免許付与における相対的欠格事由として、①罰金以上の刑に処せられた者、②医事に関し犯罪または不正の行為のあった者、③心身の障害により看護師の業務を適正に行うことができない者、④麻薬、大麻またはあへんの中毒者を規定し、いずれかに該当した場合は免許を与えないことがある。また、看護師がこれらに該当した場合、厚生労働大臣は免許の取消し等の処分をすることができる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
7 令和2年(2020年)の学校保健統計調査における学童期の異常被患率で最も高いのはどれか。(改題)
- 高血圧
- 摂食障害
- 心電図異常
- むし歯(う歯)
④ むし歯(う歯)
【▼ポイント】
令和2年(2020年)の小学校での異常被患率はむし歯(う歯)(40.2%)が最も高く、次いで裸眼視力1.0未満の者(37.5%)となっている。
【▼参照】
第10編2章 学校保健の現状 1.学齢期の健康状況 2〕傷病
9 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査で65歳以上の者のいる世帯の割合に最も近いのはどれか。(改題)
- 10%
- 30%
- 50%
- 70%
③ 50%
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の65歳以上の者のいる世帯の割合は49.4%で、総世帯数の半数近くを占めている。なお、その世帯の内訳をみると、夫婦のみの世帯が32.3%、単独世帯が28.8%で、高齢者世帯の約6割が夫婦ふたりまたはひとり暮らしという状況である。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 6〕全国の世帯数
10 地域保健法に基づき設置されているのはどれか。
- 診療所
- 保健所
- 地域包括支援センター
- 訪問看護ステーション
② 保健所
【▼ポイント】
保健所は地域保健法に基づき、地域における公衆衛生の向上と増進を図るため一般的に都道府県が設置する。なお、①診療所は医療法、③地域包括支援センターと④訪問看護ステーションは介護保険法に基づく。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 2.衛生行政の組織 2〕保健所
16 緩和ケアの説明で適切なのはどれか。
- 入院が原則である。
- 家族もケアの対象である。
- 創の治癒を目的としている。
- 患者の意識が混濁した時点から開始する。
② 家族もケアの対象である。
【▼ポイント】
緩和ケアでは、患者とその家族に対して、終末期だけでなくがんと診断された時から、がん治療と同時に、多職種が連携して身体的症状の緩和や精神心理的な問題を含めた総合的なケアを行うものとされる。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 1.がん対策 3〕がん対策推進基本計画
21 感染予防のための手指衛生で正しいのはどれか。
- 石けんは十分に泡立てる。
- 洗面器に溜めた水で洗う。
- 水分を拭きとるタオルを共用にする。
- 塗布したアルコール消毒液は紙で拭き取る。
① 石けんは十分に泡立てる。
【▼ポイント】
感染源の有無にかかわらず、血液・体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜を介する微生物の伝播リスクを減らすために、すべての患者に対して標準的な感染予防策(スタンダードプリコーション)を行う。手洗い(手指衛生)では、普通石けん(非抗菌性)と流水による物理的な手洗いによるものとされる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
25 成人の心肺蘇生時の胸骨圧迫の深さの目安はどれか。
- 2cm
- 5cm
- 8cm
- 11cm
② 5cm
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)における心肺蘇生法では、呼吸を観察し、呼吸がない場合または死戦期呼吸の場合、胸骨圧迫30回(約5cm沈み込む強さ、100~120回/分の速さ)と人工呼吸2回の組み合わせによる処置を行う。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
27 ウイルス性肝炎の起炎ウイルスでDNAウイルスはどれか。
- A型肝炎ウイルス
- B型肝炎ウイルス
- C型肝炎ウイルス
- E型肝炎ウイルス
② B型肝炎ウイルス
【▼ポイント】
B型肝炎ウイルス(HBV)はDNAウイルスで、世界的に9つの遺伝子型に分類される。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 3〕ウイルス性肝炎
29 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならないことを定めているのはどれか。
- 医療法
- 健康保険法
- 地域保健法
- 個人情報の保護に関する法律
① 医療法
【▼ポイント】
平成9年の医療法改正により、医療提供の際に医療提供者が適切な説明を行い、医療の受け手の理解を得るように努める旨(インフォームド・コンセント)が規定された。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 1.医療法
30 食中毒予防の原則である「中心温度75℃以上1分以上の加熱」が有効なのはどれか。
- フグ毒
- 毒キノコ
- 黄色ブドウ球菌
- サルモネラ属菌
④ サルモネラ属菌
【▼ポイント】
食中毒予防の原則として加熱殺菌(中心部の温度が75℃で1分間以上加熱)が重要となっており、とくに牛や豚などに付着している腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌のような病原性の細菌の殺菌に効果的である。なお、③黄色ブドウ球菌が産出するエンテロトキシンは耐熱性が高く、通常の加熱調理では活性を失わない。
【▼参照】
第7編2章 食品安全行政の動向 10.食中毒対策
39 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉において、重症急性呼吸器症候群〈SARS〉の分類はどれか。
- 一類感染症
- 二類感染症
- 三類感染症
- 四類感染症
② 二類感染症
【▼ポイント】
重症急性呼吸器症候群〈SARS〉は感染症法上の二類感染症で、2002年に中国に端を発し、アジア等を中心に感染が拡大した。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 1.感染症対策 1〕感染症法による対策
52 養育医療が定められている法律はどれか。
- 児童福祉法
- 母子保健法
- 発達障害者支援法
- 児童虐待の防止等に関する法律
② 母子保健法
【▼ポイント】
母子保健法では、未熟児に対する養育医療の給付を行うことを規定している(公費医療)。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 2〕母子保健法に基づく施策
