第107回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
平成30年2月18日(日)に実施された第107回看護師国家試験について、「国民衛生の動向2022/2023」で内容を解説している問題、関連の強い問題をピックアップし、その正答と解説を示します。また、合格のために最重要となる必修問題(午前・午後冒頭25問と想定)については、本誌未対応の問題も最後にすべてまとめています。
問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2022/2023
発売日:2022.8.26
定価:2,695円(税込)
472頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
国民衛生の動向対応問題・掲載数
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出題数 |
対応問題数 |
対応問題率 |
必修問題 |
50問 |
19問 |
38.0% |
一般問題 |
130問 |
47問 |
36.2% |
計 |
180問 |
66問 |
36.7% |
※必修問題は午前・午後の冒頭25問と想定。未対応の必修問題は末尾に掲載。状況設定問題は除く。
午前
1 平均寿命で正しいのはどれか。
- 0歳の平均余命である。
- 20歳の平均余命である。
- 60歳の平均余命である。
- 死亡者の平均年齢である。
① 0歳の平均余命である。
【▼ポイント】
平均寿命とは0歳の平均余命をいい、令和2年(2020年)の第23回生命表では、男性が81.56年、女性が87.71年となっている。
【▼参照】
第2編3章 生命表 2.平均余命
2 令和2年(2020年)の病院報告による一般病床の平均在院日数はどれか。(改題)
- 6.5日
- 16.5日
- 26.5日
- 36.5日
② 16.5日
【▼ポイント】
令和2年(2020年)の病院の平均在院日数は28.3日となっており、医療法に定める病床の種類別にみると、一般病床は16.5日、精神病床は277.0日、療養病床は135.5日、介護療養病床は287.7日などとなっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設 5〕診療等の状況
【▼備考】
必修問題として妥当ではないため不正解者は採点除外。
3 シックハウス症候群に関係する物質はどれか。
- アスベスト
- ダイオキシン類
- 放射性セシウム
- ホルムアルデヒド
④ ホルムアルデヒド
【▼ポイント】
シックハウス(室内空気汚染)症候群とは、建材や調度品から発生する化学物質などによる室内空気汚染やその健康影響をいい、ホルムアルデヒドなど13物質について室内濃度指針値を設定している。
【▼参照】
第7編3章 化学物質の安全対策の動向 7.室内空気汚染対策
4 介護保険法に基づき設置されるのはどれか。
- 老人福祉センター
- 精神保健福祉センター
- 地域包括支援センター
- 都道府県福祉人材センター
③ 地域包括支援センター
【▼ポイント】
介護保険法に定められる地域包括支援センターは、住民の健康の保持と生活の安定のために必要な援助を行うもので、市町村に設置される。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 6〕地域包括ケアシステム
5 QOLを評価する項目で最も重要なのはどれか。
- 高度医療の受療
- 本人の満足感
- 乳児死亡率
- 生存期間
② 本人の満足感
【▼ポイント】
QOL(Quality of Life)は生活の質と訳され、本人の満足感が重要な尺度である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策
9 一般病床の看護職員の配置基準は、入院患者【 】人に対して看護師及び准看護師1人と法令で定められている。
【 】に入るのはどれか。
- 2
- 3
- 4
- 6
② 3
【▼ポイント】
医療法により病床種別ごとに人員配置基準(人員1人当たりの入院患者数)や構造設備基準が定められており、一般病床における看護師の人員配置基準は3:1(入院患者3人に対して看護師・准看護師1人)となっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設 3〕病床の状況
【▼備考】
必修問題として妥当ではないため不正解者は採点除外。
17 他の医薬品と区別して貯蔵し、鍵をかけた堅固な設備内に保管することが法律で定められているのはどれか。
- ヘパリン
- インスリン
- リドカイン
- フェンタニル
④ フェンタニル
【▼ポイント】
麻酔や疼痛緩和に、注射剤、貼付剤として用いられるフェンタニルは、麻薬及び向精神薬取締法により規定され、麻薬診療施設内に設けた鍵をかけた堅固な設備内に保管しなければならない。
【▼参照】
第6編4章 特殊な医薬品、毒物・劇物 2.麻薬・覚醒剤等
25 令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査において、運動習慣のある女性の割合が最も高い年齢階級はどれか。(改題)
- 30~39歳
- 40~49歳
- 50~59歳
- 60~69歳
- 70歳以上
⑤ 70歳以上
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の運動習慣のある割合は男女ともに70歳以上が最も多い(男42.7%・女35.9%)。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 3〕身体活動・運動
29 令和元年度(2019年度)における社会保障給付費の内訳で多い順に並んでいるのはどれか。(改題)
- 年金>医療>福祉その他
- 年金>福祉その他>医療
- 医療>年金>福祉その他
- 医療>福祉その他>年金
① 年金>医療>福祉その他
【▼ポイント】
令和元年度の社会保障給付費の内訳を部門別にみると、年金が55.5兆円(44.7%)、医療が40.7兆円(32.9%)、福祉その他が27.7兆円(22.4%)である。
【▼参照】
第1編1章 わが国の衛生を取り巻く社会状況と保健医療 1.衛生を取り巻く社会状況 5〕社会保障の状況
30 法律とその内容の組合せで正しいのはどれか。
- 児童福祉法――受胎調節の実地指導
- 地域保健法――市町村保健センターの設置
- 健康増進法――医療安全支援センターの設置
- 学校保健安全法――特定給食施設における栄養管理
② 地域保健法――市町村保健センターの設置
【▼ポイント】
市町村保健センターは地域保健法に基づき、健康相談・保健指導・健康診査など地域保健に関し必要な事業を行うため、市町村が設置することができる。①は母体保護法、③は医療法、④は健康増進法である。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 1.衛生行政のあゆみ 等
32 良質の医療を受ける権利を宣言しているのはどれか。
- リスボン宣言
- ヘルシンキ宣言
- ジュネーブ宣言
- ニュルンベルク綱領
① リスボン宣言
【▼ポイント】
リスボン宣言(患者の権利宣言)は、良質な医療を受ける権利、選択の自由の権利、自己決定の権利などの原則を規定している。なお、人を対象とする医学研究に関する倫理問題として、ドイツのナチスによる人体実験の反省から、1947年に④ニュルンベルク綱領が作成され、1948年には医師が患者の権利・尊厳を尊重し、奉仕する等を宣言した③ジュネーブ宣言が採択された。1964年には人間を対象とする医学研究の倫理的原則である②ヘルシンキ宣言が採択され、インフォームド・コンセントなども規定された。
【▼参照】
第6編3章 医薬品等の安全性と有効性の確保 5〕倫理指針と臨床研究法
39 輸血後、数日から数週間経過してから出現する副作用〈有害事象〉はどれか。
- 溶血性反応
- 末梢血管収縮反応
- アナフィラキシー反応
- 輸血後移植片対宿主病〈PT-GVHD〉
