看護師国家試験必修問題まとめ(2)【看護の倫理・対象】
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看護師国家試験の必修問題の詳細については、看護師国家試験必修問題まとめ(1)【国民衛生の動向対応】をご確認下さい。
当ページでは、保健師助産師看護師国家試験出題基準の必修問題の大項目として示される「看護における倫理」「人間のライフサイクル各期の特徴と生活」「看護の対象としての患者と家族」を中心に、第111回から第102回看護師国家試験までの午前・午後の最初の25問の中からピックアップし、解説とともに掲載します。
必修問題まとめ(1)【国民衛生の動向対応】、必修問題まとめ(3)【人体の構造と機能・健康障害・薬物】、必修問題まとめ(4)【看護技術】と合わせて、10年分のほぼすべての必修問題を網羅していますので、学習や確認にご活用下さい。
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テーマ別必修問題
- 看護における倫理
- 人間の特性
- 人間のライフサイクル各期の特徴と生活:新生児・乳幼児期
- 人間のライフサイクル各期の特徴と生活:思春期・青年期
- 人間のライフサイクル各期の特徴と生活:更年期
- 人間のライフサイクル各期の特徴と生活:老年期
〈44問分掲載(+類問7問)〉
看護における倫理
倫理原則
看護実践における倫理原則として、①自律尊重、②無危害、③善行、④公正と正義、⑤誠実と忠誠の5原則がある。善行の原則は、患者のために最善を尽くすことをいう(患者の症状、感情に合わせた最良の医療・看護提供など)。
- 患者に身体的損傷を与えない。
- 患者に利益をもたらす医療を提供する。
- すべての人々に平等に医療を提供する。
- 患者が自己決定し選択した内容を尊重する。
- 約束を守る。
- 害を回避する。
- 自己決定を尊重する。
- 公平な資源の配分を行う。
看護師の倫理綱領
国際看護師協会〈ICN〉による看護師の倫理綱領では、看護師の基本的な看護の責任として、①健康の増進、②疾病の予防、③健康の回復、④苦痛の緩和と尊厳ある死の推奨を挙げている。
- 疾病の回復
- 医師の補助
- 苦痛の緩和
- 薬剤の投与
人間の特性
QOL(生活の質)
QOL(Quality of Life)は生活の質と訳され、本人の満足感が重要な尺度である。
- 高度医療の受療
- 本人の満足感
- 乳児死亡率
- 生存期間
マズローの欲求階層説
マズローの欲求階層説では、低階層から、①生理的(食事、排泄、睡眠等)欲求、②安全(危険回避)の欲求、③社会的(所属・愛情)欲求、④自尊(承認)の欲求、⑤自己実現の欲求となっており、人間は低階層の欲求が満たされると高階層の欲求に移っていくことをあらわす。
- 自己実現の欲求
- 所属と愛の欲求
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 安全の欲求
- 自己実現の欲求
- 承認の欲求
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 帰属の欲求
- 自己実現の欲求
- 睡眠の欲求
- 尊重されたい。
- 休息をとりたい。
- 他人と関わりたい。
- 自分の能力を発揮したい。
- 安全の欲求
- 承認の欲求
- 生理的欲求
- 自己実現の欲求
- 所属と愛の欲求
- 自尊の欲求
- 所属の欲求
- 安全の欲求
- 生理的欲求
フィンクの危機モデル
臨床場面等で、危機的状況に対する過程を模式的に表した危機モデルを用いた対応がなされる。そのうち、フィンクは、①衝撃、②防御的退行、③承認、④適応の4段階を示し、感情的・防御的な対応から問題解決型の対応になっていく過程を表している。
- 衝撃
- 承認
- 適応
- 防御的退行
- 防衛的退行
- 衝撃
- 適応
- 承認
キューブラー・ロスの死にゆく人の心理変化
キューブラー・ロスは、死にゆく人の心理の変化を、①否認と孤立、②怒り、③取引、④抑うつ、⑤受容の5段階で捉え、自己防衛的態度から死の受容までのモデルを示した。
- 死ぬことへの諦め
- 延命のための取り引き
- 死を認めようとしない否認
- 死ななければならないことへの怒り