56 日本の人口動態統計における妊産婦死亡について正しいのはどれか。(改題)
- 出生10万対で示す。
- 出産後1年までの女性の死亡をいう。
- 令和2年(2020年)の妊産婦死亡率は、10.1である。
- 間接産科的死亡に比べて、直接産科的死亡による死因が多い。
④ 間接産科的死亡に比べて、直接産科的死亡による死因が多い。
【▼ポイント】
×① 出生10万対で示す。
×③ 令和2年(2020年)の妊産婦死亡率は、10.1である。
妊産婦死亡率は、出産(出生+死産)10万対で示し、令和2年(2020年)は2.7と国際的にみても低率である。
×② 出産後1年までの女性の死亡をいう。
妊産婦死亡は、妊娠中または妊娠終了後満42日未満の女性の死亡をいう。
○④ 間接産科的死亡に比べて、直接産科的死亡による死因が多い。
令和2年(2020年)の直接産科的死亡は15人、間接産科的死亡は7人となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 4.妊産婦死亡
60 都道府県知事の任命を受けて、精神保健福祉センターで精神障害者や家族の相談を行うのはどれか。
- ゲートキーパー
- ピアサポーター
- 精神保健福祉相談員
- 退院後生活環境相談員
③ 精神保健福祉相談員
【▼ポイント】
精神保健福祉法に規定される精神保健福祉センターは、都道府県・指定都市に設置され、精神科医や精神保健福祉士などの専門技術職員を配置し、その職員のうち精神保健福祉相談員の職を置くよう努めることとされる。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 5〕地域精神保健福祉
61 Aさん(57歳、女性)は1人暮らし。統合失調症で精神科病院への入退院を繰り返しており、今回は入院してから1年が経過している。日常生活動作〈ADL〉はほぼ自立し、服薬の自己管理ができるようになってきた。
Aさんが退院に向けて利用するサービスとして適切なのはどれか。
- 療養介護
- 施設入所支援
- 地域移行支援
- 自立訓練としての機能訓練
③ 地域移行支援
【▼ポイント】
障害者総合支援法に定める地域移行支援は、障害者支援施設や精神科病院に入院している精神障害者等が、住居の確保や地域における生活に移行するための活動等を支援する制度である。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 3.障害児・者施策 3〕障害者総合支援法
63 精神保健指定医について正しいのはどれか。
- 医療法で規定されている。
- 都道府県知事が指定する。
- 障害年金の支給判定を行う。
- 精神科病院入院患者の行動制限にかかわる医学的判定を行う。
④ 精神科病院入院患者の行動制限にかかわる医学的判定を行う。
【▼ポイント】
精神保健福祉法に規定される精神保健指定医は、厚生労働大臣が指定し、非自発的な入院の要否や入院患者の行動制限の要否を判定する。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
67 介護保険制度におけるケアマネジメントで適切なのはどれか。
- 家族の介護能力はアセスメントに含めない。
- 介護支援専門員が要介護状態区分を判定する。
- 利用者が介護サービス計画を作成することはできない。
- モニタリングの結果に基づき介護サービス計画の修正を行う。
④ モニタリングの結果に基づき介護サービス計画の修正を行う。
【▼ポイント】
介護支援専門員等によるケアマネジメントでは、要介護者等を支援する上で解決すべき課題を把握(アセスメント)し、課題を解決するための介護サービス計画を作成する。介護サービス計画に基づき実施されたサービスについては、要介護者等の心身や生活の状況の変化を継続的に把握・評価(モニタリング)し、それに応じて介護サービス計画の修正を行う。なお、介護サービス計画は利用者自ら作成し、居宅サービスを受けることも可能である。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 1〕保険給付の手続き 8〕介護関係従事者
69 病院における医療安全文化の醸成につながる行動はどれか。
- 食事介助は30分以内で行うルールを決める。
- 他の病棟で起こったインシデントについて学ぶ。
- 薬剤を間違えても影響がない場合は患者に説明しない。
- 水薬の内服時にこぼれた量が少ない場合はそのままとする。
② 他の病棟で起こったインシデントについて学ぶ。
【▼ポイント】
医療事故につながりかねないインシデント(ヒヤリ・ハット)が発生した場合、再発防止のため、インシデントレポートにより状況把握、要因分析、対策、職種間の情報共有を実施する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 9〕医療安全管理に係る取り組み
70 プリセプターシップの説明で正しいのはどれか。
- 仕事と生活の調和を図ること
- 主体的に自らのキャリアを計画し組み立てること
- チームリーダーのもとに看護ケアを提供すること
- 経験のある看護師が新人看護師を1対1で指導・助言すること
④ 経験のある看護師が新人看護師を1対1で指導・助言すること
【▼ポイント】
①はワークライフバランス、②はキャリアパス、③はチームナーシングの説明である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
71 大規模災害発生後2か月が経過し、応急仮設住宅で生活を始めた被災地の住民に出現する可能性が高い健康問題はどれか。
- 慢性疾患の悪化
- 消化器感染症の発症
- 深部静脈血栓症の発症
- 急性ストレス障害の発症
① 慢性疾患の悪化
【▼ポイント】
発災後1か月以降の中長期以降には、慢性疾患の悪化や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などが生じやすい。なお、④急性ストレス障害は発災後数日から数週間の急性期に生じやすい。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
72 国際連合〈UN〉で採択された2016年から2030年までの開発に関する世界的な取り組みはどれか。
- 持続可能な開発目標〈SDGs〉
- ミレニアム開発目標〈MDGs〉
- プライマリヘルスケア
- 政府開発援助〈ODA〉
① 持続可能な開発目標〈SDGs〉
【▼ポイント】
持続可能な開発目標〈SDGs〉は、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、2015年の国連サミットで採択された。なお、②ミレニアム開発目標〈MDGs〉はその前身として2001年に策定されたものである。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 11.国際協力
75 抗原によって感作されたTリンパ球による細胞性免疫が主体となるのはどれか。
- 花粉症
- 蕁麻疹
- ツベルクリン反応
- アナフィラキシーショック
- インフルエンザの予防接種