④ 輸血後移植片対宿主病〈PT-GVHD〉
【▼ポイント】
輸血副作用・合併症は発症の時期により即時型(あるいは急性型)と遅発型とに分けられる。輸血後移植片対宿主病〈PT-GVHD〉は遅発型副作用で、輸血後7~14日頃に発熱等を伴い発症する。
【▼参照】
第6編4章 特殊な医薬品、毒物・劇物 5〕血液製剤等の安全対策
42 生活習慣が発症に関連している疾患はどれか。
- 肺気腫
- 1型糖尿病
- 肥大型心筋症
- 重症筋無力症
① 肺気腫
【▼ポイント】
肺気腫や慢性気管支炎など慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉は、長期の喫煙によってもたらされる肺の炎症性疾患である。なお、糖尿病のうち、1型糖尿病は生活習慣と無関係に主として小児期から発症するもので、生活習慣が発症に関わるのは2型糖尿病である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 6〕喫煙
43 難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に基づく医療費助成の対象となる疾患はどれか。
- 中皮腫
- C型肝炎
- 慢性腎不全
- 再生不良性貧血
④ 再生不良性貧血
【▼ポイント】
難病とは、発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものをいい、医療費助成の対象となる指定難病として338疾病が認定されている。なお、アスベスト(石綿)による①中皮腫については、労働者災害補償保険法や石綿健康被害救済法により医療費助成が行われる。B型肝炎・②C型肝炎の肝炎治療に対しては、平成20年度から医療費助成事業が行われている。③慢性腎不全の悪化に伴い腎代替療法の適応となった場合は、障害者総合支援法の自立支援医療(更生医療・育成医療)として公費負担が行われる。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 2.難病対策
48 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査における65歳以上の高齢者がいる世帯について正しいのはどれか。(改題)
- 単独世帯は1割である。
- 三世代世帯は3割である。
- 夫婦のみの世帯は4割である。
- 親と未婚の子のみの世帯は2割である。
④ 親と未婚の子のみの世帯は2割である。
【▼ポイント】
令和元年(2019年)では、65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、単独世帯が28.8%、夫婦のみの世帯が32.3%、親と未婚の子のみの世帯が20.0%、三世代世帯が9.4%となっている。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 6〕全国の世帯数
49 Aさん(66歳、男性)は、Lewy〈レビー〉小体型認知症であるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を初めて利用することとなった。施設の看護師は、同居している家族から「以前、入院したときに、ご飯にかかっているゴマを虫だと言って騒いだことがあったが、自宅ではそのような様子はみられない」と聞いた。
入所当日の夜間の対応で適切なのはどれか。
- 虫はいないと説明する。
- 部屋の照明をつけたままにする。
- 細かい模様のある物は片付ける。
- 窓のカーテンは開けたままにする。
③ 細かい模様のある物は片付ける。
【▼ポイント】
レビー小体型認知症の特徴的な症状としては、発症初期から幻視(実際に見えない人や物が見えるといった錯視)がしばしば現れることが挙げられる。本人を否定することなく、暗い場所で錯視の原因となる染みや模様のあるもの、影を作るもの等を片付けるなど、室内環境の見直しが重要である。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 2.老人保健 2〕認知症施策のあゆみ
56 産科外来を初めて受診した妊婦。夫婦ともに外国籍で、日本の在留資格を取得している。
この妊婦への説明で正しいのはどれか。
- 「母子健康手帳は有料で入手できます」
- 「妊婦健康診査は公費の助成を受けられます」
- 「出生届は外務省に提出します」
- 「生まれた子どもは出生時に日本国籍を取得できます」
② 「妊婦健康診査は公費の助成を受けられます」
【▼ポイント】
妊婦健康診査は母子保健法に定める一般財源による事業である。母子保健法は人道的な観点から、国籍・在留資格に関係なく、日本にいるすべての妊産婦に適用される。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健
57 大震災の2日後、避難所にいる成人への心理的援助で適切なのはどれか。
- 宗教の多様性への配慮は後で行う。
- 会話が途切れないように話しかける。
- 確証がなくても安全であると保証する。
- ストレス反応に関する情報提供を行う。
④ ストレス反応に関する情報提供を行う。
【▼ポイント】
発災後数日から数週間の急性期には急性ストレス障害が生じやすい。情報提供により認知に働きかけて発症を予防・軽減することが適切である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
59 自殺念慮を訴える患者で、自殺が最も切迫している状態はどれか。
- 自殺の手段が未定である。
- 自殺する日を決めている。
- 将来の希望について時々話す。
- 普段と変わらない様子で生活している。
② 自殺する日を決めている。
【▼ポイント】
自殺の危機にある者の多くは、それまでとは異なる言葉や行動による警告サインが発生し、とくに自殺の計画を立てる、手段を用意するといった具体的な準備は切迫性が高い。ゲートキーパーや周囲の人による適切な対応(気づき、声をかけ、話しを聞いて、必要な支援につなげ、見守る)が重要となる。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 6.自殺対策
60 養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者が、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉に基づき通報する先として正しいのはどれか。
- 市町村
- 警察署
- 消防署
- 訪問看護事業所
① 市町村
【▼ポイント】
高齢者虐待の防止、虐待を受けた高齢者の迅速で適切な保護、養護者に対する支援については、市町村(特別区を含む)が第一義的に責任を持つ。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 2〕高齢者虐待防止
62 特別訪問看護指示書による訪問看護について正しいのはどれか。
- 提供できる頻度は週に3回までである。
- 提供できる期間は最大6か月である。
- 対象に指定難病は含まない。
- 医療保険が適用される。
④ 医療保険が適用される。
【▼ポイント】
急性増悪等により一時的に頻回(週4日以上)の訪問看護の必要があるとして主治医による特別訪問看護指示書(14日間有効、一部2回交付可)の交付を受けた者には、医療保険の給付による訪問看護が行われ、週3日を超えての提供が可能となっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
63 要介護2と認定された高齢者の在宅療養支援において、支援に関与する者とその役割の組合せで適切なのはどれか。
- 介護支援専門員――家事の援助
- 市町村保健師――居宅サービス計画書の作成
- 訪問看護師――日常生活動作〈ADL〉の向上のための訓練
- 訪問介護員――運動機能の評価
③ 訪問看護師――日常生活動作〈ADL〉の向上のための訓練
【▼ポイント】
①は訪問介護員、②は介護支援専門員、④は理学療法士の役割である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護 等