- 怒り
- 否認
- 死の受容
- 取り引き
セリエのストレス反応
セリエは、精神的緊張(ストレッサー)を受けたときに生体に起きる一定の反応(ストレス反応)を提唱した。
- 危機モデル
- ケアリング
- セルフケア
- ストレス反応
人間のライフサイクル各期の特徴と生活:新生児・乳幼児期
原始反射
新生児にみられる原始反射は、出生後すぐから見られ、生後3~4か月ころには消失する。例として、手に刺激を与えた際に握ろうとする手掌把握反射、外部からの刺激に対して両手を広げて抱きつくようなMoro〈モロー〉反射がある。
- 手掌把握反射
- 足底把握反射
- パラシュート反射
- Babinski〈バビンスキー〉反射
- 足踏み反射
- パラシュート反射
- Moro〈モロー〉反射
- Babinski〈バビンスキー〉反射

Moro〈モロー〉反射はどれか。
乳児の発達目安
DENVERⅡ(デンバー発達判定法)が示す乳児の粗大運動の発達目安では、3~4か月に首のすわり、5~6か月に寝返り、7~8か月にお座り、9~10か月につかまり立ちとされる。
- 寝返り
- お座り
- 首のすわり
- つかまり立ち
乳児期の分離不安・人見知り
生後6〜8か月ころの乳児期には身近な家族等の顔を見分け、応答的な愛着関係がみられるようになり、親から離されることへの分離不安や、知らない相手には人見知りがはじまる。
- 分離不安
- 第一次反抗期
- ギャングエイジ
- 自我同一性の確立
- 生後1〜2か月
- 生後6〜8か月
- 生後18〜24か月
- 生後36〜42か月
乳児期の発達課題
エリクソンが示す発達課題では、乳児期は母親に対する基本的信頼感を得るため、基本的信頼感対不信感の葛藤が生じる。
- 親密
- 同一性
- 自主性
- 基本的信頼
乳児期の呼吸の型
新生児期や乳児期では、横隔膜を上下に動かす腹式呼吸が中心である。7~8歳ころの学童期以降は胸式呼吸が優位となり、その間の幼児期後期ころは両者を組み合わせた胸腹式呼吸がみられる。
- 肩呼吸
- 胸式呼吸
- 腹式呼吸
- 胸腹式呼吸
- 生後6か月
- 3歳
- 7歳
- 12歳
乳幼児の身体の発達
乳幼児身体発育調査(平成22年)をみると、出生時の平均体重は約3kgであるが、3か月ごろには約2倍、1年ごろには約3倍となる。なお、出生時の平均身長は約50cmであるが、1年ごろには約1.5倍、4年ごろには約2倍となる。
- 生後3か月
- 生後6か月
- 生後9か月
- 生後12か月
乳歯
乳歯は、生後6~8か月ころから生え始め、2~3歳ころには上下各10本、計20本生えそろう。
- 0〜1歳
- 2〜3歳
- 4〜5歳
- 6〜7歳
- 16本
- 20本
- 24本
- 28本
- 6〜8か月ころから生え始める。
- 5〜7歳ころに生えそろう。
- 全部で28本である。
- う蝕になりにくい。
乳幼児の脳重量の発達
脳重量は出生時には成人の4分の1程度であるが、乳幼児期に急速に発達し、乳児期には50%、幼児後期の5〜6歳ころには成人の90%に達する。
- 5〜6歳
- 8〜9歳
- 11〜12歳
- 15〜16歳
人間のライフサイクル各期の特徴と生活:思春期・青年期
思春期の特徴
思春期には、依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情を持ちながらも、自我同一性の確立の過程で、親からの心理的離乳、年長者の価値観への拒絶、同世代の仲間との価値観の共有がみられる(第2反抗期)。
- 情緒的に安定し穏やかになる。
- 思い通りにならないと泣き叫ぶ。
- 親に対して強い愛情表現を示す。
- 依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情をもつ。
- 愛着行動
- 分離不安
- 自己同一性の確立
- 基本的信頼関係の確立
- 親からの干渉を嫌うようになる。
- 親と離れると不安な様子になる。
- 親に秘密を打ち明けるようになる。
- 親からの助言を素直に聞けるようになる。
- 教師
- 祖父母
- 友人
- 両親
- 自我同一性の獲得
- 心理的離乳
- 愛着形成
- 探索行動
- 母子分離
男子の第二次性徴(精通)