③ ツベルクリン反応
【▼ポイント】
アレルギー反応はⅠ型からⅣ型に分類される。国民に身近なⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)は、体内に入った原因物質(抗原)に対して、アレルギー素因を持つ人間がIgE抗体を作り出し、抗体量が十分になると、食物アレルギーや花粉症、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アレルギー性結膜炎、アナフィラキシーショックなどの症状として表れる。一方、Ⅳ型アレルギー(遅延型アレルギー)は感作リンパ球が関与するもので、金属アレルギーや接触皮膚炎、ツベルクリン反応などが挙げられる。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 4,リウマチ・アレルギー疾患対策 2〕リウマチ・アレルギー疾患対策
第9編6章 環境要因による健康影響に関する取り組み 3.花粉症対策
79 生活保護法で実施される扶助は、生活扶助、介護扶助、住宅扶助、出産扶助を含めて( )種類である。
( )に入る数字はどれか。
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
④ 8
【▼ポイント】
生活保護制度では、要保護者の生活需要の性質等に応じて、①生活、②教育、③住宅、④医療、⑤介護、⑥出産、⑦生業、⑧葬祭の8種類の扶助が設けられている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 2.生活保護等
87 労働者災害補償保険法に規定されているのはどれか。2つ選べ。
- 通勤災害時の療養給付
- 失業時の教育訓練給付金
- 災害発生時の超過勤務手当
- 有害業務従事者の健康診断
- 業務上の事故による介護補償給付
① 通勤災害時の療養給付
⑤ 業務上の事故による介護補償給付
【▼ポイント】
労災保険制度は、労働者災害補償保険法に基づき、業務上の事由や通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡などに対して保険給付を行うものである。②は雇用保険法、③は労働基準法、④は労働安全衛生法に規定されている。
【▼参照】
第8編 労働衛生 8.労働災害補償と業務上疾病 1〕労災保険制度
89 Aさん(38歳、女性)は、大腸癌の終末期である。癌性腹膜炎による症状緩和の目的で入院し、鎮痛薬の静脈内注射と高カロリー輸液が開始された。Aさんは自宅で過ごしたいと希望したため、医師と看護師で検討し、症状緩和をしながら自宅退院の方向で退院支援カンファレンスを開催することになった。
退院支援カンファレンスの参加者で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 薬剤師
- 言語聴覚士
- 臨床検査技師
- 介護支援専門員
- ソーシャルワーカー
① 薬剤師
⑤ ソーシャルワーカー
【▼ポイント】
薬による症状緩和のための薬剤師、社会福祉の立場から退院後の心理的・社会的問題を解決するソーシャルワーカーの参加が適切である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者
90 身体的フレイルの評価基準はどれか。2つ選べ。
- 視力低下
- 体重減少
- 聴力低下
- 歩行速度の低下
- 腸蠕動運動の低下
② 体重減少
④ 歩行速度の低下
【▼ポイント】
フレイルは加齢による心身の虚弱で、健康な状態と要介護状態の中間の状態を指し、身体的フレイル、精神・心理的フレイル、社会的フレイルに分類される。フレイルの評価基準には、①体重減少、②筋力低下、③疲労感、④歩行速度、⑤身体活動の5項目が用いられ、3項目以上に該当するものはフレイルとされる。
【▼参照】
3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 1〕対策のあゆみと国民健康づくり
午後
1 令和3年(2021年)の日本の出生数に最も近いのはどれか。(改題)
- 50万人
- 80万人
- 110万人
- 140万人
② 80万人
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の出生数は81.2万人(過去最低)である。なお、死亡数は144.0万人で、その差である自然増減数はマイナス62.8万人となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生 1〕出生の動向
2 令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査において、男性で運動習慣のある割合が最も多いのはどれか。(改題)
- 20~29歳
- 40~49歳
- 60~69歳
- 70歳以上
④ 70歳以上
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の運動習慣のある割合は男女ともに70歳以上が最も多い(男42.7%・女35.9%)。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 3〕身体活動・運動
3 令和元年(2019年)の人口1人当たりの国民医療費で最も近いのはどれか。(改題)
- 15万円
- 25万円
- 35万円
- 45万円
③ 35万円
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の国民医療費は44兆3895億円で、人口1人当たり35.1万円である。なお、人口1人当たりの国民医療費を年齢階級別にみると、65歳未満が19.2万円に対し、65歳以上は75.4万円(約4倍)、75歳以上は93.1万円(約5倍)となっている。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 6.国民医療費
4 患者の権利について適切なのはどれか。
- 患者は入院中に無断で外泊できる。
- 患者は治療後に治療費の金額を決定できる。
- 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
- 患者は自分と同じ疾患の患者の連絡先を入手できる。
③ 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
【▼ポイント】
患者は医療機関等の選択の自由を権利として有し、主治医以外の医師による助言(セカンドオピニオン)を受けることができる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 1.医療法
5 看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されている都道府県ナースセンターの業務はどれか。
- 訪問看護業務
- 看護師免許証の交付
- 訪問入浴サービスの提供
- 看護師等への無料の職業紹介
④ 看護師等への無料の職業紹介
【▼ポイント】