64 日本の医療保険制度について正しいのはどれか。(改題)
- 健康診断は医療保険が適用される。
- 75歳以上の者は医療費の自己負担はない。
- 医療保険適用者の約4分の1が国民健康保険に加入している。
- 健康保険の種類によって1つのサービスに対する診療報酬の点数が異なる。
③ 医療保険適用者の約4分の1が国民健康保険に加入している。
【▼ポイント】
×① 健康診断は医療保険が適用される。
医療給付内容には、診察、処置・手術、薬剤・治療材料、食事療養、入院・看護、在宅療養・看護、訪問看護があり、健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種などに要する費用は含まない。
×② 75歳以上の者は医療費の自己負担はない。
75歳以上の者には後期高齢者医療制度が適用され、被保険者の自己負担は1割(一定以上の所得者2割、現役並み所得者3割)となっている。
○③ 医療保険適用者の約4分の1が国民健康保険に加入している。
令和元年度(2019年度)末現在の医療保険適用者は、被用者保険が62.2%、国民健康保険が23.4%、後期高齢者医療制度が14.4%である。
×④ 健康保険の種類によって1つのサービスに対する診療報酬の点数が異なる。
診療報酬の点数は健康保険の種類にかかわらず同一である。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 1.医療保険制度 3.医療保険各制度の概要と現状 4.診療報酬
65 日本の医療提供施設について正しいのはどれか。
- 病院数は1995年から増加傾向である。
- 2013年の人口対病床数は先進国の中で最も多い。
- 介護老人保健施設数は2000年から減少傾向である。
- 精神科の平均在院日数は1990年から先進国で最短である。
② 2013年の人口対病床数は先進国の中で最も多い。
【▼ポイント】
×① 病院数は1995年から増加傾向である。
病院数は平成2年(1990年)ころをピークに減少傾向である。
×③ 介護老人保健施設数は2000年から減少傾向である。
介護保険法に定める施設サービスの一つである介護老人保健施設は、平成12年(2000年)に2,667施設であったものが、令和2年(2020年)は4,304施設と増加傾向にある。
×④ 精神科の平均在院日数は1990年から先進国で最短である。
令和2年の精神病床数は32.5万床、精神病床の平均在院日数は277.0日で、以前と比べて減少・短縮しているものの、ともに国際的にみても非常に高い水準にある。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設 等
66 看護師が自ら進んで能力を開発することの努力義務を定めているのはどれか。
- 医療法
- 労働契約法
- 教育基本法
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律
④ 看護師等の人材確保の促進に関する法律
【▼ポイント】
看護師等の人材確保の促進に関する法律により、国・地方公共団体には財政・金融上の措置、病院等の開設者等には処遇改善・臨床研修等の実施、看護師等には能力の開発・向上、国民には関心・理解などの責務を定めている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
67 災害医療について正しいのはどれか。
- 災害拠点病院は市町村が指定する。
- 医療計画の中に災害医療が含まれる。
- 防災訓練は災害救助法に規定されている。
- 災害派遣医療チーム〈DMAT〉は災害に関連した長期的な医療支援活動を担う。
② 医療計画の中に災害医療が含まれる。
【▼ポイント】
×① 災害拠点病院は市町村が指定する。
災害拠点病院は都道府県が平時に指定する。
○② 医療計画の中に災害医療が含まれる。
医療計画の5事業として、救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療(小児救急医療を含む)が規定されている。
×③ 防災訓練は災害救助法に規定されている。
物資の備蓄や防災訓練義務といった平時における予防等の責務などは災害対策基本法に規定されている。発災後、被災地域に適用される災害救助法では、避難所や応急仮設住宅の設置、衣食や医療・助産の提供など応急対策が行われる。
×④ 災害派遣医療チーム〈DMAT〉は災害に関連した長期的な医療支援活動を担う。
災害派遣医療チーム〈DMAT〉は急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持つ専門的な医療チームで、災害拠点病院を中心に整備されている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
73 糖尿病の合併症のうち、健康日本21(第二次)の目標に含まれるのはどれか。
- 腎症
- 感染症
- 網膜症
- 神経障害
- 血行障害
① 腎症
【▼ポイント】
糖尿病性腎症は、令和2年の新規透析導入原因の第1位であり、健康日本21(第二次)では糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数の減少を目標に掲げて対策を推進している。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 1〕対策のあゆみと国民健康づくり
77 令和3年(2021年)の人口動態統計において、1~4歳の死因で最も多いのはどれか。(改題)
- 肺炎
- 心疾患
- 悪性新生物
- 不慮の事故
- 先天奇形、変形及び染色体異常
⑤ 先天奇形、変形及び染色体異常
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の死因は、0歳と1~4歳では先天奇形、変形及び染色体異常、5~9歳では悪性新生物〈腫瘍〉、10~14歳では自殺が最も多い。
【▼参照】
第2編2章 人口動態統計 3.死亡 2〕死因の概要
79 Aさん(28歳、女性)は、2歳の子どもを養育しながら働いている。
Aさんが所定労働時間の短縮を希望した場合、事業主にその措置を義務付けているのはどれか。
- 児童福祉法
- 労働基準法
- 男女共同参画社会基本法
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉
⑤ 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉
【▼ポイント】
育児・介護休業法では、子どもが1歳になるまでの育児休業や、3歳までの子を養育する労働者の請求による所定外労働の制限や所定労働時間の短縮、小学校就学前までの子を養育する労働者の看護休暇の取得や時間外労働の制限を規定している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 6〕妊産婦等の就業
86 労働基準法で定められているのはどれか。2つ選べ。
- 妊娠の届出
- 妊婦の保健指導
- 産前産後の休業
- 配偶者の育児休業
- 妊産婦の時間外労働の制限
③ 産前産後の休業
⑤ 妊産婦の時間外労働の制限
【▼ポイント】
労働基準法の規定により、使用者は産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)で休業を請求した女性、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。そのほか、妊産婦等の危険有害業務の就業制限、女性の請求による妊婦の軽易業務転換、妊産婦の時間外労働・休日労働・深夜業の制限、生後満1年に満たない生児を育てる女性の請求による育児時間などを規定している。なお、①と②は母子保健法、④は育児・介護休業法に規定されている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 6〕妊産婦等の就業