思春期に起こる第二次性徴では、男子で精通(初めての射精)がみられ、中学3年生ころには半数以上が経験するとされる。
- 精通
- 骨盤の拡大
- 皮下脂肪の増加
- 第1大臼歯の萌出
第二次性徴の発現に関与するホルモン
思春期に下垂体から黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されることで、男子では男性ホルモンであるアンドロゲン(テストステロン)が、女子では女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)がつくられ、第二次性徴が発現・成熟する。
- 抗利尿ホルモン〈ADH〉
- 黄体形成ホルモン〈LH〉
- 副甲状腺ホルモン〈PTH〉
- 甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉
- グルカゴン
- オキシトシン
- カルシトニン
- アンドロゲン
青年期の発達課題
エリクソンが示す発達課題では、青年期(13歳から20歳ころ)は、自分は何者であるかという自己同一性(アイデンティティ)の確立を達成するため、同一性対同一性の混乱の葛藤が生じる。
- 生殖性 対 停滞
- 勤勉性 対 劣等感
- 自主性 対 罪悪感
- 同一性 対 同一性混乱
成人の基礎代謝量
日本人の食事摂取基準(2020年版)で推定された基礎代謝量は、男性は15~17歳(1,610kcal/日)、女性は12~14歳(1,410 kcal/日)で最も高く、青年期以降は加齢に伴って低下していく。
- 青年期
- 壮年期
- 向老期
- 老年期
人間のライフサイクル各期の特徴と生活:更年期
平均閉経年齢
日本人女性の閉経は45~55歳、平均閉経年齢は約50歳とされる。
- 30歳
- 40歳
- 50歳
- 60歳
更年期ころの女性
更年期(閉経約50歳前後の約45~55歳)の女性は、卵巣機能の低下により卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少する一方で、性腺刺激ホルモンである卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)は分泌を増やすため、ホルモンや自律神経のバランスが乱れ、ほてりや発汗、抑うつなどがみられる。
- 卵胞ホルモン
- 黄体形成ホルモン〈LH〉
- 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
- 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉
- 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
- テストステロン
- プロラクチン
- エストロゲン
Aさんのホルモンで上昇しているのはどれか。2つ選べ。
- エストロゲン
- プロラクチン
- プロゲステロン
- 黄体形成ホルモン〈LH〉
- 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
- 異常発汗
- 低血圧
- 妄想
- 便秘
人間のライフサイクル各期の特徴と生活:老年期
老年期の発達課題
ハヴィガーストが示す発達課題では、老年期は体力と健康の衰退・退職と収入の減少・配偶者の死などに適応する時期である。
- 子どもを育てる。
- 退職と収入の減少に適応する。
- 社会的責任をともなう行動を望んでなしとげる。
- 男性あるいは女性としての社会的役割を獲得する。
- 健康の衰退に適応する。
- 大人の余暇活動を充実する。
- 個人としての自立を達成する。
- 大人の社会的な責任を果たす。
- 子どもを独立させる。
- 満足できる収入を得る。
- 配偶者の死に適応する。
- 異世代の人と親密な関係を結ぶ。
老年期の身体的変化
加齢により、以下のような多くの身体的変化がみられる。
●大動脈の硬化による血管抵抗の増大(収縮期血圧の上昇、拡張期血圧の低下)
●高音域が聞こえづらくなる(加齢性難聴)
●嗅覚機能の低下(反応下限値(閾値)の上昇)
●外来抗原に対する抗体の産生能の低下
●インスリン分泌量の低下による空腹時血糖の上昇
●最大換気量の大幅な低下