看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定される都道府県ナースセンターは、看護師等の就業状況等の調査や無料職業紹介事業、訪問看護等の研修、各種情報提供などを行う。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
6 妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高いのはどれか。
- 水痘
- 風疹
- 麻疹
- 流行性耳下腺炎
② 風疹
【▼ポイント】
風疹は、発熱や発疹、リンパ節腫脹を特徴とする風疹ウイルスによる感染性疾患で、主に飛沫感染が感染経路である。妊婦が妊娠20週ごろまでに風疹に感染すると、白内障や先天性心疾患、難聴などを特徴とする先天性風疹症候群の児が生まれる可能性がある。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 5〕風しん・麻しん
9 医療法に基づき高度医療の提供とそれに関する研修を実施する医療施設はどれか。
- 診療所
- 特定機能病院
- 地域医療支援病院
- 臨床研究中核病院
② 特定機能病院
【▼ポイント】
×① 診療所
診療所は、医師・歯科医師が医業・歯科医業を行う場所で、患者を入院させるための施設を有しないもの(無床診療所)または19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの(有床診療所)をいう。なお、20人以上の患者を入院させるための施設を有するものは病院である。
○② 特定機能病院
特定機能病院は、高度の医療の提供や研修を実施する能力を有する病院として、厚生労働大臣が個別に承認する。
×③ 地域医療支援病院
地域医療支援病院は、地域医療の確保を図る病院としての構造設備を有する病院として、都道府県知事が個別に承認する。
×④ 臨床研究中核病院
臨床研究中核病院は、質の高い臨床研究や治験を推進・支援するための能力を有する病院として、厚生労働大臣が承認する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設
10 チーム医療で適切なのはどれか。
- 他施設との間で行うことはできない。
- チームメンバー間で目標を共有する。
- チームリーダーは看護師に固定する。
- 経験年数が同等の者でチームを構成する。
② チームメンバー間で目標を共有する。
【▼ポイント】
チーム医療は、多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供するものである。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 6〕医療関係者の業務の動向
21 空気感染を予防するための医療者の個人防護具で適切なのはどれか。
- 手袋
- N95マスク
- シューズカバー
- フェイスシールド
② N95マスク
【▼ポイント】
手洗い等の標準予防策(スタンダードプリコーション)に加え、感染経路別予防策として、結核や麻疹など空気感染のおそれのある患者については病室を陰圧室とし、入室するときはN95マスクを装着する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
24 自動体外式除細動器〈AED〉の電極パッドの貼付位置を図に示す。
適切なのはどれか。

①
【▼ポイント】
自動体外式除細動器〈AED〉は、致死性不整脈である心室細動および無脈性心室頻拍を電気ショックによって取り除く(除細動)装置である。電極パッドは図のとおり右前胸部と左側胸部の位置に貼り付けて使用する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
29 日本の人口静態統計のもとになる調査はどれか。
- 患者調査
- 国勢調査
- 国民生活基礎調査
- 国民健康・栄養調査
② 国勢調査
【▼ポイント】
人口静態はある時点における人口や年齢別などの静止した姿を指す。国勢調査はその主要統計として5年に1回実施され、その中間年は人口推計が公表される。
【▼参照】
第2編1章 人口静態
30 感染症と感染経路の組合せで正しいのはどれか。
- 結核――接触感染
- 麻疹――空気感染
- マラリア――飛沫感染
- インフルエンザ――経口感染
② 麻疹――空気感染
【▼ポイント】
麻疹の主な感染経路は空気感染であり、上記午後21問のとおり、感染経路別予防策がとられる。なお、①結核は空気感染、③マラリアはハマダラカによって媒介される感染、④インフルエンザは飛沫感染が主である。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 2〕結核 5〕風しん・麻しん 7〕マラリア
32 雇用保険法について正しいのはどれか。
- 育児休業給付がある。
- 雇用保険は任意加入である。
- 雇用保険の保険者は市町村である。
- 雇用保険料は全額を労働者が負担する。
① 育児休業給付がある。
【▼ポイント】
雇用保険制度は政府が管掌する労働保険で、失業等給付や育児休業給付の支給などを行う。労働者を雇用する事業は原則として強制的に適用され、保険料は労働者と事業主双方が負担する。
【▼参照】
第8編 労働衛生 9.その他の労働衛生対策等 9〕雇用保険制度
40 夜勤帯に看護師が病棟のトイレ内で倒れている患者を発見した。呼びかけても反応がない。
この看護師が最初に実施すべきなのはどれか。
- 脈拍を確認する。
- 胸骨圧迫を開始する。
- トイレ内のナースコールで応援を呼ぶ。
- 自動体外式除細動器〈AED〉を取りに行く。
③ トイレ内のナースコールで応援を呼ぶ。
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)の手順としては、傷病者の反応がない場合、応援を呼ぶ・通報する・自動体外式除細動器〈AED〉を要請する。その上で呼吸の確認を行い、呼吸がない場合等は胸骨圧迫・人工呼吸、AEDの使用に移る。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
45 脂質異常症の成人患者に対する食事指導の内容で正しいのはどれか。
- 不飽和脂肪酸の摂りすぎに注意する。
- コレステロール摂取量は1日600mg未満とする。
- 高トリグリセリド血症では、アルコールを制限する。
- 高LDLコレステロール血症では、トランス脂肪酸の摂取を促す。
③ 高トリグリセリド血症では、アルコールを制限する。
【▼ポイント】
×① 不飽和脂肪酸の摂りすぎに注意する。
高LDLコレステロール血症の主なリスク要因の一つは飽和脂肪酸の摂取であり、摂取量の制限により血中総コレステロール濃度とLDLコレステロール濃度を下げることが確認されている。
×② コレステロール摂取量は1日600mg未満とする。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、脂質異常症の重症化予防の観点からコレステロール摂取量を200mg/日未満に留めることが望ましいとしている。
○③ 高トリグリセリド血症では、アルコールを制限する。