87 ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症について適切なのはどれか。2つ選べ。
- 本人より先に家族に病名を告知する。
- 国内では異性間性的接触による感染が最も多い。
- 適切な対応によって母子感染率を下げることができる。
- 性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。
- HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群〈AIDS〉と診断できる。
③ 適切な対応によって母子感染率を下げることができる。
④ 性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。
【▼ポイント】
×② 国内では異性間性的接触による感染が最も多い。
令和2年12月31日現在のHIV感染者をみると、異性間の性的接触が5,505人、同性間の性的接触が13,687人となっている。
○③ 適切な対応によって母子感染率を下げることができる。
○④ 性行為の際には必ずコンドームを使用するよう指導する。
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の主な感染経路は、HIV感染者との性行為、血液または血液製剤の輸注、母子感染(垂直感染)の3つである。性行為による感染にはコンドームの使用、母子感染には妊婦の感染の早期発見と抗HIV薬等による適切な対策が効果的である。
×⑤ HIVに感染していれば後天性免疫不全症候群〈AIDS〉と診断できる。
HIVに感染後、免疫不全状態が進み、特徴的疾患であるニューモシスティス肺炎(カリニ肺炎)やカンジダ症、カポジ肉腫などの23の指標疾患の1つ以上を発症するとエイズと診断される。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 4〕HIV・エイズ(AIDS)
89 精神科病院で行動制限を受ける患者への対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 行動制限の理由を患者に説明する。
- 原則として2名以上のスタッフで対応する。
- 信書の発受の対象は患者の家族に限定する。
- 精神保健指定医による診察は週1回とする。
- 12時間を超えない隔離は看護師の判断で実施する。
① 行動制限の理由を患者に説明する。
② 原則として2名以上のスタッフで対応する。
【▼ポイント】
×③ 信書の発受の対象は患者の家族に限定する。
隔離や身体的拘束などの行動制限がある場合でも、信書の発受や、行政機関の職員、代理人である弁護士との電話・面会については制限できない。
×④ 精神保健指定医による診察は週1回とする。
隔離時には、医師は原則として少なくとも毎日一回診察を行うこととされる。
×⑤ 12時間を超えない隔離は看護師の判断で実施する。
12時間を超える隔離については精神保健指定医の判断が必要となる。12時間を超えない場合には精神保健指定医の判断は要しないが、この場合でもその要否の判断は医師によって行われなければならない。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
午後
1 世界保健機関〈WHO〉が定義する健康について正しいのはどれか。
- 単に病気や虚弱のない状態である。
- 国家に頼らず個人の努力で獲得するものである。
- 肉体的、精神的及び社会的に満たされた状態である。
- 経済的もしくは社会的な条件で差別が生じるものである。
③ 肉体的、精神的及び社会的に満たされた状態である。
【▼ポイント】
WHO憲章では、健康を単に疾病等がないことではなく、完全な肉体的、精神的、社会的福祉の状態と定義し、様々な差別なく、すべての人が有する権利として、個人と国家の協力の下に達成するために、WHOの目的としてすべての人が最高の健康水準に到達することをうたっている。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 12.世界保健機関(WHO)
2 健康日本21(第二次)で平成34年度(2022年度)の目標として示されている1日当たりの食塩摂取量はどれか。
- 5g
- 8g
- 11g
- 14g
② 8g
【▼ポイント】
健康日本21(第二次)が定める5つの基本的な方向のうち、「栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善」として食塩摂取量を8gに減少させることを目標の一つとして掲げている。なお、日本人の食事摂取基準(2020年版)では成人のナトリウム(食塩相当量)の1日当たり目標量を、男7.5g未満、女6.5g未満と設定している。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 1〕対策のあゆみと国民健康づくり
3 大気汚染物質の二酸化硫黄〈SO2〉について正しいのはどれか。
- 発がん性がある。
- じん肺を引き起こす。
- 酸性雨の原因物質である。
- 不完全燃焼によって発生する。
③ 酸性雨の原因物質である。
【▼ポイント】
酸性雨は、二酸化硫黄〈SO2〉などを起源とする酸性物質が雨・雪・霧などに溶け込み、通常より強い酸性を示す現象である。①はベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど、②は粉じん(石綿含む)、④は一酸化炭素〈CO〉の特徴である。
【▼参照】
第9編4章 環境保全対策 1.大気汚染対策の動向 1〕大気汚染に係る環境基準
4 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章が策定された年はどれか。
- 1947年
- 1967年
- 1987年
- 2007年
④ 2007年
【▼ポイント】
平成19年(2007年)に策定された仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章では、仕事と生活の調和の必要性、目指すべき社会の姿、関係者が果たすべき役割を提示している。
【▼参照】
第8編 労働衛生 9.その他の労働衛生対策等 6〕仕事と生活の調和
【▼備考】
必修問題として妥当ではないため不正解者は採点除外。
6 スピリチュアルな苦痛はどれか。
- 手術後の創部痛がある。
- 社会的役割を遂行できない。
- 治療の副作用に心配がある。
- 人生の価値を見失い苦悩する。
④ 人生の価値を見失い苦悩する。
【▼ポイント】
スピリチュアルな苦痛(スピリチュアルペイン)は、人生の意味や、死生観、宗教観などの観念的な問題を指し、緩和ケアにおいてもケアの対象となっている。なお、①は身体的苦痛、②は社会的苦痛、③は心理的苦痛に分類される。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 1.がん対策 3〕がん対策推進基本計画
8 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査で、要介護者からみた主な介護者の続柄で割合が最も多いのはどれか。(改題)
- 同居の父母
- 別居の家族
- 同居の配偶者
- 同居の子の配偶者
③ 同居の配偶者
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の主な介護者は要介護者等と同居が54.4%で、そのうち配偶者が23.8%で最も多く、次いで子が20.7%となっている。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 10〕介護者・要介護者等の状況
9 訪問看護ステーションの管理者になることができる職種はどれか。
- 医師
- 看護師
- 介護福祉士
- 理学療法士
② 看護師
【▼ポイント】
訪問看護ステーションの管理者は専従かつ常勤の保健師または看護師であって、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識・技能を有する者とされる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