●総水分量が成人期(約60%)から減少(約50~55%)
●自律性体温調節反応の低下により熱中症を引き起こしやすくなる
●代謝・排出機能の低下等により薬物の副作用〈有害事象〉が生じやすい
- 血管抵抗の増大
- 消化管の運動の亢進
- 水晶体の弾性の増大
- メラトニン分泌量の増加
- 総水分量が増加する。
- 胸腺の重量が増加する。
- 嗅覚の閾値が低下する。
- 高音域における聴力が低下する。
- 腎血流量
- 最大換気量
- 空腹時血糖
- 神経伝導速度
- 尿量の増加
- 味覚の感度の向上
- 体温調節能の低下
- 外来抗原に対する抗体産生の亢進
- 収縮期血圧は上昇し、拡張期血圧は低下する。
- 収縮期血圧は低下し、拡張期血圧は上昇する。
- 収縮期血圧も拡張期血圧も上昇する。
- 収縮期血圧も拡張期血圧も低下する。
- 基礎代謝率
- 最大換気量
- 細胞内水分量
- 神経伝導速度
- 症状の出現は定型である。
- 治療の効果が現れやすい。
- 疾患の発生に心理的要因の影響は少ない。
- 薬物の副作用〈有害事象〉が発生しやすい。
加齢に伴う知能の変化
加齢とともに、新しい環境に適応するために、新しい情報を獲得し、処理・操作していく知能である流動性知能(記銘力等)は低下を続ける。一方、長年の経験や教育、学習から獲得する知能である結晶性知能(洞察力、判断力、統合力等)は、20歳以降も上昇し、高齢になっても維持・安定している。
- 記銘力
- 洞察力
- 判断力
- 統合力
- 感覚記憶
- 短期記憶
- 結晶性知能
- 流動性知能
- よく利用するスーパーマーケットから自宅までの近道を考える。
- パソコン教室で操作方法を覚える。
- 携帯電話に電話番号を登録する。
- 外国語の単語を暗記する。
- 新聞を読む。
- 町内会の役員を務める。
- 結婚式のマナーを知っている。
- 携帯電話に電話番号を登録する。
成人(高齢者)の水分量
成人の体重に占める水分量は約60%(高齢者は50~55%)であり、このうち細胞内液が約40%を占め、残る細胞外液のうち、間質液(リンパ液含む)は約15%、血漿は約5%とされる。
- 20%
- 40%
- 60%
- 80%
- 45%
- 55%
- 65%
- 75%
- 血漿
- 間質液
- 細胞内液
- リンパ液
テーマ別過去問題まとめ
- 国民衛生の動向でみる看護師国家試験の統計問題まとめ
- 国民衛生の動向でみる看護師国家試験の法律問題まとめ
- 国民衛生の動向でみる看護師国家試験の感染症問題まとめ
- 国民衛生の動向でみる看護師国家試験の介護保険制度問題まとめ
- 看護師国家試験必修問題まとめ(1)【国民衛生の動向対応】
- 看護師国家試験必修問題まとめ(2)【看護の倫理・対象】
- 看護師国家試験必修問題まとめ(3)【人体の構造と機能・健康障害・薬物】
- 看護師国家試験必修問題まとめ(4)【看護技術】
年次別過去問題まとめ
- 第111回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第110回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第109回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第108回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第107回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第106回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第105回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第104回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第103回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
- 第102回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答