過剰のアルコール摂取は血圧を高め、高トリグリセライド血症の原因となり、アルコール制限が適切である。
×④ 高LDLコレステロール血症では、トランス脂肪酸の摂取を促す。
トランス脂肪酸は飽和脂肪酸よりもLDLコレステロール/HDLコレステロール比を大きく上昇させ、冠動脈疾患の危険因子であり、摂取を控えることが適切である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 2〕生活習慣病の現状
48 後期高齢者医療制度が定められているのはどれか。
- 介護保険法
- 老人福祉法
- 高齢者の医療の確保に関する法律
- 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉
③ 高齢者の医療の確保に関する法律
【▼ポイント】
後期高齢者医療制度は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき平成20年度に開始した。被保険者は原則75歳以上の後期高齢者で、医療給付の自己負担は原則1割(一定以上の所得者2割、現役並み所得者3割)である。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 3.医療保険各制度の概要と現状 3〕後期高齢者医療制度
50 令和3年(2021年)の高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査で、高齢者が過去1年間に参加した社会活動のうち割合が最も多いのはどれか。(改題)
- 教育・文化
- 子育て支援
- 生産・就業
- 健康・スポーツ
④ 健康・スポーツ
【▼ポイント】
健康・スポーツが26.5%で最も高く、次いで趣味(14.5%)、地域行事(12.8%)となっている。なお、元の出題では平成25年(2013年)の「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」であったが、当時においても健康・スポーツが1位(33.7%)となっている。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 3〕身体活動・運動
53 令和3年度(2021年度)の人口動態統計における、小児の年齢階級別死因のうち第1位が悪性新生物〈腫瘍〉である年齢階級はどれか。(改題)
- 0歳
- 1~4歳
- 5~9歳
- 10~14歳
③ 5~9歳
【▼ポイント】
令和3年(2021年)では、0歳と1~4歳では「先天奇形、変形及び染色体異常」、5~9歳では「悪性新生物〈腫瘍〉」、10~14歳では「自殺」が最も多い。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 3.死亡 2〕死因の概要
54 健康な小児の成長・発達で正しいのはどれか。
- 情緒は快から不快が分化する。
- 発達とともにレム睡眠の割合は増える。
- 体重は出生後1年で出生時の約4倍になる。
- 身長は出生後1年で出生時の約1.5倍になる。
④ 身長は出生後1年で出生時の約1.5倍になる。
【▼ポイント】
×① 情緒は快から不快が分化する。
ブリッジズは子どもの情緒の発達において、新生児の興奮が、快と不快に分化し、さらに発達段階ごとに分化していく様子を図示している。
×② 発達とともにレム睡眠の割合は増える。
睡眠は、レム睡眠、浅いノンレム睡眠、深いノンレム睡眠に大別され、新生児ではレム睡眠が睡眠の約半分を占めるが、年齢とともに減少し、幼児期(3~6歳)には成人と同様のサイクル(レム睡眠とノンレム睡眠が約90分ごとに繰り返される)となる。
×③ 体重は出生後1年で出生時の約4倍になる。
出生時の平均体重は約3kgであるが、3か月ごろには約2倍、1年ごろには約3倍となる。
○④ 身長は出生後1年で出生時の約1.5倍になる。
出生時の平均身長は約50cmであるが、1年ごろには約1.5倍、4年ごろには約2倍となる。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生
58 母体保護法で規定されているのはどれか。
- 育児時間
- 生理休暇
- 受胎調節の実地指導
- 育児中の深夜業の制限
③ 受胎調節の実地指導
【▼ポイント】
母体保護法は、母性の生命健康を保護することを目的に、不妊手術、人工妊娠中絶、受胎調節の実地指導を規定している。なお、①、②は労働基準法、④は育児・介護休業法に規定されている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 4〕その他の母子保健医療施策
60 早産期の定義はどれか。
- 妊娠21週0日から36週6日
- 妊娠22週0日から36週6日
- 妊娠22週0日から37週6日
- 妊娠23週0日から37週6日
② 妊娠22週0日から36週6日
【▼ポイント】
- 早期:妊娠満22週0日~36週6日
- 正期:妊娠満37週0日~41週6日
- 過期:妊娠満42週0日以上
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生 5〕妊娠期間別の出生
61 妊婦健康診査を受診する時間を確保するために妊婦が事業主に請求できることを規定している法律はどれか。
- 母子保健法
- 労働基準法
- 育児介護休業法
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉
④ 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉
【▼ポイント】
男女雇用機会均等法により、妊婦が事業主に妊婦健康診査(母子保健法)を受診する時間の確保を請求できることが規定されている。その時期としては、妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24~35週までは2週間に1回、妊娠36週以後出産までは1週間に1回が推奨される。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 6〕妊産婦等の就業
62 アルコールを多飲する人によくみられ、意識障害、眼球運動障害および歩行障害を特徴とするのはどれか。
- 肝性脳症
- ペラグラ
- Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症
- Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病
③ Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症
【▼ポイント】
ウェルニッケ脳症はビタミンB1(チアミン)の不足により、脳幹部に微小な出血が起こり、眼球運動障害や意識障害、失調性歩行といった様々な症状が急激に出現する。その原因としてはアルコール依存症が半分を占めている。
【▼参照】
第3編2章 精神保健 4.精神保健 6〕精神障害者福祉 (6)依存症対策
63 精神障害者保健福祉手帳で正しいのはどれか。
- 知的障害も交付対象である。
- 取得すると住民税の控除対象となる。