11 死の三徴候に基づいて観察するのはどれか。
- 腹壁反射
- 輻輳反射
- 対光反射
- 深部腱反射
③ 対光反射
【▼ポイント】
死の三徴候とは、①呼吸停止、②心拍停止、③瞳孔散大・対光反射消失である。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 6.臓器移植・組織移植 1〕脳死体からの臓器移植の概要
14 母体から胎児への感染はどれか。
- 水平感染
- 垂直感染
- 接触感染
- 飛沫感染
② 垂直感染
【▼ポイント】
母子感染(垂直感染)は妊娠中の胎内感染、出産時の産道感染、出生後の経母乳感染などがあり、HIV/エイズやB型肝炎、HTLV-1関連疾患などの感染経路の一つでもある。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 3〕ウイルス性肝炎
19 標準予防策〈スタンダードプリコーション〉において、創傷や感染のない患者への援助で使い捨て手袋が必要なのはどれか。
- 手浴
- 洗髪
- 口腔ケア
- 寝衣交換
③ 口腔ケア
【▼ポイント】
感染源の有無にかかわらず、血液・体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜(湿性生体物質)を介する微生物の伝播リスクを減らすために、すべての患者に対して標準的な感染予防策(スタンダードプリコーション)を行う。なお、汗は湿性生体物質であるが標準予防策からは除かれる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
23 呼びかけに反応はないが正常な呼吸がみられる傷病者に対して、まず行うべき対応はどれか。
- 下肢を挙上する。
- 胸骨圧迫を行う。
- 回復体位をとる。
- 自動体外式除細動器〈AED〉を装着する。
③ 回復体位をとる。
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)の手順としては、傷病者の反応がない場合、応援を呼ぶ・通報する・自動体外式除細動器〈AED〉を要請する。その上で呼吸の確認を行い、呼吸がない場合等は胸骨圧迫・人工呼吸、そしてAEDの使用に移る。正常な呼吸がある場合は、回復体位(横向きに寝た姿勢)にして気道を確保する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
31 インフォーマルサポートはどれか。
- 介護支援専門員による居宅サービス計画の作成
- 医師による居宅療養管理指導
- 近隣住民による家事援助
- 民生委員による相談支援
③ 近隣住民による家事援助
【▼ポイント】
インフォーマルサポートは「互助」ともいい、法律や制度に則った専門的なフォーマルサポートとは異なり、費用負担等が制度的に裏付けされていない自発的なボランティアなどがこれに当たる。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 6〕地域包括ケアシステム
32 ハイリスクアプローチについて正しいのはどれか。
- 費用対効果が高い。
- 成果が恒久的である。
- 一次予防を目的とする。
- 集団全体の健康状態の向上に貢献する。
① 費用対効果が高い。
【▼ポイント】
ハイリスクアプローチとは、健診受診者等の集団をリスクに基づいて優先順位を付けた上で、疾病等のリスクが高いグループに絞って適切な対策を行うものである。健診などで疾病を早期発見する二次予防が目的で、集団全体を対象にする方法(ポピュレーションアプローチ)とは異なり、対象は限られるため費用対効果(コストパフォーマンス)が高い。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 3〕生活習慣病対策
35 学習支援として、集団指導よりも個別指導が望ましいのはどれか。
- 小学生へのインフルエンザ予防の指導
- 塩分摂取量が多い地域住民への食事指導
- ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染者への生活指導
- 3〜4か月児健康診査に来た保護者への離乳食の指導
③ ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染者への生活指導
【▼ポイント】
HIV感染者への指導に当たっては、人権・プライバシーに配慮した個別指導が望ましい。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向 4〕HIV・エイズ(AIDS)
36 感染症の成立過程において、予防接種が影響を与える要素はどれか。
- 病原体
- 感染源
- 感染経路
- 宿主の感受性
④ 宿主の感受性
【▼ポイント】
感染症に対する免疫力の低下した感受性宿主などが予防接種により免疫の効果を得ることで、これまで多くの疾病の流行防止に大きな成果をあげ、感染症による患者の発生や死亡者の大幅な減少をもたらすなど、感染症対策上、極めて重要な役割を果たしてきた。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 4.予防接種
40 麻薬の取り扱いで正しいのはどれか。
- 看護師は麻薬施用者免許を取得できる。
- 麻薬を廃棄したときは市町村長に届け出る。
- アンプルの麻薬注射液は複数の患者に分割して用いる。
- 麻薬及び向精神薬取締法に管理について規定されている。
④ 麻薬及び向精神薬取締法に管理について規定されている。
【▼ポイント】
×① 看護師は麻薬施用者免許を取得できる。
麻薬施用者は医師、歯科医師、獣医師に、麻薬管理者は医師、歯科医師、獣医師、薬剤師に限っている。
×② 麻薬を廃棄したときは市町村長に届け出る。
麻薬の廃棄については都道府県知事に届け出る。
×③ アンプルの麻薬注射液は複数の患者に分割して用いる。
アンプルの麻薬注射液は、管理面、衛生面に問題がある場合、同一患者や複数の患者に分割して施用することは控え、施用後のアンプルは残液がある場合および空であっても麻薬管理者に返納する。
【▼参照】
第6編4章 特殊な医薬品、毒物・劇物 2.麻薬・覚醒剤等 2〕医療用麻薬
41 成人に対する一次救命処置〈BLS〉において、胸骨圧迫と人工呼吸との回数比で正しいのはどれか。
- 20対1
- 20対2
- 30対1
- 30対2
④ 30対2
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)における心肺蘇生法では、呼吸を観察し、呼吸がない場合または死戦期呼吸の場合、胸骨圧迫30回(約5cm沈み込む強さ、100~120回/分の速さ)と人工呼吸2回の組み合わせによる処置を行う。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
48 梅毒について正しいのはどれか。
- ウイルス感染症である。
- 感染経路は空気感染である。
- 治療の第一選択薬はステロイド外用薬である。
- 梅毒血清反応における生物学的偽陽性の要因に妊娠がある。
④ 梅毒血清反応における生物学的偽陽性の要因に妊娠がある。
【▼ポイント】
梅毒は主に性行為によって伝播する
性感染症であり、
梅毒トレポネーマ(細菌)の感染によって生じ、早期の
抗菌薬による薬物治療の必要がある。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 6〕性感染症(STD)
51 子どもの権利について述べている事項で最も古いのはどれか。
- 児童憲章の宣言
- 児童福祉法の公布
- 母子保健法の公布
- 児童の権利に関する条約の日本の批准
② 児童福祉法の公布
【▼ポイント】
- 1947年:児童福祉法公布
- 1951年:児童憲章宣言
- 1965年:母子保健法公布
- 1994年:児童の権利に関する条約の日本批准
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 1〕子どもの権利等のあゆみ
55 入院中に陰圧室に隔離すべき感染症はどれか。
- 麻疹
- 風疹
- 手足口病
- 流行性耳下腺炎
① 麻疹
【▼ポイント】
手洗い等の標準予防策(スタンダードプリコーション)に加え、感染経路別予防策として、結核や麻疹など空気感染のおそれのある患者については病室を陰圧室とし、入室するときはN95マスクを装着する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
58 母子保健施策とその対象の組合せで正しいのはどれか。
- 育成医療―結核児童
- 養育医療―学齢児童
- 健全母性育成事業―高齢妊婦
- 養育支援訪問事業―特定妊婦
④ 養育支援訪問事業―特定妊婦
【▼ポイント】
×① 育成医療―結核児童
育成医療は、身体に障害のある児童を対象とする(児童福祉法。障害者総合支援法に基づく自立支援医療給付の一つ)。
×② 養育医療―学齢児童
養育医療は、養育のため病院または診療所に入院することを必要とする未熟児を対象とする(母子保健法)。
○④ 養育支援訪問事業―特定妊婦
養育支援訪問事業は、出産後の子どもの養育について出産前に支援を行うことが特に必要と認められる妊婦(特定妊婦)を対象とする(児童福祉法)。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 2〕母子保健法に基づく施策 等
59 精神保健活動における二次予防に該当するのはどれか。
- 地域の子育てサークルへの支援
- 休職中のうつ病患者への支援
- 企業内でのメンタルヘルス講座の開催
- 学校を長期間欠席している児童への家庭訪問
④ 学校を長期間欠席している児童への家庭訪問
【▼ポイント】
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種により健康の増進を図って発病を予防する一次予防と、健診などで疾病を早期発見したり、治療により疾患の重症化を予防する二次予防、リハビリテーションなど疾病が進行した後の社会復帰などを図る三次予防がある。①と③は一次予防、②は三次予防である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 1〕生活習慣病の概念
61 精神科デイケアの目的で最も適切なのはどれか。
- 陽性症状を鎮静化する。
- 家族の疾病理解を深める。
- 単身で生活できるようにする。
- 対人関係能力の向上を目指す。
④ 対人関係能力の向上を目指す。
【▼ポイント】
精神科デイケアは、精神障害のある者を対象に、社会参加や社会復帰(復職、就労、進学・復学等)を目的として、生活リズムの改善やコミュニケーション能力の向上、精神疾患の再発防止などを図る通所施設であり、医療保険の適用対象となっている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健
62 健康保険法による訪問看護サービスで正しいのはどれか。
- サービス対象は75歳以上である。
- 訪問看護師が訪問看護計画を立案する。
- 要介護状態区分に応じて区分支給限度基準額が定められている。
- 利用者の居宅までの訪問看護師の交通費は、診療報酬に含まれる。
② 訪問看護師が訪問看護計画を立案する。
【▼ポイント】
×① サービス対象は75歳以上である。
要介護者等(65歳以上の第1号被保険者、40~64歳の第2号被保険者で要介護認定された者)には介護保険からの給付が行われ、40歳未満の者と要介護者等以外の者には医療保険から給付される。
○② 訪問看護師が訪問看護計画を立案する。
医師の訪問看護指示書の下に、訪問看護師が訪問看護計画を立案、実施する。
×③ 要介護状態区分に応じて区分支給限度基準額が定められている。
区分支給限度基準額が定められているのは介護保険によるサービスである。
×④ 利用者の居宅までの訪問看護師の交通費は、診療報酬に含まれる。
訪問看護師の交通費は診療報酬に含まれない。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
66 A病院の組織図を図に示す。

医療安全管理を担う部門が、組織横断的な活動をするのに適切な位置はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
② ②
【▼ポイント】
組織横断的に医療安全管理を行う上で、病院の管理者(①)の下で特定の部門に帰属しない位置で活動を行うことが適切である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 8〕医療安全管理体制
69 医療機関に勤務する看護師のうち、特殊健康診断の対象となるのはどれか。
- 内視鏡室で勤務する看護師
- 精神科病棟で勤務する看護師
- 血管造影室で勤務する看護師
- 一般病棟で勤務する夜勤専従の看護師
③ 血管造影室で勤務する看護師
【▼ポイント】
特殊健康診断は、各規則に基づき、①有機溶剤業務、②鉛業務、③四アルキル鉛等業務、④特定化学物質・製造禁止物質(試験研究用)の製造・取扱業務、⑤高圧室内業務と潜水業務、⑥放射線業務、⑦除染等業務、⑧石綿等業務において実施される。
【▼参照】
第8編 労働衛生 7.健康診断に基づく健康確保対策
73 院内感染の観点から、多剤耐性に注意すべきなのはどれか。
- ジフテリア菌
- 破傷風菌
- 百日咳菌
- コレラ菌
- 緑膿菌
⑤ 緑膿菌
【▼ポイント】
薬剤耐性を持つ多剤耐性緑膿菌〈MDRP〉やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉は、抵抗力の弱まった宿主(易感染者)に対して病原性を発揮する日和見感染症を起こすおそれがあり、医療施設内の拡散を防ぐため、院内感染対策サーベイランス事業などが実施されている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
76 感染症と保健所への届出期間の組合せで正しいのはどれか。
- 結核――診断後7日以内
- 梅毒――診断後直ちに
- E型肝炎――診断後直ちに
- 腸管出血性大腸菌感染症――診断後7日以内
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉――診断後直ちに
③ E型肝炎――診断後直ちに
【▼ポイント】
1~4類感染症と、5類感染症の一部(侵襲性髄膜炎菌感染症、風しんおよび麻しん)、新型インフルエンザ等感染症を診断した医師は直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。また、5類感染症のうち麻しん等を除く全数把握対象疾患については7日以内に届け出なければならない。①結核は2類感染症、③E型肝炎は4類感染症、④腸管出血性大腸菌感染症は3類感染症なので「診断後直ちに」、②梅毒と⑤後天性免疫不全症候群〈AIDS〉は5類感染症なので「診断後7日以内」に届け出なければならない。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 1.感染症対策 1〕感染症法による対策
77 平成24年(2012年)の医療法の改正によって、医療計画には①疾病・②事業及び在宅医療の医療体制に関する事項を定めることとされている。
①と②に入る数字の組合せで正しいのはどれか。
①――②
- 4――4
- 4――5
- 5――4
- 5――5
- 6――6
④ 5――5
【▼ポイント】
医療計画には、5疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療(小児救急医療を含む))の事項を定めることとなっている。なお、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を踏まえ、令和6年度(2024年度)の医療計画からは、5事業に「新興感染症等の感染拡大時における医療」が追加されることとなっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.医療計画