- 交付によって生活保護費の支給が開始される。
- 疾病によって障害が永続する人が対象である。
② 取得すると住民税の控除対象となる。
【▼ポイント】
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害者が長期にわたり日常生活や社会生活に相当の制限を受けるなど、一定の精神障害の状態にあることを認定して交付されるもので、平成7年(1995年)の精神保健福祉法の改正により創設された。手帳の交付により、所得税・住民税の控除など各種税制の優遇措置や公共交通機関の運賃割引などが受けられる。なお、①知的障害の者には療育手帳が交付される。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 6〕精神障害者福祉
68 介護保険制度における地域密着型サービスはどれか。
- 重度訪問介護
- 地域活動支援事業
- 小規模多機能型居宅介護
- 特定施設入居者生活介護
③ 小規模多機能型居宅介護
【▼ポイント】
小規模多機能型居宅介護は、介護保険制度における地域密着型サービスで、居宅または厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、または短期間宿泊(ショートステイ)させ、当該拠点において受ける日常生活上の世話および機能訓練をいう。なお、④特定施設入居者生活介護は居宅サービスである。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 2〕介護給付
69 成年後見制度で正しいのはどれか。
- 任意後見人は裁判所が決定する。
- 認知症の診断と同時に成年後見制度が適用される。
- 日常生活自立支援事業の一部として位置付けられる。
- 成年後見人は財産管理などの手続きを本人の代理で行う。
④ 成年後見人は財産管理などの手続きを本人の代理で行う。
【▼ポイント】
成年後見制度は、認知症や精神障害等により判断能力が不十分な人の判断能力の不足を補い、本人の保護と権利擁護を図るための制度である。成年後見制度は、任意後見制度と法定後見制度に分かれており、任意後見制度では、本人があらかじめ任意後見人を選任しておき、本人の判断能力が低下した段階で適用される。法定後見制度では、本人等の請求に基づき、本人の支援者として家庭裁判所に選任された成年後見人等が、本人の障害の程度に応じて、財産の管理などに関する事務を代わりに行う。なお、日常生活自立支援事業は判断能力が不十分な人に対して福祉サービスの利用に関する援助などを行うもので、社会福祉協議会が行う別制度である。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 7.権利擁護(アドボカシー) 1〕成年後見制度
70 仙骨部に皮下組織に達する褥瘡がある患者が入院となった。患者は車椅子の利用を主治医に許可されている。
この患者に対する多職種で行う褥瘡ケアにおいて、受け持ち看護師が担う役割で適切なのはどれか。
- 薬剤師に外用薬の処方を依頼する。
- 事務職員に汚染ガーゼの廃棄を依頼する。
- 介護職員にドレッシング材の選択を依頼する。
- 理学療法士と車椅子乗車時の除圧方法を検討する。
④ 理学療法士と車椅子乗車時の除圧方法を検討する。
【▼ポイント】
×① 薬剤師に外用薬の処方を依頼する。
薬剤師は、医師、歯科医師または獣医師が交付した処方箋によって調剤するもので、処方は医師に依頼する。
×② 事務職員に汚染ガーゼの廃棄を依頼する。
×③ 介護職員にドレッシング材の選択を依頼する。
感染性廃棄物の廃棄や医療材料の選択には、事務職員や介護職員ではなく医療従事者が対応する。
○④ 理学療法士と車椅子乗車時の除圧方法を検討する。
理学療法士は、身体に障害のある者に対し、主に立つ・座る・歩くといった基本的動作能力の回復を図る理学療法を行う者である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者
71 災害時のトリアージで正しいのはどれか。
- トリアージタッグは衣服に装着する。
- 治療優先度の高さはトリアージ区分のⅠ、Ⅱ、Ⅲの順である。
- トリアージの判定は患者の到着時および到着後30分の2回行う。
- 最優先に治療を必要とする者には、黄色のトリアージタッグを装着する。
② 治療優先度の高さはトリアージ区分のⅠ、Ⅱ、Ⅲの順である。
【▼ポイント】
トリアージ(災害時等の治療優先度の決定)の際にはトリアージタグ(識別票)を利用し、傷病者の緊急度に応じて、優先順に赤(Ⅰ:最優先治療群・重症群)、黄(Ⅱ:非緊急治療群・中等症群)、緑(Ⅲ:軽処置群・軽症群)、そして黒(0:不処置群・死亡群)と分類し、傷病者の右手(不可能の場合は左手→右足→左足→頸部の順で代替)に装着する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
72 国際機関と事業内容の組合せで正しいのはどれか。
- 国際労働機関〈ILO〉――難民の帰還支援
- 世界保健機関〈WHO〉――保健分野における研究の促進
- 国連人口基金〈UNFPA〉――平和維持活動
- 国連世界食糧計画〈WFP〉――二国間の国際保健医療協力
② 世界保健機関〈WHO〉――保健分野における研究の促進
【▼ポイント】
世界保健機関〈WHO〉は感染症対策や衛生統計の実施、国際疾病分類(ICD)等の基準づくり、保健分野における技術協力・研究開発など広範な活動を実施している。なお、①は国連難民高等弁務官事務所〈UNHCR〉、③は国連平和維持活動〈PKO〉、④は政府開発援助〈ODA〉が対応する。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 12.世界保健機関(WHO)
77 関節リウマチで起こる主な炎症はどれか。
- 滑膜炎
- 血管炎
- 骨髄炎
- 骨軟骨炎
- 関節周囲炎
① 滑膜炎
【▼ポイント】
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。症状の悪化に伴い、日常生活動作〈ADL〉の障害や生活の質〈QOL〉の低下を引き起こす。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 4.リウマチ・アレルギー疾患対策
78 母子保健法に基づく届出はどれか。
- 婚姻届
- 死産届
- 死亡届
- 出生届
- 妊娠届
⑤ 妊娠届
【▼ポイント】
母子保健法に基づき、妊娠した者は速やかに市町村長に妊娠の届出をすることとなっており、市町村は届け出をした者に対して母子健康手帳を交付する。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 2〕母子保健法に基づく施策
79 Aさん(44歳、男性、会社員)は、20年以上の喫煙歴があり、BMI26である。会社の健康診断で脂質異常症と高血圧症を指摘された。
Aさんが発症する危険性が高い疾患はどれか。
- 1型糖尿病
- 潰瘍性大腸炎
- 肺血栓塞栓症
- 労作性狭心症
- 閉塞性血栓血管炎〈TAO〉
④ 労作性狭心症
【▼ポイント】