79 令和2年度(2020年度)の「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」における養介護施設従事者等による虐待で最も多いのはどれか。(改題)
- 性的虐待
- 介護等放棄
- 身体的虐待
- 心理的虐待
- 経済的虐待
③ 身体的虐待
【▼ポイント】
令和2年度(2020年度)の高齢者虐待の状況では、身体的虐待が、養介護施設従事者等によるものでは52.0%、養護者によるものでも68.2%と最も多く、半分以上を占めている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 2〕高齢者虐待防止
80 Aさん(66歳、女性)は、4年前に前頭側頭型認知症と診断され、介護老人福祉施設に入所している。時々、隣の席の人のおやつを食べるため、トラブルになることがある。
この状況で考えられるAさんの症状はどれか。
- 脱抑制
- 記憶障害
- 常同行動
- 自発性の低下
- 物盗られ妄想
① 脱抑制
【▼ポイント】
前頭側頭型認知症では、大脳の前頭葉や側頭葉の神経変性により、人格障害や行動障害、失語症などの症状が現れる。発症初期から多くみられる脱抑制行動では、社会的に不適切な行動や礼儀・マナーの欠如などを特徴とする。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 2.老人保健 2〕認知症施策のあゆみ
81 社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、介護福祉士が一定の条件を満たす場合に行うことができる医療行為はどれか。
- 摘便
- 創処置
- 血糖測定
- 喀痰吸引
- インスリン注射
④ 喀痰吸引
【▼ポイント】
介護福祉士は、専門的知識と技術をもって、身体上または精神上の障害により日常生活を営むのに支障がある者に、心身の状況に応じた介護(医師の指示の下に行われる喀痰吸引等含む)を行うほか、その者とその介護者に対して介護に関する指導を行う。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 8〕介護関係従事者
84 難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉において国が行うとされているのはどれか。2つ選べ。
- 申請に基づく特定医療費の支給
- 難病の治療方法に関する調査及び研究の推進
- 指定難病に係る医療を実施する医療機関の指定
- 支給認定の申請に添付する診断書を作成する医師の指定
- 難病に関する施策の総合的な推進のための基本的な方針の策定
② 難病の治療方法に関する調査及び研究の推進
⑤ 難病に関する施策の総合的な推進のための基本的な方針の策定
【▼ポイント】
①は都道府県、③と④は都道府県知事が行う。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 2.難病対策 3〕難病に係る医療費助成の制度
90 出生体重3,200gの新生児。日齢の体重は3,100gである。このときの体重減少率を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第2位を四捨五入すること。
解答:①.②%
① 3
② 1
【▼ポイント】
減少率(%)は、減少量÷減少前の値×100で求められる。本問では(3,200-3,100)÷3,200×100となり、3.125を小数点第2位で四捨五入して3.1である。ちなみに増加率(%)を求める場合は、減少量を増加量に変え、増加量÷増加前の値×100で求められる。
対応外必修問題
午前6 原始反射はどれか。
- 手掌把握反射
- 視性立ち直り反射
- パラシュート反射
- Landau〈ランドー〉反射
① 手掌把握反射
【▼ポイント】
手掌把握反射は新生児にみられる原始反射で、手に刺激を与えた際に握ろうとする現象をいう。出生後すぐから反応が見られ、生後3~4か月ころには消失する。同様の原始反射として、外部からの刺激に対して両手を広げて抱きつくようなMoro〈モロー〉反射がある。
午前7 思春期にみられる感情の特徴はどれか。
- 情緒的に安定し穏やかになる。
- 思い通りにならないと泣き叫ぶ。
- 親に対して強い愛情表現を示す。
- 依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情をもつ。
④ 依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情をもつ。
【▼ポイント】
思春期には、依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情を持ちながらも、自我同一性(アイデンティティ)の確立の過程で、親からの心理的離乳、年長者の価値観への拒絶、同世代の仲間との価値観の共有がみられる(第2反抗期)。
午前8 老年期の身体的な特徴はどれか。
- 総水分量が増加する。
- 胸腺の重量が増加する。
- 嗅覚の閾値が低下する。
- 高音域における聴力が低下する。
④ 高音域における聴力が低下する。
【▼ポイント】
加齢により、蝸牛など感音系の器官が障害され、特に高音域が聞こえづらくなる(加齢性難聴)。①総水分量は成人期(約60%)から減少(約50~55%)、②胸腺は年齢とともに萎縮、③嗅覚機能は加齢により低下(反応下限値(閾値)の上昇)する。
午前10 嚥下に関わる脳神経はどれか。
- 嗅神経
- 外転神経
- 滑車神経
- 迷走神経
④ 迷走神経
【▼ポイント】
迷走神経は咽頭や食道の運動など、嚥下(反射)に関わるものである。
午前12 頻回の嘔吐で生じやすいのはどれか。
- 血尿
- 低体温
- 体重増加
- アルカローシス
④ アルカローシス
【▼ポイント】
頻回の嘔吐により大量の胃液(pH1~2の強酸性の胃酸)や水分が失われると、血液のアルカリ性度が上昇する代謝性アルカローシスや脱水が生じやすい。
午前13 関節や神経叢の周辺に限局して起こる感覚障害の原因はどれか。
- 脊髄障害
- 物理的圧迫
- 脳血管障害
- 糖尿病の合併症
② 物理的圧迫
【▼ポイント】
末梢神経系が外部から物理的に圧迫されると、関節や神経叢の周辺に限局して麻痺等の感覚障害が生じる(橈骨神経麻痺・腓骨神経麻痺等)。
午前14 良性腫瘍と比較して悪性腫瘍でみられる特徴はどれか。
- 被膜がある。
- 遠隔転移する。
- 周囲組織に浸潤しない。
- 増殖速度が緩やかである。
② 遠隔転移する。
【▼ポイント】
悪性腫瘍は良性腫瘍と比べて、増殖が速く、周囲の組織にしみ出すように広がり(浸潤)、最初に発生した臓器(原発部位)から血液やリンパを通じて離れた場所にも転移する特徴がある。転移の例として、胃がんなどが左鎖骨上窩リンパ節に転移するウィルヒョウ転移がある(109回午前21問出題)。
午前15 肝障害の指標となる血液生化学検査の項目はどれか。
- CRP
- 尿素窒素
- アミラーゼ
- ALT〈GPT〉
④ ALT〈GPT〉
【▼ポイント】
肝機能の働きを調べる血液検査では、ALT〈GPT〉やAST〈GOT〉が主な項目として挙げられる。①CRPは炎症や感染症、②尿素窒素やクレアチニンは腎機能、③アミラーゼは膵機能などの状態を調べる検査項目である。
午前16 排便を促す目的のために浣腸液として使用されるのはどれか。
- バリウム
- ヒマシ油
- グリセリン
- エタノール
③ グリセリン
【▼ポイント】
グリセリン浣腸は腸管の蠕動を促し、排便を促進させる。なお、直腸穿孔の危険性があるため、立位によるグリセリン浣腸は危険であり、左側臥位による5~6cm程度のチューブ挿入を実施する。
午前18 面接時の質問方法でopen-ended question〈開かれた質問〉はどれか。
- 「頭痛はありますか」
- 「昨晩は眠れましたか」
- 「朝食は何を食べましたか」
- 「退院後はどのように過ごしたいですか」
④ 「退院後はどのように過ごしたいですか」
【▼ポイント】