喫煙や高血圧、脂質異常症などの生活習慣の悪化による心臓の血管の動脈硬化の進行により、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクが高まる。なお、糖尿病は生活習慣と無関係に発症する1型糖尿病(①)と、生活習慣が関連する2型糖尿病がある。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病
81 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に規定された入院形態で、精神保健指定医2名以上により、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると診察の結果が一致した場合に適用されるのはどれか。
- 応急入院
- 措置入院
- 任意入院
- 医療保護入院
- 緊急措置入院
② 措置入院
【▼ポイント】
- ②措置入院の内容は問題文のとおりである。⑤緊急措置入院は、措置入院の対象ではあるが急速な入院の必要性があることが条件で、指定医の診察は1名で足りるが、入院期間は72時間以内に制限される。
- ③任意入院は精神障害者自身の同意に基づく入院制度である。
- ④医療保護入院は、医療および保護のために入院の必要があるが、任意入院が行われる状態にないと判定された者について、その家族等の同意がある場合の入院制度である。しかし、急速を要し、家族等の同意を得ることができない場合には、精神保健指定医の診察により、72時間以内の①応急入院を行うことができる。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
87 老人福祉法に基づき老人福祉計画の策定をするのはどれか。2つ選べ。
- 国
- 市町村
- 都道府県
- 福祉事務所
- 後期高齢者医療広域連合
② 市町村
③ 都道府県
【▼ポイント】
老人福祉法に基づき、全市町村・都道府県は老人保健福祉計画の策定が義務づけられている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 1〕高齢者福祉対策のあゆみ
対応外必修問題
午前6 出生時からみられ、生後4か月ころに消失する反射はどれか。
- 手掌把握反射
- 足底把握反射
- パラシュート反射
- Babinski〈バビンスキー〉反射
① 手掌把握反射
【▼ポイント】
手掌把握反射は新生児にみられる原始反射で、手に刺激を与えた際に握ろうとする現象をいう。出生後すぐから反応が見られ、生後3~4か月ころには消失する。同様の原始反射として、外部からの刺激に対して両手を広げて抱きつくようなMoro〈モロー〉反射がある。
午前8 ハヴィガースト, R. J.が提唱する老年期の発達課題はどれか。
- 子どもを育てる。
- 退職と収入の減少に適応する。
- 社会的責任をともなう行動を望んでなしとげる。
- 男性あるいは女性としての社会的役割を獲得する。
② 退職と収入の減少に適応する。
【▼ポイント】
ハヴィガーストは成長段階(乳幼児期・児童期・青年期・壮年期・中年期・老年期)ごとに果たすべき課題(発達課題)を示している。老年期は、体力と健康の衰退・退職と収入の減少・配偶者の死などに適応する時期である。①は壮年期、③と④は青年期の発達課題である。
午前11 後頭葉にあるのはどれか。
- 嗅覚野
- 視覚野
- 聴覚野
- 体性感覚野
② 視覚野
【▼ポイント】
視覚野は大脳皮質の後頭葉にあり、視覚に直接関係する領域である。
午前12 胃から分泌される消化管ホルモンはどれか。
- ガストリン
- セクレチン
- 胃抑制ペプチド
- コレシストキニン
① ガストリン
【▼ポイント】
ガストリンは、主に胃の幽門部の粘膜で産出されるホルモンで、胃酸の分泌を促す。
午前13 キューブラー・ロス, E.による死にゆく人の心理過程で第5段階はどれか。
- 怒り
- 否認
- 死の受容
- 取り引き
③ 死の受容
【▼ポイント】
キューブラー・ロスは、死にゆく人の心理の変化を、①否認と孤立、②怒り、③取引、④抑うつ、⑤受容の5段階で捉え、自己防衛的態度から死の受容までのモデルを示した。
午前14 肝性脳症の直接的原因はどれか。
- 尿酸
- アンモニア
- グルコース
- ビリルビン
② アンモニア
【▼ポイント】
肝性脳症は、重度の肝疾患により肝臓の有害物質(アンモニア等)の解毒・分解機能が低下し、血液中に蓄積された有害物質が脳に達して起こる脳機能の低下をいう。
午前15 喀血の特徴はどれか。
- 酸性である。
- 泡沫状である。
- 食物残渣を含む。
- コーヒー残渣様である。
② 泡沫状である。
【▼ポイント】
喀血は咳とともに血液が吐き出されるもので、主に気道や肺胞などの呼吸器の出血による。泡沫状の喀痰や鮮紅色の血液は喀血の特徴であり、①、③、④は食道・胃・十二指腸等の出血による吐血の特徴である。
午前17 カルシウム拮抗薬の血中濃度を上げる食品はどれか。
- 牛乳
- 納豆
- ブロッコリー
- グレープフルーツ
④ グレープフルーツ
【▼ポイント】
カルシウム拮抗薬は血管を拡張し、血圧を下げる降圧薬である。グレープフルーツに含まれる成分はカルシウム拮抗薬を代謝する酵素の働きを弱めるため、薬物服用時の摂取により血中濃度が高まり、血圧の異常な低下などの相互作用が起きることがある。
午前18 患者の主観的情報はどれか。
- 苦悶様の顔貌
- 息苦しさの訴え
- 飲水量
- 脈拍数
② 息苦しさの訴え
【▼ポイント】
主観的(Subjective)情報は患者の話や訴えから得られた情報で、観察や測定で得られる客観的(Objective)情報と区別して、患者の状態を把握する。なお、息苦しさの訴えは主観的情報から評価される呼吸困難の症状である。
午前19 健康な成人における1日の平均尿量はどれか。
- 100mL
- 500mL
- 1,500mL
- 2,500mL
③ 1,500mL
【▼ポイント】
成人の1日平均尿量は1,000mL~1,500mLとされる。なお、100mL未満は無尿、400mL未満は乏尿である。
午前20 足浴に使用する湯の温度で最も適切なのはどれか。
- 26〜28℃
- 32〜34℃
- 38〜40℃
- 44〜46℃
③ 38〜40℃
【▼ポイント】
足浴は全身浴と比べて心臓への負担が少なく、血行や睡眠の促進効果が認められる。湯の適温は体温より少し高い38〜40℃程度とされる。なお、陰部洗浄も同様の温度である(109回午前17出題)。
午前22 経鼻胃管の先端が胃内に留置されていることを確認する方法で正しいのはどれか。
- 腹部を打診する。
- 肺音の聴取を行う。
- 胃管に水を注入する。
- 胃管からの吸引物が胃内容物であることを確認する。
④ 胃管からの吸引物が胃内容物であることを確認する。
【▼ポイント】
経鼻胃管による栄養注入などを実施する際、先端が胃内にない場合、誤嚥等の事故につながるおそれがある。注入前に胃内容物を吸引し、胃液等を確認することで、胃内に胃管の先端が留置されていることを確認する必要がある。
午前23 輸液ポンプを使用する目的はどれか。
- 感染の防止
- 薬液の温度管理
- 薬物の効果判定
- 薬液の注入速度の調整