Open-ended question〈開かれた質問〉は、質問者があらかじめ知っている情報を確認する質問や、暗に方向付けることを避け、相手自身の言葉で語ってもらう質問の進め方をいう。
午前19 異常な呼吸音のうち高調性連続性副雑音はどれか。
- 笛のような音〈笛音〉
- いびきのような音〈類鼾音〉
- 耳元で髪をねじるような音〈捻髪音〉
- ストローで水に空気を吹き込むような音〈水泡音〉
① 笛のような音〈笛音〉
【▼ポイント】
異常呼吸音(副雑音)は、断続性のある細かい捻髪音と粗い水泡音、連続性のある低調性のいびき音と高調性の笛音、胸膜摩擦音に分類される。高調性連続性副雑音(笛音)では気道の狭窄が疑われる。
午前20 患者をベッドから車椅子へ移乗介助するときの車椅子の配置を図に示す。

左片麻痺のある患者の介助で最も適切なのはどれか。
③
【▼ポイント】
左片麻痺のある患者の車椅子への移乗時は、麻痺のない右側に車椅子を約15~30度の角度で近づけ、車椅子の外側の肘掛け部分に右手を置いて立ち上がり、右足を軸に体を回転して腰を下ろす(右片麻痺では麻痺のない左側(選択肢②)に角度を付けて車椅子を近づける)。
午前21 経腸栄養剤の副作用〈有害事象〉はどれか。
- 咳嗽
- 脱毛
- 下痢
- 血尿
③ 下痢
【▼ポイント】
経腸栄養法は、口からの食事が十分でない者に対して消化管機能を活用するもので、投与のルートやチューブの留置箇所により経鼻経管栄養法や胃瘻などがある。不適切な経腸栄養剤の浸透圧、投与量・速度、または栄養剤の細菌感染等により、下痢症状が生じることがある。
午前22 静脈内注射を行う際に、必ず希釈して用いる注射液はどれか。
- 5%ブドウ糖
- 15%塩化カリウム
- 0.9%塩化ナトリウム
- 7%炭酸水素ナトリウム
② 15%塩化カリウム
【▼ポイント】
15%塩化カリウムの原液投与は、高カリウム血症による不整脈や心停止を起こす危険があり、必ず希釈して用いる。希釈には、血漿と浸透圧がほぼ等しい等張液である5%ブドウ糖液(①)や0.9%塩化ナトリウム(生理食塩水、③)、注射用蒸留水を用いる。
午前23 充塡された酸素ボンベの保管方法で正しいのはどれか。
- 横に倒して保管する。
- 保管場所は火気厳禁とする。
- バルブを開放して保管する。
- 日当たりの良い場所で保管する。
② 保管場所は火気厳禁とする。
【▼ポイント】
酸素は燃焼を助ける性質が強いガスであり、酸素濃縮装置や液化酸素、酸素ボンベの保管場所は火気厳禁である。また、それらの使用中(酸素吸入時等)には、周囲2メートル以内に火気を置いてはならない。
午前24 褥瘡発生の予測に用いるのはどれか。
- ブリストルスケール
- Borg〈ボルグ〉スケール
- Braden〈ブレーデン〉スケール
- グラスゴー・コーマ・スケール
③ Braden〈ブレーデン〉スケール
【▼ポイント】
Braden〈ブレーデン〉スケールは褥瘡発生の予測(リスクアセスメント)に用いるもので、知覚の認知、湿潤、活動性、可動性、栄養状態、摩擦とずれの6項目を評価項目とする。①ブリストルスケールは大便の性状の評価、②Borg〈ボルグ〉スケールは主観的運動強度の評価、④グラスゴー・コーマ・スケールは意識レベルの評価をするスケールである。
午後7 更年期の女性で増加するのはどれか。
- 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
- テストステロン
- プロラクチン
- エストロゲン
① 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
【▼ポイント】
更年期(閉経50歳前後の約45~55歳)の女性は、卵巣機能の低下により女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少する一方で、性腺刺激ホルモンである卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)は分泌を増やすため、ホルモンや自律神経のバランスが乱れ、ほてりや発汗、抑うつなどがみられる。
午後10 股関節の運動を図に示す。

内転はどれか。
③
【▼ポイント】
股関節は骨盤と大腿骨をつなぐ関節で、肩関節と同様に可動域が広い(多軸性)球関節である。股関節の動きとして、股関節を起点に足を前に出す屈曲(①)と後ろに下げる伸展、足を外側に開く外転(②)と内側に閉じる内転(③)、外側にひねる外旋と内側にひねる内旋(④)がある。
午後13 典型的なうつ病の症状はどれか。
- 幻聴
- 感情失禁
- 理由のない爽快感
- 興味と喜びの喪失
④ 興味と喜びの喪失
【▼ポイント】
うつ病は気分障害の一つで、気分の落ち込み、興味や喜びの喪失といった精神症状と、不眠、食欲不振、疲労感といった身体症状があらわれる。
午後15 出血傾向を考慮し手術前に投与の中止を検討するのはどれか。
- アドレナリン
- テオフィリン
- ワルファリン
- バンコマイシン
③ ワルファリン
【▼ポイント】
ワルファリンは血液を固まりにくくし、血栓や塞栓を防ぐ抗凝固剤である。出血を起こす、止まらなくなることがあり、手術前には投与の中止を含めて検討する。なお、ビタミンKはワルファリンの働きを阻害する拮抗作用があり、ワルファリン使用時にはビタミンKを多く含む納豆などの食品の摂取は控える。
午後16 インドメタシン内服薬の禁忌はどれか。
- 痛風
- 膀胱炎
- 消化性潰瘍
- 関節リウマチ
③ 消化性潰瘍
【▼ポイント】
インドメタシンは非ステロイド抗炎症薬で、解熱、鎮痛、抗炎症作用を発揮する。非ステロイド抗炎症薬は、消化器への作用により胃粘膜防御能が低下し、消化性潰瘍が悪化するおそれがあるため、消化性潰瘍の者には禁忌である。
午後17 Fowler〈ファウラー〉位で食事を摂るときの姿勢で誤嚥を予防するのはどれか。
- 頸部側屈位
- 頸部前屈位
- 頸部後屈位
- 頸部回旋位
② 頸部前屈位
【▼ポイント】
食事の際に顎を上げる(頸部後屈)と、咽頭と気管が直線的になり、食事が気管に入りやすくなる。半坐位(ファウラー位)では誤嚥の防止のため、頸部前屈の体位で食事の援助を行うことが望ましい。
午後18 男性に導尿を行う際、カテーテル挿入を開始するときの腹壁に対する挿入角度で最も適切なのはどれか。
- 30〜40度
- 80〜90度
- 120〜130度
- 160〜170度
② 80〜90度
【▼ポイント】
導尿カテーテルは尿道に挿入し、膀胱内の尿を排出させるチューブである。男性の導尿では、尿道が屈曲しているため、陰茎を腹膜に対し約90度引き上げて開始し、約18~20cmを挿入する(女性は約4~7cm)。
午後20 モルヒネの副作用〈有害事象〉はどれか。
- 出血
- 便秘
- 高血圧
- 粘膜障害
② 便秘
【▼ポイント】
モルヒネは、がんの痛みの緩和などに用いられる麻薬性鎮痛薬(強オピオイド鎮痛薬)である。消化器系の副作用として便秘が認められ、下剤の投与などの処置がとられる。
午後21 ジギタリスの副作用〈有害事象〉はどれか。
- 難聴
- 悪心
- 易感染
- 低血糖
② 悪心
【▼ポイント】
ジギタリス(ジゴキシン)は、心筋細胞内のカルシウム濃度を高め、心筋の収縮力を増強する強心薬として、心不全の治療などに用いられる。副作用としては、悪心や不整脈などがある。
午後25 マズロー, A. H.の基本的欲求階層論で最高次の欲求はどれか。
- 安全の欲求
- 承認の欲求
- 生理的欲求
- 自己実現の欲求
- 所属と愛の欲求
④ 自己実現の欲求
【▼ポイント】
マズローの欲求階層説では、低階層から、①生理的(食事、排泄、睡眠等)欲求、②安全(危険回避)の欲求、③社会的(所属・愛情)欲求、④自尊(承認)の欲求、⑤自己実現の欲求の5段階となっており、人間は低階層の欲求が満たされると高階層の欲求に移っていくことをあらわす。
資料 厚生労働省「第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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