④ 薬液の注入速度の調整
【▼ポイント】
輸液ポンプは、輸液や薬剤を一定の速度・正確な量で投与するための医療機器で、輸液の流量と予定量を設定する。
午前24 1回の鼻腔内吸引時間の目安で適切なのはどれか。
- 10〜15秒
- 20〜25秒
- 30〜35秒
- 40〜45秒
① 10〜15秒
【▼ポイント】
鼻腔内吸引は、吸引カテーテルを用いて鼻腔内の喀痰を体外に吸い出すものである。長時間の吸引は低酸素血症をきたすおそれがあるため、1回の吸引時間は10~15秒を目安し、できるだけ短時間とする。
午後7 乳歯がすべて生えそろう年齢はどれか。
- 0〜1歳
- 2〜3歳
- 4〜5歳
- 6〜7歳
② 2〜3歳
【▼ポイント】
乳歯は、生後6~8か月ころから生え始め、2~3歳ころには上下各10本、計20本生えそろう。なお、乳歯の特性上むし歯(う歯)が発生しやすいため、乳幼児に対する1歳6か月児と3歳児を対象にした歯科健康診査が実施されている。
午後8 男子の第二次性徴による変化はどれか。
- 精通
- 骨盤の拡大
- 皮下脂肪の増加
- 第1大臼歯の萌出
① 精通
【▼ポイント】
思春期に起こる第二次性徴では、男子で精通(初めての射精)がみられ、中学3年生ころには半数以上が経験するとされる。
午後11 健常な成人で心臓壁が最も厚いのはどれか。
- 右心室
- 右心房
- 左心室
- 左心房
③ 左心室
【▼ポイント】
左心室は大動脈を通じて全身に血液を送っており、その強力な収縮を支えるため、肺に血液を送る右心室や、肺・心臓から血液を受け取る左心房、右心房よりも心臓壁が厚くなっている。
午後12 後腹膜器官はどれか。
- 胃
- 肝臓
- 空腸
- 腎臓
④ 腎臓
【▼ポイント】
後腹膜器官は、胃や肝臓、小腸、大腸など腹部の臓器を包み込んでいる腹膜よりも背中側にある臓器をいい、腎臓や膀胱などの泌尿器はこれに当たる。
午後13 体温低下を引き起こすのはどれか。
- カテコラミンの分泌亢進
- 甲状腺ホルモンの分泌低下
- 副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌低下
- 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の分泌亢進
② 甲状腺ホルモンの分泌低下
【▼ポイント】
内分泌器官である甲状腺は、甲状腺ホルモンを生成し、細胞の新陳代謝を促進している。甲状腺機能低下症などにより甲状腺ホルモンの分泌が低下(代謝機能が低下)することで、体温低下(低体温)や浮腫などの症状が引き起こされる。
午後14 四肢のうち麻痺している部位を斜線で図に示す。

片麻痺はどれか。
③
【▼ポイント】
片麻痺とは、脳梗塞などにより左右どちらかの半身に麻痺の症状がみられるものをいう。左右の下肢(②)または左右の上肢(①)の麻痺は対麻痺、左右の上肢および左右の下肢(④)の麻痺は四肢麻痺である。
午後15 痛風の患者の血液検査データで高値を示すのはどれか。
- 尿酸
- 尿素窒素
- アルブミン
- トリグリセリド
① 尿酸
【▼ポイント】
痛風は血液中の尿酸値の上昇(高尿酸血症)を原因として、関節などに尿酸結晶がたまり、免疫機能が働くことで急性関節炎などの痛みを伴う痛風発作が生じるものである。
午後16 ループ利尿薬について正しいのはどれか。
- 作用発現が速い。
- 眠前の服用が望ましい。
- 抗不整脈薬として用いられる。
- 副作用〈有害事象〉に高カリウム血症がある。
① 作用発現が速い。
【▼ポイント】
ループ利尿薬は、浮腫(むくみ)などを改善するために、尿による水分排泄を促進するものであり、即効性が高いとされる。なお、就寝後の排尿を避けるため午前中の投与が望ましく(②)、利尿薬の副作用〈有害事象〉としては低カリウム血症や低ナトリウム血症がある(④)。
午後17 経口投与後の薬物が初回通過効果を受ける場所はどれか。
- 胃
- 肝臓
- 小腸
- 腎臓
② 肝臓
【▼ポイント】
初回通過効果とは、内服薬が全身循環血に移行する前に、肝臓内の酵素によって代謝されることをいい、薬物の投与時には初回通過効果を考慮した上で投与方法、量を定める必要がある。
午後18 自力での摂取が困難な成人患者の食事介助で適切なのはどれか。
- 水分の少ない食べ物を準備する。
- 時間をかけずに次々と食物を口に入れる。
- 患者に食事内容が見える位置に食器を配置する。
- 患者の下顎が上がるよう高い位置からスプーンを操作する。
③ 患者に食事内容が見える位置に食器を配置する。
【▼ポイント】
食事介助時にはとくに誤嚥に細心の注意を払う必要があり、嚥下しにくくなる①、喉を詰まらせやすくなる②、顎を上げること(頸部後屈)で気管に入りやすくなる(頸部前屈が望ましい)④は、誤嚥のリスクを高める。
午後19 フィジカルアセスメントにおいて触診で有無を判断するのはどれか。
- 腱反射
- 瞳孔反射
- 腸蠕動運動
- リンパ節の腫脹
④ リンパ節の腫脹
【▼ポイント】
フィジカルアセスメントには、問診、視診、触診、打診、聴診などがあり、皮下に存在するリンパ節の腫脹は体表から触る触診で一定の判断ができる。①腱反射は打診、②瞳孔反射は視診、③腸蠕動運動は聴診に当たる。
午後20 患者の洗髪の介助方法で適切なのはどれか。
- 30℃の湯をかける。
- 脱脂綿で耳栓をする。
- 指の腹を使って洗う。
- 強い振動を加えて洗う。
③ 指の腹を使って洗う。
【▼ポイント】
洗髪の介助では、40℃前後のお湯(①)で、頭をあまり揺らさず(④)、地肌を傷つけないように指の腹で揉むように洗う(③)。なお、耳栓をする場合、脱脂綿は吸水力があるため不適当である(②)。
午後22 薬物の有害な作用を予測するために収集する情報はどれか。
- 居住地
- 家族構成
- 運動障害の有無
- アレルギーの既往
④ アレルギーの既往
【▼ポイント】
医薬品等により引き起こされる有害作用を予測するため、アレルギー反応やアレルギー性疾患の既往についての情報を収集することが適切である(アナフィラキシーショックの予防等)。
午後23 成人の持続点滴静脈内注射のために選択される部位で最も適切なのはどれか。
- 足背
- 鼠径
- 前腕内側
- 肘関節付近
③ 前腕内側
【▼ポイント】
持続点滴静脈内注射は、主に肘や手首から離れた前腕内側の末梢静脈が選択される。
午後25 巨赤芽球性貧血の原因はどれか。
- ビタミンA欠乏
- ビタミンB12欠乏
- ビタミンC欠乏
- ビタミンE欠乏
- ビタミンK欠乏
② ビタミンB12欠乏
【▼ポイント】
巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12や葉酸の欠乏により骨髄に巨赤芽球が出現する貧血であり、小児にも多く、小児慢性特定疾病事業の対象疾病となっている。
資料 厚生労働省「第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験、第110回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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